Inaugural Address(ケネディ「大統領就任演説」)の挿絵

Inaugural Address

ケネディ「大統領就任演説」

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  • 英検1級・ネイティブ目安
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あらすじ43歳、選挙で選ばれた大統領として史上最年少で就任したケネディが、大雪の翌日、雪の残る厳しい寒さの正午すぎに行った演説です。アメリカとソ連が核兵器で向かい合う冷戦のさなか、彼は自由を守る決意を示すと同時に、敵対する国々にも「ともに平和の探求を新しく始めよう」と呼びかけました。「恐れから交渉してはならない。しかし交渉を恐れてもならない」など名文句が多く、とくに「国があなたのために何をしてくれるかではなく、あなたが国のために何ができるかを問うてほしい」は広く知られています。

ジョン・F・ケネディ「大統領就任演説」(1961年1月20日、ワシントンD.C.の連邦議会議事堂前)。底本: 米国国立公文書館 Milestone Documents。米国政府著作物のためパブリックドメイン。

キーワード(15語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • forebears祖先
  • heirs受けつぐ人、相続人
  • tempered鍛えられた
  • hardship苦難
  • asunderばらばらに
  • tyranny圧政
  • subversion転覆活動
  • invectiveののしり
  • adversary敵対者
  • engulfのみこむ
  • civility礼儀正しさ
  • belaboringくどくど論じる
  • eradicate根絶する
  • beachhead足がかり、橋頭堡
  • tribulation苦難

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Vice President Johnson, Mr. Speaker, Mr. Chief Justice, President Eisenhower, Vice President Nixon, President Truman, Reverend Clergy, fellow citizens:

ジョンソン副大統領、下院議長、最高裁判所長官、アイゼンハワー大統領、ニクソン副大統領、トルーマン大統領、聖職者のみなさん、そして市民のみなさん。

We observe today not a victory of party but a celebration of freedom—symbolizing an end as well as a beginning—signifying renewal as well as change. For I have sworn before you and Almighty God the same solemn oath our forbears prescribed nearly a century and three-quarters ago.

今日、私たちが祝っているのは、一つの政党の勝利ではありません。自由の祭典です。それは一つの終わりであり、同時に一つの始まりでもあります。変化であり、同時に再生でもあります。私はいま、みなさんと全能の神の前で、およそ百七十五年前に私たちの祖先が定めたのと同じ、厳粛な誓いを立てたのです。

The world is very different now. For man holds in his mortal hands the power to abolish all forms of human poverty and all forms of human life. And yet the same revolutionary beliefs for which our forebears fought are still at issue around the globe—the belief that the rights of man come not from the generosity of the state but from the hand of God.

世界はいま、大きく変わりました。限りある命しか持たない人間が、その手に、この世からあらゆる貧困をなくす力を持っています。そして同時に、あらゆる人の命を消し去る力も持っているのです。それでもなお、私たちの祖先が戦って守った革命の信念は、いまも世界中で争いの的になっています。人間の権利は、国家が気前よく与えてくれるものではない。神の手から授かったものだ。そういう信念です。

We dare not forget today that we are the heirs of that first revolution. Let the word go forth from this time and place, to friend and foe alike, that the torch has been passed to a new generation of Americans—born in this century, tempered by war, disciplined by a hard and bitter peace, proud of our ancient heritage—and unwilling to witness or permit the slow undoing of those human rights to which this nation has always been committed, and to which we are committed today at home and around the world.

今日、私たちは忘れてはなりません。私たちは、あの最初の革命を受けついだ者なのです。この時、この場所から、味方にも敵にも、こう伝えようではありませんか。たいまつは、新しい世代のアメリカ人に受けわたされた、と。その世代は、今世紀に生まれ、戦争できたえられ、きびしく苦い平和のもとで身を引きしめてきました。古くからの伝統を誇りに思っています。そして、人権が少しずつ崩されていくのを、黙って見ていることも、許すこともしません。この国がつねに守ると誓ってきた人権であり、今日、私たちが国の内でも外でも守ると誓っている人権です。

Let every nation know, whether it wishes us well or ill, that we shall pay any price, bear any burden, meet any hardship, support any friend, oppose any foe to assure the survival and the success of liberty.

私たちの幸せを願う国にも、不幸を願う国にも、すべての国に知ってもらいましょう。自由が生きのび、勝利をおさめるためなら、私たちはどんな代償も払い、どんな重荷も背負い、どんな苦難にも立ち向かい、どんな友も支え、どんな敵とも戦うのだ、と。

This much we pledge—and more.

これだけのことを、私たちは誓います。いや、それ以上のことも誓います。

To those old allies whose cultural and spiritual origins we share, we pledge the loyalty of faithful friends. United there is little we cannot do in a host of cooperative ventures. Divided there is little we can do—for we dare not meet a powerful challenge at odds and split asunder.

文化と心の源を同じくする、古くからの同盟国には、誠実な友として変わらぬ忠誠を誓います。手を結べば、力を合わせてやる数多くの事業で、できないことはほとんどありません。ばらばらになれば、できることはほとんどありません。仲たがいして分裂したままでは、大きな挑戦に立ち向かうことなど、とてもできないからです。

To those new states whom we welcome to the ranks of the free, we pledge our word that one form of colonial control shall not have passed away merely to be replaced by a far more iron tyranny. We shall not always expect to find them supporting our view. But we shall always hope to find them strongly supporting their own freedom—and to remember that, in the past, those who foolishly sought power by riding the back of the tiger ended up inside.

自由な国々の仲間として、私たちが新しく迎える国々には、こう約束します。植民地支配が一つ終わったのは、それよりはるかに過酷な圧政にとって代わられるためではない、と。こうした国々が、いつも私たちと同じ意見でいてくれるとは思っていません。けれども、自分たちの自由だけは、いつもしっかり守り通してほしいと願っています。そして、どうか覚えておいてほしいのです。かつて、権力ほしさに愚かにも虎の背にまたがった者たちは、最後には虎に食われてしまったのだということを。

To those people in the huts and villages of half the globe struggling to break the bonds of mass misery, we pledge our best efforts to help them help themselves, for whatever period is required—not because the communists may be doing it, not because we seek their votes, but because it is right. If a free society cannot help the many who are poor, it cannot save the few who are rich.

地球の半分では、粗末な小屋や村に住む人々が、多くの人を苦しめる貧しさの鎖を断ち切ろうと、もがいています。その人々には、自分の力で立ち上がれるよう、私たちが全力で手助けすることを約束します。どれほど長くかかろうとも、です。共産主義者がそうしているかもしれないから、ではありません。票がほしいから、でもありません。それが正しいことだからです。自由な社会が、貧しい大勢の人々を助けられないのなら、豊かな少数の人々を救うこともできないのです。

To our sister republics south of our border, we offer a special pledge—to convert our good words into good deeds—in a new alliance for progress—to assist free men and free governments in casting off the chains of poverty. But this peaceful revolution of hope cannot become the prey of hostile powers. Let all our neighbors know that we shall join with them to oppose aggression or subversion anywhere in the Americas. And let every other power know that this Hemisphere intends to remain the master of its own house.

国境の南にある、姉妹ともいうべき共和国の人々には、特別な約束をします。よい言葉を、よい行いに変えてみせます。「進歩のための同盟」という新しい協力のもとで、自由な人々と自由な政府が、貧しさの鎖をふりほどくのを助けます。しかし、この平和で希望に満ちた革命を、敵対する勢力の餌食にさせてはなりません。すべての隣人に知ってもらいましょう。南北アメリカのどこであれ、侵略や政府の転覆をくわだてる動きがあれば、私たちは隣人とともにそれに立ち向かいます。そして、ほかのすべての大国にも知ってもらいましょう。この西半球は、これからも自分の家の主人であり続けるのだ、と。

To that world assembly of sovereign states, the United Nations, our last best hope in an age where the instruments of war have far outpaced the instruments of peace, we renew our pledge of support—to prevent it from becoming merely a forum for invective—to strengthen its shield of the new and the weak—and to enlarge the area in which its writ may run.

主権を持つ国々が世界中から集まる場、国際連合。戦争の道具が、平和の道具をはるかに追いこしてしまったこの時代に、国連は私たちの最後にして最良の希望です。その国連を支えるという約束を、ここで新たにします。国連がただののしり合うだけの場になるのを防ぎます。新しい国や弱い国を守る盾を、もっと強くします。そして、国連の決定が通用する範囲を、もっと広げていきます。

Finally, to those nations who would make themselves our adversary, we offer not a pledge but a request: that both sides begin anew the quest for peace, before the dark powers of destruction unleashed by science engulf all humanity in planned or accidental self-destruction.

最後に、私たちの敵になろうとする国々には、約束ではなく、お願いをします。平和への道を、双方がもう一度、新しく探し始めようではありませんか。科学が解き放った破壊の暗い力が、全人類をのみこんでしまう前に。人類が、計画してであれ、事故によってであれ、自分で自分を滅ぼしてしまう前に。

We dare not tempt them with weakness. For only when our arms are sufficient beyond doubt can we be certain beyond doubt that they will never be employed.

こちらの弱さを見せて、相手に手を出させるようなまねは、決してしてはなりません。私たちの軍備が、疑いようもなく十分であるときにだけ、それが決して使われないと、疑いようもなく確信できるのです。

But neither can two great and powerful groups of nations take comfort from our present course—both sides overburdened by the cost of modern weapons, both rightly alarmed by the steady spread of the deadly atom, yet both racing to alter that uncertain balance of terror that stays the hand of mankind's final war.

しかし、二つの強大な陣営のどちらも、いまのやり方に安心していることはできません。どちらも、最新の兵器にかかる費用に押しつぶされそうになっています。どちらも、死をもたらす原子の力がじわじわと広がっていることを、当然ながら恐れています。それなのに、どちらも、人類最後の戦争を思いとどまらせている、あの危うい恐怖の均衡を、自分に有利に変えようと競い合っているのです。

So let us begin anew—remembering on both sides that civility is not a sign of weakness, and sincerity is always subject to proof. Let us never negotiate out of fear. But let us never fear to negotiate.

ですから、新しく始めようではありませんか。礼儀正しさは、弱さのしるしではありません。誠意は、つねに行いで示さなければなりません。双方がこのことを心にとめておくのです。恐れから交渉することは、決してしないようにしましょう。しかし、交渉することを恐れることも、決してしないようにしましょう。

Let both sides explore what problems unite us instead of belaboring those problems which divide us.

私たちを分けへだてている問題を、くどくどと言い争うのはやめましょう。そのかわりに、私たちを結びつける問題は何かを、双方でさがそうではありませんか。

Let both sides, for the first time, formulate serious and precise proposals for the inspection and control of arms—and bring the absolute power to destroy other nations under the absolute control of all nations.

双方が、初めて、軍備の査察と管理について、真剣で具体的な案をまとめようではありませんか。ほかの国々を滅ぼすことのできる絶対的な力を、すべての国々による絶対的な管理のもとに置こうではありませんか。

Let both sides seek to invoke the wonders of science instead of its terrors. Together let us explore the stars, conquer the deserts, eradicate disease, tap the ocean depths and encourage the arts and commerce.

双方が、科学の恐ろしさではなく、科学のすばらしさを引き出そうではありませんか。ともに星々を探検し、砂漠を切りひらき、病気を根絶し、深海の資源を活用し、芸術と通商を盛んにしようではありませんか。

Let both sides unite to heed in all corners of the earth the command of Isaiah—to "undo the heavy burdens . . . (and) let the oppressed go free."

双方が手を結び、地上のすみずみで、預言者イザヤの命じた言葉に従おうではありませんか。「重い荷のくびきを解き、しいたげられた者を自由にせよ」という言葉に。

And if a beachhead of cooperation may push back the jungle of suspicion, let both sides join in creating a new endeavor, not a new balance of power, but a new world of law, where the strong are just and the weak secure and the peace preserved.

協力という小さな足場を築くことで、疑いというジャングルを少しでも押し返せるのなら、双方で力を合わせて、新しい事業に取りかかろうではありませんか。めざすのは、新しい力の均衡ではありません。新しい法の世界です。強い者は正しくふるまい、弱い者は安心して暮らせ、平和が守られる世界です。

All this will not be finished in the first one hundred days. Nor will it be finished in the first one thousand days, nor in the life of this Administration, nor even perhaps in our lifetime on this planet. But let us begin.

このすべてが、最初の百日で終わることはないでしょう。最初の千日でも終わらないでしょう。この政権のあいだにも終わらないでしょう。もしかすると、この地上で私たちが生きているあいだにも、終わらないかもしれません。それでも、始めようではありませんか。

In your hands, my fellow citizens, more than mine, will rest the final success or failure of our course. Since this country was founded, each generation of Americans has been summoned to give testimony to its national loyalty. The graves of young Americans who answered the call to service surround the globe.

国民のみなさん、私たちの歩む道が最後に成功するか失敗するかは、私の手よりも、むしろみなさんの手にかかっています。この国ができてから、アメリカ人はどの世代も、国への忠誠を示すよう求められてきました。その呼びかけに応えて国のために尽くした若いアメリカ人たちの墓が、いまや地球をぐるりと取り巻いています。

Now the trumpet summons us again—not as a call to bear arms, though arms we need—not as a call to battle, though embattled we are—but a call to bear the burden of a long twilight struggle, year in and year out, "rejoicing in hope, patient in tribulation"—a struggle against the common enemies of man: tyranny, poverty, disease and war itself.

いま、ふたたびラッパが私たちを呼んでいます。武器を取れという呼びかけではありません。武器は必要ですが。戦場へ出よという呼びかけでもありません。私たちはすでに戦いのさなかにいますが。そうではなく、長い薄明かりの中の闘いの重荷を背負え、という呼びかけなのです。来る年も来る年も、「望みを抱いて喜び、苦難に耐え」ながら続ける闘いです。その相手は、人類共通の敵です。圧政、貧困、病気、そして戦争そのものです。

Can we forge against these enemies a grand and global alliance, North and South, East and West, that can assure a more fruitful life for all mankind? Will you join in that historic effort?

こうした敵に立ち向かうために、北と南、東と西を結ぶ、世界規模の大きな同盟をつくることはできないでしょうか。全人類に、もっと実り豊かな暮らしをもたらす同盟です。みなさんは、この歴史的な取り組みに加わってくださいますか。

In the long history of the world, only a few generations have been granted the role of defending freedom in its hour of maximum danger. I do not shrink from this responsibility—I welcome it. I do not believe that any of us would exchange places with any other people or any other generation. The energy, the faith, the devotion which we bring to this endeavor will light our country and all who serve it—and the glow from that fire can truly light the world.

世界の長い歴史の中で、自由がもっとも大きな危機にさらされたときに、それを守る役目を与えられた世代は、ほんのわずかしかありません。私はこの責任から逃げません。むしろ、喜んで引き受けます。私たちのうちの誰一人として、ほかの国の人々や、ほかの時代の人々と立場を代わりたいとは思わないはずです。私たちがこの取り組みにそそぐ力と信念と献身は、わが国と、国に尽くすすべての人を照らすでしょう。そして、その炎の輝きは、まさに世界をも照らすことができるのです。

And so, my fellow Americans: ask not what your country can do for you—ask what you can do for your country.

だからこそ、アメリカ国民のみなさん。国があなたのために何をしてくれるかを問うのではなく、あなたが国のために何ができるかを問うてほしいのです。

My fellow citizens of the world: ask not what America will do for you, but what together we can do for the freedom of man.

世界の市民のみなさん。アメリカがあなたのために何をしてくれるかではなく、人類の自由のために、私たちがともに何ができるかを問うてほしいのです。

Finally, whether you are citizens of America or citizens of the world, ask of us here the same high standards of strength and sacrifice which we ask of you. With a good conscience our only sure reward, with history the final judge of our deeds, let us go forth to lead the land we love, asking His blessing and His help, but knowing that here on earth God's work must truly be our own.

最後に、アメリカの市民であれ、世界の市民であれ、みなさんにお願いします。私たちがみなさんに求めるのと同じくらい高い水準の強さと犠牲を、ここにいる私たちにも求めてください。確かな報いは、やましいところのない良心だけ。私たちの行いを最後に裁くのは、歴史です。そう心に決めて、愛するこの国を導くために、前へ進もうではありませんか。神の祝福と助けを願いながら。しかし、この地上では、神の仕事は、まことに私たち自身の手でなしとげなければならないのだと知りながら。

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ジョンソン副大統領、下院議長、最高裁判所長官、アイゼンハワー大統領、ニクソン副大統領、トルーマン大統領、聖職者のみなさん、そして市民のみなさん。

今日、私たちが祝っているのは、一つの政党の勝利ではありません。自由の祭典です。それは一つの終わりであり、同時に一つの始まりでもあります。変化であり、同時に再生でもあります。私はいま、みなさんと全能の神の前で、およそ百七十五年前に私たちの祖先が定めたのと同じ、厳粛な誓いを立てたのです。

世界はいま、大きく変わりました。限りある命しか持たない人間が、その手に、この世からあらゆる貧困をなくす力を持っています。そして同時に、あらゆる人の命を消し去る力も持っているのです。それでもなお、私たちの祖先が戦って守った革命の信念は、いまも世界中で争いの的になっています。人間の権利は、国家が気前よく与えてくれるものではない。神の手から授かったものだ。そういう信念です。

今日、私たちは忘れてはなりません。私たちは、あの最初の革命を受けついだ者なのです。この時、この場所から、味方にも敵にも、こう伝えようではありませんか。たいまつは、新しい世代のアメリカ人に受けわたされた、と。その世代は、今世紀に生まれ、戦争できたえられ、きびしく苦い平和のもとで身を引きしめてきました。古くからの伝統を誇りに思っています。そして、人権が少しずつ崩されていくのを、黙って見ていることも、許すこともしません。この国がつねに守ると誓ってきた人権であり、今日、私たちが国の内でも外でも守ると誓っている人権です。

私たちの幸せを願う国にも、不幸を願う国にも、すべての国に知ってもらいましょう。自由が生きのび、勝利をおさめるためなら、私たちはどんな代償も払い、どんな重荷も背負い、どんな苦難にも立ち向かい、どんな友も支え、どんな敵とも戦うのだ、と。

これだけのことを、私たちは誓います。いや、それ以上のことも誓います。

文化と心の源を同じくする、古くからの同盟国には、誠実な友として変わらぬ忠誠を誓います。手を結べば、力を合わせてやる数多くの事業で、できないことはほとんどありません。ばらばらになれば、できることはほとんどありません。仲たがいして分裂したままでは、大きな挑戦に立ち向かうことなど、とてもできないからです。

自由な国々の仲間として、私たちが新しく迎える国々には、こう約束します。植民地支配が一つ終わったのは、それよりはるかに過酷な圧政にとって代わられるためではない、と。こうした国々が、いつも私たちと同じ意見でいてくれるとは思っていません。けれども、自分たちの自由だけは、いつもしっかり守り通してほしいと願っています。そして、どうか覚えておいてほしいのです。かつて、権力ほしさに愚かにも虎の背にまたがった者たちは、最後には虎に食われてしまったのだということを。

地球の半分では、粗末な小屋や村に住む人々が、多くの人を苦しめる貧しさの鎖を断ち切ろうと、もがいています。その人々には、自分の力で立ち上がれるよう、私たちが全力で手助けすることを約束します。どれほど長くかかろうとも、です。共産主義者がそうしているかもしれないから、ではありません。票がほしいから、でもありません。それが正しいことだからです。自由な社会が、貧しい大勢の人々を助けられないのなら、豊かな少数の人々を救うこともできないのです。

国境の南にある、姉妹ともいうべき共和国の人々には、特別な約束をします。よい言葉を、よい行いに変えてみせます。「進歩のための同盟」という新しい協力のもとで、自由な人々と自由な政府が、貧しさの鎖をふりほどくのを助けます。しかし、この平和で希望に満ちた革命を、敵対する勢力の餌食にさせてはなりません。すべての隣人に知ってもらいましょう。南北アメリカのどこであれ、侵略や政府の転覆をくわだてる動きがあれば、私たちは隣人とともにそれに立ち向かいます。そして、ほかのすべての大国にも知ってもらいましょう。この西半球は、これからも自分の家の主人であり続けるのだ、と。

主権を持つ国々が世界中から集まる場、国際連合。戦争の道具が、平和の道具をはるかに追いこしてしまったこの時代に、国連は私たちの最後にして最良の希望です。その国連を支えるという約束を、ここで新たにします。国連がただののしり合うだけの場になるのを防ぎます。新しい国や弱い国を守る盾を、もっと強くします。そして、国連の決定が通用する範囲を、もっと広げていきます。

最後に、私たちの敵になろうとする国々には、約束ではなく、お願いをします。平和への道を、双方がもう一度、新しく探し始めようではありませんか。科学が解き放った破壊の暗い力が、全人類をのみこんでしまう前に。人類が、計画してであれ、事故によってであれ、自分で自分を滅ぼしてしまう前に。

こちらの弱さを見せて、相手に手を出させるようなまねは、決してしてはなりません。私たちの軍備が、疑いようもなく十分であるときにだけ、それが決して使われないと、疑いようもなく確信できるのです。

しかし、二つの強大な陣営のどちらも、いまのやり方に安心していることはできません。どちらも、最新の兵器にかかる費用に押しつぶされそうになっています。どちらも、死をもたらす原子の力がじわじわと広がっていることを、当然ながら恐れています。それなのに、どちらも、人類最後の戦争を思いとどまらせている、あの危うい恐怖の均衡を、自分に有利に変えようと競い合っているのです。

ですから、新しく始めようではありませんか。礼儀正しさは、弱さのしるしではありません。誠意は、つねに行いで示さなければなりません。双方がこのことを心にとめておくのです。恐れから交渉することは、決してしないようにしましょう。しかし、交渉することを恐れることも、決してしないようにしましょう。

私たちを分けへだてている問題を、くどくどと言い争うのはやめましょう。そのかわりに、私たちを結びつける問題は何かを、双方でさがそうではありませんか。

双方が、初めて、軍備の査察と管理について、真剣で具体的な案をまとめようではありませんか。ほかの国々を滅ぼすことのできる絶対的な力を、すべての国々による絶対的な管理のもとに置こうではありませんか。

双方が、科学の恐ろしさではなく、科学のすばらしさを引き出そうではありませんか。ともに星々を探検し、砂漠を切りひらき、病気を根絶し、深海の資源を活用し、芸術と通商を盛んにしようではありませんか。

双方が手を結び、地上のすみずみで、預言者イザヤの命じた言葉に従おうではありませんか。「重い荷のくびきを解き、しいたげられた者を自由にせよ」という言葉に。

協力という小さな足場を築くことで、疑いというジャングルを少しでも押し返せるのなら、双方で力を合わせて、新しい事業に取りかかろうではありませんか。めざすのは、新しい力の均衡ではありません。新しい法の世界です。強い者は正しくふるまい、弱い者は安心して暮らせ、平和が守られる世界です。

このすべてが、最初の百日で終わることはないでしょう。最初の千日でも終わらないでしょう。この政権のあいだにも終わらないでしょう。もしかすると、この地上で私たちが生きているあいだにも、終わらないかもしれません。それでも、始めようではありませんか。

国民のみなさん、私たちの歩む道が最後に成功するか失敗するかは、私の手よりも、むしろみなさんの手にかかっています。この国ができてから、アメリカ人はどの世代も、国への忠誠を示すよう求められてきました。その呼びかけに応えて国のために尽くした若いアメリカ人たちの墓が、いまや地球をぐるりと取り巻いています。

いま、ふたたびラッパが私たちを呼んでいます。武器を取れという呼びかけではありません。武器は必要ですが。戦場へ出よという呼びかけでもありません。私たちはすでに戦いのさなかにいますが。そうではなく、長い薄明かりの中の闘いの重荷を背負え、という呼びかけなのです。来る年も来る年も、「望みを抱いて喜び、苦難に耐え」ながら続ける闘いです。その相手は、人類共通の敵です。圧政、貧困、病気、そして戦争そのものです。

こうした敵に立ち向かうために、北と南、東と西を結ぶ、世界規模の大きな同盟をつくることはできないでしょうか。全人類に、もっと実り豊かな暮らしをもたらす同盟です。みなさんは、この歴史的な取り組みに加わってくださいますか。

世界の長い歴史の中で、自由がもっとも大きな危機にさらされたときに、それを守る役目を与えられた世代は、ほんのわずかしかありません。私はこの責任から逃げません。むしろ、喜んで引き受けます。私たちのうちの誰一人として、ほかの国の人々や、ほかの時代の人々と立場を代わりたいとは思わないはずです。私たちがこの取り組みにそそぐ力と信念と献身は、わが国と、国に尽くすすべての人を照らすでしょう。そして、その炎の輝きは、まさに世界をも照らすことができるのです。

だからこそ、アメリカ国民のみなさん。国があなたのために何をしてくれるかを問うのではなく、あなたが国のために何ができるかを問うてほしいのです。

世界の市民のみなさん。アメリカがあなたのために何をしてくれるかではなく、人類の自由のために、私たちがともに何ができるかを問うてほしいのです。

最後に、アメリカの市民であれ、世界の市民であれ、みなさんにお願いします。私たちがみなさんに求めるのと同じくらい高い水準の強さと犠牲を、ここにいる私たちにも求めてください。確かな報いは、やましいところのない良心だけ。私たちの行いを最後に裁くのは、歴史です。そう心に決めて、愛するこの国を導くために、前へ進もうではありませんか。神の祝福と助けを願いながら。しかし、この地上では、神の仕事は、まことに私たち自身の手でなしとげなければならないのだと知りながら。

日本語訳:多読ベスト

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このお話の教訓 Moral

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ask not what your country can do for you—ask what you can do for your country.

国があなたのために何をしてくれるかを問うのではなく、あなたが国のために何ができるかを問うてほしい。

理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. What does Kennedy say man now holds in his mortal hands?

Q2. What does Kennedy offer to nations that would be America's adversary?

Q3. What does Kennedy ask his fellow Americans to ask?

🎥 本物を見る・聞く 実際のスピーチ

🎥 映像・John F. Kennedy Library FoundationInaugural Address of John F. Kennedy (USG 17 MI)ケネディ大統領図書館の公式映像。宣誓から就任演説の全体まで(約15分)

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