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指導案(試案)・中学校第2学年

意見文を書く ~反対の立場を想定して、根拠を吟味しよう~

国語/全6時間(本時は第3時)/本時 50分

もくじ(7項目)
  1. この指導案の特色
  2. 1 単元名・単元の目標
  3. 2 単元の評価規準
  4. 3 単元の指導と評価の計画
  5. 4 本時の展開(50分)
  6. 5 板書計画・準備物
  7. 6 授業後のふり返り

この指導案の特色

意見文を書く ~反対の立場を想定して、根拠を吟味しよう~

中教審の審議まとめ(2026年10月5日)で示された、話や文章を「話や文章の機能」(仮称)で捉え直し、「論説を読む」「意見文を書く」「提案のスピーチをする」を「考えや主張の理由付けと吟味」(仮称)の学習として関連付けるという方向性と、情報の信頼性や妥当性を見極める力を系統的に育てるという方向性を先取りした試案である。次期学習指導要領はまだ告示前であり、本案は審議まとめの方向性をふまえた一つの例である。現行の第2学年「書くこと」の言語活動例(多様な考えができる事柄について意見を述べる)を中心に、前の単元で読んだ論説の学びを生かし、反対の立場を想定しながら根拠の適切さを吟味する力を育てる。構成を考える本時では生成AIを使わず、生徒自身が考えることを大切にする。

次期の方向性この指導案での具体化
話や文章を、社会の中で果たす主な機能(「話や文章の機能」(仮称))で捉え、領域の違う学習を関連付ける(例:「論説を読む」「意見文を書く」「提案のスピーチをする」を、いずれも「考えや主張の理由付けと吟味」(仮称)に関わる学習として関連付けて配置する) P134P139資料(国⑥)P130前の単元で読んだ論説(主張と根拠の関係を学んだ教材)を第1時に読み返し、そこで学んだ「主張・根拠・反論への応答」の組み立てを、意見文を書くときの手がかりにする。単元の最後に、次に予定している提案スピーチの単元も同じ機能の学習であることを確かめる。
中学校第2学年相当を例にした事項のイメージとして、「意見を述べる文章」では「自分の意見と根拠、異なる立場との違いが明確になるように論理的な構成や展開を工夫する」ことが示されている(現時点のイメージで、告示文を整理する中で検討するとされている) 資料(国⑧-1)P132資料(国⑧-2)P133本時で、ペアの相手に「反論役」を頼み、出された反論を構成メモに貼り付けて、自分の意見との違いをはっきりさせたうえで、どう答えるかを段落の組み立てに位置付ける。
各領域の学習過程を簡潔に再整理し、「書くこと」は「考えの形成/表現・推敲」とする(学習過程を細分化せず、ひとまとまりの思考・判断・表現を深めていく姿として示す) P134資料(国⑦)P131単元を「考えの形成」(題材・材料・構成:第1〜3時)と「表現・推敲」(第4〜5時)の大きく二つに分ける。本時は、構成を考えながら根拠を選び直すなど、行きつ戻りつしてよいことを伝える。
情報の扱い方は、性質の異なる二つの力(情報と情報との関係を吟味し整理する力、情報の信頼性や妥当性を見極める力)を発達段階に応じて系統的に示す P136第2時に集めた材料に、出典・発行年・だれの考えかを書き添えさせる。本時はそれをもとに、根拠として使える材料かを「事実か意見か」「出どころは確かか」「主張とつながっているか」の3点で確かめる。
生成AIを含むICTは、教育活動のねらいに合致する場合に活用することを原則とし、生成された出力も比較・吟味の対象とする。構成を検討したり情報を選択したりする活動など、単元の目標に直結する場面でAIを不用意に使うことには慎重であるべきとされている P140第1時に、教師が事前に生成AIで作り、内容を確かめたうえで根拠の弱い部分を残した意見文の例を「吟味する材料」として示す。本時(構成を考える)と記述・推敲の時間は生成AIを使わず、生徒自身が考える。

1 単元名・単元の目標

単元名:意見文を書く ~反対の立場を想定して、根拠を吟味しよう~(全6時間(本時は第3時))

単元の目標:【言語活動】学級新聞の「意見のひろば」に載せる意見文(600〜800字)を書く。【目標】①意見と根拠、具体と抽象など情報と情報との関係について理解する。②「書くこと」において、伝えたいことが分かりやすく伝わるように段落相互の関係などを明確にして構成や展開を工夫したり、根拠の適切さを考えて説明や具体例を加えたりして、自分の考えが伝わる文章になるように工夫する。③言葉がもつ価値に気付くとともに、読み手の立場に立って、反対の立場を想定した意見文を粘り強く書こうとする。

2 単元の評価規準

知識・技能思考・判断・表現主体的に学習に取り組む態度
意見と根拠、具体と抽象など情報と情報との関係について理解している。「書くこと」において、伝えたいことが分かりやすく伝わるように、段落相互の関係などを明確にし、文章の構成や展開を工夫している。「書くこと」において、根拠の適切さを考えて説明や具体例を加えるなど、自分の考えが伝わる文章になるように工夫している。粘り強く根拠の適切さを考え、学習の見通しをもって、反対の立場を想定した意見文を書こうとしている。
次期で評価はどうなる?

評価規準は現行の3観点(知識・技能/思考・判断・表現/主体的に学習に取り組む態度)で書いた。審議まとめでは、国語の「思考力、判断力、表現力等」は学習の途中で形成的評価を行い、単元の学習の成果として書いた文章などで事項の要素が総合的に発揮されているかを総括的に評価すること、「運用しながら深める」知識は複数の単元での学習を経た後に総括的評価を行う場面を設けることなどが考えられるとされている(本体P142)。そこで本試案では、記録に残す評価(◎)を第5時に完成した意見文と推敲の記録に絞り、意見と根拠の関係の知識は、次の提案スピーチの単元でも使えているかを見たうえで総括する扱いとした。また、評価規準は単元の目標をそのまま用いる方向(本体P69)、「学びに向かう力」は総合所見欄での個人内評価と「思考・判断・表現」への「◯」の付記を組み合わせる方向が示されている(本体P63〜P64)。現行制度で評価する「主体的に学習に取り組む態度」は、推敲で助言を生かして書き直す姿を中心に見取る。単元計画の◎は記録に残す評価、○は指導に生かす評価を表す。

3 単元の指導と評価の計画

時主な学習活動評価
1前の単元で読んだ論説を読み返し、主張・根拠・反論への応答がどう組み立てられているかを確かめる。教師が示す意見文の例(教師が生成AIで作り、内容を確かめたうえで根拠の弱い部分を残したもの)を読み、根拠として弱いところを指摘し合う。単元のゴール(学級新聞「意見のひろば」に載せる意見文を書く)と学習の見通しをもつ。○知:意見と根拠の関係を捉えているか(ワークシート)
2教師が示す題材(例:「学校図書館に漫画をもっと置くべきか」「夏休みの宿題は必要か」)から選ぶか、自分で題材を決める。図書・新聞・統計資料・学級アンケートなどから材料を集め、出典(だれが・いつ・どこで)を書き添えて材料カードにする。○思:目的に応じて材料を集め、出典を確かめているか(材料カード)
3(本時)自分の意見と根拠を決め、ペアの「反論役」から反対の立場の質問や反論を受けて、根拠の適切さを吟味する。反論への答え方を決め、「意見→根拠→予想される反論と答え→まとめ」の構成メモを作る。○思:反対の立場を想定し、根拠の適切さを考えて構成を考えているか(構成メモ・行動観察)
4構成メモをもとに意見文を書く。反対意見にふれる段落では、「確かに〜。しかし〜。」などの書き方を、例を参考にしながら自分の言葉で使う。○思:構成メモを生かし、段落相互の関係を明確にして書いているか(下書き)
5観点(根拠の適切さ・反対の立場への応答・段落のつながり)を決めて読み合い、助言をもとに推敲して完成させる。直した箇所とその理由を推敲の記録に書く。◎知・思:【書くこと】意見と根拠の関係を明確にし、根拠の適切さを考えて書いているか(完成した意見文)/◎態:助言をふまえて粘り強く文章を整えようとしているか(推敲の記録。現行制度に基づく評価。審議まとめで示された次期の方向では、「学びに向かう力」は長い期間を通して見取る)
6完成した意見文を学級新聞の形にまとめて読み合い、共感した点や疑問を付箋で伝え合う。論説を読む・意見文を書く・提案のスピーチをするが、どれも「考えや主張を根拠と結び付けて示す」学習であることを確かめ、次の単元への見通しをもつ。○知:意見と根拠の関係について学んだことを、次の学習に生かす形で振り返っているか(振り返りシート)

4 本時の展開(50分)

本時の目標:反対の立場の意見を想定し、自分の根拠が適切かどうかを吟味しながら、意見と根拠、予想される反論への答えの関係がはっきりした構成メモを作ることができる。

過程・時間学習活動指導上の留意点・支援評価
導入
5分
前時の材料カードを見返す。第1時の意見文の例で「反対の立場の人なら納得しない」と指摘した点を思い出し、本時のめあてを確かめる。
主な発問:第1時の例文を読んで、反対の立場の人はどこで「でも…」と言いたくなりましたか。
第1時に出た指摘を板書の端に残しておき、本時の活動とのつながりを示す。
展開
8分
自分の意見(賛成・反対など)を一文で書き、それを支える材料カードを2〜3枚選んで、なぜその材料が根拠になるのかを書き添える(個人)。
主な発問:あなたの意見を一文で書きましょう。その意見を支える材料はどれですか。なぜその材料から、その意見が言えるのですか。
根拠は「事実(数字・出来事など)」と「理由づけ(だから〜と言える)」を分けて書けるよう、ワークシートの欄を分けておく。意見が決まらない生徒には、両方の立場の材料を並べ、どちらの材料のほうが説得力があるかから考えさせる。
展開
12分
【反論役ペア】ペアの相手に自分の意見と根拠を説明し、相手は反対の立場から質問や反論を二つ以上出す(3分ずつ交代)。出された質問や反論は、相手に付箋に書いてもらい、自分のワークシートに貼る。
主な発問:相手と反対の立場の人になったつもりで、「その根拠で、本当にそう言えるの?」と思うところを質問しましょう。
質問の例(「その数字は、いつ、だれが調べたものですか」「ほかの理由は考えられませんか」「〜の立場の人にとってはどうですか」)をカードで示す。相手を言い負かすのではなく、互いの文章をよくするための協力であることを最初に確認する。○思:反対の立場からの質問を受け止め、根拠を見直そうとしているか(行動観察)
展開
12分
出された反論をもとに根拠を吟味する。①根拠を「事実か意見か」「出どころは確かか」「主張とつながっているか」の3点で確かめ、弱い根拠は差し替える。②反論の中から一つを選び、どう答えるか(一部を認めたうえで別の根拠を示す、条件を付ける など)を決める。③「意見→根拠→予想される反論と答え→まとめ」の順に、段落ごとの構成メモを作る。
主な発問:付箋の反論の中で、いちばん手ごわいものはどれですか。それに答えられる材料はありますか。
構成メモの型を示すが、反論への答えを先に置くなど、順序の入れ替えも認める。手が止まった生徒には、材料カードを机の上で並べ替えて段落を作る方法を個別に示す。生成AIは使わず、自分で考えることを確認する。○思:反対の立場を想定し、根拠の適切さを考えて構成を考えているか(構成メモ)
展開
6分
2〜3人の構成メモを大型提示装置で紹介し、反論への答え方の工夫を全体で確かめる。
主な発問:この人は、反論にどう答えようとしていますか。読み手が納得しやすいのはなぜでしょう。
反論を受けて根拠を差し替えた例を意図的に取り上げ、「根拠を見直すことも、書くことの大事な一部である」と価値付ける。
まとめ
7分
構成メモを見直して必要なら直す。振り返りシートに「反論を聞いて変えたところと、その理由」を書き、次時に意見文を書く見通しをもつ。
主な発問:反論を聞いて、構成メモのどこを変えましたか。なぜ変えたのですか。
変えたところがない生徒には、変えなかった理由(その根拠が反論に耐えられると考えた理由)を書くよう促す。

5 板書計画・準備物

板書
  • めあて:反対の立場を想定して根拠を吟味し、構成メモを作ろう
  • 第1時の例文で出た指摘:「その数字はどこから?」「それは感想では?」
  • 根拠を確かめる3つの観点:事実か意見か/出どころは確かか/主張とつながっているか
  • 質問・反論の出し方の例:いつ・だれが調べた?/ほかの理由は?/〜の立場の人にとっては?
  • 反論への答え方:一部を認めて別の根拠を示す/条件を付ける/根拠を差し替える
  • 構成メモの型:意見 → 根拠 → 予想される反論と答え → まとめ
  • 「考えや主張の理由付けと吟味」(仮称):論説を読む・意見文を書く・提案のスピーチをする
教材・準備物
  • 材料カード(第2時に作成。出典を書き添えたもの)
  • ワークシート(意見・根拠の欄、反論を貼る欄、構成メモの欄)
  • 付箋
  • 質問・反論の出し方の例カード
  • 第1時の意見文の例(教師が生成AIで作り、内容を確かめたうえで根拠の弱い部分を残したもの)
  • 大型提示装置(実物投影機または端末の画面共有)
  • 振り返りシート

6 授業後のふり返り

構成メモと付箋から、①反論を受けても根拠を見直さなかった生徒、②反論に答える段落をどこに置くかで迷っている生徒、③根拠の出どころが確かめられていない生徒を把握し、第4時の記述の始めに個別に声をかける。反論を受けて根拠を差し替えた例は、本人の了解を得て次時にも紹介する。本時の反論役のやり取りは、次の提案スピーチの単元での質疑応答にもつながるので、うまくいった質問の仕方を記録しておく。第1時で生成AIの例文を吟味した経験が本時の根拠の見直しに生きていたかもふり返り、例文の示し方の改善に生かす。

※ この指導案は、次期学習指導要領の告示前に、審議まとめ(2026年10月5日)の方向性をふまえて原田英語.comが作成した試案です。評価規準は現行の3観点で書いています。