次期学習指導要領とのつながり

価値の実現をめぐる葛藤道徳的行為に関する体験的な学習自我関与
審議まとめは、問題解決的な学習で扱う問題の例を2つに整理し、その1つ「価値の実現をめぐる葛藤」を、何がよいかは分かっているのに行動するのが難しい状況としています。具体例には「本当のことを言うべきだが、ごまかしてしまう(正直、誠実)」が挙がっています。また、役割演技などの「道徳的行為に関する体験的な学習」の趣旨と具体例を示しつつ、活動すること自体が目的にならないよう注意しています。感情の認識や調整に関わる学びも体験的な学習の一例として解説で示す方向で、その場合も道徳科の目標に沿うことが前提とされています。この授業は、分かりきったことを言わせて終わらず、自分との関わりで考える構成です。 P308P310P311P316
ねらい
正直でいたいと分かっていても言い出せない気持ちに目を向け、その気持ちとどう向き合えばよいかを、役割演技を通して自分との関わりで考える。
準備するもの
- 教師が自作した短い場面(例:友達から借りた鉛筆削りを壊してしまい、返すときに言い出せない)
- 場面絵または場面を示すスライド1枚
- 「心の天気」カード(はれ・くもり・雨など、気持ちの強さを示す簡単なカード)
- 振り返りカード
手順
- 場面を読み、「この子は、何をすればよいか分かっていると思いますか」と問います。多くの子が「分かっている」と答えることを確かめます。5分
- 「分かっているのに、どうして言えないのだろう」を個人で考え、心の天気カードで気持ちの強さを示しながら出し合います(怒られるのがこわい、嫌われたくない など)。10分
- 役割演技。2人組で「言い出せない子」と「貸した友達」を演じ、言い出し方を2通り試します。演じた後、それぞれの役でどう感じたかを短く話します。12分
- 全体で、言えたときに気持ちがどう変わったか、言われた側はどう受け取ったかを共有します。教師は「正直に言うべき」とまとめず、「言い出しにくい気持ちを支えてくれるものは何だろう」と問います。8分
- 「自分にも似たことがあったか(書ける人だけ)」「言い出せない気持ちのときに、自分を助けてくれるものは何か」を振り返りカードに書きます。10分
評価(見取り)のポイント
発言や振り返りカードから、言い出せない気持ちを自分にも起こりうることとして考えているか(自我関与)、言い出し方や気持ちについて友達の考えに触れて見方を広げているか(多面化・多角化)を見取ります。役割演技の上手さや、「正直に言う」と書いたかどうかでは評価しません。
うまくいくコツ・アレンジ
- 役割演技は即興で短く行い、演じ終わったら役から離れて自分に戻る時間をとります。
- 「自分にも似たことがあったか」は書ける人だけとし、内面を話すことを強制しないようにします。
- 気持ちを扱う活動そのものが目的にならないよう、最後は「正直、誠実」との関わりで振り返ります。
アレンジ
- 中学校では、「役割を果たすべきだが人任せにしてしまう(公共の精神)」の場面に置き換えて扱えます。
- 翌週の2コマ目に、言い出しにくい場面を子供が自分たちで考えて演じ合う時間をとり、複数時間の授業にすることもできます。
ほかのアイデア
※ 次期学習指導要領は告示前です。審議まとめ(2026年10月5日)の方向性をふまえた原田英語.comのオリジナルのアイデアです。