Doctor Knowall(物知り博士)の挿絵

Doctor Knowall

物知り博士

  • 📖 771 words
  • ⏱ 約7分
  • YL 5.0+
  • 英検1級・ネイティブ目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ医者のぜいたくな食事を見てうらやましくなった百姓のクラッブは、自分も「物知り博士」の看板をかかげます。そこへ、お金を盗まれたお金持ちの殿さまが、犯人を見つけてほしいとやって来ました。字もろくに読めないにせ博士は、いったいどうするのでしょう。

グリム兄弟『子どもと家庭のメルヒェン集(グリム童話)』マーガレット・ハント英訳(1884年)原文。底本: Project Gutenberg eBook #5314

キーワード(11語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • thalersターラー銀貨
  • frontispiece(本の)口絵
  • sign看板
  • nudgedひじでつついた
  • comrade仲間
  • coverふた
  • denounce訴え出る
  • hangedしばり首にされる
  • concealed隠された
  • stoveストーブ(暖炉)
  • renowned名高い

🔊 音声は準備中です。もうしばらくお待ちください。

There was once on a time a poor peasant called Crabb, who drove with two oxen a load of wood to the town, and sold it to a doctor for two thalers. When the money was being counted out to him, it so happened that the doctor was sitting at table, and when the peasant saw how daintily he ate and drank, his heart desired what he saw, and he would willingly have been a doctor too. So he remained standing a while, and at length inquired if he too could not be a doctor. "Oh, yes," said the doctor, "that is soon managed." "What must I do?" asked the peasant. "In the first place buy thyself an A B C book of the kind which has a cock on the frontispiece: in the second, turn thy cart and thy two oxen into money, and get thyself some clothes, and whatsoever else pertains to medicine; thirdly, have a sign painted for thyself with the words, 'I am Doctor Knowall,' and have that nailed up above thy house-door."

むかしむかし、クラッブという貧しい百姓がいました。あるときクラッブは、二頭の雄牛に引かせて、荷車いっぱいのたきぎを町へ運び、それをある医者に二ターラーで売りました。お金を数えてもらっているとき、医者はちょうど食事をしているところでした。医者がおいしそうなごちそうを上品に食べたり飲んだりしているのを見て、百姓はうらやましくてたまらなくなり、自分も医者になれたらどんなにいいだろうと思いました。そこでしばらくその場に立っていましたが、とうとう、わたしも医者になれないものでしょうか、と尋ねました。「ああ、なれるとも」と、医者は言いました。「わけないことさ」「どうすればいいんです?」と、百姓は尋ねました。「まず第一に、口絵におんどりの絵がついているABCの本を一冊買いなさい。第二に、荷車と二頭の雄牛を売ってお金にかえ、服と、そのほか医者の仕事に必要な物をそろえなさい。第三に、『わたしは物知り博士』と書いた看板を作らせて、家の戸口の上に打ちつけておきなさい」

The peasant did everything that he had been told to do. When he had doctored people awhile, but not long, a rich and great lord had some money stolen. Then he was told about Doctor Knowall who lived in such and such a village, and must know what had become of the money. So the lord had the horses put in his carriage, drove out to the village, and asked Crabb if he were Doctor Knowall? Yes, he was, he said. Then he was to go with him and bring back the stolen money. "Oh, yes, but Grethe, my wife, must go too." The lord was willing and let both of them have a seat in the carriage, and they all drove away together. When they came to the nobleman's castle, the table was spread, and Crabb was told to sit down and eat. "Yes, but my wife, Grethe, too," said he, and he seated himself with her at the table.

百姓は言われたことを、何もかもそのとおりにしました。人びとを診るようになって、まだそれほどたたないころ、身分の高いお金持ちの殿さまが、お金を盗まれました。殿さまは、どこそこの村に物知り博士という人が住んでいて、お金がどうなったか知っているにちがいない、と教えられました。そこで殿さまは馬車に馬をつけさせて村へ行き、クラッブに、おまえが物知り博士か、と尋ねました。はい、そうです、とクラッブは答えました。それなら一緒に来て、盗まれたお金を取り戻してくれ、と殿さまは言いました。「はい、ですが、女房のグレーテも一緒に行かせてください」殿さまは承知して、二人を馬車に乗せ、みんなで出かけていきました。殿さまのお城に着くと、食卓の用意ができていて、クラッブも座って食べるように言われました。「はい、ですが女房のグレーテも一緒に」とクラッブは言い、グレーテと並んで食卓につきました。

And when the first servant came with a dish of delicate fare, the peasant nudged his wife, and said, "Grethe, that was the first," meaning that was the servant who brought the first dish. The servant, however, thought he intended by that to say, "That is the first thief," and as he actually was so, he was terrified, and said to his comrade outside, "The doctor knows all: we shall fare ill, he said I was the first." The second did not want to go in at all, but was forced. So when he went in with his dish, the peasant nudged his wife, and said, "Grethe, that is the second." This servant was just as much alarmed, and he got out. The third did not fare better, for the peasant again said, "Grethe, that is the third." The fourth had to carry in a dish that was covered, and the lord told the doctor that he was to show his skill, and guess what was beneath the cover. The doctor looked at the dish, had no idea what to say, and cried, "Ah, poor Crabb." When the lord heard that, he cried, "There! he knows it, he knows who has the money!"

さて、一人目の家来が上等な料理を一皿運んでくると、百姓は女房をひじでつついて言いました。「グレーテ、これが一人目だ」一皿目を運んできた家来だ、という意味でした。ところが家来のほうは、「こいつが一人目の泥棒だ」と言われたのだと思いました。本当にその家来は泥棒だったので、すっかりおびえてしまい、外にいた仲間に言いました。「あの博士は何でもお見通しだ。おれたちはひどい目にあうぞ。おれが一人目だと言いやがった」二人目の家来は、とても中へ入る気になれませんでしたが、行かないわけにはいきません。皿を持って入っていくと、百姓はまた女房をつついて言いました。「グレーテ、これが二人目だ」この家来も同じようにおびえて、あわてて出ていきました。三人目もやはり同じでした。百姓がまた、「グレーテ、これが三人目だ」と言ったからです。四人目の家来は、ふたをかぶせた皿を運んでいくことになりました。殿さまは博士に、腕前を見せてもらおう、ふたの下に何があるか当ててみよ、と言いました。博士は皿を見つめましたが、何と言えばいいのか、まるで見当がつきません。思わず叫んだのは、こんな言葉でした。「ああ、かわいそうなクラッブ!」(訳注:クラッブは自分の名前ですが、英語のカニ crab と同じ音です)それを聞くと、殿さまは叫びました。「ほら!やっぱり分かっているのだ。お金を持っているやつも分かっているのだ!」

On this the servants looked terribly uneasy, and made a sign to the doctor that they wished him to step outside for a moment. When therefore he went out, all four of them confessed to him that they had stolen the money, and said that they would willingly restore it and give him a heavy sum into the bargain, if he would not denounce them, for if he did they would be hanged. They led him to the spot where the money was concealed. With this the doctor was satisfied, and returned to the hall, sat down to the table, and said, "My lord, now will I search in my book where the gold is hidden." The fifth servant, however, crept into the stove to hear if the doctor knew still more. The Doctor, however, sat still and opened his A B C book, turned the pages backwards and forwards, and looked for the cock. As he could not find it immediately he said, "I know you are there, so you had better show yourself." Then the fellow in the stove thought that the doctor meant him, and full of terror, sprang out, crying, "That man knows everything!" Then Dr. Knowall showed the count where the money was, but did not say who had stolen it, and received from both sides much money in reward, and became a renowned man.

これを聞いて、家来たちはひどくそわそわし始め、ちょっと外へ出てきてほしい、と博士に合図をしました。博士が外へ出ると、四人そろって、お金を盗んだのは自分たちです、と白状しました。そして、お金は喜んでお返しします、そのうえたっぷりお礼もさしあげます、だからどうか訴えないでください、とたのみました。訴えられたら、しばり首になってしまうからです。家来たちは博士を、お金を隠してある場所へ案内しました。博士はこれで満足して広間に戻り、食卓について言いました。「殿さま、では、金がどこに隠されているか、わたしの本で調べてみましょう」ところが五人目の家来が、博士がまだほかにも何か知っているかどうか聞こうとして、ストーブの中にもぐりこんでいました。博士はじっと座ったままABCの本を開き、ページを前へ後ろへとめくりながら、おんどりの絵を探しました。すぐには見つからなかったので、博士は言いました。「そこにいるのは分かっているんだ。出てきたほうが身のためだぞ」ストーブの中の男は、博士が自分のことを言っているのだと思いこみました。そしてすっかりおびえて飛び出してくると、「あの人は何でも知っている!」と叫びました。それから物知り博士は、殿さまにお金のありかを教えましたが、だれが盗んだかは言いませんでした。こうして博士は、両方からたくさんのお礼のお金をもらい、名高い人になりました。

📖 全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

むかしむかし、クラッブという貧しい百姓がいました。あるときクラッブは、二頭の雄牛に引かせて、荷車いっぱいのたきぎを町へ運び、それをある医者に二ターラーで売りました。お金を数えてもらっているとき、医者はちょうど食事をしているところでした。医者がおいしそうなごちそうを上品に食べたり飲んだりしているのを見て、百姓はうらやましくてたまらなくなり、自分も医者になれたらどんなにいいだろうと思いました。そこでしばらくその場に立っていましたが、とうとう、わたしも医者になれないものでしょうか、と尋ねました。「ああ、なれるとも」と、医者は言いました。「わけないことさ」「どうすればいいんです?」と、百姓は尋ねました。「まず第一に、口絵におんどりの絵がついているABCの本を一冊買いなさい。第二に、荷車と二頭の雄牛を売ってお金にかえ、服と、そのほか医者の仕事に必要な物をそろえなさい。第三に、『わたしは物知り博士』と書いた看板を作らせて、家の戸口の上に打ちつけておきなさい」

百姓は言われたことを、何もかもそのとおりにしました。人びとを診るようになって、まだそれほどたたないころ、身分の高いお金持ちの殿さまが、お金を盗まれました。殿さまは、どこそこの村に物知り博士という人が住んでいて、お金がどうなったか知っているにちがいない、と教えられました。そこで殿さまは馬車に馬をつけさせて村へ行き、クラッブに、おまえが物知り博士か、と尋ねました。はい、そうです、とクラッブは答えました。それなら一緒に来て、盗まれたお金を取り戻してくれ、と殿さまは言いました。「はい、ですが、女房のグレーテも一緒に行かせてください」殿さまは承知して、二人を馬車に乗せ、みんなで出かけていきました。殿さまのお城に着くと、食卓の用意ができていて、クラッブも座って食べるように言われました。「はい、ですが女房のグレーテも一緒に」とクラッブは言い、グレーテと並んで食卓につきました。

さて、一人目の家来が上等な料理を一皿運んでくると、百姓は女房をひじでつついて言いました。「グレーテ、これが一人目だ」一皿目を運んできた家来だ、という意味でした。ところが家来のほうは、「こいつが一人目の泥棒だ」と言われたのだと思いました。本当にその家来は泥棒だったので、すっかりおびえてしまい、外にいた仲間に言いました。「あの博士は何でもお見通しだ。おれたちはひどい目にあうぞ。おれが一人目だと言いやがった」二人目の家来は、とても中へ入る気になれませんでしたが、行かないわけにはいきません。皿を持って入っていくと、百姓はまた女房をつついて言いました。「グレーテ、これが二人目だ」この家来も同じようにおびえて、あわてて出ていきました。三人目もやはり同じでした。百姓がまた、「グレーテ、これが三人目だ」と言ったからです。四人目の家来は、ふたをかぶせた皿を運んでいくことになりました。殿さまは博士に、腕前を見せてもらおう、ふたの下に何があるか当ててみよ、と言いました。博士は皿を見つめましたが、何と言えばいいのか、まるで見当がつきません。思わず叫んだのは、こんな言葉でした。「ああ、かわいそうなクラッブ!」(訳注:クラッブは自分の名前ですが、英語のカニ crab と同じ音です)それを聞くと、殿さまは叫びました。「ほら!やっぱり分かっているのだ。お金を持っているやつも分かっているのだ!」

これを聞いて、家来たちはひどくそわそわし始め、ちょっと外へ出てきてほしい、と博士に合図をしました。博士が外へ出ると、四人そろって、お金を盗んだのは自分たちです、と白状しました。そして、お金は喜んでお返しします、そのうえたっぷりお礼もさしあげます、だからどうか訴えないでください、とたのみました。訴えられたら、しばり首になってしまうからです。家来たちは博士を、お金を隠してある場所へ案内しました。博士はこれで満足して広間に戻り、食卓について言いました。「殿さま、では、金がどこに隠されているか、わたしの本で調べてみましょう」ところが五人目の家来が、博士がまだほかにも何か知っているかどうか聞こうとして、ストーブの中にもぐりこんでいました。博士はじっと座ったままABCの本を開き、ページを前へ後ろへとめくりながら、おんどりの絵を探しました。すぐには見つからなかったので、博士は言いました。「そこにいるのは分かっているんだ。出てきたほうが身のためだぞ」ストーブの中の男は、博士が自分のことを言っているのだと思いこみました。そしてすっかりおびえて飛び出してくると、「あの人は何でも知っている!」と叫びました。それから物知り博士は、殿さまにお金のありかを教えましたが、だれが盗んだかは言いませんでした。こうして博士は、両方からたくさんのお礼のお金をもらい、名高い人になりました。

日本語訳:多読ベスト

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理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. What did the doctor tell Crabb to buy first?

Q2. Why was the first servant frightened?

Q3. Where did the fifth servant hide to listen?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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