この指導案の特色

中教審の審議まとめ(2026年10月5日)で示された「自分の住んでいる地域に関する話題や活動を明確に位置付ける」「小学校外国語科では日本語と英語の語順の違い等への気付きを促す」という方向性を先取りした試案である。次期学習指導要領はまだ告示前であり、本案は審議まとめと資料編のイメージに基づく一つの案にすぎない。音声で十分に慣れ親しんだ表現を、語句を選んで書き写す、例を参考に書く、という段階を丁寧に踏んで書かせ、中学校の「書くこと」と文法指導へつなぐ。
| 次期の方向性 | この指導案での具体化 |
|---|---|
| 自分の住んでいる地域に関する話題や活動を明確に位置付ける P278P281 | 海外の交流校の児童に、町のおすすめの場所とそこでできることを紹介するという目的を単元の最初に共有し、総合的な学習の時間や社会科で調べた地域の情報を英語での紹介に生かす。 |
| 日本語と英語の語順の違い等(文構造)への気付きを促し、中学校の文法指導につなげる P281資料(外⑲)P19資料(外㉖)P26資料(外㊸)P43 | 'You can see many birds.' と「たくさんの鳥を見ることができます」を並べ、色分けした語句カードを並べ替えながら「だれが→する→なにを」の順に気付かせる。文法用語は使わず、色で違いを見えるようにする。 |
| 「読むこと」「書くこと」は音声で十分に慣れ親しんだ上で、段階的に指導する(書き写す→語句を選んで書き写す→例を参考に書く) P277資料(外㉑)P21資料(外㉟)P35資料(外㊸)P43 | 第1〜5時で十分に聞いたり話したりした表現だけを紹介カードに使う。本時は、ワードリストから語句を選んで書き写し、最後の一文だけ例を参考に自分で選んで書く、という順で段階を踏む。 |
| 文を書き写す際には、語と語の区切りに注意する 資料(外㊸)P43 | 四線のワークシートで、語と語の間に指1本分の間をあけることを書く前に全体で確かめ、書いた後に自分で区切りを見直す。 |
| コミュニケーションを行う目的や場面、状況などに応じて、表現等を選んで伝える(外国語の「思考力、判断力、表現力等」のイメージ) 資料(外③)P3資料(外㊸)P43 | 相手が日本に来たことのない同年代の児童であることを意識させ、「相手が楽しめそうなこと」を選んで伝えるよう、紹介する場所やできることを選ぶ場面を設ける。 |
1 単元名・単元の目標
単元名:ようこそ、わたしたちの町へ ~海外の友達におすすめの場所を伝えよう~(全8時間(本時は第6時))
単元の目標:【コミュニケーションの目的・場面・状況】オンライン交流を予定している海外の交流校の児童に「この町に行ってみたい」と思ってもらうために(目的)、町のおすすめの場所とそこでできることを紹介カードと発表で伝える場面で(場面)、日本に来たことがない同年代の相手に、写真やジェスチャーも使って分かりやすく伝える(状況)。【目標】①町にある施設やそこでできることを表す語句や 'We have ~.' 'You can ~.' などの表現の意味や使い方、日本語と英語の語順の違いを理解し、それらを用いて話したり、例を参考に書いたりする技能を身に付ける。②相手に町のよさが伝わるように、おすすめの場所とそこでできることを選んで話したり、紹介カードに書いたりして伝え合う。③町のよさを伝えることに関心をもち、友達との対話を通して伝える内容を見直しながら、相手に伝わるよう工夫して伝え合おうとする。
2 単元の評価規準
| 知識・技能 | 思考・判断・表現 | 主体的に学習に取り組む態度 |
|---|---|---|
| 【知識】'We have ~.' 'You can ~.' などの表現の意味や使い方と、日本語と英語の語順の違いを理解している。【技能】町のおすすめの場所やそこでできることについて、'We have ~.' 'You can ~.' などを用いて話したり、例を参考に、語と語の区切りに注意して書いたりする技能を身に付けている。 | 海外の交流校の児童に町のよさが伝わるように、おすすめの場所とそこでできることを選んで話したり、紹介カードに書いたりして伝え合っている。 | 海外の交流校の児童に町のよさが伝わるように、おすすめの場所とそこでできることを選んで話したり、紹介カードに書いたりして伝え合おうとしている。 |
審議まとめでは、外国語の評価は引き続き5つの領域で行うことが重要とされ、国が示す「内容のまとまりごとの評価規準例」の「内容のまとまり」を5つの領域とする方向と、各学校の単元の目標をそのまま評価規準とする方向が示されている(本体P285、資料編P38(外㊳))。本試案の評価規準は、単元の目標の語尾を変えた形にとどめ、目標と規準を一体で考えられるようにした。「主体的に学習に取り組む態度」は現行制度でも評価する観点であるため置いた。一方、次期は評価規準を設けるのを「知識・技能」「思考・判断・表現」に限り、「学びに向かう力」は個人内評価と「思考・判断・表現」への「◯」の付記で扱う方向である(本体P63、本体P64、本体P69)。また「統合的な理解」「総合的な発揮」は当面それ自体を直接評価せず、単元構想を支えるものとされる(本体P68、資料編P40(外㊵))。単元計画の◎は記録に残す評価、○は指導に生かす評価を表す。
3 単元の指導と評価の計画
| 時 | 主な学習活動 | 評価 |
|---|---|---|
| 1 | 交流校の児童役のALTが作ったビデオレターを見て、単元のゴールを知る。町にある施設(park、library、station、zoo など)の言い方を聞き、写真と結び付ける。 | ○知:施設を表す語句を聞いて分かっているか(行動観察) |
| 2 | 'We have ~.' 'We don't have ~.' を聞いたり言ったりして、町にある物・ない物をクイズで伝え合う。 | ○知:表現を使って、町にある物・ない物を伝え合っているか(行動観察) |
| 3 | 'You can ~.' を聞いて、町のどの場所の説明かを当てる(ALTや教師のスリーヒントクイズ)。できることを表す語句(see、eat、enjoy、play など)に慣れ親しむ。 | ○知:【聞くこと】場所とできることを聞き取っているか(ワークシート) |
| 4 | 自分のおすすめの場所を一つ選び、ペアやグループで伝え合う。友達の紹介を聞いて、よかったところを伝える。音声で慣れ親しんだ語句を、絵と結び付けて読む。 | ○思:相手を意識して場所やできることを選んでいるか(行動観察) |
| 5 | 教師の紹介文と日本語を比べ、語句カードを並べ替えて語順の違いに気付く。友達の紹介を聞いて、交流校の児童が楽しめそうかどうかを考え、伝える内容を見直す。 | ○知:語順の違いに気付いているか(ワークシート・発言) |
| 6(本時) | 語順を確かめ、ペアで話して伝える内容を決めてから、おすすめの場所とできることを紹介カードに書く(語句を選んで書き写す→例を参考に書く)。ペアでカードを読み合う。 | ◎知:【書くこと】例を参考に、語と語の区切りに注意して書いているか(紹介カード) |
| 7 | 友達の紹介カードを読み、「行ってみたい場所」を選んで理由を伝え合う。紹介の仕方(写真の見せ方、ジェスチャー、伝える順序)を工夫し、ALTに試しに紹介してアドバイスをもらう。 | ◎思:【読むこと】音声で十分に慣れ親しんだ表現で書かれたカードから、場所やできることを読み取っているか(ワークシート)/○思:【話すこと[発表]】相手に合わせた工夫(行動観察) |
| 8 | 交流校の児童にオンラインで(難しい場合はビデオレターで)町のおすすめを紹介する。相手からの質問や感想を聞く。単元を振り返る。 | ◎知・思:【話すこと[発表]】町のおすすめの場所とできることを、相手に伝わるよう選んで話しているか(発表の様子・録画)/態(現行制度に基づき発表と振り返りシートで評価する。審議まとめで示された次期の方向では長い期間で見取る) |
4 本時の展開(45分)
本時の目標:海外の交流校の児童に町のよさが伝わるように、おすすめの場所とそこでできることを選び、語順や語と語の区切りに気を付けて、例を参考に紹介カードに書くことができる。
| 過程・時間 | 学習活動 | 指導上の留意点・支援 | 評価 |
|---|---|---|---|
| 導入 5分 | 挨拶をする。教師の Small Talk(自分のお気に入りの場所の紹介)を聞き、場所とできることを聞き取る。何人かの児童が自分のお気に入りの場所を答える。 This is my favorite place, Midori Park. We have a big pond there. You can see many birds. In spring, you can enjoy cherry blossoms. What's your favorite place in our town?これは先生のお気に入りの場所、みどり公園です。大きな池があります。たくさんの鳥を見ることができます。春には桜を楽しめます。みなさんの町のお気に入りの場所はどこですか。 | 写真を見せながら、既習の表現だけを使ってゆっくり話す。話の後で 'What can you see there?' と尋ね、聞き取った内容を確かめる。 | |
| 導入 3分 | 本時のめあてを確かめる。前時に考えた「交流校の友達が楽しめそうなこと」のメモを見直す。 Today, let's write a 'Welcome Card' for your new friends.今日は、新しい友達への『ようこそカード』を書きましょう。 | 単元のゴール(交流校の児童に紹介する)を掲示で確認し、紹介カードは相手が読むものであることを意識させる。 | |
| 展開 8分 | 【支える活動】Small Talk の文 'You can see many birds.' と「たくさんの鳥を見ることができます」を比べ、語句カードを並べ替えて英語の順番を確かめる。'You can play soccer there.' などでも試し、気付いたことを発表する。 Look. 'You can see many birds.' How do we say it in Japanese? ... What's different?見て。'You can see many birds.' 日本語では何と言うかな。…どこが違うかな。 | 日本語と英語の語句カードを、だれが(青)・する(赤)・なにを(緑)で色分けしておく。「英語は『する』が早く出てくる」などの児童の気付きを板書に整理する。文法用語は使わない。 | ○知:語順の違いに気付いているか(発言・並べ替えの様子) |
| 展開 8分 | 【コミュニケーション活動】ペアで自分のおすすめを伝え合う。聞き手は 'Sounds fun!' などと反応し、'What can I see there?' などで一つ質問する。相手の反応を見て、カードに書く内容(どの場所・どんなこと)を決める。 Tell your partner about your favorite place. Listeners, say 'Sounds fun!' and ask one question.お気に入りの場所をペアに伝えよう。聞く人は 'Sounds fun!' と言って、一つ質問しよう。 | 書く前に話すことで、書く内容を音声で確かめる。伝える内容に迷う児童には、前時のメモや写真を見せ、「交流校の友達が一番楽しめそうなのはどれ?」と問いかける。 | ○思:相手が楽しめそうなことを選んで伝えているか(行動観察) |
| 展開 13分 | 紹介カードを書く。①例文を指でなぞりながら教師と一緒に読む。②'We have ___ in our town.' の下線部をワードリストから選んで書き写す。③'You can ___ there.' も選んで書き写す。④最後の一文('It's beautiful.' 'Please come!' など)は、例を参考に自分で選んで書く。書き終えたら、語と語の区切りを自分で確かめる。 Leave a space between words, like this. One finger space!語と語の間はこのくらいあけようね。指1本分! | 四線のワークシートを使う。語と語の間には「指1本分」をあけることを、書き始める前に実物投影機で示す。ワードリストにない語を使いたい児童には、教師が四線に書いて見せ、それを書き写させる。早く終わった児童は、写真に短い英語の説明('Big pond!' など)を添える。 | ◎知:【書くこと】例を参考に、語と語の区切りに注意して書いているか(紹介カード) |
| まとめ 8分 | ペアでカードを交換し、声に出して読み合う。相手のカードを読んで「行ってみたい」と思ったところを伝える。振り返りシートに、語順について気付いたことと、相手に伝えるために工夫したことを書く。 Read your partner's card. Which place do you want to visit?ペアのカードを読もう。どの場所に行ってみたいかな。 | まず書いた本人が読み、次に相手が読む順にして、音声で慣れ親しんだ表現の意味を考えながら読めるようにする。振り返りの記述から、次時に全体で取り上げる気付きを選ぶ。 | ○思:相手のカードを読んで内容を捉えているか(行動観察) |
5 板書計画・準備物
- めあて:交流校の友達に町のよさが伝わる『ようこそカード』を書こう
- Small Talk の写真とキーワード(Midori Park/pond/birds/cherry blossoms)
- 語順の比較:You(だれが)can see(する)many birds(なにを)./たくさんの鳥を(なにを)見ることができます(する)
- 児童の気付き:英語は「する」が早く出てくる
- カードの型:We have ___ in our town. / You can ___ there. / It's ___. / Please come!
- 書くときのポイント:語と語の間は指1本分
- ふり返りの視点:語順で気付いたこと・相手のために工夫したこと
- 町の施設やおすすめの場所の写真(教師が撮影。人の顔が写らないものを選ぶ)
- 語句カード(だれが・する・なにを で色分けしたもの)
- 四線の紹介カード用ワークシートとワードリスト(施設・できること・様子を表す語句。第1〜5時で扱った語句に限る)
- 単元導入用のビデオレター(実際の交流校がない場合は、ALTが交流校の児童役になって作成)
- 実物投影機
- 振り返りシート
6 授業後のふり返り
紹介カードを回収し、語と語の区切り、語順、文字の形の3点で書き方を確かめる。区切りが詰まっている児童が多ければ、次時の始めに「区切りクイズ」(区切りのない文を見て、区切る場所を当てる)を行う。カードは第7時に友達同士で読み合う教材として使うため、写真を添えて掲示できる形にしておく。振り返りで出た語順の気付きは学級の掲示物として残し、中学校への引き継ぎ資料(どんな表現に慣れ親しみ、どこまで書いたか)にも記録する。
※ この指導案は、次期学習指導要領の告示前に、審議まとめ(2026年10月5日)の方向性をふまえて原田英語.comが作成した試案です。評価規準は現行の3観点で書いています。