Springtime à la Carte(春のアラカルト)の挿絵
Level 3 Pre-Intermediate名作文学

Springtime à la Carte

春のアラカルト

  • 📖 606 words
  • ⏱ 約6分
  • YL 1.5–2.4
  • 英検準2級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじタイピストのサラは、レストランのメニューをタイプして食事をもらって暮らしています。去年の夏、田舎で恋をした青年からは「春に結婚しよう」と言われたのに、手紙がとだえてしまい……。

O・ヘンリーの短編集『四百万』(1906年、パブリックドメイン)をもとに多読ベストが再話

キーワード(8語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • typistタイピスト
  • typewriterタイプライター
  • deal取り引き、約束
  • copies(同じものの)部数、写し
  • in returnお返しに
  • dandelionsタンポポ
  • crown冠
  • hard-boiled eggsゆで卵

🔊 音声は準備中です。もうしばらくお待ちください。

Sarah was a typist in New York. She did not have a big office or many customers. She worked alone in a small rented room with an old typewriter. She earned very little money, but she had found a clever way to get good food.

サラは、ニューヨークのタイピストだった。大きな事務所もなければ、お得意さんもたいしていない。小さな貸し間で、古いタイプライターを相手に、ひとりで働いていた。稼ぎはほんのわずかだったが、おいしい食事にありつく、うまい方法を見つけていた。

Near her room was Schulenberg's Home Restaurant. Its menus were written by hand, and they were very hard to read. One day Sarah went to Mr. Schulenberg and made a deal. Every evening she would type his menus for the next day, twenty-one copies, one for each table. In return, he would send her three meals a day. A waiter brought them up to her room. Both of them were happy with the deal.

部屋の近くに、「シューレンバーグの家庭料理店」があった。この店のメニューは手書きで、ひどく読みにくかった。ある日、サラはシューレンバーグさんのところへ行き、取り引きをもちかけた。サラが毎晩、次の日のメニューを、テーブルの数と同じ二十一枚タイプする。そのかわりに、シューレンバーグさんが一日三度の食事をサラに届ける、というものだった。料理は、給仕が部屋まで運んでくれた。ふたりとも、この取り引きに大満足だった。

The menus also told Sarah about the seasons. In the city, it is hard to see the seasons change. But when the menu said "roast pork," it was winter. When it said "strawberries," summer was near.

メニューは、サラに季節のうつり変わりも教えてくれた。都会にいると、季節が変わっていくのはなかなか目に見えない。でも、メニューに「ローストポーク」とあれば冬。「イチゴ」とあれば、夏が近いということだった。

Last summer Sarah had gone to the country for two weeks. She stayed at a farm called Sunnybrook Farm. There she met Walter Franklin, a young farmer. They walked in the fields together, and they fell in love. One day Walter made a crown of yellow dandelions and put it on her hair. "You look like a queen," he said.

去年の夏、サラは二週間、田舎へ出かけた。サニーブルック農場という農場に泊まった。そこで、ウォルター・フランクリンという若い農夫と出会った。ふたりは一緒に野原を歩き、恋に落ちた。ある日、ウォルターは黄色いタンポポで冠を編み、サラの髪にのせた。「女王さまみたいだ」とウォルターは言った。

Before Sarah went back to the city, Walter asked her to marry him. "We'll be married in the spring," he said. "As soon as the dandelions come again."

サラが町へ帰る前に、ウォルターは結婚を申しこんだ。「春になったら結婚しよう」とウォルターは言った。「またタンポポが咲いたら、すぐにね」

Now it was March, and spring was coming. But Sarah had not heard from Walter for two weeks. She was worried and sad. Was he sick? Had he forgotten her?

今は三月、春はもうそこまで来ていた。それなのに、ウォルターからは二週間も便りがなかった。サラは心配で、悲しかった。病気なのかしら? それとも、わたしのことなんか忘れてしまったのかしら?

That evening Sarah sat down to type the menus. Outside, the city was cold and grey. She typed slowly, and tears came into her eyes.

その晩、サラはメニューをタイプしようと、机に向かった。窓の外の町は、寒々とした灰色だった。のろのろとキーを打っているうちに、目に涙があふれてきた。

Then she came to the vegetables. On Mr. Schulenberg's list was a new spring dish: "Dandelions with hard-boiled eggs." Dandelions! Sarah remembered the yellow crown and Walter's kind face. Her tears fell on the keys, and she could not see the words she was typing. But somehow she finished all twenty-one menus.

やがて、野菜の欄まで来た。シューレンバーグさんの献立表には、春の新しい料理がのっていた。「タンポポのゆで卵添え」。タンポポ! サラは、あの黄色い冠と、ウォルターのやさしい顔を思い出した。涙がキーの上にこぼれ、打っている文字が見えなくなった。それでも、どうにか二十一枚のメニューを打ち終えた。

The waiter took the menus to the restaurant. Sarah sat by her window, sad and alone. When her dinner came, there were dandelions on the plate. She could not eat them.

給仕がメニューを店へ持っていった。サラは窓辺にすわっていた。悲しく、ひとりぼっちだった。夕食が届くと、皿にはタンポポがのっていた。サラは、それをのどに通すことができなかった。

At seven o'clock a young man walked into Schulenberg's restaurant. He looked tired and unhappy. He had come to New York three days before to find Sarah. He had written to her, but she had moved to a new room, and his letter had come back. He had looked everywhere for her. Even the police could not help him. The city was too big.

七時に、ひとりの若い男がシューレンバーグの店に入ってきた。疲れきって、浮かない顔をしていた。三日前、サラをさがしにニューヨークへ出てきたのだ。手紙は書いたのだが、サラは新しい部屋へ引っこしていて、手紙はもどってきてしまった。男はサラをあちこちさがしまわった。警察でさえ、どうにもできなかった。町は、あまりにも大きすぎた。

He sat down at a table and picked up the menu without much interest. Then he suddenly sat up straight. He read one line again and again. Then he jumped up and took the menu to Mr. Schulenberg. "Who typed this?" he asked. "Where does she live?"

男はテーブルにつき、たいして気もなさそうにメニューを手にとった。と、とつぜん背すじをぴんとのばした。ある一行を、何度も何度も読みかえした。それからとびあがり、メニューをシューレンバーグさんのところへ持っていった。「これをタイプしたのは誰です?」と男はたずねた。「その人は、どこに住んでいるんですか?」

A few minutes later there was a knock on Sarah's door. She opened it. There stood Walter Franklin.

数分後、サラの部屋の扉をノックする音がした。扉を開けると、そこにウォルター・フランクリンが立っていた。

"Walter!" she cried. "Why didn't you write?"

「ウォルター!」とサラはさけんだ。「どうして手紙をくれなかったの?」

"I did write," said Walter, holding her hands. "But you had moved. I've been looking for you for three days. New York is so big! And then I found you on a menu."

「書いたんだよ」とウォルターは、サラの両手をにぎって言った。「でも、きみは引っこしていた。三日間、ずっとさがしていたんだ。ニューヨークは、なんて広いんだろう! そうしたら、メニューの上できみを見つけたんだ」

"On a menu? What do you mean?"

「メニューの上で? どういうこと?」

Walter took the menu out of his pocket and showed her. Under the vegetables there was a line that she did not remember typing. It did not say "Dandelions with hard-boiled eggs." Her sad heart had made her fingers type something else. It said: "Dearest Walter, with hard-boiled eggs."

ウォルターはポケットからメニューを出して、サラに見せた。野菜の欄の下に、サラには打った覚えのない一行があった。「タンポポのゆで卵添え」ではなかった。悲しみにくれた心が、指にちがう言葉を打たせていたのだ。そこには、こうあった。「愛しいウォルター、ゆで卵添え」

📖 全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

サラは、ニューヨークのタイピストだった。大きな事務所もなければ、お得意さんもたいしていない。小さな貸し間で、古いタイプライターを相手に、ひとりで働いていた。稼ぎはほんのわずかだったが、おいしい食事にありつく、うまい方法を見つけていた。

部屋の近くに、「シューレンバーグの家庭料理店」があった。この店のメニューは手書きで、ひどく読みにくかった。ある日、サラはシューレンバーグさんのところへ行き、取り引きをもちかけた。サラが毎晩、次の日のメニューを、テーブルの数と同じ二十一枚タイプする。そのかわりに、シューレンバーグさんが一日三度の食事をサラに届ける、というものだった。料理は、給仕が部屋まで運んでくれた。ふたりとも、この取り引きに大満足だった。

メニューは、サラに季節のうつり変わりも教えてくれた。都会にいると、季節が変わっていくのはなかなか目に見えない。でも、メニューに「ローストポーク」とあれば冬。「イチゴ」とあれば、夏が近いということだった。

去年の夏、サラは二週間、田舎へ出かけた。サニーブルック農場という農場に泊まった。そこで、ウォルター・フランクリンという若い農夫と出会った。ふたりは一緒に野原を歩き、恋に落ちた。ある日、ウォルターは黄色いタンポポで冠を編み、サラの髪にのせた。「女王さまみたいだ」とウォルターは言った。

サラが町へ帰る前に、ウォルターは結婚を申しこんだ。「春になったら結婚しよう」とウォルターは言った。「またタンポポが咲いたら、すぐにね」

今は三月、春はもうそこまで来ていた。それなのに、ウォルターからは二週間も便りがなかった。サラは心配で、悲しかった。病気なのかしら? それとも、わたしのことなんか忘れてしまったのかしら?

その晩、サラはメニューをタイプしようと、机に向かった。窓の外の町は、寒々とした灰色だった。のろのろとキーを打っているうちに、目に涙があふれてきた。

やがて、野菜の欄まで来た。シューレンバーグさんの献立表には、春の新しい料理がのっていた。「タンポポのゆで卵添え」。タンポポ! サラは、あの黄色い冠と、ウォルターのやさしい顔を思い出した。涙がキーの上にこぼれ、打っている文字が見えなくなった。それでも、どうにか二十一枚のメニューを打ち終えた。

給仕がメニューを店へ持っていった。サラは窓辺にすわっていた。悲しく、ひとりぼっちだった。夕食が届くと、皿にはタンポポがのっていた。サラは、それをのどに通すことができなかった。

七時に、ひとりの若い男がシューレンバーグの店に入ってきた。疲れきって、浮かない顔をしていた。三日前、サラをさがしにニューヨークへ出てきたのだ。手紙は書いたのだが、サラは新しい部屋へ引っこしていて、手紙はもどってきてしまった。男はサラをあちこちさがしまわった。警察でさえ、どうにもできなかった。町は、あまりにも大きすぎた。

男はテーブルにつき、たいして気もなさそうにメニューを手にとった。と、とつぜん背すじをぴんとのばした。ある一行を、何度も何度も読みかえした。それからとびあがり、メニューをシューレンバーグさんのところへ持っていった。「これをタイプしたのは誰です?」と男はたずねた。「その人は、どこに住んでいるんですか?」

数分後、サラの部屋の扉をノックする音がした。扉を開けると、そこにウォルター・フランクリンが立っていた。

「ウォルター!」とサラはさけんだ。「どうして手紙をくれなかったの?」

「書いたんだよ」とウォルターは、サラの両手をにぎって言った。「でも、きみは引っこしていた。三日間、ずっとさがしていたんだ。ニューヨークは、なんて広いんだろう! そうしたら、メニューの上できみを見つけたんだ」

「メニューの上で? どういうこと?」

ウォルターはポケットからメニューを出して、サラに見せた。野菜の欄の下に、サラには打った覚えのない一行があった。「タンポポのゆで卵添え」ではなかった。悲しみにくれた心が、指にちがう言葉を打たせていたのだ。そこには、こうあった。「愛しいウォルター、ゆで卵添え」

日本語訳:多読ベスト

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理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. What did Sarah get for typing the menus?

Q2. Why did Walter's letter come back?

Q3. How did Walter find Sarah?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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