次期学習指導要領とのつながり

芸術そのものを学ぶ機会芸術の全体像と学ぶ意味多様な芸術や文化
審議まとめは、高校芸術科の学習内容が選んだ科目の専門に寄り、教科として目指す「芸術との関わり」が意識されにくいという課題を挙げています。審議まとめが示す方向性をふまえると、Ⅰを付した科目の導入段階で、小・中学校の学びを踏まえて芸術の全体像を捉えたり、学ぶことの意味や価値を考えたりする機会を設けることが求められます。その際、身近にある芸術、最新の技術と芸術、芸術と社会、個人と芸術の関係などを意識すること、マンガ・ゲーム・演劇・舞踊などを含む多様な芸術や文化に触れることも示されています。この授業は、どの科目の初回にも使える導入として、芸術の広がりを自分たちで整理する時間です。 P212P217P218P219
ねらい
身の回りのさまざまな表現を比べて芸術の広がりを捉え、芸術と生活や社会、自分との関わりについて考え、この科目で芸術とどう関わりたいかを言葉にする。
準備するもの
- 先生が撮影・用意した写真カード12枚程度(駅や病院の案内サイン、和菓子、ゲームの背景画、地域の祭りの太鼓、商品パッケージの文字、演劇の舞台、合唱、焼き物の器、公園の彫刻、マンガのコマ、書の作品、映画のポスターなど。著作物は授業内の提示にとどめる)
- A3用紙またはデジタルの共有ボード
- 付箋
- 振り返りシート(「この科目で芸術とどう関わりたいか」を書く欄。1年の終わりに読み返す欄も付ける)
手順
- 写真カードを配り、一人一人が「芸術だと思う順」に並べます。正解はないこと、直感でよいことを伝えます。5分
- 4人グループで並べ方を見せ合い、「なぜこれを上位にしたか」「なぜ迷ったか」を出し合います。先生は机間指導で「作った人の意図はあるかな」「生活の役に立っているかな」など、判断の観点を言葉にするよう促します。12分
- グループで軸を2本決め(例:「生活の中⇔特別な場」「昔から⇔新しい技術」)、紙や共有ボードにカードを配置して芸術マップをつくります。小・中学校で経験した合唱、版画、書写、鑑賞などもカードに書き足して置きます。13分
- ギャラリーウォークで他グループのマップを見て回り、自分たちになかった軸や配置に付箋でコメントを残します。先生は、選んだ軸の違いから見えてくる芸術の役割(伝える、心を動かす、文化を受け継ぐ、新しい技術と結び付くなど)を全体で整理します。10分
- 振り返りシートに、自分の科目(音楽Ⅰなど)とマップのどこがつながっているか、この1年で芸術とどう関わりたいかを書きます。シートは保管し、科目のまとめの段階で読み返すことを伝えます。10分
評価(見取り)のポイント
導入の時間なので記録に残す評価は行わず、振り返りシートの記述から一人一人の芸術への関心や見方を把握し、以後の題材の指導に生かします。年度末のまとめの探究で同じシートを読み返し、見方の広がりを生徒自身が確かめられるようにします。
うまくいくコツ・アレンジ
- 写真カードは、地域の祭りや伝統工芸など地元のものを1〜2枚入れると、伝統や文化と自分との関わりを考えるきっかけになります。
- 「芸術かどうか」を決着させることが目的ではありません。判断の理由を言葉にすることに時間を使います。
- マップは科目の教室に掲示しておき、題材ごとに「今日の学習はマップのどこ?」と立ち返ると、各科目の学びと芸術そのものの学びがつながります。
アレンジ
- 書道Ⅰでは「街の中の文字」に絞り、看板・パッケージ・手書きの貼り紙などを並べる活動にすると、書の表現性への導入になります。
- 科目のまとめの段階で同じマップを作り直し、1年間で見方がどう変わったかを探究的な学習の出発点にできます。
ほかのアイデア
※ 次期学習指導要領は告示前です。審議まとめ(2026年10月5日)の方向性をふまえた原田英語.comのオリジナルのアイデアです。