次期学習指導要領とのつながり

審議まとめは、話す・聞く、書く、読むの学習が別々のものと意識され、関連付けて深めにくいという課題をあげています(P129)。そのうえで、話や文章が社会で果たす主な役割を「話や文章の機能」(仮称)として整理し、たとえば「論説を読む」「意見文を書く」「提案のスピーチをする」を「考えや主張の理由付けと吟味」(仮称)でつなぐ指導計画を立てやすくする方向を示しています(P131・P134)。主張と根拠との関係など、すでに学んだ知識を異なる領域で繰り返し使うことで理解が深まるともしています(P139)。この授業は、同じ主張を「意見文」「スピーチ原稿」「ポスター」の3つの形で比べ、形はちがっても主張・理由・根拠という同じ骨組みがあることに子供が自分で気付く時間です。審議まとめが示す方向性をふまえると、このあとの「書く」「話す」単元の入り口として使えます。 P129P131P134P139
主張と理由・根拠の関係に着目して3種類の文章を読み比べ、形がちがっても「考えを理由や事実で支えて、相手の納得を促す」という同じ働きをしていることを、叙述をもとに説明できる。
準備するもの
- 先生が書いた、同じ主張(例:「昼休みに読み聞かせタイムをつくろう」)の3種類の文章:意見文(300字ほど)、全校集会での提案スピーチ原稿、掲示用ポスター
- スピーチ原稿を先生が読み上げて録音した音声
- 3色の色鉛筆(主張=赤、理由=青、根拠となる事実=緑)
- 比べる表のワークシート(行:主張・理由・根拠となる事実・相手への呼びかけ/列:意見文・スピーチ・ポスター)
- 付箋
手順
- 先生がポスターを見せ、「このポスターは、みんなに何をしてほしいと言っているかな」と問います。続けて「同じことを、意見文とスピーチでも伝えてみたよ」と3つを配り、めあて「形のちがう3つの文章を比べて、共通する『しかけ』を見つけよう」を示します。5分
- 一人で、3つの文章に色を付けます(主張=赤、理由=青、根拠となる事実=緑)。スピーチは録音を聞いてから原稿に色を付けます。10分
- ペアで表に整理し、「同じところ」「ちがうところ」を話し合います。同じ:主張は1つで、理由と事実で支えている。ちがう:ポスターは根拠が短い、スピーチは主張を最初と最後に2回言う、意見文には反対の考えへの答えがある、など。10分
- 全体で共有します。先生は3つを横に並べて板書し、子供の言葉で「主張を理由や事実で支えて、相手に『なるほど』と思ってもらう文章」とまとめます。こういう働きをする文章の仲間が、これからの「読む」「書く」「話す」単元でも出てくることを予告します(仮称の用語を子供に覚えさせる必要はありません)。10分
- 自分ならポスターにどんな根拠を1つ足すかを考え、付箋に「足す事実」と「それがなぜ主張を支えるか」を1文ずつ書いて、表のポスターの列に貼ります。7分
- 振り返りとして、「次に意見文を書くとき(スピーチをするとき)に使えそうなこと」を一言書きます。3分
評価(見取り)のポイント
【思考・判断・表現(読むこと)】色分けと表から、主張と理由・根拠の関係を叙述をもとに捉えているかを見取ります。付箋では、足した事実が主張を支える理由を説明できているかを見ます。この時間は単元の導入なので形成的評価にとどめ、つまずいている子供には「この事実があると、なぜ『やろう』と思えるの?」と問い返します。まとめの評価は、後の意見文やスピーチの単元で行います。
うまくいくコツ・アレンジ
- 3つの文章は、主張と根拠をそろえて形だけを変えて作るのがコツです。中身まで変えると、比べる視点がぼやけます。
- ポスターの根拠は、わざと短く弱くしておく(数字だけ、出どころなし)と、「根拠を足す」活動が自然に生まれます。
- このあとの「書くこと」「話すこと」の単元の最初に、この時間の板書の写真を見せて思い出させると、領域をこえて知識を使う流れができます。
アレンジ
- 小3・4では、説明する文章とおすすめを伝えるスピーチの2種類にしぼり、「理由」と「例」の2色で色分けします。
- 中学校では、新聞の投書ふうの文章と社説ふうの文章(どちらも先生が作成)を比べ、根拠の確かさや反対の考えへの答え方まで吟味させます。
ほかのアイデア
※ 次期学習指導要領は告示前です。審議まとめ(2026年10月5日)の方向性をふまえた原田英語.comのオリジナルのアイデアです。