Two Thanksgiving Day Gentlemen(感謝祭の二人の紳士)の挿絵
Level 4 Intermediate名作文学

Two Thanksgiving Day Gentlemen

感謝祭の二人の紳士

  • 📖 905 words
  • ⏱ 約8分
  • YL 2.5–3.4
  • 英検2級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ毎年の感謝祭、貧しいスタッフィー・ピートは、公園のベンチで一人の老紳士を待ちます。九年間続いたごちそうの「伝統」。ところが今年のスタッフィーは、ベンチに着いたときにはもうおなかがいっぱいで……。

O・ヘンリーの短編集 The Trimmed Lamp(1907年、パブリックドメイン)をもとに多読ベストが再話

キーワード(10語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • Thanksgiving Day感謝祭(11月の祝日)
  • tradition伝統、しきたり
  • old-fashioned昔ふうの
  • servant使用人
  • barelyかろうじて
  • blessing神のめぐみ、ありがたいこと
  • refused断った
  • spoil台なしにする
  • ambulance救急車
  • starving飢えている

🔊 音声は準備中です。もうしばらくお待ちください。

There is one day that belongs to all Americans. It is Thanksgiving Day. On that day families eat a big dinner of turkey, and they give thanks for the good things in their lives.

一年のうちに一日だけ、すべてのアメリカ人のものである日がある。感謝祭の日だ。その日、家族は七面鳥のごちそうを囲み、暮らしの中のよいことに感謝をささげる。

Stuffy Pete was a poor man in New York. He had no home, and for most of the year he had very little food. But for nine years, something special had happened to him every Thanksgiving Day.

スタッフィー・ピートは、ニューヨークの貧しい男だった。家はなく、一年のほとんどは、ろくに食べるものもなかった。ところが九年のあいだ、感謝祭の日には、毎年きまってある特別なことが起きていた。

Every Thanksgiving at one o'clock, Stuffy sat on the same bench in Union Square, the third bench on the right as you come in from the east. And every year at that time, an Old Gentleman came walking toward him. The Old Gentleman was tall and thin, dressed in black, with old-fashioned glasses. He took Stuffy to a restaurant and bought him a huge Thanksgiving dinner. Then he sat and watched Stuffy eat.

毎年、感謝祭の一時になると、スタッフィーはユニオン・スクエアのいつものベンチにすわった。東の入り口から入って、右手の三番目のベンチだ。そして毎年その時刻になると、ひとりの老紳士がこちらへ歩いてきた。背が高くやせていて、黒い服を着て、古風なめがねをかけた人だった。老紳士はスタッフィーをレストランへ連れていき、感謝祭のごちそうをたっぷりおごってくれた。そして向かいにすわって、スタッフィーが食べるのをながめていたのだった。

It was a tradition, and the Old Gentleman was very proud of it. America was a young country, without many old traditions. In England, he knew, some families had kept their traditions for hundreds of years. He wanted to start one of his own. He hoped that his tradition would continue for a long, long time.

これはひとつの伝統で、老紳士はそれをたいへん誇りにしていた。アメリカは若い国で、古い伝統というものがあまりない。イギリスには、何百年も伝統を守りつづけている家がある。老紳士はそれを知っていた。そして、自分だけの伝統をはじめたいと思ったのだ。この伝統が、いつまでも長くつづいてほしい。老紳士はそう願っていた。

This year, at one o'clock, Stuffy Pete walked slowly to his bench and sat down. But he was not hungry. In fact, he was so full that he could hardly breathe. His face was red and round, and the buttons on his old coat were ready to pop.

今年も一時になると、スタッフィー・ピートはゆっくりとベンチまで歩いてきて、腰をおろした。だが、おなかはすいていなかった。それどころか、腹がはちきれそうで、息をするのもやっとだった。顔は赤く、まんまるで、古い上着のボタンは、今にもはじけとびそうだった。

Here is the reason. That morning, as Stuffy was walking up Fifth Avenue, two old ladies had sent a servant out to call him into their big house. These two sisters had a tradition of their own. Every Thanksgiving, they fed the first hungry-looking poor man who passed their door. This year it was Stuffy.

そのわけは、こうだ。その朝、スタッフィーが五番街を歩いていると、ふたりの老婦人が召使いをよこして、大きな屋敷に招き入れたのだ。この姉妹にも、姉妹なりの伝統があった。毎年感謝祭の日に、家の前を最初に通りかかった、腹をすかせていそうな貧しい男に、ごちそうをふるまうのだ。今年それに当たったのが、スタッフィーだった。

They gave him a wonderful meal: turkey, potatoes, vegetables, soup, pie and much more. Stuffy ate for an hour. He ate until there was no more room inside him. When he left the house, he could barely walk.

姉妹はスタッフィーに、すばらしいごちそうを出した。七面鳥、ジャガイモ、野菜、スープ、パイ、そのほか数えきれないほど。スタッフィーは一時間も食べつづけた。腹の中にもうすきまがなくなるまで食べた。屋敷を出たときには、歩くのもやっとだった。

Now he sat on his bench, breathing heavily, like a snake that has swallowed something too big. He looked at nothing. Then, exactly on time, the Old Gentleman came walking along the path toward him.

今、スタッフィーはベンチにすわって、大きすぎる獲物をのみこんだヘビのように、苦しそうに息をしていた。目はうつろだった。すると、時刻ぴったりに、老紳士が小道をこちらへ歩いてきた。

The Old Gentleman looked a little older and a little thinner than last year. His black coat was older too. He stopped in front of Stuffy and began the same speech that he gave every year.

老紳士は、去年より少し年をとり、少しやせたように見えた。黒い上着も、去年よりくたびれていた。老紳士はスタッフィーの前で立ちどまり、毎年きまって口にするあいさつをはじめた。

"Good afternoon," he said. "I am glad to see that another year has passed and that you are in good health. For that blessing, we can both give thanks on this day of Thanksgiving. If you will come with me, my friend, I will give you a dinner that will make your body as thankful as your mind."

「こんにちは」と老紳士は言った。「また一年がめぐり、あなたがお元気でいらっしゃるのを見て、うれしく思います。この恵みに、この感謝祭の日、ふたりそろって感謝いたしましょう。わたしと一緒に来てくださるなら、心と同じくらい、おなかも感謝したくなるようなお食事をさしあげましょう」

Every year Stuffy had felt that these words were like music. Every year he had jumped up with joy. But today he looked up at the Old Gentleman with tears in his eyes. He could not eat another bite. He knew it.

毎年、スタッフィーには、この言葉が音楽のように聞こえたものだった。毎年、大喜びでとびあがったものだった。だが今日は、目に涙を浮かべて老紳士を見あげた。もうひと口も入らない。それは自分がいちばんよくわかっていた。

But then he saw the Old Gentleman's face. His eyes were shining. He was so happy to keep his tradition for one more year. Stuffy understood. If he refused today, the tradition would be broken. It was not Stuffy's tradition, but he was part of it. And a gentleman must not break a tradition.

だがそのとき、スタッフィーは老紳士の顔を見た。その目はかがやいていた。今年もまた伝統を守れるのが、うれしくてたまらないのだ。スタッフィーはさとった。ここで断れば、伝統はとぎれてしまう。それはスタッフィーの伝統ではない。だが、スタッフィーもその伝統の一部なのだ。そして、紳士たるもの、伝統を破ってはならない。

So Stuffy stood up slowly. "Thank you, sir," he said. "I'll go with you. I'm very hungry, sir."

そこでスタッフィーは、ゆっくりと立ちあがった。「ありがとうございます、だんな」とスタッフィーは言った。「お供します。腹ぺこなんでさ、だんな」

The Old Gentleman led him to the same restaurant and the same table as every year. The waiters knew them. "Here comes the old man," one waiter said quietly, "who buys dinner for the same poor fellow every Thanksgiving."

老紳士は、毎年と同じレストランの、同じテーブルへスタッフィーを連れていった。給仕たちは、ふたりを覚えていた。「ほら、あのじいさんが来たよ」と給仕のひとりが小声で言った。「毎年感謝祭になると、同じ貧乏人に晩飯をおごってやる人さ」

The Old Gentleman sat across from Stuffy, glowing with happiness. The waiters brought turkey, potatoes, vegetables, soup and pie. And Stuffy began to eat.

老紳士は喜びに顔をかがやかせて、スタッフィーの向かいにすわった。給仕たちが、七面鳥、ジャガイモ、野菜、スープ、パイを運んできた。そして、スタッフィーは食べはじめた。

No hero ever fought a harder battle. Bite after bite, Stuffy pushed the food into his mouth. His face grew redder and redder. But he did not stop. He saw the joy on the Old Gentleman's face, and he did not want to spoil it. He kept on eating until every plate was empty.

これほど苦しい戦いをした英雄は、かつていなかった。ひと口、またひと口と、スタッフィーは料理を口に押しこんだ。顔はどんどん赤くなっていった。それでも手を止めなかった。老紳士の顔に浮かぶ喜びを見ると、それを台なしにしたくなかったのだ。スタッフィーは、皿がすべてからになるまで食べつづけた。

"Thank you kindly, sir," Stuffy said at last, breathing like a broken steam engine. "Thank you for a fine dinner."

「どうもごちそうさまでした、だんな」と、とうとうスタッフィーは言った。こわれた蒸気機関のような息づかいだった。「けっこうなお食事を、ありがとうございました」

The Old Gentleman paid the bill. He counted out the coins very carefully and gave the waiter a small tip. Then they walked out together. At the door they shook hands. The Old Gentleman walked away to the south, and Stuffy walked to the north.

老紳士は勘定を払った。硬貨をひどく念入りに数え、給仕にはほんのわずかなチップを渡した。それから、ふたりは一緒に店を出た。入り口で、ふたりは握手をかわした。老紳士は南へ、スタッフィーは北へと歩いていった。

Stuffy turned the first corner. Then he stopped, held his stomach, and fell down on the sidewalk. A crowd gathered around him. Someone called an ambulance, and he was taken to a hospital. There the young doctors looked at him, gave him some medicine, and laughed a little. Too much Thanksgiving dinner, they said.

スタッフィーは、最初の角を曲がった。そこで立ちどまり、腹をかかえて、歩道にばったりたおれた。まわりに人だかりができた。誰かが救急車を呼び、スタッフィーは病院へ運ばれた。若い医者たちはスタッフィーを診て、薬を飲ませ、少し笑った。感謝祭のごちそうの食べすぎだ、と医者たちは言った。

An hour later, another ambulance came to the same hospital. It brought the Old Gentleman. They laid him on a bed in the same room as Stuffy, and the doctors began to examine him.

一時間後、べつの救急車が同じ病院にやって来た。運ばれてきたのは、あの老紳士だった。老紳士はスタッフィーと同じ病室のベッドに寝かされ、医者たちが診察をはじめた。

After a while, one young doctor came over to talk to another. "Look at that nice old gentleman over there," he said quietly. "He fainted in the street. You'd never guess what is wrong with him. He is almost starving. He told me that he hasn't eaten anything for three days."

しばらくして、若い医者のひとりが、同僚のところへやって来て話しかけた。「あそこの、品のいいおじいさんを見てくれよ」と小声で言った。「通りでたおれたんだ。どこが悪いのか、まず見当もつかないだろうね。飢え死にしかけているんだよ。三日間、何も口にしていないそうだ」

📖 全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

一年のうちに一日だけ、すべてのアメリカ人のものである日がある。感謝祭の日だ。その日、家族は七面鳥のごちそうを囲み、暮らしの中のよいことに感謝をささげる。

スタッフィー・ピートは、ニューヨークの貧しい男だった。家はなく、一年のほとんどは、ろくに食べるものもなかった。ところが九年のあいだ、感謝祭の日には、毎年きまってある特別なことが起きていた。

毎年、感謝祭の一時になると、スタッフィーはユニオン・スクエアのいつものベンチにすわった。東の入り口から入って、右手の三番目のベンチだ。そして毎年その時刻になると、ひとりの老紳士がこちらへ歩いてきた。背が高くやせていて、黒い服を着て、古風なめがねをかけた人だった。老紳士はスタッフィーをレストランへ連れていき、感謝祭のごちそうをたっぷりおごってくれた。そして向かいにすわって、スタッフィーが食べるのをながめていたのだった。

これはひとつの伝統で、老紳士はそれをたいへん誇りにしていた。アメリカは若い国で、古い伝統というものがあまりない。イギリスには、何百年も伝統を守りつづけている家がある。老紳士はそれを知っていた。そして、自分だけの伝統をはじめたいと思ったのだ。この伝統が、いつまでも長くつづいてほしい。老紳士はそう願っていた。

今年も一時になると、スタッフィー・ピートはゆっくりとベンチまで歩いてきて、腰をおろした。だが、おなかはすいていなかった。それどころか、腹がはちきれそうで、息をするのもやっとだった。顔は赤く、まんまるで、古い上着のボタンは、今にもはじけとびそうだった。

そのわけは、こうだ。その朝、スタッフィーが五番街を歩いていると、ふたりの老婦人が召使いをよこして、大きな屋敷に招き入れたのだ。この姉妹にも、姉妹なりの伝統があった。毎年感謝祭の日に、家の前を最初に通りかかった、腹をすかせていそうな貧しい男に、ごちそうをふるまうのだ。今年それに当たったのが、スタッフィーだった。

姉妹はスタッフィーに、すばらしいごちそうを出した。七面鳥、ジャガイモ、野菜、スープ、パイ、そのほか数えきれないほど。スタッフィーは一時間も食べつづけた。腹の中にもうすきまがなくなるまで食べた。屋敷を出たときには、歩くのもやっとだった。

今、スタッフィーはベンチにすわって、大きすぎる獲物をのみこんだヘビのように、苦しそうに息をしていた。目はうつろだった。すると、時刻ぴったりに、老紳士が小道をこちらへ歩いてきた。

老紳士は、去年より少し年をとり、少しやせたように見えた。黒い上着も、去年よりくたびれていた。老紳士はスタッフィーの前で立ちどまり、毎年きまって口にするあいさつをはじめた。

「こんにちは」と老紳士は言った。「また一年がめぐり、あなたがお元気でいらっしゃるのを見て、うれしく思います。この恵みに、この感謝祭の日、ふたりそろって感謝いたしましょう。わたしと一緒に来てくださるなら、心と同じくらい、おなかも感謝したくなるようなお食事をさしあげましょう」

毎年、スタッフィーには、この言葉が音楽のように聞こえたものだった。毎年、大喜びでとびあがったものだった。だが今日は、目に涙を浮かべて老紳士を見あげた。もうひと口も入らない。それは自分がいちばんよくわかっていた。

だがそのとき、スタッフィーは老紳士の顔を見た。その目はかがやいていた。今年もまた伝統を守れるのが、うれしくてたまらないのだ。スタッフィーはさとった。ここで断れば、伝統はとぎれてしまう。それはスタッフィーの伝統ではない。だが、スタッフィーもその伝統の一部なのだ。そして、紳士たるもの、伝統を破ってはならない。

そこでスタッフィーは、ゆっくりと立ちあがった。「ありがとうございます、だんな」とスタッフィーは言った。「お供します。腹ぺこなんでさ、だんな」

老紳士は、毎年と同じレストランの、同じテーブルへスタッフィーを連れていった。給仕たちは、ふたりを覚えていた。「ほら、あのじいさんが来たよ」と給仕のひとりが小声で言った。「毎年感謝祭になると、同じ貧乏人に晩飯をおごってやる人さ」

老紳士は喜びに顔をかがやかせて、スタッフィーの向かいにすわった。給仕たちが、七面鳥、ジャガイモ、野菜、スープ、パイを運んできた。そして、スタッフィーは食べはじめた。

これほど苦しい戦いをした英雄は、かつていなかった。ひと口、またひと口と、スタッフィーは料理を口に押しこんだ。顔はどんどん赤くなっていった。それでも手を止めなかった。老紳士の顔に浮かぶ喜びを見ると、それを台なしにしたくなかったのだ。スタッフィーは、皿がすべてからになるまで食べつづけた。

「どうもごちそうさまでした、だんな」と、とうとうスタッフィーは言った。こわれた蒸気機関のような息づかいだった。「けっこうなお食事を、ありがとうございました」

老紳士は勘定を払った。硬貨をひどく念入りに数え、給仕にはほんのわずかなチップを渡した。それから、ふたりは一緒に店を出た。入り口で、ふたりは握手をかわした。老紳士は南へ、スタッフィーは北へと歩いていった。

スタッフィーは、最初の角を曲がった。そこで立ちどまり、腹をかかえて、歩道にばったりたおれた。まわりに人だかりができた。誰かが救急車を呼び、スタッフィーは病院へ運ばれた。若い医者たちはスタッフィーを診て、薬を飲ませ、少し笑った。感謝祭のごちそうの食べすぎだ、と医者たちは言った。

一時間後、べつの救急車が同じ病院にやって来た。運ばれてきたのは、あの老紳士だった。老紳士はスタッフィーと同じ病室のベッドに寝かされ、医者たちが診察をはじめた。

しばらくして、若い医者のひとりが、同僚のところへやって来て話しかけた。「あそこの、品のいいおじいさんを見てくれよ」と小声で言った。「通りでたおれたんだ。どこが悪いのか、まず見当もつかないだろうね。飢え死にしかけているんだよ。三日間、何も口にしていないそうだ」

日本語訳:多読ベスト

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理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. Why was Stuffy so full when he came to the bench?

Q2. Why did Stuffy eat the second dinner?

Q3. What was wrong with the Old Gentleman?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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