次期学習指導要領とのつながり

審議まとめが示す方向性をふまえると、高校の情報Ⅰは科目の構成を維持しつつ、大学の数理・データサイエンス・AI教育につながるよう、AIやデータサイエンスの内容が加わり、「データ分析とモデル化・シミュレーション」(仮称)などの項目で学ぶ形になります。資料編では、情報Ⅰで「AIの分析や予測は、データやモデルに含める要素の選択によって結果や意味づけが変わること」を理解し、AIを使ってデータの傾向を把握したうえで、条件やデータの扱いを変えて結果の違いを検討する活用の考え方が示されています。この授業は、表計算で自分たちが作った予測と生成AIの分析を比べ、その前提を吟味する1時間です。 P242P255P261資料P153資料P154
同じデータから、使う要素の選び方によって予測の結果が変わることを表計算での分析を通して理解し、生成AIの分析結果も含めて予測の前提と限界を説明できる。
準備するもの
- 先生が自作した架空のデータ(30日分:購買のパンの販売数、最高気温、曜日、行事の有無)。実在の店や個人のデータは使わない
- 表計算ソフトが使える端末
- 先生が事前に同じデータを生成AIに分析させた結果(出力文の写し)
- 「仕入れ提案書」シート(予測値、使った要素、前提、外れたときのリスクを書く欄)と評価の観点を示したルーブリック
手順
- 「明日、購買のパンを何個仕入れる?」と問い、架空のデータを配ります。予想だけを言わせたあと、「根拠のある予測をしよう」と課題を示します。評価の観点もここで共有します。5分
- 半数のグループは、気温と販売数の散布図をつくり、近似直線から明日の気温での予測値を求めます。残りのグループは、曜日や行事の有無ごとに平均を求め、条件別の予測値を出します。12分
- 2種類の予測を黒板に並べ、なぜ結果が違うのかを話し合います。先生は「どの要素を入れて、どの要素を入れなかったか」「データにない要素(天気、テスト期間など)は?」と問い、モデルは要素の選び方で変わることを整理します。12分
- 先生が示す生成AIの分析結果を読み、どの要素を使った結論か、根拠として足りないものは何か、データにない情報を推測で付け加えていないかを、グループで付箋に書き出して検討します。11分
- 一人一人が「仕入れ提案書」に、予測値、使った要素と前提、外れたときのリスクを3〜4行で書きます。数人が発表し、AIの分析を唯一の根拠にしないことの意味を確かめて終わります。10分
評価(見取り)のポイント
提案書で、予測値の根拠となる要素と前提を明示し、予測の限界やリスクに触れているかを、事前に共有したルーブリックで見取ります(思考・判断・表現)。散布図や条件別の平均を目的に合わせて作れているかは知識・技能として見ます。生成AIの分析を前提や要素の観点から具体的に検討しているかは、付箋と話し合いで形成的に見取ります。
AIを使うなら
生成AIの分析は先生が事前に取得した結果を示します。生徒が直接使う場合は、学校のガイドラインに従い、架空のデータだけを入力します。AIの出力は一つの情報として扱い、どんな前提やモデルに基づく結果かを検討したうえで、唯一の根拠にしないことを徹底します。
うまくいくコツ・アレンジ
- 架空データには、気温よりも曜日や行事の影響が大きく出る日をいくつか入れておくと、2つのモデルの違いがはっきりします。
- 「どちらが正しいか」ではなく「どんな前提ならどちらが使えるか」を問うと、議論が深まります。
- 最後の提案書は短くてかまいません。前提とリスクを書くことを必ず求めます。
アレンジ
- 数学Ⅰのデータの分析と関連付け、相関係数を求めてから要素を選ぶ活動に発展できます。
- 情報Ⅱを開講している学校では、同じデータで簡単な予測モデルを構築し、学習データの選び方で結果がどう変わるかを検証する学習につなげられます。
ほかのアイデア
※ 次期学習指導要領は告示前です。審議まとめ(2026年10月5日)の方向性をふまえた原田英語.comのオリジナルのアイデアです。