The Lazy Spinner(なまけ者の糸くり女)の挿絵

The Lazy Spinner

なまけ者の糸くり女

  • 📖 767 words
  • ⏱ 約7分
  • YL 5.0+
  • 英検1級・ネイティブ目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ糸つむぎがきらいなおかみさんは、夫に仕事をせかされるたびに、うまい言いのがれを考えます。夫が糸巻きを作る木を切りに森へ行くと、どこからかふしぎな声が聞こえてきて……。

グリム兄弟『子どもと家庭のメルヒェン集(グリム童話)』マーガレット・ハント英訳(1884年)原文。底本: Project Gutenberg eBook #5314

キーワード(14語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • idleなまけ者の
  • spin(糸を)つむぐ
  • wind(糸を)巻き取る
  • reel糸巻き
  • entangledからまった
  • thicketしげみ
  • perish滅びる・死ぬ
  • hew(斧で)切る
  • by-waysわき道
  • loft屋根裏
  • skein糸の束(かせ)
  • kettleなべ・かま
  • tow麻くず
  • odiousいやな・にくらしい

🔊 音声は準備中です。もうしばらくお待ちください。

In a certain village there once lived a man and his wife, and the wife was so idle that she would never work at anything; whatever her husband gave her to spin, she did not get done, and what she did spin she did not wind, but let it all remain entangled in a heap. If the man scolded her, she was always ready with her tongue, and said, "Well, how should I wind it, when I have no reel? Just you go into the forest and get me one." "If that is all," said the man, "then I will go into the forest, and get some wood for making reels." Then the woman was afraid that if he had the wood he would make her a reel of it, and she would have to wind her yarn off, and then begin to spin again. She bethought herself a little, and then a lucky idea occurred to her, and she secretly followed the man into the forest, and when he had climbed into a tree to choose and cut the wood, she crept into the thicket below where he could not see her, and cried, "He who cuts wood for reels shall die, And he who winds, shall perish."

ある村に、ひと組の夫婦が住んでいました。おかみさんは大変ななまけ者で、どんな仕事もしようとしませんでした。夫が糸を紡ぐようにと何を渡しても、いつまでたっても紡ぎ終わりません。紡いだ分も糸巻きに巻き取らず、ごちゃごちゃにからまったまま山にしておきました。夫がしかると、おかみさんはいつでも口が達者で、こう言い返しました。「だって、どうやって巻けっていうのさ。糸巻きがないんだもの。森へ行って、一つ取ってきておくれよ」「そういうことなら」と、夫は言いました。「森へ行って、糸巻きを作る木を取ってこよう」するとおかみさんは怖くなりました。木があれば、夫はそれで糸巻きを作ってしまうでしょう。そうなれば、糸を巻き取って、また糸を紡ぎはじめなければなりません。おかみさんは少し考えているうちに、うまい考えを思いつきました。そして夫のあとをこっそりつけて、森へ行きました。夫が木に登って、切る木を選んでいると、おかみさんは木の下のしげみに、夫から見えないようにもぐりこんで、叫びました。「糸巻きの木を切る者は死ぬ。糸を巻く者は滅びる」

The man listened, laid down his axe for a moment, and began to consider what that could mean. "Hollo," he said at last, "what can that have been; my ears must have been singing, I won't alarm myself for nothing." So he again seized the axe, and began to hew, then again there came a cry from below: "He who cuts wood for reels shall die, And he who winds, shall perish."

夫は耳をすまし、しばらく斧を置いて、今のはどういう意味だろうと考えこみました。「おやおや」と、やがて夫は言いました。「今のはいったい何だったんだろう。きっと耳鳴りだな。なんでもないことでびくびくするのはよそう」そこで夫はまた斧をつかんで、木を切りはじめました。すると、また下から声がしました。「糸巻きの木を切る者は死ぬ。糸を巻く者は滅びる」

He stopped, and felt afraid and alarmed, and pondered over the circumstance. But when a few moments had passed, he took heart again, and a third time he stretched out his hand for the axe, and began to cut. But some one called out a third time, and said loudly, "He who cuts wood for reels shall die, And he who winds, shall perish."

夫は手を止めました。怖くなって、ぞっとして、今のはどういうことだろうと考えこみました。けれども、しばらくすると気を取り直して、三度目に斧に手をのばし、木を切りはじめました。ところが、三度目にまた、誰かが大きな声で呼びかけました。「糸巻きの木を切る者は死ぬ。糸を巻く者は滅びる」

That was enough for him, and all inclination had departed from him, so he hastily descended the tree, and set out on his way home. The woman ran as fast as she could by by-ways so as to get home first. So when he entered the parlour, she put on an innocent look as if nothing had happened, and said, "Well, have you brought a nice piece of wood for reels?" "No," said he, "I see very well that winding won't do," and told her what had happened to him in the forest, and from that time forth left her in peace about it. Nevertheless after some time, the man again began to complain of the disorder in the house. "Wife," said he, "it is really a shame that the spun yarn should lie there all entangled!" "I'll tell you what," said she, "as we still don't come by any reel, go you up into the loft, and I will stand down below, and will throw the yarn up to you, and you will throw it down to me, and so we shall get a skein after all." "Yes, that will do," said the man. So they did that, and when it was done, he said, "The yarn is in skeins, now it must be boiled." The woman was again distressed; She certainly said, "Yes, we will boil it next morning early." but she was secretly contriving another trick.

夫はもうこりごりでした。木を切る気はすっかりなくなってしまい、急いで木からおりて、家へ帰っていきました。おかみさんは、先に家に着こうと、わき道を通ってできるだけ速く走りました。夫が居間に入ってくると、おかみさんは何ごともなかったように、すました顔で言いました。「それで、糸巻きを作るいい木は取ってきたのかい」「いいや」と、夫は言いました。「糸を巻くのはやめたほうがいいと、よく分かったよ」そして森で起こったことを話して聞かせ、それからは、そのことでおかみさんにうるさく言わなくなりました。それでも、しばらくすると、夫はまた家の中がちらかっていることに文句を言いはじめました。「おまえ、紡いだ糸がからまったまま置いてあるなんて、まったくみっともないじゃないか」「それなら、こうしましょうよ」と、おかみさんは言いました。「どうせ糸巻きは手に入らないんだから、あんたは屋根裏に上がってちょうだい。あたしは下に立って、糸を上へ投げるから、あんたはそれを下へ投げ返すの。そうすれば、なんとか糸の束ができるでしょう」「うん、それがいい」と、夫は言いました。二人はそのとおりにしました。それが終わると、夫は言いました。「糸は束になった。こんどは煮なくちゃならないな」おかみさんはまた困ってしまいました。口では「ええ、あしたの朝早く煮ましょう」と言いましたが、心の中では、こっそりまた別のたくらみを考えていたのです。

Early in the morning she got up, lighted a fire, and put the kettle on, only instead of the yarn, she put in a lump of tow, and let it boil. After that she went to the man who was still lying in bed, and said to him, "I must just go out, you must get up and look after the yarn which is in the kettle on the fire, but you must be at hand at once; mind that, for if the cock should happen to crow, and you are not attending to the yarn, it will become tow." The man was willing and took good care not to loiter. He got up as quickly as he could, and went into the kitchen. But when he reached the kettle and peeped in, he saw, to his horror, nothing but a lump of tow. Then the poor man was as still as a mouse, thinking he had neglected it, and was to blame, and in future said no more about yarn and spinning. But you yourself must own she was an odious woman!

朝早く、おかみさんは起きて火をおこし、鍋を火にかけました。ただし、糸のかわりに麻くずのかたまりを入れて煮たのです。それから、まだ寝床で寝ている夫のところへ行って、言いました。「あたしはちょっと出かけなきゃならないの。あんたは起きて、火にかけた鍋の糸を見ていておくれ。でも、すぐそばについていなきゃだめよ。いいわね。もしおんどりが鳴いたときに、あんたが糸を見ていなかったら、糸は麻くずになってしまうんだから」夫はいやがらずに引き受け、ぐずぐずしないように気をつけました。できるだけ急いで起きて、台所へ行きました。ところが、鍋のところへ行って中をのぞいてみると、なんとしたことでしょう。中には麻くずのかたまりしか入っていません。かわいそうに、夫はネズミのようにおとなしくなってしまいました。自分が見張りをおこたったせいだ、自分が悪いのだと思ったのです。そしてそれからは、糸のことも糸紡ぎのことも、もう何も言いませんでした。それにしても、みなさんだって、これはにくらしいおかみさんだと思うでしょう!

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ある村に、ひと組の夫婦が住んでいました。おかみさんは大変ななまけ者で、どんな仕事もしようとしませんでした。夫が糸を紡ぐようにと何を渡しても、いつまでたっても紡ぎ終わりません。紡いだ分も糸巻きに巻き取らず、ごちゃごちゃにからまったまま山にしておきました。夫がしかると、おかみさんはいつでも口が達者で、こう言い返しました。「だって、どうやって巻けっていうのさ。糸巻きがないんだもの。森へ行って、一つ取ってきておくれよ」「そういうことなら」と、夫は言いました。「森へ行って、糸巻きを作る木を取ってこよう」するとおかみさんは怖くなりました。木があれば、夫はそれで糸巻きを作ってしまうでしょう。そうなれば、糸を巻き取って、また糸を紡ぎはじめなければなりません。おかみさんは少し考えているうちに、うまい考えを思いつきました。そして夫のあとをこっそりつけて、森へ行きました。夫が木に登って、切る木を選んでいると、おかみさんは木の下のしげみに、夫から見えないようにもぐりこんで、叫びました。「糸巻きの木を切る者は死ぬ。糸を巻く者は滅びる」

夫は耳をすまし、しばらく斧を置いて、今のはどういう意味だろうと考えこみました。「おやおや」と、やがて夫は言いました。「今のはいったい何だったんだろう。きっと耳鳴りだな。なんでもないことでびくびくするのはよそう」そこで夫はまた斧をつかんで、木を切りはじめました。すると、また下から声がしました。「糸巻きの木を切る者は死ぬ。糸を巻く者は滅びる」

夫は手を止めました。怖くなって、ぞっとして、今のはどういうことだろうと考えこみました。けれども、しばらくすると気を取り直して、三度目に斧に手をのばし、木を切りはじめました。ところが、三度目にまた、誰かが大きな声で呼びかけました。「糸巻きの木を切る者は死ぬ。糸を巻く者は滅びる」

夫はもうこりごりでした。木を切る気はすっかりなくなってしまい、急いで木からおりて、家へ帰っていきました。おかみさんは、先に家に着こうと、わき道を通ってできるだけ速く走りました。夫が居間に入ってくると、おかみさんは何ごともなかったように、すました顔で言いました。「それで、糸巻きを作るいい木は取ってきたのかい」「いいや」と、夫は言いました。「糸を巻くのはやめたほうがいいと、よく分かったよ」そして森で起こったことを話して聞かせ、それからは、そのことでおかみさんにうるさく言わなくなりました。それでも、しばらくすると、夫はまた家の中がちらかっていることに文句を言いはじめました。「おまえ、紡いだ糸がからまったまま置いてあるなんて、まったくみっともないじゃないか」「それなら、こうしましょうよ」と、おかみさんは言いました。「どうせ糸巻きは手に入らないんだから、あんたは屋根裏に上がってちょうだい。あたしは下に立って、糸を上へ投げるから、あんたはそれを下へ投げ返すの。そうすれば、なんとか糸の束ができるでしょう」「うん、それがいい」と、夫は言いました。二人はそのとおりにしました。それが終わると、夫は言いました。「糸は束になった。こんどは煮なくちゃならないな」おかみさんはまた困ってしまいました。口では「ええ、あしたの朝早く煮ましょう」と言いましたが、心の中では、こっそりまた別のたくらみを考えていたのです。

朝早く、おかみさんは起きて火をおこし、鍋を火にかけました。ただし、糸のかわりに麻くずのかたまりを入れて煮たのです。それから、まだ寝床で寝ている夫のところへ行って、言いました。「あたしはちょっと出かけなきゃならないの。あんたは起きて、火にかけた鍋の糸を見ていておくれ。でも、すぐそばについていなきゃだめよ。いいわね。もしおんどりが鳴いたときに、あんたが糸を見ていなかったら、糸は麻くずになってしまうんだから」夫はいやがらずに引き受け、ぐずぐずしないように気をつけました。できるだけ急いで起きて、台所へ行きました。ところが、鍋のところへ行って中をのぞいてみると、なんとしたことでしょう。中には麻くずのかたまりしか入っていません。かわいそうに、夫はネズミのようにおとなしくなってしまいました。自分が見張りをおこたったせいだ、自分が悪いのだと思ったのです。そしてそれからは、糸のことも糸紡ぎのことも、もう何も言いませんでした。それにしても、みなさんだって、これはにくらしいおかみさんだと思うでしょう!

日本語訳:多読ベスト

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理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. Why did the wife secretly follow her husband into the forest?

Q2. What did the wife put into the kettle instead of the yarn?

Q3. After he came home from the forest, what did the husband believe?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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