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社会・地理歴史・公民の授業アイデア・高校

アルバイトのトラブルを「原理」で考える

細かい制度を覚える前に、どんな原理がぶつかっているかを見つけ、利益を比べて判断します。

高1(公共)1単位時間(50分)思考・判断・表現・知識及び技能(概念の理解)
もくじ(6項目)
  1. 次期学習指導要領とのつながり
  2. 準備するもの
  3. 手順
  4. 評価(見取り)のポイント
  5. うまくいくコツ・アレンジ
  6. ほかのアイデア

次期学習指導要領とのつながり

アルバイトのトラブルを「原理」で考える
「雇用と労働問題(職業選択を含む)」基本的な原理に焦点化した利益衡量社会的事象に関する概念の理解

審議まとめは、「公共」のB・Cで扱う13の事柄や課題を10にしぼり、たとえば「職業選択」と「雇用と労働問題」を「雇用と労働問題(職業選択を含む)」にまとめる方向を示しています(P152・P154)。また、他者と協働して主題を追究・解決する活動では、詳細な制度や仕組みの解説ではなく、その活動で目指している基本的な原理に焦点化して利益衡量を図るよう示すとしています(P152)。知識についても、個別の用語の暗記ではなく「社会的事象に関する概念」の理解を充実する方向です(P148・P150)。この授業は、高校生に身近なアルバイトの場面から職業選択と労働問題を一続きで考え、ぶつかり合う原理を見つけて利益を比べる時間です。 P148P150P152P154P159

ねらい

アルバイトをめぐる事例について、契約の自由と働く人の保護などの原理がどのように対立しているかを捉え、立場の異なる人々の利益を比べて、働くことに関するルールが必要な理由を説明できる。

準備するもの

  • 先生が作った架空の事例カード2枚(実在の店や企業名は使わない):①職業選択の場面:時給・仕事内容・勤務時間などの書き方がちがう2つのアルバイト募集 ②労働問題の場面:「テスト期間でも週4日入ってほしい。無理なら辞めてもらう」と店長に言われた高校生
  • 「原理カード」(契約の自由/働く人の保護(交渉力の差を補う)/職業選択の自由)
  • 「立場ごとの利益・事情カード」(高校生:勉強と両立したい/店長:お店の経営を続けたい・人手を確保したい/同じ店で働く人:シフトの負担を増やしたくない/保護者:学業と健康を守りたい)
  • 利益衡量シート(だれの・どんな利益か/守られないと何が起きるか/どちらをどの程度優先するか)
  • 働くことに関するきまりの基本(労働条件をはっきり示すこと、労働時間など)が載っている教科書・資料集のページ

手順

  1. 「アルバイトを選ぶとき、何を見る?」と問い、2つの募集カードを比べて、働く前に確かめるべき条件(時給だけでなく、勤務時間・仕事内容・条件の書き方)を出し合います。5分
  2. 事例カード②を読み、一人で「何が問題か」を書きます。続けて、この場面でぶつかっている原理を原理カードから2つ以上選びます。8分
  3. 4人班で役割(高校生・店長・同じ店で働く人・保護者)に分かれ、立場ごとの利益・事情カードも参考にして、利益衡量シートにそれぞれの利益と、守られないと何が起きるかを書きます。そのうえで、原理カードの原理を手掛かりに「だれのどの利益を、どこまで優先すべきか」を班で話し合います。15分
  4. 資料で、労働条件をはっきり示すことや労働時間などのきまりがあることを確かめ、「契約は自由なのに、なぜ法律で最低限のきまりを置くのか」を班で説明します。働く人と雇う側の交渉力の差に着目させます。10分
  5. 全体で共有します。いくつかの班の結論を比べ、先生は「契約の自由」と「働く人の保護」の関係を図で整理します。職業選択の場面で条件を確かめることが、トラブルを防ぐことにもつながる点を確認します。9分
  6. 振り返りとして、「自分がアルバイトや就職をするときに確かめたいこと」を、今日の原理の言葉を使って書きます。3分

評価(見取り)のポイント

【知識・技能】契約の自由と働く人の保護の関係を、交渉力の差という考え方を使って説明しているかを見取ります。【思考・判断・表現】立場の異なる人々の利益を比べ、根拠をもって優先の度合いを判断しているかを、利益衡量シートで見ます。制度の名前を覚えているかではなく、原理を使って説明できるかを重く見ます。単元末には、端末のテストモードでブラウザを使えない状態で、別の事例について根拠を示して書かせる問題も考えられます(P159)。

うまくいくコツ・アレンジ

  • 事例は必ず架空にします。生徒自身のアルバイト経験を話させる場合は、話したくない生徒に配慮します。
  • 法律の条文を先に配ると「答え探し」になりやすいので、原理と利益を考えたあとに資料で確かめる順にします。
  • 「どちらが正しいか」ではなく「どの程度優先するか」を問うと、利益衡量の考え方が身に付きます。

アレンジ

  • 同じ流れで、家族の介護と仕事の両立など、ほかの働き方の事例にも当てはめます。
  • 労働に関わる関係機関の方をゲストに招く場合は、ねらいと進め方を事前に十分打ち合わせ、活動の目的を共有します。

ほかのアイデア

※ 次期学習指導要領は告示前です。審議まとめ(2026年10月5日)の方向性をふまえた原田英語.comのオリジナルのアイデアです。