Jorinda and Joringel(ヨリンデとヨリンゲル)の挿絵

Jorinda and Joringel

ヨリンデとヨリンゲル

  • 📖 938 words
  • ⏱ 約9分
  • YL 5.0+
  • 英検1級・ネイティブ目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ深い森の古いお城には、近づいた娘を鳥に変えてしまう魔女が住んでいました。結婚の約束をしたヨリンデとヨリンゲルは、夕方の森を散歩するうちに道に迷い、気がつくと、お城のすぐそばまで来ていました。

グリム兄弟『子どもと家庭のメルヒェン集(グリム童話)』マーガレット・ハント英訳(1884年)原文。底本: Project Gutenberg eBook #5314

キーワード(13語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • witch魔女
  • screech-owlフクロウ
  • lureおびき寄せる
  • wicker-work柳の枝で編んだ
  • betrothal婚約
  • turtle-dovesキジバト
  • horror-strickenぞっとして
  • nightingaleナイチンゲール(サヨナキドリ)
  • thicketやぶ
  • mutteredつぶやいた
  • enchantment魔法
  • dew-drop露のしずく
  • bewitch魔法をかける

🔊 音声は準備中です。もうしばらくお待ちください。

There was once an old castle in the midst of a large and thick forest, and in it an old woman who was a witch dwelt all alone. In the day-time she changed herself into a cat or a screech-owl, but in the evening she took her proper shape again as a human being. She could lure wild beasts and birds to her, and then she killed and boiled and roasted them. If any one came within one hundred paces of the castle he was obliged to stand still, and could not stir from the place until she bade him be free. But whenever an innocent maiden came within this circle, she changed her into a bird, and shut her up in a wicker-work cage, and carried the cage into a room in the castle. She had about seven thousand cages of rare birds in the castle.

むかし、大きな深い森の真ん中に古いお城があって、そこに魔女のおばあさんが、たった一人で住んでいました。魔女は昼の間はネコやフクロウに姿を変えていましたが、夕方になると、また元の人間の姿に戻りました。魔女はけものや鳥をおびき寄せることができました。そして、寄ってきたものを殺して、煮たり焼いたりしたのです。だれかがお城から百歩以内に近づくと、その人はそこに立ちどまったまま、魔女が許してくれるまで、その場から一歩も動けなくなりました。けれども、清らかな娘がこの輪の中に入ってくると、魔女はその娘を鳥に変えて、柳の枝で編んだかごに閉じこめ、お城の一つの部屋に運びこみました。お城には、珍しい鳥を入れたかごが、七千ほどもありました。

Now, there was once a maiden who was called Jorinda, who was fairer than all other girls. She and a handsome youth named Joringel had promised to marry each other. They were still in the days of betrothal, and their greatest happiness was being together. One day in order that they might be able to talk together in quiet they went for a walk in the forest. "Take care," said Joringel, "that you do not go too near the castle." It was a beautiful evening; the sun shone brightly between the trunks of the trees into the dark green of the forest, and the turtle-doves sang mournfully upon the young boughs of the birch-trees.

さて、ヨリンデという名前の娘がいました。ほかのだれよりも美しい娘でした。ヨリンデは、ヨリンゲルというりりしい若者と、結婚の約束をしていました。二人はまだ婚約している間がらで、一緒にいることが何よりの幸せでした。ある日、二人は静かに語りあおうと、森へ散歩に出かけました。「気をつけて」と、ヨリンゲルは言いました。「お城に近づきすぎないようにね」それは美しい夕方でした。日の光が木々の幹の間から、森の深い緑の中へ明るく差しこみ、キジバトがシラカバの若い枝の上で、悲しげに鳴いていました。

Jorinda wept now and then: she sat down in the sunshine and was sorrowful. Joringel was sorrowful too; they were as sad as if they were about to die. Then they looked around them, and were quite at a loss, for they did not know by which way they should go home. The sun was still half above the mountain and half set. Joringel looked through the bushes, and saw the old walls of the castle close at hand. He was horror-stricken and filled with deadly fear. Jorinda was singing— "My little bird, with the necklace red, Sings sorrow, sorrow, sorrow, He sings that the dove must soon be dead, Sings sorrow, sor—jug, jug, jug."

ヨリンデは時々涙をこぼしました。日なたに座りこんで、悲しそうにしていました。ヨリンゲルも悲しくなりました。二人とも、まるでもうすぐ死んでしまうかのような、悲しい気持ちでした。それから二人はあたりを見まわしましたが、すっかり途方にくれてしまいました。どちらへ行けば家に帰れるのか、わからなくなっていたのです。お日さまは、まだ半分だけ山の上に出ていて、半分は沈んでいました。ヨリンゲルがやぶの間からのぞくと、すぐ近くにお城の古い壁が見えました。ヨリンゲルはぞっとして、死ぬほどこわくなりました。ヨリンデは歌っていました。 「赤い首輪のわたしの小鳥が、 悲しい、悲しい、悲しいと歌う。 ハトはもうすぐ死んでしまうと歌う。 悲しい、かなし……チュク、チュク、チュク」

Joringel looked for Jorinda. She was changed into a nightingale, and sang, "jug, jug, jug." A screech-owl with glowing eyes flew three times round about her, and three times cried, "to-whoo, to-whoo, to-whoo!" Joringel could not move: he stood there like a stone, and could neither weep nor speak, nor move hand or foot. The sun had now set. The owl flew into the thicket, and directly afterwards there came out of it a crooked old woman, yellow and lean, with large red eyes and a hooked nose, the point of which reached to her chin. She muttered to herself, caught the nightingale, and took it away in her hand.

ヨリンゲルはヨリンデのほうを見ました。ヨリンデはナイチンゲールに変わっていて、「チュク、チュク、チュク」と鳴いていました。目をぎらぎら光らせたフクロウが一羽、ヨリンデの周りを三度飛びまわり、三度「ホー、ホー、ホー!」と鳴きました。ヨリンゲルは動けませんでした。石のようにその場に立ちつくし、泣くことも、ものを言うこともできず、手も足も動かせませんでした。お日さまはもう沈んでいました。フクロウはやぶの中に飛びこみました。するとすぐに、そこから腰の曲がったおばあさんが出てきました。黄色い顔をしたやせたおばあさんで、大きな赤い目をして、鼻はかぎのように曲がり、その先があごまで届いていました。おばあさんは何やらぶつぶつとつぶやきながら、ナイチンゲールをつかまえて、手に持って連れていってしまいました。

Joringel could neither speak nor move from the spot; the nightingale was gone. At last the woman came back, and said in a hollow voice, "Greet thee, Zachiel. If the moon shines on the cage, Zachiel, let him loose at once." Then Joringel was freed. He fell on his knees before the woman and begged that she would give him back his Jorinda, but she said that he should never have her again, and went away. He called, he wept, he lamented, but all in vain, "Ah, what is to become of me?"

ヨリンゲルは口をきくことも、その場から動くこともできませんでした。ナイチンゲールは、もういなくなっていました。やがて、おばあさんが戻ってきて、うつろな声で言いました。「ごきげんよう、ツァヒエル。月がかごを照らしたら、ツァヒエル、すぐにこの者を放しておやり」するとヨリンゲルは、体が自由になりました。ヨリンゲルはおばあさんの前にひざまずいて、ヨリンデを返してくださいと頼みました。けれどもおばあさんは、あの子は二度とおまえのものにはならないよ、と言って、行ってしまいました。ヨリンゲルは呼びました。泣きました。嘆きました。けれども、何をしてもむだでした。「ああ、ぼくはこれからどうなるんだろう」

Joringel went away, and at last came to a strange village; there he kept sheep for a long time. He often walked round and round the castle, but not too near to it. At last he dreamt one night that he found a blood-red flower, in the middle of which was a beautiful large pearl; that he picked the flower and went with it to the castle, and that everything he touched with the flower was freed from enchantment; he also dreamt that by means of it he recovered his Jorinda.

ヨリンゲルはそこを去って、とうとう見知らぬ村にたどり着きました。そこで長い間、羊の番をして暮らしました。ヨリンゲルはたびたびお城の周りを歩きまわりましたが、近づきすぎないように気をつけていました。そうしてある晩、ヨリンゲルは夢を見ました。血のように赤い花を見つけ、その花の真ん中には大きな美しい真珠が一つあった、という夢でした。夢の中で、ヨリンゲルはその花を摘んで、お城へ持っていきました。すると、その花でさわったものは、なんでも魔法がとけました。そして、その花のおかげで、ヨリンデを取りもどすことができたのです。

In the morning, when he awoke, he began to seek over hill and dale if he could find such a flower. He sought until the ninth day, and then, early in the morning, he found the blood-red flower. In the middle of it there was a large dew-drop, as big as the finest pearl.

朝になって目を覚ますと、ヨリンゲルはそんな花が見つからないかと、山や谷を探しはじめました。九日目まで探しつづけて、その日の朝早く、とうとう血のように赤い花を見つけました。花の真ん中には大きな露のしずくが一つあって、どんなに見事な真珠にも負けないほどの大きさでした。

Day and night he journeyed with this flower to the castle. When he was within a hundred paces of it he was not held fast, but walked on to the door. Joringel was full of joy; he touched the door with the flower, and it sprang open. He walked in through the courtyard, and listened for the sound of the birds. At last he heard it. He went on and found the room from whence it came, and there the witch was feeding the birds in the seven thousand cages.

ヨリンゲルはこの花を持って、昼も夜も歩きつづけ、お城へ向かいました。お城から百歩のところまで来ても、体は止められませんでした。そのまま戸口まで歩いていきました。ヨリンゲルは大喜びで、花で戸にさわりました。すると戸はぱっと開きました。中庭を通って中に入り、鳥の声が聞こえないかと耳をすましました。やがて、鳥の声が聞こえてきました。そのまま進んでいくと、声のする部屋が見つかりました。そこでは魔女が、七千のかごの鳥にえさをやっていました。

When she saw Joringel she was angry, very angry, and scolded and spat poison and gall at him, but she could not come within two paces of him. He did not take any notice of her, but went and looked at the cages with the birds; but there were many hundred nightingales, how was he to find his Jorinda again? Just then he saw the old woman quietly take away a cage with a bird in it, and go towards the door.

魔女はヨリンゲルを見ると怒りました。ものすごく怒って、ののしり、毒や苦い胆汁をヨリンゲルに吐きかけました。けれども、ヨリンゲルから二歩のところより近くへは寄れませんでした。ヨリンゲルは魔女にはかまわず、鳥の入ったかごを見てまわりました。ところが、ナイチンゲールは何百羽もいたのです。どうやってヨリンデを見つければいいのでしょう。ちょうどそのとき、おばあさんが鳥の入ったかごを一つ、こっそり持ち出して、戸口のほうへ行こうとしているのが見えました。

Swiftly he sprang towards her, touched the cage with the flower, and also the old woman. She could now no longer bewitch any one; and Jorinda was standing there, clasping him round the neck, and she was as beautiful as ever!

ヨリンゲルはすばやくおばあさんに飛びかかり、花でかごにさわり、おばあさんにもさわりました。もう魔女は、だれにも魔法をかけられなくなりました。そして、ヨリンデがそこに立って、ヨリンゲルの首に抱きついていました。ヨリンデは、前と変わらず美しいままでした。

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むかし、大きな深い森の真ん中に古いお城があって、そこに魔女のおばあさんが、たった一人で住んでいました。魔女は昼の間はネコやフクロウに姿を変えていましたが、夕方になると、また元の人間の姿に戻りました。魔女はけものや鳥をおびき寄せることができました。そして、寄ってきたものを殺して、煮たり焼いたりしたのです。だれかがお城から百歩以内に近づくと、その人はそこに立ちどまったまま、魔女が許してくれるまで、その場から一歩も動けなくなりました。けれども、清らかな娘がこの輪の中に入ってくると、魔女はその娘を鳥に変えて、柳の枝で編んだかごに閉じこめ、お城の一つの部屋に運びこみました。お城には、珍しい鳥を入れたかごが、七千ほどもありました。

さて、ヨリンデという名前の娘がいました。ほかのだれよりも美しい娘でした。ヨリンデは、ヨリンゲルというりりしい若者と、結婚の約束をしていました。二人はまだ婚約している間がらで、一緒にいることが何よりの幸せでした。ある日、二人は静かに語りあおうと、森へ散歩に出かけました。「気をつけて」と、ヨリンゲルは言いました。「お城に近づきすぎないようにね」それは美しい夕方でした。日の光が木々の幹の間から、森の深い緑の中へ明るく差しこみ、キジバトがシラカバの若い枝の上で、悲しげに鳴いていました。

ヨリンデは時々涙をこぼしました。日なたに座りこんで、悲しそうにしていました。ヨリンゲルも悲しくなりました。二人とも、まるでもうすぐ死んでしまうかのような、悲しい気持ちでした。それから二人はあたりを見まわしましたが、すっかり途方にくれてしまいました。どちらへ行けば家に帰れるのか、わからなくなっていたのです。お日さまは、まだ半分だけ山の上に出ていて、半分は沈んでいました。ヨリンゲルがやぶの間からのぞくと、すぐ近くにお城の古い壁が見えました。ヨリンゲルはぞっとして、死ぬほどこわくなりました。ヨリンデは歌っていました。 「赤い首輪のわたしの小鳥が、 悲しい、悲しい、悲しいと歌う。 ハトはもうすぐ死んでしまうと歌う。 悲しい、かなし……チュク、チュク、チュク」

ヨリンゲルはヨリンデのほうを見ました。ヨリンデはナイチンゲールに変わっていて、「チュク、チュク、チュク」と鳴いていました。目をぎらぎら光らせたフクロウが一羽、ヨリンデの周りを三度飛びまわり、三度「ホー、ホー、ホー!」と鳴きました。ヨリンゲルは動けませんでした。石のようにその場に立ちつくし、泣くことも、ものを言うこともできず、手も足も動かせませんでした。お日さまはもう沈んでいました。フクロウはやぶの中に飛びこみました。するとすぐに、そこから腰の曲がったおばあさんが出てきました。黄色い顔をしたやせたおばあさんで、大きな赤い目をして、鼻はかぎのように曲がり、その先があごまで届いていました。おばあさんは何やらぶつぶつとつぶやきながら、ナイチンゲールをつかまえて、手に持って連れていってしまいました。

ヨリンゲルは口をきくことも、その場から動くこともできませんでした。ナイチンゲールは、もういなくなっていました。やがて、おばあさんが戻ってきて、うつろな声で言いました。「ごきげんよう、ツァヒエル。月がかごを照らしたら、ツァヒエル、すぐにこの者を放しておやり」するとヨリンゲルは、体が自由になりました。ヨリンゲルはおばあさんの前にひざまずいて、ヨリンデを返してくださいと頼みました。けれどもおばあさんは、あの子は二度とおまえのものにはならないよ、と言って、行ってしまいました。ヨリンゲルは呼びました。泣きました。嘆きました。けれども、何をしてもむだでした。「ああ、ぼくはこれからどうなるんだろう」

ヨリンゲルはそこを去って、とうとう見知らぬ村にたどり着きました。そこで長い間、羊の番をして暮らしました。ヨリンゲルはたびたびお城の周りを歩きまわりましたが、近づきすぎないように気をつけていました。そうしてある晩、ヨリンゲルは夢を見ました。血のように赤い花を見つけ、その花の真ん中には大きな美しい真珠が一つあった、という夢でした。夢の中で、ヨリンゲルはその花を摘んで、お城へ持っていきました。すると、その花でさわったものは、なんでも魔法がとけました。そして、その花のおかげで、ヨリンデを取りもどすことができたのです。

朝になって目を覚ますと、ヨリンゲルはそんな花が見つからないかと、山や谷を探しはじめました。九日目まで探しつづけて、その日の朝早く、とうとう血のように赤い花を見つけました。花の真ん中には大きな露のしずくが一つあって、どんなに見事な真珠にも負けないほどの大きさでした。

ヨリンゲルはこの花を持って、昼も夜も歩きつづけ、お城へ向かいました。お城から百歩のところまで来ても、体は止められませんでした。そのまま戸口まで歩いていきました。ヨリンゲルは大喜びで、花で戸にさわりました。すると戸はぱっと開きました。中庭を通って中に入り、鳥の声が聞こえないかと耳をすましました。やがて、鳥の声が聞こえてきました。そのまま進んでいくと、声のする部屋が見つかりました。そこでは魔女が、七千のかごの鳥にえさをやっていました。

魔女はヨリンゲルを見ると怒りました。ものすごく怒って、ののしり、毒や苦い胆汁をヨリンゲルに吐きかけました。けれども、ヨリンゲルから二歩のところより近くへは寄れませんでした。ヨリンゲルは魔女にはかまわず、鳥の入ったかごを見てまわりました。ところが、ナイチンゲールは何百羽もいたのです。どうやってヨリンデを見つければいいのでしょう。ちょうどそのとき、おばあさんが鳥の入ったかごを一つ、こっそり持ち出して、戸口のほうへ行こうとしているのが見えました。

ヨリンゲルはすばやくおばあさんに飛びかかり、花でかごにさわり、おばあさんにもさわりました。もう魔女は、だれにも魔法をかけられなくなりました。そして、ヨリンデがそこに立って、ヨリンゲルの首に抱きついていました。ヨリンデは、前と変わらず美しいままでした。

日本語訳:多読ベスト

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理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. What happened to an innocent maiden who came near the castle?

Q2. What did Joringel dream about one night?

Q3. How did Joringel find Jorinda among so many birds?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
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聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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