The Fourth Day of Narcissus Month(水仙月の四日)の挿絵
Level 3 Pre-Intermediate日本の昔話と名作

The Fourth Day of Narcissus Month

水仙月の四日

  • 📖 757 words
  • ⏱ 約7分
  • 🔊 4:15
  • YL 1.5–2.4
  • 英検準2級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ雪の精の雪童子は、赤い毛布をかぶって雪の丘をこえていく子どもに、いたずら半分にやどりぎの枝を投げてやります。ところがその日は、雪婆んごが猛吹雪を起こす「水仙月の四日」でした。

宮沢賢治『水仙月の四日』(1924年)をもとに再話

キーワード(9語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • command命令・指揮
  • spirits精・精霊
  • blanket毛布
  • mistletoeやどりぎ
  • berries(小さな)実
  • narcissus水仙
  • roaredうなった
  • howled遠ぼえした
  • freezeこごえる
音声に合わせて文が光ります0:00 / 4:15

Google Cloud TTS(Chirp 3 HD・アメリカ英語・Zephyr)

Far away in the cold northern sky lives Old Snow Woman. She has wild white hair and sharp pointed ears. She rides the clouds and brings the great snowstorms of winter. Under her command are the Snow Boys, the young spirits of the snow, and the snow wolves who run with them.

遠い北の冷たい空に、雪婆んごが住んでいます。ぼさぼさの白い髪と、とがった耳をしたおばあさんです。雪婆んごは雲に乗り、冬の大吹雪を連れてきます。そのけらいには、雪の若い精である雪童子たちと、雪童子と一緒に走る雪狼たちがいます。

One bright, quiet morning in winter, a Snow Boy was walking across the snowy hills with his two snow wolves. The wolves had red tongues and ran like the wind. The sky was blue, and the sun was shining on the white snow like a silver mirror.

ある晴れた静かな冬の朝、ひとりの雪童子が、二匹の雪狼を連れて雪の丘をわたっていました。雪狼は赤い舌をしていて、風のように走りました。空は青く、日の光が白い雪の上で、銀の鏡のようにかがやいていました。

Down below, a small child was walking home across the hill. The child was wrapped in a red blanket and was carrying something from town. The child was thinking happily, "When I get home, I will make some sweet candy with sugar." The child's cheeks were bright red with cold.

下のほうを、小さな子どもがひとり、丘をこえて家へ歩いていました。子どもは赤い毛布にくるまって、町から何かを持って帰るところでした。子どもは楽しそうに考えていました。「うちに帰ったら、お砂糖で甘いお菓子をつくろう」子どものほおは、寒さでまっ赤でした。

The Snow Boy saw the child and smiled. "Bring me that," he said to one of his wolves, pointing at a tall chestnut tree. On a high branch, there was a ball of mistletoe with shining yellow berries. The wolf jumped up and brought the branch back in its mouth. The Snow Boy threw it toward the child. It fell softly in the snow at the child's feet.

雪童子は子どもを見て、ほほえみました。「あれを取っておいで」と、雪童子は一匹の雪狼に言って、背の高いクリの木を指さしました。その高い枝に、やどりぎが丸くしげっていて、黄色い実がきらきら光っていたのです。雪狼は飛び上がり、その枝を口にくわえて持ってきました。雪童子はそれを、子どものほうへ投げました。枝は、子どもの足もとの雪にふわりと落ちました。

The child picked it up and looked around in surprise. There was nobody there. The child smiled, held the branch tightly and walked on. The Snow Boy laughed quietly to himself.

子どもはそれを拾い上げ、おどろいてあたりを見まわしました。だれもいません。子どもはにっこりして、枝をしっかりにぎり、また歩いていきました。雪童子はひとりで、くすくす笑いました。

But then the wind began to change. The sky in the west became gray, and a cold, sharp wind came down from the mountains. The Snow Boy looked up. "Oh no," he said. "Today is the fourth day of Narcissus Month." On that day every year, Old Snow Woman comes to make the biggest snowstorm of the year.

ところが、そのうちに風向きが変わりはじめました。西の空が灰色になり、冷たくするどい風が山から吹き下ろしてきました。雪童子は空を見上げました。「しまった」と、雪童子は言いました。「今日は水仙月の四日だ」毎年その日には、雪婆んごがやって来て、一年でいちばん大きな吹雪を起こすのです。

Soon Old Snow Woman came flying through the clouds. Her white hair blew wildly behind her. "Now, Snow Boys!" she shouted. "Make the snow fall! Make it fall harder! Today is the fourth day of Narcissus Month. It doesn't matter if we take one or two lives today!"

まもなく、雪婆んごが雲の中を飛んできました。白い髪が、うしろにはげしくなびいています。「さあ、雪童子たち!」と、雪婆んごはさけびました。「雪を降らせろ! もっとはげしく降らせろ! 今日は水仙月の四日だ。ひとりやふたり命をとったって、かまわないんだよ!」

The snow began to fall thickly. The wind roared, and everything became white. The Snow Boys ran here and there, making the snow dance. The snow wolves howled.

雪がこんこんと降りはじめました。風がうなり、あたりはまっ白になりました。雪童子たちはあちこちかけまわって、雪を踊らせました。雪狼たちはほえました。

The Snow Boy suddenly remembered the child in the red blanket. He looked down. There was the child, still walking, but now the child could not see the way. The child was crying and calling, "Father! Father!" The red blanket was covered with snow.

雪童子は、ふと赤い毛布の子どものことを思い出しました。下を見ると、子どもはまだ歩いていましたが、もう道が見えなくなっていました。子どもは泣きながら、「お父さん! お父さん!」と呼んでいました。赤い毛布は、雪におおわれていました。

The Snow Boy ran down to the child. "Lie down!" he said, and he pushed the child gently into the snow. But the child could not hear his voice. The child only felt the wind and tried to get up again. "Lie down and don't move!" the Snow Boy said again, pushing the child down. "Pull the blanket over your head and go to sleep. If you sleep, you won't freeze. Don't worry."

雪童子は、子どものところへかけ下りました。「たおれてろ!」と言って、子どもをそっと雪の中におしたおしました。けれども、子どもには雪童子の声が聞こえません。子どもはただ風を感じて、また起き上がろうとしました。「たおれて、じっとしてろ!」と、雪童子はもう一度言って、子どもをおしたおしました。「毛布を頭からかぶって眠るんだ。眠っていれば、こごえやしない。心配するな」

Then he covered the child with snow, as if he were putting a soft white blanket over a bed. He made sure the red blanket was all around the child.

それから雪童子は、寝床にやわらかい白い布団をかけてやるように、子どもに雪をかぶせました。赤い毛布がしっかり子どものまわりを包んでいるのも、たしかめました。

"What are you doing?" shouted Old Snow Woman from above. "Make it snow harder!" "Yes, yes!" said the Snow Boy, and he made the snow fly around. But he did not go near the child again, and he did not let the other Snow Boys go near, either.

「何をしているんだい?」と、上から雪婆んごがどなりました。「もっとはげしく降らせな!」「はい、はい!」と雪童子は言って、雪をまき散らしました。けれども、二度と子どものそばへは行かず、ほかの雪童子たちも近づけませんでした。

The storm went on all day and all night. At last, just before dawn, Old Snow Woman flew away to the east, and the wind stopped. The sky became clear again. The stars shone, and the snow on the hills began to glow pink in the morning light.

吹雪は、その日いちにちと、ひと晩じゅう続きました。とうとう夜明け前に、雪婆んごは東のほうへ飛び去り、風がやみました。空はまた晴れわたりました。星がかがやき、丘の雪は、朝の光の中で桃色に光りはじめました。

The Snow Boy went quickly to the place where the child was sleeping. "Dig here," he said to his wolves. The wolves dug with their feet, and soon a little bit of red appeared in the white snow. It was the red blanket.

雪童子は、子どもが眠っている場所へ急いで行きました。「ここを掘れ」と、雪童子は雪狼たちに言いました。雪狼たちが足で雪を掘ると、まもなく白い雪の中から、少しだけ赤い色がのぞきました。赤い毛布です。

Far away, down the hill, the Snow Boy saw a man coming through the deep snow with other men from the village. It was the child's father, looking for his child. The Snow Boy kicked the snow off the blanket so that the red color could be seen clearly.

はるか遠く、丘の下のほうに、深い雪をかき分けてやって来る人たちが見えました。村の男たちを連れた、ひとりの男がいます。子どもをさがしに来た父親です。雪童子は毛布の上の雪をけちらして、赤い色がはっきり見えるようにしました。

"Wake up!" the Snow Boy shouted to the child. "Your father has come! Wake up!" The red blanket moved a little. The father saw it, and with a great cry, he began to run through the snow toward his child.

「起きろ!」と、雪童子は子どもにさけびました。「お父さんが来たぞ! 起きろ!」赤い毛布が、少し動きました。父親はそれを見つけると、大きな声をあげて、雪の中を子どものほうへかけ出しました。

📖 全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

遠い北の冷たい空に、雪婆んごが住んでいます。ぼさぼさの白い髪と、とがった耳をしたおばあさんです。雪婆んごは雲に乗り、冬の大吹雪を連れてきます。そのけらいには、雪の若い精である雪童子たちと、雪童子と一緒に走る雪狼たちがいます。

ある晴れた静かな冬の朝、ひとりの雪童子が、二匹の雪狼を連れて雪の丘をわたっていました。雪狼は赤い舌をしていて、風のように走りました。空は青く、日の光が白い雪の上で、銀の鏡のようにかがやいていました。

下のほうを、小さな子どもがひとり、丘をこえて家へ歩いていました。子どもは赤い毛布にくるまって、町から何かを持って帰るところでした。子どもは楽しそうに考えていました。「うちに帰ったら、お砂糖で甘いお菓子をつくろう」子どものほおは、寒さでまっ赤でした。

雪童子は子どもを見て、ほほえみました。「あれを取っておいで」と、雪童子は一匹の雪狼に言って、背の高いクリの木を指さしました。その高い枝に、やどりぎが丸くしげっていて、黄色い実がきらきら光っていたのです。雪狼は飛び上がり、その枝を口にくわえて持ってきました。雪童子はそれを、子どものほうへ投げました。枝は、子どもの足もとの雪にふわりと落ちました。

子どもはそれを拾い上げ、おどろいてあたりを見まわしました。だれもいません。子どもはにっこりして、枝をしっかりにぎり、また歩いていきました。雪童子はひとりで、くすくす笑いました。

ところが、そのうちに風向きが変わりはじめました。西の空が灰色になり、冷たくするどい風が山から吹き下ろしてきました。雪童子は空を見上げました。「しまった」と、雪童子は言いました。「今日は水仙月の四日だ」毎年その日には、雪婆んごがやって来て、一年でいちばん大きな吹雪を起こすのです。

まもなく、雪婆んごが雲の中を飛んできました。白い髪が、うしろにはげしくなびいています。「さあ、雪童子たち!」と、雪婆んごはさけびました。「雪を降らせろ! もっとはげしく降らせろ! 今日は水仙月の四日だ。ひとりやふたり命をとったって、かまわないんだよ!」

雪がこんこんと降りはじめました。風がうなり、あたりはまっ白になりました。雪童子たちはあちこちかけまわって、雪を踊らせました。雪狼たちはほえました。

雪童子は、ふと赤い毛布の子どものことを思い出しました。下を見ると、子どもはまだ歩いていましたが、もう道が見えなくなっていました。子どもは泣きながら、「お父さん! お父さん!」と呼んでいました。赤い毛布は、雪におおわれていました。

雪童子は、子どものところへかけ下りました。「たおれてろ!」と言って、子どもをそっと雪の中におしたおしました。けれども、子どもには雪童子の声が聞こえません。子どもはただ風を感じて、また起き上がろうとしました。「たおれて、じっとしてろ!」と、雪童子はもう一度言って、子どもをおしたおしました。「毛布を頭からかぶって眠るんだ。眠っていれば、こごえやしない。心配するな」

それから雪童子は、寝床にやわらかい白い布団をかけてやるように、子どもに雪をかぶせました。赤い毛布がしっかり子どものまわりを包んでいるのも、たしかめました。

「何をしているんだい?」と、上から雪婆んごがどなりました。「もっとはげしく降らせな!」「はい、はい!」と雪童子は言って、雪をまき散らしました。けれども、二度と子どものそばへは行かず、ほかの雪童子たちも近づけませんでした。

吹雪は、その日いちにちと、ひと晩じゅう続きました。とうとう夜明け前に、雪婆んごは東のほうへ飛び去り、風がやみました。空はまた晴れわたりました。星がかがやき、丘の雪は、朝の光の中で桃色に光りはじめました。

雪童子は、子どもが眠っている場所へ急いで行きました。「ここを掘れ」と、雪童子は雪狼たちに言いました。雪狼たちが足で雪を掘ると、まもなく白い雪の中から、少しだけ赤い色がのぞきました。赤い毛布です。

はるか遠く、丘の下のほうに、深い雪をかき分けてやって来る人たちが見えました。村の男たちを連れた、ひとりの男がいます。子どもをさがしに来た父親です。雪童子は毛布の上の雪をけちらして、赤い色がはっきり見えるようにしました。

「起きろ!」と、雪童子は子どもにさけびました。「お父さんが来たぞ! 起きろ!」赤い毛布が、少し動きました。父親はそれを見つけると、大きな声をあげて、雪の中を子どものほうへかけ出しました。

日本語訳:多読ベスト

押すと、この端末の読書記録(100万語メーター)に語数が加わります。

理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. What did the Snow Boy throw to the child?

Q2. Why did the Snow Boy push the child down into the snow?

Q3. Who came to find the child in the morning?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

次に読む

Level 3 の読み物をもっと見る →