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英語のマジか!?ビミョー

英語の不規則動詞は“絶滅”が進んでいた。使う回数がほかの動詞の100分の1なら、10倍の速さで規則動詞に

英語の不規則動詞は“絶滅”が進んでいた。使う回数がほかの動詞の100分の1なら、10倍の速さで規則動詞に

読む前に予想してみよう!

よく使う動詞ほど、不規則な形が長生きする

研究カード(どんな研究?)
対象
古英語〜現代英語の動詞
規模
不規則動詞177個・約1200年分
研究の種類
歴史資料とコーパスの分析(観察研究)
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

古英語の不規則動詞177個を追った研究では、今も不規則なのは98個。使う回数がほかの動詞の100分の1しかない動詞は、10倍の速さで規則動詞(-ed をつける動詞)に変わっていた。ただし逆に不規則へ戻る動詞もある。

ひとことで言うとあまり使わない不規則動詞ほど、-ed がつくふつうの形に変わりやすいんだって!

もくじ
  1. 1200年分の「不規則動詞の生き残りリスト」
  2. 次に消えるのは「wed」?
  3. どんでん返し:逆に「不規則」へ戻る動詞もあった
  4. 英語学習者への実用ポイント
  5. まとめ

go-went-gone、eat-ate-eaten、bring-brought-brought……。英語の授業で不規則動詞の表とにらめっこした人に、ちょっとした朗報です。

古英語から続く英語の不規則動詞は、1000年以上かけて少しずつ“絶滅”してきた。 しかも、その消え方には「使う回数がほかの動詞の100分の1しかない動詞は、10倍の速さで規則動詞(-ed をつける動詞)に変わる」という、驚くほどきれいな法則がありました。

ちなみに、あなたが今日たぶん使った help(助ける)も、昔は不規則動詞でした。 いまは helped と規則どおりですが、それは長い時間をかけて“ふつうの動詞”に変わった結果なのです。

011200年分の「不規則動詞の生き残りリスト」

「半減期」とは、ある集団の半分が消えるまでにかかる時間のこと。放射性物質でおなじみの考え方を、研究チームは動詞に当てはめました。

平方根に比例する、というのはこういうことです。頻度が100分の1になると、半減期は √100=10 分の1。つまり10倍の速さで規則化する。

研究の表によると、半減期はこんな感じでした(上の2グループは規則化した例がないので、法則から外挿した推定値)。

  • be, have(最もよく使う動詞):およそ3万8800年
  • come, do, find, get, give, go, know, say, see, take, think:およそ1万4400年
  • begin, break, eat, write など:およそ5400年
  • bake, fly, sing, swim など:およそ2000年
  • dive, shed, sting など:およそ700年
  • bide, chide, delve など(めったに使わない動詞):およそ300年

最後のグループは、調べた動詞の91%がすでに規則化していました。ちなみに delve は、いまでは delved と規則どおりに活用します。

よく使う動詞は大木のように強く、めったに使わない動詞は風で形が変わりやすい
よく使う動詞は大木のように強く、めったに使わない動詞は風で形が変わりやすい

02次に消えるのは「wed」?

チームは未来の予想もしています。今の流れが続けば、西暦2500年には177個のうち不規則なのは83個にまで減る計算です。

では、次に規則化しそうな動詞は? 研究チームが名指ししたのは wed(結婚する)でした。wed-wed-wed という不規則動詞で、使われるのは、動詞が100万回使われるうちの4.2回だけ。現代の不規則動詞の中で最下位クラスです。すでに多くの場面で wedded という規則形に置き換わりつつある、と論文は書いています。

03どんでん返し:逆に「不規則」へ戻る動詞もあった

2014年、カスクリー(Cuskley)さんらの研究チームが、アメリカ英語の書き言葉を集めた歴史コーパス(1830〜1989年分)で過去形を調べたところ、quitted, lighted, wedded が、quit, lit, wed に置き換わっていったことがわかりました。そう、名指しされた wed は、少なくともこのアメリカ英語のデータでは、逆に不規則形が勝っていたのです。

反対に、smelt, spilt, spelt は smelled, spilled, spelled に置き換わりました。動く方向は一方通行ではないのです。この研究によると、新しい動詞は次々に入ってくるのに、過去形全体に占める不規則形の割合はほぼ一定のままでした。

さらに、Google ブックスの膨大な本を分析した2011年の研究でも、

  • light(lit)と wake(woke)は、1800年ごろにはほぼ規則形だったのに、その後また不規則形に戻った
  • sneak の過去形 snuck が sneaked を追い上げていて、英語を話す人の約1%が、毎年 sneaked から snuck に乗りかえている
  • burned が burnt を追い出す動きは、まずアメリカで始まった

と報告されています。

2017年の研究では、こうした変化の一部は「偶然のゆらぎ」でも説明でき、そのゆらぎはめったに使わない単語ほど大きいことが示されました。一方で、似た音の動詞(韻のパターン)の増減に後押しされ、不規則形が「選ばれた」とみられる動詞もありました。

04英語学習者への実用ポイント

この研究は、不規則動詞の暗記にもヒントをくれます。

05まとめ

不規則動詞は「覚えにくい例外」ではなく、1000年以上の使用頻度の“ふるい”を生き残ったエリートです。よく使うからこそ、形が崩れずに残ってきました。

wed の予言とアメリカ英語のデータが食い違ったように、ことばの変化は一方通行ではありません。snuck のように勢いを増す不規則形を見つけたら、それは進化中の英語の“現場”です。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerA team at Harvard University traced 177 irregular verbs from Old English to the present day. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

A team at Harvard University traced 177 irregular verbs from Old English to the present day. In Middle English, 145 of them were still irregular, and today only 98 are. The team found a clear pattern.

Verbs that people use often, such as "be," "have" and "go," have kept their old forms for more than a thousand years. Rare verbs, on the other hand, switched to the regular "-ed" ending much sooner.

A verb used 100 times less often changes about 10 times faster. The researchers even named the next verb likely to change. It was "wed." But a later study of American English found that "wedded" was actually losing to "wed." Language change can go in both directions.

119 words ・ CEFR B1

和訳を見る

ハーバード大学のチームは、177個の不規則動詞を古英語から現代までたどった。中英語の時代にはそのうち145個がまだ不規則で、今では98個だけが不規則だ。チームははっきりしたパターンを見つけた。

「be」「have」「go」のように人々がよく使う動詞は、1000年以上も昔の形を保ってきた。一方、めったに使われない動詞は、ずっと早く規則的な「-ed」の語尾に切り替わった。

使われる回数が100分の1の動詞は、およそ10倍速く変わる。研究者たちは、次に変わりそうな動詞まで名指しした。それは「wed」だった。しかし、アメリカ英語を調べたその後の研究では、実は「wedded」が「wed」に負けつつあることがわかった。言葉の変化は両方向に進みうるのだ。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the main idea of the passage?

Q2. According to the passage, how much faster does a verb used 100 times less often become regular?

Q3. What does the later study about "wed" show?

重要単語

  • irregularB1
    形容詞不規則な"Swim" is an irregular verb, so its past tense is "swam." ir-(否定)+regular(規則的な)。irregular verb は「不規則動詞」。
  • regularizeC1
    動詞規則化する、規則的にするOver the centuries, English speakers regularized the verb "help." regular+-ize(~にする)。名詞は regularization。
  • frequencyB2
    名詞頻度Verbs with a high frequency tend to keep their old forms. high-frequency words「高頻度語」。形容詞 frequent、副詞 frequently。
  • half-lifeC1
    名詞半減期The half-life of a rare irregular verb is only a few hundred years. 本来は放射性物質の量が半分になるまでの時間。比喩的にも使う。
  • proportionalC1
    形容詞比例したThe cost is proportional to the size of the room. be proportional to ~「~に比例する」。数学・理科の長文で頻出。
  • corpusC1
    名詞コーパス(大量の文章データ)The team counted verbs in a corpus of 17.9 million words. 複数形は corpora。言語研究に使う実際の文章の巨大データベース。
  • exceptionB1
    名詞例外Most verbs follow the rule, but "go" is an exception. except(~を除いて)の名詞形。with the exception of ~「~を除いて」。

動画でもっと知る

英語の不規則動詞は1200年かけて“絶滅”が進んでいた。古英語の177個のうち今も不規則なのは98個。使う回数がほかの動詞の100分の1なら、規則動詞に変わる速さは10倍。次に消える候補は wed…と思いきや、アメリカ英語では逆に過去形 wed が wedded を押しのけていた。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Lieberman, Michel, Jackson, Tang & Nowak (2007) Quantifying the evolutionary dynamics of language, Naturedoi.org
  2. Michel et al. (2011) Quantitative Analysis of Culture Using Millions of Digitized Books, Sciencedoi.org
  3. Cuskley et al. (2014) Internal and External Dynamics in Language: Evidence from Verb Regularity in a Historical Corpus of English, PLOS ONEdoi.org
  4. Newberry, Ahern, Clark & Plotkin (2017) Detecting evolutionary forces in language change, Naturedoi.org

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