The Restaurant of Many Orders(注文の多い料理店)の挿絵

The Restaurant of Many Orders

注文の多い料理店

  • 📖 613 words
  • ⏱ 約8分
  • 🔊 3:49
  • YL 1.0–1.4
  • 英検3級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ山奥で道に迷い、おなかをすかせたふたりの若い紳士。目の前にあらわれたりっぱな西洋料理店に入ると、扉ごとにふしぎな「注文」が書いてありました。

宮沢賢治『注文の多い料理店』(1924年)をもとに再話

キーワード(10語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • gentlemen紳士たち
  • hunting狩り
  • guide案内人
  • wildcat山猫
  • bullets弾丸
  • walletsさいふ
  • perfume香水
  • vinegar酢
  • keyholeかぎ穴
  • wrinkledしわくちゃの
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Google Cloud TTS(Chirp 3 HD・アメリカ英語・Aoede)

Two young gentlemen from Tokyo went hunting deep in the mountains. They wore fine new clothes, like British soldiers, and carried shiny guns. Two big white dogs walked with them.

東京から来たふたりの若い紳士が、山の奥へ狩りに出かけました。ふたりはイギリスの兵隊のような、新しいりっぱな服を着て、ぴかぴか光る鉄砲をかついでいました。大きな白い犬が二匹、一緒について来ていました。

"There are no animals here," said one gentleman. "I want to shoot something. Anything!"

「ここには動物が一匹もいないな」と、ひとりの紳士が言いました。「何か撃ちたいなあ。何でもいいから!」

The mountains were so strange and wild that even their guide got lost and went away. Then the two dogs suddenly fell down and stopped breathing.

山はとても不思議で、荒れはてていました。そのため、案内の猟師まで道に迷って、どこかへ行ってしまいました。それから、二匹の犬が急に倒れて、息をしなくなってしまいました。

"Oh no, I paid a lot of money for that dog," said the first gentleman. "Me too," said the other. They did not seem very sad about the dogs. They only thought about the money.

「ああ、あの犬にはずいぶんお金を払ったのになあ」と、ひとりめの紳士が言いました。「ぼくもだよ」と、もうひとりも言いました。ふたりは、犬のことをあまり悲しんでいないようでした。お金のことばかり考えていたのです。

The wind blew, and the grass and the trees made a lonely sound. The gentlemen were cold and very hungry. "Let's go home," they said. But they did not know the way.

風が吹いて、草や木がさびしい音をたてました。紳士たちは寒くて、おなかがぺこぺこでした。「もう帰ろう」と、ふたりは言いました。けれども、帰り道がわかりません。

Then they saw a fine Western-style house among the trees. Above the door, there was a sign. It said: "Restaurant. Wildcat House."

そのとき、木のあいだに、りっぱな西洋風の家が見えました。戸口の上には看板がかかっていて、「西洋料理店 山猫軒」と書いてありました。

"What luck! Let's go in," they said happily. On the glass door, there was another sign: "Everyone is welcome. Fat people and young people are especially welcome." "We are both young and fat!" they laughed. "How lucky we are!"

「これはついてるぞ! 入ろう」と、ふたりは大喜びで言いました。ガラスの戸には、また別の札がありました。「どなたもどうかお入りください。太ったかたや若いかたは、大歓迎いたします」「ぼくらはふたりとも若くて太っているぞ!」と、ふたりは笑いました。「なんて運がいいんだろう!」

Inside, there was a long hallway with many doors. On the next door it said: "This restaurant has many orders. Please understand." "This must be a very popular restaurant," they said. "Many people order food here."

中には長い廊下があって、戸がたくさん並んでいました。次の戸には、こう書いてありました。「当店は注文の多い料理店ですから、どうかそこはご承知ください」「きっと、とてもはやっている店なんだな」と、ふたりは言いました。「たくさんの人が、ここで料理を注文するんだよ」

On the next door it said: "Please brush your hair and clean the mud off your shoes." "Of course. This must be a very fine restaurant," they said, and they did it.

次の戸には、こう書いてありました。「髪をきちんととかして、靴の泥を落としてください」「もちろんさ。きっと大変上品な店なんだ」と、ふたりは言って、そのとおりにしました。

Next: "Please leave your guns and bullets here." They left them.

次は、「鉄砲と弾丸をここへ置いてください」。ふたりは鉄砲と弾丸を置きました。

Next: "Please take off your hats, coats and shoes." They took them off.

次は、「帽子と外套と靴をおとりください」。ふたりはそれを脱ぎました。

Next: "Please take off your glasses, your wallets and everything made of metal, especially sharp things." "Maybe metal is dangerous near the kitchen fire," they said. They took everything off.

次は、「めがね、財布、そのほか金物類、ことにとがったものは、みんなここに置いてください」。「台所の火のそばでは、金物はあぶないのかもしれないね」と、ふたりは言いました。そして、何もかもはずしてしまいました。

Next there was a pot of cream. "Please put this cream all over your face, hands and feet." "Maybe it's because it's so cold outside," they said. They put it on. They even ate a little of it secretly.

次には、クリームの入ったつぼがありました。「このクリームを、顔や手足にすっかりぬってください」「外がとても寒いからだろう」と、ふたりは言いました。ふたりはクリームをぬりました。こっそり少しなめさえしました。

Next: "Please put this perfume on your head." But the perfume smelled just like vinegar. "This is strange," said one gentleman.

次は、「この香水を頭にふりかけてください」。ところが、その香水は、まるでお酢のようなにおいがしました。「これはおかしいぞ」と、ひとりの紳士が言いました。

On the last door it said: "Thank you very much for following all our orders. Now please put a lot of salt all over your body."

最後の戸には、こう書いてありました。「いろいろ注文が多くて、うるさかったでしょう。ありがとうございました。さあ、どうか体じゅうに塩をたくさんもみこんでください」

The two gentlemen looked at each other. Their faces were covered with cream. "Salt? Cream? Vinegar?" said one, shaking. "I think... we are not going to eat the food. We are the food!"

ふたりの紳士は、顔を見合わせました。どちらの顔もクリームだらけです。「塩だって? クリーム? お酢?」と、ひとりがふるえながら言いました。「どうやら……ぼくらが料理を食べるんじゃない。ぼくらが料理なんだ!」

They tried to run back, but the door behind them would not open. In front of them, two big blue eyes were looking at them through the keyhole. "Come in, come in," said a sweet voice. "The salad is ready. Please come in quickly."

ふたりは引き返そうとしましたが、うしろの戸はどうしても開きません。前を見ると、かぎ穴から大きな青い目玉がふたつ、こちらをのぞいていました。「いらっしゃい、いらっしゃい」と、甘ったるい声が言いました。「サラダの用意もできています。さあ、早くお入りください」

The two gentlemen began to cry. Their faces became wrinkled like old paper. They shook and shook and could not say a word.

ふたりの紳士は泣き出しました。ふたりの顔は、古い紙くずのようにくしゃくしゃになりました。ふたりはがたがたふるえるばかりで、ひと言も口がきけませんでした。

Suddenly, there was a loud bark behind them. "Woof! Woof!" The two white dogs crashed through the door! They were alive! The dogs jumped through the next door and ran into the darkness. There was a terrible cry, and then everything was quiet.

とつぜん、うしろで大きなほえ声がしました。「ワン! ワン!」二匹の白い犬が、戸をつきやぶって飛びこんできたのです! 犬たちは生きていたのです! 犬たちは次の戸に飛びこみ、暗やみの中へかけていきました。おそろしいさけび声がして、それからあたりは、しんと静かになりました。

The restaurant disappeared like smoke. The two gentlemen were standing in the grass, shaking with cold. Their coats, shoes and wallets were hanging on the branches of the trees. Soon their guide came back and found them.

料理店は、けむりのように消えてしまいました。ふたりの紳士は、寒さにふるえながら草の中に立っていました。外套も靴も財布も、木の枝にぶらさがっていました。まもなく案内の猟師がもどってきて、ふたりを見つけました。

The two gentlemen went back to Tokyo. But their faces, which had become wrinkled like old paper, never became smooth again, even after they took hot baths.

ふたりの紳士は東京へ帰りました。けれども、ふたりの顔は古い紙くずのようにくしゃくしゃになったままでした。お湯に入っても、もう二度と元にはもどらなかったのです。

📖 全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

東京から来たふたりの若い紳士が、山の奥へ狩りに出かけました。ふたりはイギリスの兵隊のような、新しいりっぱな服を着て、ぴかぴか光る鉄砲をかついでいました。大きな白い犬が二匹、一緒について来ていました。

「ここには動物が一匹もいないな」と、ひとりの紳士が言いました。「何か撃ちたいなあ。何でもいいから!」

山はとても不思議で、荒れはてていました。そのため、案内の猟師まで道に迷って、どこかへ行ってしまいました。それから、二匹の犬が急に倒れて、息をしなくなってしまいました。

「ああ、あの犬にはずいぶんお金を払ったのになあ」と、ひとりめの紳士が言いました。「ぼくもだよ」と、もうひとりも言いました。ふたりは、犬のことをあまり悲しんでいないようでした。お金のことばかり考えていたのです。

風が吹いて、草や木がさびしい音をたてました。紳士たちは寒くて、おなかがぺこぺこでした。「もう帰ろう」と、ふたりは言いました。けれども、帰り道がわかりません。

そのとき、木のあいだに、りっぱな西洋風の家が見えました。戸口の上には看板がかかっていて、「西洋料理店 山猫軒」と書いてありました。

「これはついてるぞ! 入ろう」と、ふたりは大喜びで言いました。ガラスの戸には、また別の札がありました。「どなたもどうかお入りください。太ったかたや若いかたは、大歓迎いたします」「ぼくらはふたりとも若くて太っているぞ!」と、ふたりは笑いました。「なんて運がいいんだろう!」

中には長い廊下があって、戸がたくさん並んでいました。次の戸には、こう書いてありました。「当店は注文の多い料理店ですから、どうかそこはご承知ください」「きっと、とてもはやっている店なんだな」と、ふたりは言いました。「たくさんの人が、ここで料理を注文するんだよ」

次の戸には、こう書いてありました。「髪をきちんととかして、靴の泥を落としてください」「もちろんさ。きっと大変上品な店なんだ」と、ふたりは言って、そのとおりにしました。

次は、「鉄砲と弾丸をここへ置いてください」。ふたりは鉄砲と弾丸を置きました。

次は、「帽子と外套と靴をおとりください」。ふたりはそれを脱ぎました。

次は、「めがね、財布、そのほか金物類、ことにとがったものは、みんなここに置いてください」。「台所の火のそばでは、金物はあぶないのかもしれないね」と、ふたりは言いました。そして、何もかもはずしてしまいました。

次には、クリームの入ったつぼがありました。「このクリームを、顔や手足にすっかりぬってください」「外がとても寒いからだろう」と、ふたりは言いました。ふたりはクリームをぬりました。こっそり少しなめさえしました。

次は、「この香水を頭にふりかけてください」。ところが、その香水は、まるでお酢のようなにおいがしました。「これはおかしいぞ」と、ひとりの紳士が言いました。

最後の戸には、こう書いてありました。「いろいろ注文が多くて、うるさかったでしょう。ありがとうございました。さあ、どうか体じゅうに塩をたくさんもみこんでください」

ふたりの紳士は、顔を見合わせました。どちらの顔もクリームだらけです。「塩だって? クリーム? お酢?」と、ひとりがふるえながら言いました。「どうやら……ぼくらが料理を食べるんじゃない。ぼくらが料理なんだ!」

ふたりは引き返そうとしましたが、うしろの戸はどうしても開きません。前を見ると、かぎ穴から大きな青い目玉がふたつ、こちらをのぞいていました。「いらっしゃい、いらっしゃい」と、甘ったるい声が言いました。「サラダの用意もできています。さあ、早くお入りください」

ふたりの紳士は泣き出しました。ふたりの顔は、古い紙くずのようにくしゃくしゃになりました。ふたりはがたがたふるえるばかりで、ひと言も口がきけませんでした。

とつぜん、うしろで大きなほえ声がしました。「ワン! ワン!」二匹の白い犬が、戸をつきやぶって飛びこんできたのです! 犬たちは生きていたのです! 犬たちは次の戸に飛びこみ、暗やみの中へかけていきました。おそろしいさけび声がして、それからあたりは、しんと静かになりました。

料理店は、けむりのように消えてしまいました。ふたりの紳士は、寒さにふるえながら草の中に立っていました。外套も靴も財布も、木の枝にぶらさがっていました。まもなく案内の猟師がもどってきて、ふたりを見つけました。

ふたりの紳士は東京へ帰りました。けれども、ふたりの顔は古い紙くずのようにくしゃくしゃになったままでした。お湯に入っても、もう二度と元にはもどらなかったのです。

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理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. Why were the two gentlemen happy to see the restaurant?

Q2. What did the last door ask them to do?

Q3. What happened to the gentlemen's faces at the end?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

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