語学・英語学習ホント

「delve」が論文で急増中。ChatGPTが“英語の単語選び”を変え始めていた

「delve」が論文で急増中。ChatGPTが“英語の単語選び”を変え始めていた

読む前に予想してみよう!

ChatGPTが登場したあと、医学論文で「delve」などの単語の使用が増えた

研究カード(どんな研究?)
対象
医学・生命科学などの論文要旨
規模
1,500万本以上(PubMedほか)
研究の種類
大規模テキスト分析(観察研究)
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

ChatGPT登場後、論文にdelveやunderscoreなど「AIが好む単語」が急増。眼科論文の研究では英語が母語でない国の研究者ほど増え方が大きく、文章の均一化も懸念される。

ひとことで言うとAIがよく使う英単語が、人間の書く論文にもどんどん増えているんだって!

もくじ
  1. 1500万本の論文要旨を調べたら…
  2. 実は「AI以前」から増え始めていた?
  3. 英語が母語でない人ほど増えた
  4. まとめ

delve(デルヴ)という英単語、知っていますか? 「(問題などを)掘り下げる」という意味で、*delve into the history*(歴史を掘り下げる)のように使います。

少し硬めで、日常会話ではあまり聞かない単語です。ところがこの delve が、ここ数年、英語の論文で爆発的に増えているのです。

犯人として名前が挙がっているのは、ChatGPTなどの生成AI。AIが書いたり手直ししたりした文章には、delve のような「AIが好む単語」が混ざりやすいことがわかってきました。いま、AIが人間の英語の単語選びを変え始めているのかもしれません。

011500万本の論文要旨を調べたら…

ポイントは「病気の名前」のような内容の単語ではなく、文章の雰囲気を作るスタイルの単語が増えたこと。コロナ禍では「感染」や「ワクチン」のような単語が増えましたが、今回増えたのは delve, underscore(強調する), showcasing(見せている)のような、どんな分野の論文にも使える言い回しでした。

02実は「AI以前」から増え始めていた?

医学論文を調べた別の研究もあります。2025年に発表されたマツイ(Matsui)さんの研究では、過去の研究から「AIが好む」とされた135語を集め、2000〜2024年のPubMedで使われ方を追いました。

その結果、135語のうち103語が2024年に目立って増加。トップは delve, underscore, primarily(主に), meticulous(細心の), boast(誇る)でした。

ただし、ここにどんでん返しが。これらの単語の多くは、ChatGPT公開(2022年末)より前の2020年ごろから増え始めていたのです。研究者は、AIがゼロから流行を作ったというより、もともとあった流れをAIが一気に加速させた可能性があると考えています。

もとからあった小さな流れを、AIが一気に太くした…?
もとからあった小さな流れを、AIが一気に太くした…?

03英語が母語でない人ほど増えた

2026年に眼科の論文1万5000本あまりを調べた研究では、AIが好む単語の出現率が、ChatGPT以前の100万語あたり320回から、以後は668回へと約2.1倍に。しかもその増え方は、英語を母語としない国の研究者のほうが大きかったのです。

英語が第二言語の研究者にとって、AIは英文を整えてくれる心強い味方です。ただしこの研究では、そうした研究者の論文数や一流誌への掲載が増えたわけではありませんでした。

さらに心配な点もあります。2026年に『Nature Human Behaviour』誌に載った研究では、7つのデータセット・88万本以上の文章を分析し、AIで文章を手直しすると、内容は残るものの、文章の複雑さのばらつきが21〜50%も小さくなることが示されました。みんなの文章が同じような顔つきになっていく、というわけです。

04まとめ

ことばは、もともと人から人へうつって変わっていくものです。そこにいま、AIという新しい「話し手」が加わりました。

delve を見かけたら、「お、AIっぽい単語だ」と気づける人は、英語の読み手としても一歩上手。AIは便利な道具ですが、自分の言葉を選ぶのは自分——そんな意識が、これからの英語学習ではますます大切になりそうです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerSince ChatGPT appeared at the end of 2022, certain English words have suddenly become popular in scientific… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Since ChatGPT appeared at the end of 2022, certain English words have suddenly become popular in scientific writing. Researchers analyzed more than 15 million medical and biological abstracts and found sharp increases in style words such as "delve," "underscore" and "showcasing." Based on these changes, they estimated that at least 13.5 percent of abstracts published in 2024 had been processed by AI.

Another study found that many of these words had started rising around 2020, so AI may have sped up an existing trend. A study of eye-research papers showed that writers from countries where English is not the main language adopted these words faster. Experts worry that relying on AI could make everyone's writing sound the same.

118 words ・ CEFR B1

和訳を見る

ChatGPTが2022年末に登場して以来、特定の英単語が科学的な文章で急に流行するようになった。研究者たちは1500万本以上の医学・生物学の要旨を分析し、「delve」「underscore」「showcasing」のようなスタイルの単語が急激に増えていることを発見した。こうした変化をもとに、彼らは2024年に発表された要旨の少なくとも13.5%がAIで処理されていたと推定した。

別の研究では、これらの単語の多くが2020年ごろから増え始めていたことがわかり、AIはもともとあった流れを加速させたのかもしれない。眼科の論文の研究では、英語が主要な言語でない国の書き手のほうが、これらの単語をより速く取り入れていたことが示された。専門家たちは、AIに頼ることで、みんなの文章が同じように聞こえるようになるのではと心配している。

4択リーディングクイズ

Q1. What kind of words increased in scientific writing?

Q2. What did another study find about these words?

Q3. What is the experts' concern?

重要単語

  • delveC1
    動詞(into ~)~を掘り下げる、詳しく調べるThis report delves into the causes of the problem. 元は「(土を)掘る」。AIが好む語として有名に。会話なら look into のほうが自然。
  • underscoreC1
    動詞強調する、はっきり示すThe results underscore the need for more research. under(下に)+score(線を引く)=下線を引く→強調する。emphasize, highlight と同義。
  • meticulousC1
    形容詞細心の、きわめて注意深いShe kept meticulous notes during the experiment. careful の強い版。AIっぽさを避けたいときは careful, thorough で言いかえ可。
  • frequencyB2
    名詞頻度;周波数The frequency of the word rose sharply in 2024. 形容詞 frequent、副詞 frequently。high-frequency words「高頻度語」は単語学習の基本用語。
  • homogenizeC1
    動詞均一化するAI tools may homogenize the way people write. homo-(同じ)+genus(種類)。牛乳の「ホモ(均質化)」と同じ語。反対の概念は diversity。
  • amplifyC1
    動詞増幅する、強めるAI may have amplified an existing trend. amplifier は音を大きくする「アンプ」。amplify the effect「効果を強める」。
  • corpusC1
    名詞コーパス(大量の文章データ)Researchers analyzed a large corpus of scientific abstracts. 複数形は corpora。辞書づくりや言語研究で使う、実際の言葉の巨大データベース。
英語の論文で「delve(掘り下げる)」が急増中らしい。有力な容疑者はChatGPT。1500万本以上の要旨を調べた研究では、2024年の要旨の少なくとも13.5%がAIの手を借りていたと推定。英語の流行語をAIが作る時代に。

押すと「マジかリスト」に保存されます

出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Kobak et al. (2025) Delving into LLM-assisted writing in biomedical publications through excess vocabulary, Science Advancesdoi.org
  2. Matsui (2025) Delving Into PubMed Records: How AI-Influenced Vocabulary has Transformed Medical Writing since ChatGPT, Perspectives on Medical Educationdoi.org
  3. Berni et al. (2026) AI Writing Vocabulary in Ophthalmology: Faster Non-Native Adoption, Unchanged Outcomes, American Journal of Ophthalmologydoi.org
  4. Sourati et al. (2026) The shrinking landscape of linguistic diversity in the age of large language models, Nature Human Behaviourdoi.org