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世界でいちばん話されている言語は? 母語なら中国語の官話、母語でない人も入れると英語

世界でいちばん話されている言語は? 母語なら中国語の官話、母語でない人も入れると英語

読む前に予想してみよう!

母語として話す人の数で比べると、英語が世界1位だ

研究カード(どんな研究?)
対象
世界の言語の話者数の推計(エスノローグ)
規模
約7,170言語の目録、上位200言語のリスト(2026年版)
研究の種類
国勢調査・文献・現地の協力者の報告などをまとめた推計
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

言語の目録エスノローグによると、母語として話す人がいちばん多いのは中国語の官話(約9億9,000万人)。母語以外で話す人まで入れると英語が1位(約15億人)。この2つの数字から計算すると、英語を話す人のおよそ4人に3人は英語が母語ではない。「中国語」を1つの言語と数えるか、いくつもの言語に分けるかでも、ランキングの形が変わる。

ひとことで言うと1位は数え方しだい。母語なら中国語、母語以外の人も数えると英語!

もくじ
  1. 母語で数えるか、話す人全員で数えるか
  2. 「中国語」は1つの言語?
  3. 2026年版のランキングで、日本語は13位
  4. 7,170の言語、話し手は一部に集中
  5. どんでん返し:話者数は「推計」で、資料によって動く
  6. まとめ
  7. もっと知りたい人へ
  8. よくある質問

「世界でいちばん話されている言語は?」と聞かれたら、何と答えますか。

英語と答える人も、中国語と答える人もいるでしょう。実は、どちらも正解になりえます。数え方によって、1位が入れかわるのです。

世界の言語の目録『エスノローグ(Ethnologue)』の解説ページでは、母語として話す人がいちばん多いのは中国語の官話(かんわ。英語で Mandarin Chinese。「中国語」とまとめて呼ばれる言葉の中で最も大きいもの)。一方、母語以外で話す人まで入れると、英語が1位です。

01母語で数えるか、話す人全員で数えるか

エスノローグは、言語の調査や支援を行う団体 SIL Global が作っている世界の言語の目録で、言語ごとの話し手の数の推計も載せています。その解説ページのグラフは、上位4言語を次のように並べています。

このグラフの英語の数字を比べてみましょう。全体が15億2,800万人で、母語の人は3億9,000万人。差の約11億4,000万人は、英語を第二言語、第三言語などとして話す人です。この2つの数字から計算すると、英語を話す人のおよそ4人に3人は、英語が母語ではないことになります(エスノローグ自身がこの割合を書いているわけではありません)。どのくらい話せれば「話し手」に数えるのかの基準も、このページには書かれていません。

エスノローグは、英語がここまで広がった理由を、まずイギリス帝国の植民地支配の影響、のちにアメリカ文化の広がりだと説明しています。英語は母語でない話し手が多く、とくにアフリカをはじめ、ずっと多くの国で使われています。官話は母語の話し手が中心なので、主にアジアの、より少ない国に集中しています。

スペイン語の順位も変わります。母語では2位なのに、全体では4位です。逆にヒンディー語は、母語では4位、全体では3位に上がります。

母語の話し手で数えるか、母語以外の話し手も入れるかで、1位が入れかわる
母語の話し手で数えるか、母語以外の話し手も入れるかで、1位が入れかわる

02「中国語」は1つの言語?

もう一つの問題は、何を「1つの言語」と数えるかです。

エスノローグの解説ページは、官話を「中国語」というマクロ言語の中で最大のものとして数えています。マクロ言語とは、近い関係にあるいくつもの言語を、場合によって1つの言語として扱うためのまとまりです。

世界の言語に3文字の記号をつける国際規格 ISO 639-3 で、「中国語(zho)」に入っている個別の言語は、19あります。官話(cmn)のほか、呉語(wuu。上海などの言葉)、粤語(yue。広東語など)、閩南語(nan)、客家語(hak)、そして漢文(lzh。Literary Chinese)まで入っています。

エスノローグの方法の説明によると、「中国語」がまとめて1つの記号をもらったのは、話しことばどうしでは互いに通じなくても、文字と文学を共有しているからです。どのくらい通じるかについては、/kotoba/language-or-dialect/ で取り上げています。

アラビア語も同じです。ISO 639-3 の「アラビア語(ara)」は、エジプトのアラビア語、モロッコのアラビア語など、多くの個別の言語をまとめたマクロ言語です。エスノローグの2026年版の上位200言語のリストは、マクロ言語ではなく個別の言語で順位をつけています。そのため、標準アラビア語は5位、エジプトのアラビア語は15位と、別々に載っています。リストの注には、マクロ言語で数えれば中国語やアラビア語の項目に複数の言語が入り、リストの形が大きく変わると書かれています。

032026年版のランキングで、日本語は13位

エスノローグの2026年版の上位200言語のリストで、母語以外の話し手も含めた上位15言語は次のとおりです。

  1. 英語 14億9,300万人
  2. 官話(中国語) 11億8,300万人
  3. ヒンディー語 6億1,120万人
  4. スペイン語 5億6,130万人
  5. 標準アラビア語 3億3,490万人
  6. フランス語 3億3,350万人
  7. ベンガル語 2億7,440万人
  8. ポルトガル語 2億6,940万人
  9. インドネシア語 2億5,480万人
  10. ウルドゥー語 2億4,600万人
  11. ロシア語 2億1,030万人
  12. 標準ドイツ語 1億3,340万人
  13. 日本語 1億2,570万人
  14. ナイジェリア・ピジン 1億2,070万人
  15. エジプトのアラビア語 1億1,840万人

日本語は13位。すぐ後ろの14位には、ナイジェリアで広く話されている、英語をもとにしたナイジェリア・ピジンが入っています。

日本語を学ぶ人は、海外にもいます。国際交流基金の2024年度の調査では、海外の143の国・地域の教育機関で日本語を学ぶ人は400万750人で、過去最多でした。ただし、これは学校などの機関で学んでいる人の数で、日本語を話せる人の数とは別のものです。

047,170の言語、話し手は一部に集中

エスノローグは、今使われている言語を7,170と数えています。ところが、話し手の数は言語によって大きく違います。

  • 最も大きい20の言語を母語とする人は、合わせて37億人を超える。言語の数では全体の0.3%なのに、世界の人口のほぼ半分
  • 上位200の言語のどれかを母語とする人は、世界の人々の88%を超える
  • 一方で、全体の約44%の言語は危機にあり、使う人が1,000人に満たないことも多い

ほとんどの言語は話し手が少ないのです(話者数の真ん中の値については /kotoba/population-grammar/、消えていく言語については /kotoba/language-loss-1500/ でも紹介しています)。

05どんでん返し:話者数は「推計」で、資料によって動く

ここまでの数字には、大事な注意があります。

エスノローグ自身が、方法の説明ですべての数字は推計で、国勢調査の数字でさえそうだと書いています。話者数を正確に数えるのは難しいのです。説明によると、資料によって次のような違いがあります。

  • 方言の一部を数に入れていない資料がある
  • ISO 639-3 で別々の言語を、1つにまとめて数えている資料がある
  • その民族の人数を数えていて、実際には言語を話さない人が含まれる場合がある
  • 母語の話し手と母語以外の話し手を分けず、合計しか分からない資料がある

また、エスノローグは古い推計を、今の人口に合わせて機械的に増やすことはしていません。言語の話し手の数は、国の人口と同じ割合で増えたり減ったりするとは限らないからです(ただし、寄せられた資料の中には、そうして増やした数字もありうると断っています)。

そのため、数字は資料や更新の時期によって動きます。英語の話し手全体は、解説ページのグラフ(版の記載なし)では15億2,800万人、2026年版(第29版)のリストでは14億9,300万人です。どちらも約15億人ですが、同じ「英語の話し手」でも3,500万人の差があります。話者数を引用するときは、どの資料の、どの版の、何を数えた数字かを書く必要があるのです。

06まとめ

「世界でいちばん話されている言語」は、母語で数えれば中国語の官話、話す人全員で数えれば英語です。さらに、「中国語」や「アラビア語」を1つに数えるか、いくつもの言語に分けるかでも、ランキングの形は変わります。

次にニュースで「世界〇位の言語」という数字を見たら、それが母語の話し手なのか、全部の話し手なのか、どの年の資料なのかを確かめてみてください。

07もっと知りたい人へ

  • 母語話者(L1 speakers)・第二言語話者(L2 speakers)・話者数(speaker population):Eberhard, D. M., Simons, G. F. & Robinson, A. J. (eds.) (2026) Ethnologue: Languages of the World. 29th edition. SIL Global.(解説ページ What Is The Most Spoken Language? / The Ethnologue 200)
  • マクロ言語(macrolanguage)・個別言語(individual language):ISO 639-3 Registration Authority. Scope of denotation for language identifiers / Code tables (zho, ara).
  • 言語の数え方と話者数の推計方法:Ethnologue (SIL Global). Methodology.
  • 危機言語(endangered languages)と話者数:Simons, G. F. & Lewis, M. P. (2013) The world's languages in crisis: A 20-year update. In Responses to Language Endangerment. John Benjamins.

よくある質問

世界でいちばん話されている言語は何ですか?

数え方で変わります。言語の目録エスノローグでは、母語として話す人なら中国語の官話(約9億9,000万人)が1位です。母語以外で話す人まで入れると、英語(約15億人)が1位になります。

母語として話す人が多い言語のランキングは?

エスノローグの解説ページのグラフでは、①官話(中国語)9億9,000万人、②スペイン語4億8,400万人、③英語3億9,000万人、④ヒンディー語3億4,500万人です。英語は母語の話し手だけなら3位です。

英語を話す人は世界に何人いますか?

約15億人です。エスノローグの解説ページのグラフでは15億2,800万人、2026年版のリストでは14億9,300万人と、資料によって数字が動きます。グラフの数字から計算すると、英語を話す人のおよそ4人に3人は英語が母語ではありません。

日本語は世界で何番目に話されている言語ですか?

13位です。エスノローグの2026年版の上位200言語のリスト(母語以外の話し手も含む)で、日本語は1億2,570万人でした。すぐ後ろの14位はナイジェリア・ピジンです。

「中国語」は1つの言語ではないのですか?

国際規格 ISO 639-3 では、「中国語」は19の個別の言語をまとめたマクロ言語です。官話のほか、呉語(上海などの言葉)、粤語(広東語など)、閩南語、客家語、漢文まで入っています。エスノローグの説明では、話しことばどうしは通じなくても、文字と文学を共有しているためのまとまりです。

世界には言語がいくつありますか?

エスノローグは、今使われている言語を7,170と数えています。最も大きい20の言語を母語とする人だけで世界の人口のほぼ半分になり、一方で全体の約44%の言語は危機にあります。

話者数の数字はどれくらい正確ですか?

すべて推計です。エスノローグ自身が、国勢調査の数字でさえ推計だと書いています。方言を入れるかどうか、民族の人数を数えているかなどで資料ごとに違うため、引用するときは資料と版、何を数えた数字かを書く必要があります。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerAsk a group of friends which language is spoken by the most people, and you may get two different answers. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Ask a group of friends which language is spoken by the most people, and you may get two different answers. Both can be right. Ethnologue, a catalog of the world's languages, shows Mandarin Chinese in first place for native speakers, with about 990 million.

Spanish is second and English is third. When it adds people who use a language as a second or third language, the order changes. English rises to the top with about 1.5 billion speakers.

Do the math, and about three out of four English speakers are not native speakers. Ethnologue links this to the British Empire and, later, the spread of American culture. English is used in 188 countries, compared with 108 for Mandarin.

118 words ・ CEFR B1

和訳を見る

友だちのグループに、いちばん多くの人に話されている言語はどれかと聞くと、2つの違う答えが返ってくるかもしれない。どちらも正しいことがある。世界の言語の目録エスノローグは、母語の話し手では中国語の官話を約9億9,000万人で1位にしている。

スペイン語が2位、英語は3位だ。ある言語を第二、第三の言語として使う人を加えると、順位が変わる。英語が約15億人の話し手でトップに上がる。

計算すると、英語を話す人のおよそ4人に3人は母語話者ではない。エスノローグはこれを、イギリス帝国と、のちのアメリカ文化の広がりに結びつけている。英語は188か国で使われており、官話の108か国と比べて多い。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the main idea of the passage?

Q2. Where is Spanish ranked for native speakers?

Q3. Why does English rise to first place when second-language speakers are added?

重要単語

  • native speakerB1
    名詞母語話者She is a native speaker of Spanish. native は「生まれつきの、その土地の」。native language は「母語」。
  • second languageB1
    名詞第二言語、母語の次に身につけた言語English is a second language for many people in India. 外国語(foreign language)と違い、その国の中で日常的に使う言語を指すことが多い。
  • estimateB2
    名詞推計、見積もりThis number is only an estimate. 動詞は「エスティメイト」と読み、名詞は「エスティメット」に近い。
  • rankB2
    動詞順位をつける、(ある順位に)位置するJapanese ranks 13th on the list. 名詞で「階級、順位」。ranking は「順位表」。
  • widespreadB2
    形容詞広く行きわたったEnglish is widespread in Africa and Asia. wide(広い)+spread(広がる)。widespread use「広く使われていること」。
  • populationB1
    名詞人口、(ある集団の)人数The population of Japan is about 120 million. 「人口が多い」は a large population(many ではない)。
  • censusC1
    名詞国勢調査The government holds a census every five years. 日本の国勢調査も5年ごと。英語ニュースで頻出。
世界でいちばん話されている言語は? 言語の目録エスノローグでは、母語の話し手なら中国語の官話が約9億9,000万人で1位。英語は約3億9,000万人で3位。ところが母語以外で話す人まで数えると、英語が約15億人で1位になる。計算すると、英語を話す人のおよそ4人に3人は英語が母語ではない。

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出典・参考文献(6件)タップで表示
  1. SIL Global / Ethnologue (2026, 29th ed.) What Are The Top 200 Most Spoken Languages? The Ethnologue 200ethnologue.com
  2. SIL Global / Ethnologue, What Is The Most Spoken Language?ethnologue.com
  3. SIL Global / Ethnologue, How Many Languages Are There In The World?ethnologue.com
  4. SIL Global / Ethnologue, Methodologyethnologue.com
  5. ISO 639-3 Registration Authority (SIL International), Code zho: Chinese (macrolanguage)iso639-3.sil.org
  6. 国際交流基金 (2025) 2024年度 海外日本語教育機関調査 結果概要jpf.go.jp
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