The Green Door(緑のドア)の挿絵
Level 4 Intermediate名作文学

The Green Door

緑のドア

  • 📖 946 words
  • ⏱ 約9分
  • YL 2.5–3.4
  • 英検2級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ冒険を夢見るピアノのセールスマン、ルドルフ。ある夜、通りで配られていた歯医者の広告カードの裏に、「緑のドア」という謎のことばが書かれていて……。

O・ヘンリーの短編集『四百万』(1906年、パブリックドメイン)をもとに多読ベストが再話

キーワード(10語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • adventure冒険
  • dentist歯医者
  • advertisements広告
  • hallway廊下
  • dimうす暗い
  • swayedふらついた
  • department storeデパート
  • ashamed恥ずかしい
  • by chance偶然に
  • Fate運命

🔊 音声は準備中です。もうしばらくお待ちください。

Rudolf Steiner was a young piano salesman in New York. During the day he sold pianos in a store. But in the evenings he went out to look for adventure. To Rudolf, the big city was full of hidden stories. Behind any door, around any corner, something exciting might be waiting for him.

ルドルフ・シュタイナーは、ニューヨークに住む若いピアノのセールスマンだった。昼間は店でピアノを売っていた。だが夜になると、冒険をさがしに町へ出かけた。ルドルフにとって、大都会は隠れた物語の宝庫だった。どのドアの向こうにも、どの角を曲がった先にも、何かわくわくするものが待っているかもしれないのだ。

Most people are happy with quiet lives. They go to work, come home, eat dinner and go to bed. But true adventurers are different. They want to see what is around the next corner. Rudolf was a true adventurer.

たいていの人は、静かな暮らしで満足している。仕事に行き、家に帰り、夕食をとって、寝る。だが、本物の冒険家はちがう。次の角の向こうに何があるのか、見ずにはいられないのだ。ルドルフは、そういう本物の冒険家だった。

One evening Rudolf was walking along a busy street after dinner. He passed a tall building with a dentist's office on an upper floor. In front of the building stood a big man in a bright red coat. He was handing out small cards to everyone who passed. They were advertisements for the dentist.

ある晩、ルドルフは夕食のあと、にぎやかな通りを歩いていた。上の階に歯医者が入っている、高い建物の前を通りかかった。建物の前には、まっ赤なコートを着た大男が立っていた。男は、通る人みんなに小さなカードを配っていた。歯医者の広告だった。

Rudolf took a card as he went by. Usually he threw cards like that away without looking. But this time he turned it over. On the back, written by hand, were three words: "The Green Door."

ルドルフは、通りすがりにカードを一枚受けとった。ふだんなら、こんなカードは見もせずに捨ててしまう。だが、このときは裏返してみた。裏には、手書きで三つの単語が書いてあった。「緑のドア」。

Rudolf looked around. Just ahead of him, another man dropped his card on the sidewalk. Rudolf picked it up. On one side was the dentist's name and address. The back was empty.

ルドルフはあたりを見まわした。すぐ前を歩いていた男が、カードを歩道に落とした。ルドルフはそれを拾った。表には、歯医者の名前と住所。裏には何も書いてなかった。

Rudolf's heart began to beat faster. He walked back past the man in the red coat and took another card. On the back, in the same handwriting, were the same words: "The Green Door."

ルドルフの胸が高鳴りはじめた。ルドルフは赤いコートの男の前まで引き返して、もう一枚カードを受けとった。裏には同じ筆跡で、同じ言葉が書かれていた。「緑のドア」。

Rudolf stood on the sidewalk and thought hard. Other people got plain cards, but he had been given two cards with a message. Perhaps it was a sign. Perhaps someone in that building needed help and had chosen him. He looked up at the building. On the ground floor there was a small restaurant. On the floors above, many people lived in small rented rooms.

ルドルフは歩道に立ちどまり、じっと考えた。ほかの人たちがもらったのは、ただのカードだった。なのに自分だけは、言葉の書かれたカードを二枚も渡された。これは何かの合図かもしれない。あの建物の誰かが助けを求めていて、自分を選んだのかもしれない。ルドルフは建物を見あげた。一階には小さなレストランがあった。その上の階には、大勢の人が狭い貸し間で暮らしていた。

Rudolf did not wait any longer. He went into the building and climbed the dark, narrow stairs. On the fourth floor the hallway was almost dark. Near the top of the stairs he saw a door. In the dim light he could see that it was painted green.

ルドルフは、もうぐずぐずしなかった。建物に入り、暗くせまい階段を登っていった。四階の廊下は、ほとんどまっ暗だった。階段を登りきったすぐそばに、ドアがひとつあった。うす暗がりの中でも、緑色にぬってあるのがわかった。

He stopped for a moment. Then he walked straight to the green door and knocked.

ルドルフは一瞬立ちどまった。それから、まっすぐ緑のドアに歩みより、ノックした。

The door opened slowly. A young woman stood there. She was not more than twenty. Her face was very pale, and she was holding the door as if she might fall. Her eyes were gentle and pretty, but they were tired and sad.

ドアがゆっくりと開いた。若い女性が立っていた。二十歳にもなっていないだろう。顔はひどく青ざめていて、今にもたおれそうにドアにすがっていた。やさしくきれいな目をしていたが、その目は疲れて、悲しげだった。

She looked at Rudolf in surprise. Then she swayed and began to fall. Rudolf caught her and helped her to an old chair inside the room. He looked around quickly. The room was clean and neat, but very poor. There was no food anywhere.

女性は、おどろいてルドルフを見た。と、ふらりとよろめいて、たおれかかった。ルドルフは女性をささえ、部屋の中の古いいすにすわらせた。そして、すばやく部屋を見まわした。部屋は清潔で、きちんと片づいていたが、ひどく貧しかった。食べものは、どこにも見あたらなかった。

"When did you last eat?" he asked gently.

「最後に食事をしたのは、いつですか?」とルドルフはやさしくたずねた。

"Three days ago," she whispered.

「三日前です」と女性はささやいた。

"Wait here," said Rudolf. "I'll be right back."

「ここで待っていてください」とルドルフは言った。「すぐにもどります」

He ran down the stairs and out into the street. Soon he came back with his arms full. He had bread and butter, cold meat, cakes, a pie, a bottle of milk and a pot of hot tea. He set everything out on her little table and made her eat slowly. As she ate, a little color came back into her cheeks.

ルドルフは階段をかけおり、通りへとびだした。まもなく、両腕いっぱいに荷物をかかえてもどってきた。パンとバター、冷たい肉、ケーキ、パイ、牛乳を一びん、それに熱い紅茶をポットで。ルドルフはそれを全部小さなテーブルに並べ、ゆっくり食べるようにと言った。食べるうちに、女性のほおに少し赤みがさしてきた。

Then she told him her story. It was a story that happens every day in the big city. She had worked in a large department store. The pay was small, but she managed. Then she became sick and lost her job. She looked for work everywhere, but there was nothing. Her money ran out, and then her food ran out. "And then you knocked on my door," she said with a small smile.

それから女性は、身の上を話してくれた。大都会では、毎日のように起きている話だった。大きなデパートで働いていた。給料は安かったが、どうにかやっていけた。ところが病気になって、仕事を失った。あちこちで働き口をさがしたが、どこにもなかった。お金がつき、やがて食べものもつきた。「そうしたら、あなたがドアをノックしてくださったんです」と、女性は小さくほほえんだ。

Rudolf almost asked her about the card. Had she sent the message? But he stopped himself. If she had, she was too proud to say so now. He did not want to make her feel ashamed. So he said nothing about the cards.

ルドルフは、カードのことをたずねかけた。あの言葉を書いたのは、この人なのだろうか? だが、思いとどまった。もしそうだとしても、この人は誇り高いから、いまさらそうだとは言えないだろう。恥ずかしい思いをさせたくはなかった。だから、カードのことは何も言わなかった。

They talked for a long time. Rudolf liked her more and more. When at last he stood up to go, he asked, "May I come back tomorrow to see how you are?"

ふたりは長いあいだ話をした。話すほどに、ルドルフはこの人が好きになっていった。とうとう帰ろうと立ちあがったとき、ルドルフはたずねた。「あした、具合をうかがいにまた来てもいいですか?」

"Yes," she said. "I would like that very much."

「ええ」と女性は言った。「ぜひ、いらしてください」

Rudolf stepped out and closed the green door behind him. He looked along the hallway, and then he stopped in surprise. The door next to hers was green. The door across the hall was green. He went down the stairs and looked at the doors on every floor. Every single door in the building was painted green.

ルドルフは廊下に出て、うしろ手に緑のドアを閉めた。廊下を見わたしたとたん、ルドルフはおどろいて立ちすくんだ。となりのドアも緑だった。廊下の向かいのドアも緑だった。階段をおりながら、どの階のドアも見てみた。建物じゅうのドアが、ひとつ残らず緑色にぬってあったのだ。

Rudolf walked out into the street. The man in the red coat was still handing out cards. Rudolf went up to him with the two cards in his hand.

ルドルフは通りへ出た。赤いコートの男は、まだカードを配っていた。ルドルフは二枚のカードを手に、男に近づいた。

"Please tell me," he said, "why you gave me these cards. What does 'The Green Door' mean?"

「教えてください」とルドルフは言った。「どうして、ぼくにこのカードをくれたんです? 『緑のドア』って、どういう意味なんですか?」

The man laughed and pointed down the street. "Look over there, sir," he said. Above the entrance of a theater, a bright electric sign was shining. It said, "The Green Door." It was the name of a new play.

男は笑って、通りの先を指さした。「あっちをごらんなさい、だんな」と男は言った。ある劇場の入り口の上で、電光看板があかあかと光っていた。そこには「緑のドア」と書いてあった。新しい芝居の題名だったのだ。

"The man from the theater gave me a dollar," said the man in the red coat. "He asked me to give out some of his cards with the dentist's cards. Would you like to see the play, sir?"

「劇場の人が一ドルくれましてね」と赤いコートの男は言った。「歯医者のカードと一緒に、劇場のカードも何枚か配ってくれってたのまれたんですよ。だんなも、芝居をごらんになりますか?」

Rudolf walked slowly to the corner. So the message was not from the young woman at all. It was only an advertisement. He had knocked on one green door out of dozens, just by chance.

ルドルフは、ゆっくりと角まで歩いた。つまり、あの言葉は、あの若い女性からのものなどではなかったのだ。ただの広告にすぎなかった。何十もある緑のドアのひとつを、たまたまノックしただけだったのだ。

Then he smiled to himself. "It doesn't matter," he thought. "I still believe that Fate put those cards in my hand. Fate showed me the way to her."

それからルドルフは、ひとりでほほえんだ。「そんなことはどうでもいい」とルドルフは思った。「やっぱり、運命があのカードをぼくの手に渡してくれたんだ。運命が、あの人のところへ導いてくれたんだ」

📖 全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

ルドルフ・シュタイナーは、ニューヨークに住む若いピアノのセールスマンだった。昼間は店でピアノを売っていた。だが夜になると、冒険をさがしに町へ出かけた。ルドルフにとって、大都会は隠れた物語の宝庫だった。どのドアの向こうにも、どの角を曲がった先にも、何かわくわくするものが待っているかもしれないのだ。

たいていの人は、静かな暮らしで満足している。仕事に行き、家に帰り、夕食をとって、寝る。だが、本物の冒険家はちがう。次の角の向こうに何があるのか、見ずにはいられないのだ。ルドルフは、そういう本物の冒険家だった。

ある晩、ルドルフは夕食のあと、にぎやかな通りを歩いていた。上の階に歯医者が入っている、高い建物の前を通りかかった。建物の前には、まっ赤なコートを着た大男が立っていた。男は、通る人みんなに小さなカードを配っていた。歯医者の広告だった。

ルドルフは、通りすがりにカードを一枚受けとった。ふだんなら、こんなカードは見もせずに捨ててしまう。だが、このときは裏返してみた。裏には、手書きで三つの単語が書いてあった。「緑のドア」。

ルドルフはあたりを見まわした。すぐ前を歩いていた男が、カードを歩道に落とした。ルドルフはそれを拾った。表には、歯医者の名前と住所。裏には何も書いてなかった。

ルドルフの胸が高鳴りはじめた。ルドルフは赤いコートの男の前まで引き返して、もう一枚カードを受けとった。裏には同じ筆跡で、同じ言葉が書かれていた。「緑のドア」。

ルドルフは歩道に立ちどまり、じっと考えた。ほかの人たちがもらったのは、ただのカードだった。なのに自分だけは、言葉の書かれたカードを二枚も渡された。これは何かの合図かもしれない。あの建物の誰かが助けを求めていて、自分を選んだのかもしれない。ルドルフは建物を見あげた。一階には小さなレストランがあった。その上の階には、大勢の人が狭い貸し間で暮らしていた。

ルドルフは、もうぐずぐずしなかった。建物に入り、暗くせまい階段を登っていった。四階の廊下は、ほとんどまっ暗だった。階段を登りきったすぐそばに、ドアがひとつあった。うす暗がりの中でも、緑色にぬってあるのがわかった。

ルドルフは一瞬立ちどまった。それから、まっすぐ緑のドアに歩みより、ノックした。

ドアがゆっくりと開いた。若い女性が立っていた。二十歳にもなっていないだろう。顔はひどく青ざめていて、今にもたおれそうにドアにすがっていた。やさしくきれいな目をしていたが、その目は疲れて、悲しげだった。

女性は、おどろいてルドルフを見た。と、ふらりとよろめいて、たおれかかった。ルドルフは女性をささえ、部屋の中の古いいすにすわらせた。そして、すばやく部屋を見まわした。部屋は清潔で、きちんと片づいていたが、ひどく貧しかった。食べものは、どこにも見あたらなかった。

「最後に食事をしたのは、いつですか?」とルドルフはやさしくたずねた。

「三日前です」と女性はささやいた。

「ここで待っていてください」とルドルフは言った。「すぐにもどります」

ルドルフは階段をかけおり、通りへとびだした。まもなく、両腕いっぱいに荷物をかかえてもどってきた。パンとバター、冷たい肉、ケーキ、パイ、牛乳を一びん、それに熱い紅茶をポットで。ルドルフはそれを全部小さなテーブルに並べ、ゆっくり食べるようにと言った。食べるうちに、女性のほおに少し赤みがさしてきた。

それから女性は、身の上を話してくれた。大都会では、毎日のように起きている話だった。大きなデパートで働いていた。給料は安かったが、どうにかやっていけた。ところが病気になって、仕事を失った。あちこちで働き口をさがしたが、どこにもなかった。お金がつき、やがて食べものもつきた。「そうしたら、あなたがドアをノックしてくださったんです」と、女性は小さくほほえんだ。

ルドルフは、カードのことをたずねかけた。あの言葉を書いたのは、この人なのだろうか? だが、思いとどまった。もしそうだとしても、この人は誇り高いから、いまさらそうだとは言えないだろう。恥ずかしい思いをさせたくはなかった。だから、カードのことは何も言わなかった。

ふたりは長いあいだ話をした。話すほどに、ルドルフはこの人が好きになっていった。とうとう帰ろうと立ちあがったとき、ルドルフはたずねた。「あした、具合をうかがいにまた来てもいいですか?」

「ええ」と女性は言った。「ぜひ、いらしてください」

ルドルフは廊下に出て、うしろ手に緑のドアを閉めた。廊下を見わたしたとたん、ルドルフはおどろいて立ちすくんだ。となりのドアも緑だった。廊下の向かいのドアも緑だった。階段をおりながら、どの階のドアも見てみた。建物じゅうのドアが、ひとつ残らず緑色にぬってあったのだ。

ルドルフは通りへ出た。赤いコートの男は、まだカードを配っていた。ルドルフは二枚のカードを手に、男に近づいた。

「教えてください」とルドルフは言った。「どうして、ぼくにこのカードをくれたんです? 『緑のドア』って、どういう意味なんですか?」

男は笑って、通りの先を指さした。「あっちをごらんなさい、だんな」と男は言った。ある劇場の入り口の上で、電光看板があかあかと光っていた。そこには「緑のドア」と書いてあった。新しい芝居の題名だったのだ。

「劇場の人が一ドルくれましてね」と赤いコートの男は言った。「歯医者のカードと一緒に、劇場のカードも何枚か配ってくれってたのまれたんですよ。だんなも、芝居をごらんになりますか?」

ルドルフは、ゆっくりと角まで歩いた。つまり、あの言葉は、あの若い女性からのものなどではなかったのだ。ただの広告にすぎなかった。何十もある緑のドアのひとつを、たまたまノックしただけだったのだ。

それからルドルフは、ひとりでほほえんだ。「そんなことはどうでもいい」とルドルフは思った。「やっぱり、運命があのカードをぼくの手に渡してくれたんだ。運命が、あの人のところへ導いてくれたんだ」

日本語訳:多読ベスト

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理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. What was written on the back of Rudolf's cards?

Q2. Why was the young woman so weak?

Q3. What was 'The Green Door' really?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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