Toshishun(杜子春)の挿絵
Level 4 Intermediate日本の昔話と名作

Toshishun

杜子春

  • 📖 1,131 words
  • ⏱ 約10分
  • 🔊 6:27
  • YL 2.5–3.4
  • 英検2級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ唐の都・洛陽の門の下で途方にくれていた若者、杜子春。ふしぎな老人の言葉で大金持ちになりますが、お金とともに友だちも去っていきます。やがて彼は、仙人になりたいと願うのでした。

芥川龍之介『杜子春』(1920年)をもとに再話

キーワード(10語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • dynasty王朝
  • peacocksクジャク
  • selfish自分勝手な
  • sennin仙人
  • wizard魔法使い
  • cliffがけ
  • underworld死者の国・あの世
  • furious激しく怒った
  • whipsむち
  • on the spotその場で
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It was a spring evening long ago in Luoyang, the great capital of the Tang dynasty in China. A young man named Toshishun was standing alone by the west gate of the city, looking up at the sky.

むかし、中国の唐の都、洛陽での、ある春の夕暮れのことです。杜子春という若者が、都の西の門のそばにひとりで立って、空を見上げていました。

Toshishun was the son of a rich man, but after his father died, he had spent all of the money. Now he was so poor that he did not even have a place to sleep that night. The setting sun was shining on the gate, and crowds of people were passing by. Toshishun watched them and thought, "I am hungry, and no one will let me stay for the night. Maybe it would be better to throw myself into the river."

杜子春はお金持ちの息子でしたが、父親が亡くなったあと、財産をすっかり使い果たしてしまいました。今ではひどく貧しくなり、その晩寝るところさえないありさまでした。夕日が門を照らし、たくさんの人びとが行き来していました。杜子春はその人びとをながめながら考えました。「腹はへっているし、だれも今夜とめてはくれない。いっそ川に身を投げてしまったほうがましかもしれない」

Just then, an old man with one blind eye appeared in front of him. "What are you thinking about?" the old man asked.

ちょうどそのとき、片目の見えない一人の老人が、杜子春の前にあらわれました。「おまえは何を考えているのだ?」と、老人はたずねました。

"I have nowhere to sleep tonight," said Toshishun, "and I don't know what to do."

「今夜寝るところがないのです」と、杜子春は答えました。「どうしたらいいのか分からないのです」

"Is that so? Then I will tell you something good," said the old man. "Stand here in the light of the setting sun. Look at the place where the shadow of your head falls on the ground. Tonight at midnight, dig there. You will find a whole cart full of gold." Then the old man disappeared.

「そうか。それなら、よいことを教えてやろう」と、老人は言いました。「この夕日の中に立って、おまえの影が地面にうつったら、その頭にあたるところを見てごらん。今夜の真夜中に、そこをほるのだ。車いっぱいの黄金が出てくるだろう」そう言うと、老人は消えてしまいました。

Toshishun did as he was told, and he found a huge pile of gold. The next day, he became the richest man in Luoyang. He bought a beautiful house and lived like a king. He drank fine wine from faraway lands and kept peacocks in his garden. People who had never said hello to him before now came to visit him every day. He gave wonderful parties for them all.

杜子春が言われたとおりにすると、山のような黄金が出てきました。次の日、杜子春は洛陽一のお金持ちになりました。美しい屋敷を買い、王さまのような暮らしをしました。遠い国から取りよせた上等のお酒を飲み、庭にはクジャクを飼いました。それまであいさつ一つしなかった人たちが、今では毎日のように訪ねてくるようになりました。杜子春は、その人たちみんなのために、すばらしい宴会を開いてやりました。

But no amount of money lasts forever when you spend it like that. In three years, Toshishun was poor again. And when he became poor, his friends stopped visiting. When he passed their houses, they did not even say hello. In the end, no one would give him even a cup of water.

けれども、そんなふうに使っていれば、どれほどのお金でもいつまでも続くものではありません。三年たつと、杜子春はまた貧乏になってしまいました。そして貧乏になると、友人たちは訪ねてこなくなりました。杜子春が家の前を通っても、あいさつさえしません。しまいには、水一杯めぐんでくれる者もいなくなりました。

So one spring evening, he found himself again standing by the west gate of Luoyang. And again, the old man with one eye appeared. "Dig where the shadow of your chest falls," the old man said. Toshishun became rich again, and once again he spent it all in three years.

そうして、ある春の夕暮れ、杜子春はまた洛陽の西の門のそばに立っていました。すると、またあの片目の老人があらわれました。「おまえの影の、胸にあたるところをほるがよい」と、老人は言いました。杜子春はふたたびお金持ちになり、そしてまた三年で、それをすっかり使い果たしてしまいました。

When he stood at the west gate for the third time, the old man appeared again. "Dig where the shadow of your stomach falls," he began. But Toshishun shook his head.

三度目に西の門の前に立ったときも、老人はまたあらわれました。「おまえの影の、腹にあたるところを……」と、老人は言いかけました。けれども、杜子春は首を横にふりました。

"No, I don't want money anymore," he said. "I am tired of people. When I am rich, they are all kind to me. When I am poor, they don't even look at me. People are cold and selfish. Sir, I think you are a sennin, a wizard who lives in the mountains. Please let me be your student. I want to learn magic like you."

「いいえ、お金はもういりません」と、杜子春は言いました。「人間というものに、あきあきしてしまったのです。お金持ちのときには、みんなやさしくしてくれます。貧乏になると、見向きもしません。人間は薄情で、自分勝手です。あなたは仙人、つまり山にすむ術使いなのでしょう。どうか、わたしを弟子にしてください。あなたのように仙術を習いたいのです」

The old man laughed. "You are right. I am a sennin named Tekkanshi, and I live on Mount Gabi. Very well, I will take you as my student." He picked up a bamboo stick, and the two of them sat on it. The stick rose into the evening sky and flew like a dragon across the mountains to Mount Gabi.

老人は笑いました。「よく見ぬいたな。わしは鉄冠子という仙人で、峨眉山に住んでいる。よろしい、おまえを弟子にしてやろう」老人は竹のつえを一本拾い上げ、二人はそれにまたがりました。つえは夕空へと舞い上がり、竜のように山々をこえて、峨眉山へと飛んでいきました。

Tekkanshi sat Toshishun down on a flat rock at the top of a high cliff. "I must go away for a while," he said. "While I am gone, many demons will come to trick you. But whatever happens, you must never say a single word. If you speak even once, you can never become a sennin. Do you understand?" "I will not say a word, even if I die," said Toshishun.

鉄冠子は、高いがけの上にある平らな岩に、杜子春をすわらせました。「わしはしばらく出かけねばならぬ」と、鉄冠子は言いました。「わしのいないあいだに、たくさんの魔物がおまえをたぶらかしにやって来るだろう。だが、何が起ころうと、決して一言も口をきいてはならぬ。一度でも声を出したら、おまえは決して仙人にはなれぬ。分かったな?」「たとえ死んでも、一言も口をききません」と、杜子春は答えました。

When the old man left, a voice came from the darkness. "Who are you? Answer me!" Toshishun said nothing. Then a huge tiger and a white snake came at him, but he did not move, and they disappeared. A terrible storm came, with thunder and lightning and a waterfall of rain, but still he said nothing. At last, a giant god in golden armor appeared. "If you do not answer," said the god, "I will take your life." Toshishun kept silent. The god struck him with his spear, and Toshishun's spirit left his body.

老人が去ると、やみの中から声がしました。「おまえは何者だ?答えろ!」杜子春は何も言いませんでした。すると、大きなトラと白いヘビがおそいかかってきましたが、杜子春が身動きひとつしなかったので、どちらも消えてしまいました。次は、すさまじい嵐です。雷が鳴り、いなずまが光り、雨が滝のように降りました。それでも杜子春はだまっていました。とうとう、金のよろいを着た巨大な神があらわれました。「答えぬなら」と、神は言いました。「命をもらうぞ」杜子春はだまりつづけました。神はほこで杜子春をつきさし、杜子春のたましいは体からぬけ出していきました。

His spirit fell down and down into the world of the dead and arrived in front of King Enma, the king of the underworld. "Why were you sitting on Mount Gabi?" asked the king. Toshishun did not answer. So the demons gave him every kind of pain that the underworld has. They pushed him up the mountain of needles and into lakes of fire and ice. But Toshishun did not say one word.

杜子春のたましいは、どこまでも落ちていきました。そして死者の国に着き、地獄の王、閻魔大王の前にやって来ました。「おまえは、なぜ峨眉山にすわっていたのだ?」と、大王はたずねました。杜子春は答えませんでした。そこで鬼たちは、地獄にあるありとあらゆる責め苦を杜子春にあたえました。針の山に追い上げ、火の池や氷の池につき落としたのです。けれども、杜子春は一言も口をききませんでした。

King Enma became furious. "Bring his parents!" he shouted. The demons brought in two thin, weak horses. Toshishun looked at their faces and was shocked. They had the faces of his dead father and mother.

閻魔大王はかんかんに怒りました。「こやつの父母を連れてこい!」と、大王はどなりました。鬼たちは、やせおとろえた二頭の馬を引いてきました。杜子春はその顔を見て、ぎょっとしました。それは、亡くなった父と母の顔だったのです。

"Now," said the king, "tell me why you were sitting on Mount Gabi. If you do not, your parents will suffer." Toshishun shut his eyes and said nothing. The demons raised their iron whips and struck the horses again and again. The horses cried out in pain. Still, Toshishun kept his eyes shut and remembered the old man's words.

「さあ」と、大王は言いました。「なぜ峨眉山にすわっていたのか言え。言わぬなら、おまえの父母が苦しむことになるぞ」杜子春は目を閉じて、何も言いませんでした。鬼たちは鉄のむちをふり上げて、二頭の馬を何度も何度も打ちすえました。馬たちは苦しそうにいななきました。それでも杜子春は目を閉じたまま、老人の言葉を思い出していました。

Then he heard a faint voice. It was his mother's voice. "Don't worry about us," she said softly. "Whatever happens to us, if you can be happy, that is all that matters. If you do not want to speak, do not speak."

そのとき、かすかな声が聞こえました。それはお母さんの声でした。「わたしたちのことは心配しなくていいのだよ」と、お母さんはやさしく言いました。「わたしたちがどうなろうと、おまえさえ幸せになれるなら、それでいいのです。言いたくないなら、だまっておいで」

Toshishun opened his eyes. His mother was lying on the ground, too weak to stand, looking at him with love. She was not angry with him at all. He thought of all the people who had been kind to him only when he was rich. How different his mother's love was! He forgot the old man's words. He ran to her, put his arms around her neck, and cried, "Mother!"

杜子春は目を開けました。お母さんは立ち上がる力もなく地面にたおれたまま、愛情のこもった目で杜子春を見つめていました。少しも杜子春をうらんではいなかったのです。杜子春は、自分がお金持ちのときだけやさしくしてくれた人びとのことを思い出しました。お母さんの愛は、それとはなんとちがうことでしょう!杜子春は老人の言葉を忘れました。お母さんのもとへかけ寄り、その首にだきついて、「お母さん!」とさけびました。

The next moment, he was standing by the west gate of Luoyang in the spring evening light. The old man with one eye was standing beside him, smiling.

次の瞬間、杜子春は春の夕暮れの光の中、洛陽の西の門のそばに立っていました。そのかたわらには、あの片目の老人が、ほほえみながら立っていました。

"Well?" said the old man. "You cannot become a sennin now, can you?" "No, I can't," said Toshishun with tears in his eyes. "But I am glad that I couldn't."

「どうだな?」と、老人は言いました。「これでは、もう仙人にはなれまい?」「はい、なれません」と、杜子春は目に涙をうかべて答えました。「でも、なれなかったことを、うれしく思います」

"If you had stayed silent then," said the old man, "I would have taken your life on the spot. Now, what do you want to do?" "Whatever I become," said Toshishun, "I want to live an honest life, as a human being."

「もしあのとき、おまえがだまっていたら」と、老人は言いました。「わしはその場でおまえの命をうばっていただろう。さて、これからどうするつもりだ?」「何になろうとも」と、杜子春は言いました。「人間らしい、正直な暮らしをしたいと思います」

"Don't forget those words," said the old man. "We will not meet again. But I have a little house at the foot of Mount Taizan. The peach trees around it are in full bloom now. Go and live there." And he laughed a happy laugh.

「その言葉を忘れるでないぞ」と、老人は言いました。「わしとは、もう二度と会うことはあるまい。だが、泰山のふもとに、わしの小さな家が一軒ある。そのまわりの桃の木が、今ちょうど花ざかりだ。そこへ行って住むがよい」そう言って、老人はさも愉快そうに笑いました。

📖 全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

むかし、中国の唐の都、洛陽での、ある春の夕暮れのことです。杜子春という若者が、都の西の門のそばにひとりで立って、空を見上げていました。

杜子春はお金持ちの息子でしたが、父親が亡くなったあと、財産をすっかり使い果たしてしまいました。今ではひどく貧しくなり、その晩寝るところさえないありさまでした。夕日が門を照らし、たくさんの人びとが行き来していました。杜子春はその人びとをながめながら考えました。「腹はへっているし、だれも今夜とめてはくれない。いっそ川に身を投げてしまったほうがましかもしれない」

ちょうどそのとき、片目の見えない一人の老人が、杜子春の前にあらわれました。「おまえは何を考えているのだ?」と、老人はたずねました。

「今夜寝るところがないのです」と、杜子春は答えました。「どうしたらいいのか分からないのです」

「そうか。それなら、よいことを教えてやろう」と、老人は言いました。「この夕日の中に立って、おまえの影が地面にうつったら、その頭にあたるところを見てごらん。今夜の真夜中に、そこをほるのだ。車いっぱいの黄金が出てくるだろう」そう言うと、老人は消えてしまいました。

杜子春が言われたとおりにすると、山のような黄金が出てきました。次の日、杜子春は洛陽一のお金持ちになりました。美しい屋敷を買い、王さまのような暮らしをしました。遠い国から取りよせた上等のお酒を飲み、庭にはクジャクを飼いました。それまであいさつ一つしなかった人たちが、今では毎日のように訪ねてくるようになりました。杜子春は、その人たちみんなのために、すばらしい宴会を開いてやりました。

けれども、そんなふうに使っていれば、どれほどのお金でもいつまでも続くものではありません。三年たつと、杜子春はまた貧乏になってしまいました。そして貧乏になると、友人たちは訪ねてこなくなりました。杜子春が家の前を通っても、あいさつさえしません。しまいには、水一杯めぐんでくれる者もいなくなりました。

そうして、ある春の夕暮れ、杜子春はまた洛陽の西の門のそばに立っていました。すると、またあの片目の老人があらわれました。「おまえの影の、胸にあたるところをほるがよい」と、老人は言いました。杜子春はふたたびお金持ちになり、そしてまた三年で、それをすっかり使い果たしてしまいました。

三度目に西の門の前に立ったときも、老人はまたあらわれました。「おまえの影の、腹にあたるところを……」と、老人は言いかけました。けれども、杜子春は首を横にふりました。

「いいえ、お金はもういりません」と、杜子春は言いました。「人間というものに、あきあきしてしまったのです。お金持ちのときには、みんなやさしくしてくれます。貧乏になると、見向きもしません。人間は薄情で、自分勝手です。あなたは仙人、つまり山にすむ術使いなのでしょう。どうか、わたしを弟子にしてください。あなたのように仙術を習いたいのです」

老人は笑いました。「よく見ぬいたな。わしは鉄冠子という仙人で、峨眉山に住んでいる。よろしい、おまえを弟子にしてやろう」老人は竹のつえを一本拾い上げ、二人はそれにまたがりました。つえは夕空へと舞い上がり、竜のように山々をこえて、峨眉山へと飛んでいきました。

鉄冠子は、高いがけの上にある平らな岩に、杜子春をすわらせました。「わしはしばらく出かけねばならぬ」と、鉄冠子は言いました。「わしのいないあいだに、たくさんの魔物がおまえをたぶらかしにやって来るだろう。だが、何が起ころうと、決して一言も口をきいてはならぬ。一度でも声を出したら、おまえは決して仙人にはなれぬ。分かったな?」「たとえ死んでも、一言も口をききません」と、杜子春は答えました。

老人が去ると、やみの中から声がしました。「おまえは何者だ?答えろ!」杜子春は何も言いませんでした。すると、大きなトラと白いヘビがおそいかかってきましたが、杜子春が身動きひとつしなかったので、どちらも消えてしまいました。次は、すさまじい嵐です。雷が鳴り、いなずまが光り、雨が滝のように降りました。それでも杜子春はだまっていました。とうとう、金のよろいを着た巨大な神があらわれました。「答えぬなら」と、神は言いました。「命をもらうぞ」杜子春はだまりつづけました。神はほこで杜子春をつきさし、杜子春のたましいは体からぬけ出していきました。

杜子春のたましいは、どこまでも落ちていきました。そして死者の国に着き、地獄の王、閻魔大王の前にやって来ました。「おまえは、なぜ峨眉山にすわっていたのだ?」と、大王はたずねました。杜子春は答えませんでした。そこで鬼たちは、地獄にあるありとあらゆる責め苦を杜子春にあたえました。針の山に追い上げ、火の池や氷の池につき落としたのです。けれども、杜子春は一言も口をききませんでした。

閻魔大王はかんかんに怒りました。「こやつの父母を連れてこい!」と、大王はどなりました。鬼たちは、やせおとろえた二頭の馬を引いてきました。杜子春はその顔を見て、ぎょっとしました。それは、亡くなった父と母の顔だったのです。

「さあ」と、大王は言いました。「なぜ峨眉山にすわっていたのか言え。言わぬなら、おまえの父母が苦しむことになるぞ」杜子春は目を閉じて、何も言いませんでした。鬼たちは鉄のむちをふり上げて、二頭の馬を何度も何度も打ちすえました。馬たちは苦しそうにいななきました。それでも杜子春は目を閉じたまま、老人の言葉を思い出していました。

そのとき、かすかな声が聞こえました。それはお母さんの声でした。「わたしたちのことは心配しなくていいのだよ」と、お母さんはやさしく言いました。「わたしたちがどうなろうと、おまえさえ幸せになれるなら、それでいいのです。言いたくないなら、だまっておいで」

杜子春は目を開けました。お母さんは立ち上がる力もなく地面にたおれたまま、愛情のこもった目で杜子春を見つめていました。少しも杜子春をうらんではいなかったのです。杜子春は、自分がお金持ちのときだけやさしくしてくれた人びとのことを思い出しました。お母さんの愛は、それとはなんとちがうことでしょう!杜子春は老人の言葉を忘れました。お母さんのもとへかけ寄り、その首にだきついて、「お母さん!」とさけびました。

次の瞬間、杜子春は春の夕暮れの光の中、洛陽の西の門のそばに立っていました。そのかたわらには、あの片目の老人が、ほほえみながら立っていました。

「どうだな?」と、老人は言いました。「これでは、もう仙人にはなれまい?」「はい、なれません」と、杜子春は目に涙をうかべて答えました。「でも、なれなかったことを、うれしく思います」

「もしあのとき、おまえがだまっていたら」と、老人は言いました。「わしはその場でおまえの命をうばっていただろう。さて、これからどうするつもりだ?」「何になろうとも」と、杜子春は言いました。「人間らしい、正直な暮らしをしたいと思います」

「その言葉を忘れるでないぞ」と、老人は言いました。「わしとは、もう二度と会うことはあるまい。だが、泰山のふもとに、わしの小さな家が一軒ある。そのまわりの桃の木が、今ちょうど花ざかりだ。そこへ行って住むがよい」そう言って、老人はさも愉快そうに笑いました。

日本語訳:多読ベスト

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理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. Why did Toshishun stop wanting money?

Q2. What did Tekkanshi tell Toshishun to do on Mount Gabi?

Q3. What did Toshishun want to do at the end?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
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