次期学習指導要領とのつながり

審議まとめは、検索結果の上に出るAIの要約をそのままコピーして、十分に考えていない実態を課題にあげ、集めた情報の信頼性や妥当性を確かめたうえで自分で思考・判断・表現できるよう指導することが重要だとしています(P129)。生成AIを含むICTは授業のねらいに合うときに使うのが原則で、生成された出力も比べて吟味する対象とする一方、文章の全体像をつかむための要約など、その単元で育てたい力に直結する場面ではAIを不用意に使うことに慎重であるべきだとしています(P140)。情報の扱い方でも「情報どうしの関係を整理する力」と「情報の信頼性や妥当性を見極める力」を系統的に示す方向です(P136)。審議まとめが示す方向性をふまえると、要約は必ず生徒が先に自分で行い、そのあとで先生が用意した生成AIの要約を「吟味する相手」として使う、という順番が大切になります。 P129P136P140
論説的な文章を自分で要約したうえで、生成AIの要約を原文と照らし合わせ、主張の取り違えや条件・根拠の抜け落ちを見つけて、情報の確かさを確かめる観点を自分の言葉で説明できる。
準備するもの
- 800〜1000字ほどの論説的な文章(既習の教材、または先生が書いた文章)
- 先生が授業前に生成AIで作り、原文と照らして確認した要約2種類(200字程度・60字程度)。うち1つは、主張の条件(「〜の場合に限り」など)が落ちている、例が主張のように書かれているなど、吟味しがいのあるものを選んでおく
- 比べるワークシート(左:自分の要約/中:AIの要約/右:原文の段落番号と、ずれの説明)
- 「確かめる観点」カード(主張は合っているか/条件や限定が残っているか/例と主張を取りちがえていないか/原文にないことが書かれていないか)
手順
- 本時の流れと約束を確かめます。「今日は、要約は自分の頭でする。生成AIの要約は、あとで点検する相手として出てくる」と伝え、端末は閉じておきます。5分
- 生徒は原文を読み、段落ごとの役割(主張・根拠・具体例など)を余白にメモしてから、150字以内で要約します。先生は、主張と根拠、具体と抽象の関係に気を付けるよう声をかけて回ります。15分
- ペアで要約を読み合い、主張の言い表し方のちがいと、残した根拠のちがいを確かめます。5分
- 先生がAIの要約2種類を配ります。生徒は「確かめる観点」カードを使って原文と照らし合わせ、ずれを見つけてワークシート右欄に段落番号と説明を書きます。最後に、自分の要約にも同じ観点を当てて直します。12分
- 全体で共有します。「条件が落ちると主張がどう変わるか」「短くするほど何が消えやすいか」を話し合い、先生は確かめる観点を板書で整理します。AIの要約のよくできている点も確認します。8分
- 振り返りとして、「検索結果の上にAIの要約が出たとき、自分はまず何を確かめるか」を2文で書きます。5分
評価(見取り)のポイント
【知識・技能】情報の信頼性の確かめ方として、原文と照らし合わせる観点を使えているかを、ワークシート右欄で見取ります。【思考・判断・表現】自分の要約で、主張と根拠の関係を捉えられているかを見ます。この時間の要約は形成的評価に使い、つまずきに応じて次時に指導します。単元のまとめの評価は、端末を使わない場面で別の文章を要約・吟味させるなどして行います。
AIを使うなら
生成AIは生徒には使わせず、先生が授業前に要約を作り、内容を原文で確かめてから印刷して配ります。生徒が自分の要約を書き終えるまで配らないことが大切です(要約する力の育成に直結する場面ではAIを不用意に使わない、P140)。学校や自治体の生成AIの利用ルールに従い、文章を入力するときは著作権や個人情報に配慮します。AIの要約を「間違い探しの教材」で終わらせず、よい点も認めたうえで「使うなら必ず原文で確かめる」という姿勢につなげます。
うまくいくコツ・アレンジ
- AIの要約は、先生が何度か作り直して、吟味しがいのあるずれを含むものを選びます。全部が明らかな誤りだと「AIはだめ」で終わってしまいます。
- 「どこがちがうか」だけでなく「原文の何段落目と比べてそう言えるか」を必ず書かせると、根拠をもって判断する習慣がつきます。
- 生徒自身の要約にも同じ観点を当てさせ、「人の要約もAIの要約も、確かめ方は同じ」と気付かせます。
アレンジ
- 中1・2では、AIの要約の代わりに先生が作った「よくある失敗要約」を使い、主張と例の区別にしぼって吟味させます。
- 高校の「現代の国語」では、同じ話題の報道文2本とその要約を比べ、情報の出どころ(だれが・いつ・何にもとづいて)まで確かめさせます。
ほかのアイデア
※ 次期学習指導要領は告示前です。審議まとめ(2026年10月5日)の方向性をふまえた原田英語.comのオリジナルのアイデアです。