The Dogs and the Flute(犬と笛)の挿絵

The Dogs and the Flute

犬と笛

  • 647 words
  • 約8分
  • YL 1.0–1.4
  • 英検3級目安
  • 全訳つき

あらすじ笛の名人の若い木こり・髪長彦は、山の神さまから不思議な三匹の犬をもらいます。そのころ、都では大臣の二人の姫が姿を消していました。

芥川龍之介『犬と笛』(1919年)をもとに再話

ORIGINAL TEXT

まずは原文をチェック

この話は日本語の原文(青空文庫)でも読めます。青空文庫の本文を、そのまま載せています。やさしい版で筋をつかんでから原文へ進むと、作者の言葉をじっくり味わえます。

『犬と笛』芥川龍之介の日本語の原文を読む →

青空文庫の本文(新字新仮名・約7,600字)。

キーワード(10語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • woodcutter木こり
  • flute笛
  • giant大男
  • spottedぶちの(まだら模様の)
  • minister大臣
  • rewardほうび
  • cave洞穴
  • combくし
  • jealousねたんで
  • armorよろい

音声は準備中です。もうしばらくお待ちください。

日本語訳の一部には生成AIを使っており、AIによる3重のチェックと人の目で確かめています。まだ人の目を通っていない訳もあるため、ニュアンスがずれている所があるかもしれません。日本語訳について

Long ago, a young woodcutter lived at the foot of Mount Katsuragi in Yamato. His face was gentle, and his hair was long like a woman's. So people called him Kaminagahiko, which means "the long-haired young man."

昔、大和の国の葛城山のふもとに、ひとりの若い木こりが住んでいました。顔はやさしく、髪は女の人のように長かったので、みんなから髪長彦と呼ばれていました。「髪の長い若者」という意味です。

The music of his flute was so beautiful that even the grass, the trees, and the animals listened.

髪長彦の笛の音色はとても美しかったので、草も木も、けものたちまでも、じっと聞きほれました。

One day, while he was playing, a giant with only one leg appeared. "I love your music. What would you like?" "Please give me a dog." The giant laughed. "You don't want much! I am the One-Legged God." He whistled, and a white dog came running. "His name is Sniff. He can find anything, however far away."

ある日、髪長彦が笛を吹いていると、足が一本しかない大男が現れました。「おまえの笛は気に入った。何がほしい?」「犬を一匹ください」大男は笑いました。「欲のない男だな! おれは足一つの神だ」大男が口笛を吹くと、白い犬が走ってきました。「この犬の名は嗅げ。どんなに遠くにあるものでも、きっと見つけ出す」

The next day, a giant with only one arm gave him a black dog. "His name is Fly. He can carry you through the sky." The day after that, a giant with only one eye gave him a spotted dog. "His name is Bite. He can kill any monster. These dogs will come back to you when you play your flute. Without it, they will not come."

次の日には、手が一本しかない大男が、黒い犬をくれました。「この犬の名は飛べ。おまえを乗せて、空を飛んでいける」その次の日には、目が一つしかない大男が、ぶちの犬をくれました。「この犬の名は噛め。どんな化け物でも噛み殺してしまう。おまえが笛を吹けば、犬たちは必ず戻ってくる。だが、笛がなければ戻ってこないぞ」

A few days later, at a place where three roads met, he met two young samurai on horses. "The two daughters of the minister of Asuka have disappeared," they said. "There is a big reward for finding them." Then they looked down on him and rode away.

それから四、五日たったころ、三つまたの道で、髪長彦は馬に乗った二人の若い侍に会いました。「飛鳥の大臣さまの二人の姫が、行方知れずになったのだ」と侍たちは言いました。「見つけた者には、たくさんのほうびが出る」そして髪長彦をばかにしたように見下すと、馬で行ってしまいました。

"Sniff! Find the princesses!" The white dog smelled the wind. "The older one is in a cave on Mount Ikoma. A monster has caught her." Taking the other dogs under his arms, he got on the black dog. "Fly to Mount Ikoma!" The black dog rose into the sky like a leaf.

「嗅げ! 姫さまたちを探し出せ!」白い犬は、風のにおいをかぎました。「お姉さまのほうの姫は、生駒山の洞穴にいます。化け物につかまっています」髪長彦はほかの二匹をわきにかかえて、黒い犬に乗りました。「飛べ! 生駒山へ!」黒い犬は、木の葉のように空へ舞い上がりました。

In the cave, a princess with a gold comb was crying. "The monster is sleeping inside," she whispered. He only smiled. "Bite! Go!" The spotted dog ran into the cave with a roar like thunder, and soon the monster was dead.

洞穴の中では、金のくしをさした姫が泣いていました。「化け物は、奥で眠っています」と姫はささやきました。髪長彦は、にっこりほほえむだけでした。「噛め! 行け!」ぶちの犬は、雷のようにうなりながら洞穴に飛び込み、まもなく化け物は死んでしまいました。

"Where is my sister?" the princess asked. "On Mount Kasagi," said Sniff. "The Earth Spider has caught her." The Earth Spider, a clever, evil little man, smiled and invited them in. But when they found the younger princess inside, he closed the cave with a huge rock. "Ha ha! You will die of hunger!"

「妹はどこでしょう?」と姫はたずねました。「笠置山です」と嗅げは答えました。「土蜘蛛につかまっています」土蜘蛛は、悪知恵のはたらく小さな悪者でした。土蜘蛛はにこにこ笑って、髪長彦たちを中へ招き入れました。ところが、みんなが奥で妹の姫を見つけると、土蜘蛛は大きな岩で洞穴の入口をふさいでしまいました。「ははは! おまえたちは飢え死にだ!」

Then Kaminagahiko played his flute. The Earth Spider loved the music so much that he slowly moved the rock to listen. When the opening was big enough, he shouted, "Bite!" The spotted dog jumped out and killed the spider.

そこで髪長彦は、笛を吹きました。土蜘蛛はその音色にすっかり聞きほれて、もっとよく聞こうと、少しずつ岩を動かしました。すき間が十分大きくなったとき、髪長彦は叫びました。「噛め!」ぶちの犬は飛び出して、土蜘蛛を噛み殺しました。

On the way home, the princesses quietly put their gold and silver combs in his long hair. He did not notice. When he saw the two samurai again, he flew down to tell them everything.

帰り道、姫たちは金のくしと銀のくしを、髪長彦の長い髪にそっとさしておきました。髪長彦は気がつきませんでした。また二人の侍を見かけると、髪長彦は何もかも話して聞かせようと、地上へ降りていきました。

The samurai were very jealous. They praised him and learned all about the dogs and the flute. Then they stole his flute, jumped on the black dog with the princesses and the other dogs, and flew away. Kaminagahiko cried and cried.

侍たちは、ねたましくてたまりませんでした。髪長彦をほめそやして、犬と笛のことをすっかり聞き出しました。それから笛を盗み、姫たちとほかの犬を連れて黒い犬にとび乗ると、飛んでいってしまいました。髪長彦は、おいおいと泣きつづけました。

Then gentle voices came in the wind. They were two mountain spirits. "We are Princess Koma of Mount Ikoma and Princess Kasa of Mount Kasagi. You saved us from the monsters. We will get your flute back." Soon his flute fell from the sky, with gold armor and a silver helmet.

すると、風の中からやさしい声が聞こえてきました。それは、二人の山の精の声でした。「わたしたちは、生駒山の駒姫と、笠置山の笠姫です。化け物から救っていただきました。笛を取り返してさしあげましょう」まもなく、空から笛が降ってきました。金のよろいと、銀のかぶとも一緒です。

He played his flute, and his dogs came back. Dressed like a great general, he flew down to the minister's house. "I saved the princesses, not these samurai," he said. "He is lying!" cried the samurai. "We saved them!"

髪長彦が笛を吹くと、犬たちが戻ってきました。立派な大将の姿になって、髪長彦は大臣のお屋敷へ舞い降りました。「姫さまたちをお助けしたのは、わたしです。この侍たちではありません」「うそをつけ!」と侍たちは叫びました。「助けたのは、われわれだ!」

The minister asked his daughters. "Kaminagahiko saved us," they said. "Look at our combs in his hair." And there they were, shining in his long hair. The samurai fell to the ground. "We lied. Please don't kill us!"

大臣は、娘たちにたずねました。「助けてくれたのは、髪長彦です」と姫たちは言いました。「あの人の髪にさした、わたしたちのくしをごらんください」見ると、確かに長い髪の中で、くしがきらきらと光っていました。侍たちは地面にひれふしました。「うそをついておりました。どうか命ばかりはお助けください!」

Kaminagahiko got a big reward and married one of the princesses. The three dogs chased the samurai away. But which princess became his wife? Nobody knows. It was too long ago.

髪長彦はたくさんのほうびをもらい、大臣の姫のひとりと結婚しました。侍たちは三匹の犬に追い回されて、逃げていきました。けれども、どちらの姫が髪長彦のお嫁さんになったのでしょう? それは、だれにもわかりません。なにぶん、昔のことですから。

全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

昔、大和の国の葛城山のふもとに、ひとりの若い木こりが住んでいました。顔はやさしく、髪は女の人のように長かったので、みんなから髪長彦と呼ばれていました。「髪の長い若者」という意味です。

髪長彦の笛の音色はとても美しかったので、草も木も、けものたちまでも、じっと聞きほれました。

ある日、髪長彦が笛を吹いていると、足が一本しかない大男が現れました。「おまえの笛は気に入った。何がほしい?」「犬を一匹ください」大男は笑いました。「欲のない男だな! おれは足一つの神だ」大男が口笛を吹くと、白い犬が走ってきました。「この犬の名は嗅げ。どんなに遠くにあるものでも、きっと見つけ出す」

次の日には、手が一本しかない大男が、黒い犬をくれました。「この犬の名は飛べ。おまえを乗せて、空を飛んでいける」その次の日には、目が一つしかない大男が、ぶちの犬をくれました。「この犬の名は噛め。どんな化け物でも噛み殺してしまう。おまえが笛を吹けば、犬たちは必ず戻ってくる。だが、笛がなければ戻ってこないぞ」

それから四、五日たったころ、三つまたの道で、髪長彦は馬に乗った二人の若い侍に会いました。「飛鳥の大臣さまの二人の姫が、行方知れずになったのだ」と侍たちは言いました。「見つけた者には、たくさんのほうびが出る」そして髪長彦をばかにしたように見下すと、馬で行ってしまいました。

「嗅げ! 姫さまたちを探し出せ!」白い犬は、風のにおいをかぎました。「お姉さまのほうの姫は、生駒山の洞穴にいます。化け物につかまっています」髪長彦はほかの二匹をわきにかかえて、黒い犬に乗りました。「飛べ! 生駒山へ!」黒い犬は、木の葉のように空へ舞い上がりました。

洞穴の中では、金のくしをさした姫が泣いていました。「化け物は、奥で眠っています」と姫はささやきました。髪長彦は、にっこりほほえむだけでした。「噛め! 行け!」ぶちの犬は、雷のようにうなりながら洞穴に飛び込み、まもなく化け物は死んでしまいました。

「妹はどこでしょう?」と姫はたずねました。「笠置山です」と嗅げは答えました。「土蜘蛛につかまっています」土蜘蛛は、悪知恵のはたらく小さな悪者でした。土蜘蛛はにこにこ笑って、髪長彦たちを中へ招き入れました。ところが、みんなが奥で妹の姫を見つけると、土蜘蛛は大きな岩で洞穴の入口をふさいでしまいました。「ははは! おまえたちは飢え死にだ!」

そこで髪長彦は、笛を吹きました。土蜘蛛はその音色にすっかり聞きほれて、もっとよく聞こうと、少しずつ岩を動かしました。すき間が十分大きくなったとき、髪長彦は叫びました。「噛め!」ぶちの犬は飛び出して、土蜘蛛を噛み殺しました。

帰り道、姫たちは金のくしと銀のくしを、髪長彦の長い髪にそっとさしておきました。髪長彦は気がつきませんでした。また二人の侍を見かけると、髪長彦は何もかも話して聞かせようと、地上へ降りていきました。

侍たちは、ねたましくてたまりませんでした。髪長彦をほめそやして、犬と笛のことをすっかり聞き出しました。それから笛を盗み、姫たちとほかの犬を連れて黒い犬にとび乗ると、飛んでいってしまいました。髪長彦は、おいおいと泣きつづけました。

すると、風の中からやさしい声が聞こえてきました。それは、二人の山の精の声でした。「わたしたちは、生駒山の駒姫と、笠置山の笠姫です。化け物から救っていただきました。笛を取り返してさしあげましょう」まもなく、空から笛が降ってきました。金のよろいと、銀のかぶとも一緒です。

髪長彦が笛を吹くと、犬たちが戻ってきました。立派な大将の姿になって、髪長彦は大臣のお屋敷へ舞い降りました。「姫さまたちをお助けしたのは、わたしです。この侍たちではありません」「うそをつけ!」と侍たちは叫びました。「助けたのは、われわれだ!」

大臣は、娘たちにたずねました。「助けてくれたのは、髪長彦です」と姫たちは言いました。「あの人の髪にさした、わたしたちのくしをごらんください」見ると、確かに長い髪の中で、くしがきらきらと光っていました。侍たちは地面にひれふしました。「うそをついておりました。どうか命ばかりはお助けください!」

髪長彦はたくさんのほうびをもらい、大臣の姫のひとりと結婚しました。侍たちは三匹の犬に追い回されて、逃げていきました。けれども、どちらの姫が髪長彦のお嫁さんになったのでしょう? それは、だれにもわかりません。なにぶん、昔のことですから。

日本語訳の一部には生成AIを使っており、AIによる3重のチェックと人の目で確かめています。まだ人の目を通っていない訳もあるため、ニュアンスがずれている所があるかもしれません。日本語訳について

日本語訳:多読ベスト

押すと、この端末の読書記録(100万語メーター)に語数が加わります。

理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. What can the dog named Fly do?

Q2. How did Kaminagahiko get out of the Earth Spider's cave?

Q3. How did the minister learn the truth?

この話の単語 CEFR-JA2・B1・B2の語 54語/タップで意味・単語帳へ
  • A1中学基礎 84.1%
  • A2高校入門 6.2%
  • B1受験コア 6%
  • B2難関大 1.1%
  • リストにない語 2.6%

本文の語の割合(人名などは数えていません)。「リストにない語」は固有名詞・古い言い方・やさしい複合語などです。

B2難関大の語 5語

B1受験コアの語 19語

A2高校入門の語 30語

原田英語の究極の英単語帳(CEFR-J 6,868語)で、例文・語源・ゲームでしっかり覚えよう。CEFR-J 単語コーナー →

読み終わったら、原文でも読んでみよう ↑

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む 計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

次に読む

Level 2 の読み物をもっと見る →