A Service of Love(愛の奉仕)の挿絵
Level 3 Pre-Intermediate名作文学

A Service of Love

愛の奉仕

  • 📖 708 words
  • ⏱ 約6分
  • YL 1.5–2.4
  • 英検準2級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ画家をめざすジョーと、ピアニストをめざすデリア。夢を追ってニューヨークで暮らす若い夫婦は、お金がなくなると、それぞれ相手のためにがんばり始めますが……。

O・ヘンリーの短編集『四百万』(1906年、パブリックドメイン)をもとに多読ベストが再話

キーワード(9語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • gifted才能のある
  • genius天才
  • pupil生徒
  • delicateか弱い、繊細な
  • bandage包帯
  • cotton綿(脱脂綿)
  • laundry洗濯屋、クリーニング工場
  • ironingアイロンがけ
  • made up(話を)作り上げた

🔊 音声は準備中です。もうしばらくお待ちください。

When you love your art, no work seems too hard. That is what this story is about.

芸術を愛していれば、どんな仕事もつらくはない。これは、そういうお話である。

Joe Larrabee came from a small town in the Middle West. He was a gifted painter. When he was six, he drew a picture of the town pump, and everyone said he was a genius. At twenty he left for New York with a thin wallet and a big dream.

ジョー・ララビーは、中西部の小さな町の生まれだった。絵の才能にめぐまれていた。六歳のとき、町のポンプの絵をかいて、みんなから天才だともてはやされた。二十歳になると、うすい財布と大きな夢をかかえて、ニューヨークへ出てきた。

Delia Caruthers came from a village in the South. She played the piano so beautifully that her family collected money and sent her to New York to study music.

デリア・カラザーズは、南部の村の生まれだった。あまりにピアノが上手なので、家族がお金を出しあって、ニューヨークへ音楽の勉強に送り出してくれた。

Joe and Delia met in New York, fell in love, and soon got married. They rented a small apartment. They were very happy, because they had their art and they had each other. Joe studied painting with a great teacher named Magister. Delia studied the piano with a famous teacher named Rosenstock.

ジョーとデリアはニューヨークで出会い、恋に落ち、まもなく結婚した。ふたりは小さなアパートを借りた。芸術があり、たがいがいる。それだけで、ふたりはとても幸せだった。ジョーはマジスターという大先生について絵を学んだ。デリアはローゼンストックという名高い先生について、ピアノを学んだ。

But lessons with great teachers are expensive, and soon their money began to run out.

けれども、大先生のレッスン代は高く、やがてふたりのお金は底をつきはじめた。

One evening Delia came home excited. "Joe, dear," she said, "I have a pupil! She's General Pinkney's daughter, Clementina. They live in a beautiful house on Seventy-first Street. I'll teach her three times a week, and they'll pay me five dollars a lesson. Isn't that wonderful?"

ある晩、デリアが興奮して帰ってきた。「ねえ、ジョー」とデリアは言った。「生徒ができたの! ピンクニー将軍のお嬢さんで、クレメンティーナっていうの。七十一丁目のすてきなお屋敷に住んでいるのよ。週に三回教えて、一回五ドルいただけるの。すばらしいでしょう?」

Joe did not like it. "I don't want you to work while I play with paint," he said. "I'll sell newspapers or break stones on the road."

ジョーはいい顔をしなかった。「ぼくが絵の具をいじって遊んでいるのに、きみを働かせるなんていやだよ」とジョーは言った。「ぼくが新聞を売るか、道ばたで石割りでもするよ」

But Delia held his arm. "No, Joe. You must keep studying with Magister. Teaching music is still music. And fifteen dollars a week will make us comfortable."

だがデリアは、ジョーの腕にすがった。「だめよ、ジョー。あなたは、マジスター先生のところで勉強をつづけなくちゃ。音楽を教えるのだって、音楽にはちがいないわ。それに、週に十五ドルあれば、楽に暮らせるもの」

So Joe kept painting, and Delia went out to teach. She came home tired but smiling. She told Joe stories about Clementina, a sweet, delicate girl who always wore white, and about the General, a kind old man.

そこでジョーは絵をかきつづけ、デリアは教えに出かけた。デリアは疲れて、それでも笑顔で帰ってきた。そして、クレメンティーナの話をジョーに聞かせた。いつも白い服を着た、かわいらしくて、か弱い娘だという。将軍のことも話した。親切な老紳士だという。

One Saturday evening Delia proudly put fifteen dollars on the table. Then Joe, with a big smile, put eighteen dollars next to it.

ある土曜日の晩、デリアは得意げに十五ドルをテーブルに置いた。するとジョーが満面の笑みで、そのとなりに十八ドルを置いた。

"I sold a painting," he said. "A man from Peoria saw it in a shop window and bought it. And he wants another one, a picture of the train station in winter. Art is not dead after all!"

「絵が売れたんだ」とジョーは言った。「ピオリアから来た人が、店のショーウインドーで見て、買ってくれたんだよ。しかも、もう一枚ほしいって。冬の駅の絵をね。芸術は、まだ死んじゃいなかったんだ!」

"I'm so glad you kept painting," said Delia happily. "Fifteen dollars and eighteen dollars! Thirty-three dollars! We've never had so much money."

「あなたが絵をつづけてくれて、本当によかった」とデリアはうれしそうに言った。「十五ドルと十八ドル! 三十三ドルよ! こんな大金、持ったことないわ」

For the next few weeks they lived well. Delia taught Clementina, and Joe sold more paintings to the man from Peoria.

それから数週間、ふたりはいい暮らしをした。デリアはクレメンティーナにピアノを教え、ジョーはピオリアの男に、さらに何枚も絵を売った。

Then one evening Delia came home with her right hand wrapped in a big white bandage.

そんなある晩、デリアが右手に大きな白い包帯を巻いて帰ってきた。

"What happened to your hand?" asked Joe.

「その手はどうしたんだい?」とジョーはたずねた。

Delia laughed, but it was not a real laugh. "Oh, it's nothing," she said. "After the lesson, Clementina wanted to make cheese toast. She is so delicate! She spilled the hot cheese on my hand. It hurt a lot. But the General was so kind. He ran downstairs and brought some oil and cotton for it."

デリアは笑ったが、それは本当の笑いではなかった。「ああ、なんでもないの」とデリアは言った。「レッスンのあとで、クレメンティーナがチーズトーストを作りたいって言いだしてね。あの子、本当にか弱いのよ! 熱いチーズを、わたしの手にこぼしちゃったの。とても痛かったわ。でも、将軍がとても親切でね。下へかけおりて、油と綿を持ってきてくださったの」

Joe took her hand gently and looked at it. Under the bandage he saw the cotton and the oil. "Delia," he said quietly, "how long have you been working at the laundry?"

ジョーはデリアの手をそっととり、じっと見た。包帯の下に、綿と油が見えた。「デリア」とジョーは静かに言った。「いつから、洗濯工場で働いているんだい?」

Delia's face turned red, and her eyes filled with tears. "Don't be angry, Joe," she said. "I couldn't find a pupil. I didn't want you to stop studying with Magister. So I got a job ironing shirts in a big laundry on Twenty-fourth Street. Today a girl put a hot iron on my hand by mistake. Clementina and General Pinkney are not real. I made them up. But how did you know?"

デリアの顔はまっ赤になり、目に涙があふれた。「怒らないで、ジョー」とデリアは言った。「生徒なんて見つからなかったの。でも、あなたにマジスター先生のところの勉強をやめてほしくなかった。だから、二十四丁目の大きな洗濯工場で、シャツにアイロンをかける仕事についたの。今日、ほかの女の子が、うっかり熱いアイロンをわたしの手に当ててしまったのよ。クレメンティーナもピンクニー将軍も、本当はいないの。わたしの作り話なの。でも、どうしてわかったの?」

"Because the cotton and oil came from me," said Joe. "This afternoon someone called down for help. A girl in the ironing room upstairs had burned her hand. I sent the cotton and oil up to her. You see, I work in the same laundry. I keep the fire burning in the engine room downstairs. I've been working there for two weeks."

「その綿と油は、ぼくのところから届けたものだからさ」とジョーは言った。「今日の午後、上から助けを呼ぶ声がしたんだ。上の階のアイロン室で、女の子が手にやけどをしたってね。それで、ぼくが綿と油を上へ届けた。じつはね、ぼくも同じ洗濯工場で働いているんだ。地下の機関室で、ボイラーの火をたく仕事さ。もう二週間になる」

"Then the man from Peoria..."

「じゃあ、ピオリアの人は……」

"He's not real either, just like General Pinkney," said Joe with a smile. "We both made up our stories."

「その人も、本当はいないんだ。ピンクニー将軍と同じさ」とジョーはほほえんだ。「ぼくたちは、ふたりとも作り話をしていたんだね」

They both began to laugh. Then Joe said, "When you love your art, no work seems..."

ふたりは、声をあげて笑いだした。それからジョーが言った。「芸術を愛していれば、どんな仕事も……」

But Delia stopped him with her hand on his lips. "No," she said softly. "Just 'When you love.'"

けれどもデリアは、ジョーのくちびるに指を当てて、その先を止めた。「ちがうわ」とデリアはやさしく言った。「ただ『愛していれば』よ」

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芸術を愛していれば、どんな仕事もつらくはない。これは、そういうお話である。

ジョー・ララビーは、中西部の小さな町の生まれだった。絵の才能にめぐまれていた。六歳のとき、町のポンプの絵をかいて、みんなから天才だともてはやされた。二十歳になると、うすい財布と大きな夢をかかえて、ニューヨークへ出てきた。

デリア・カラザーズは、南部の村の生まれだった。あまりにピアノが上手なので、家族がお金を出しあって、ニューヨークへ音楽の勉強に送り出してくれた。

ジョーとデリアはニューヨークで出会い、恋に落ち、まもなく結婚した。ふたりは小さなアパートを借りた。芸術があり、たがいがいる。それだけで、ふたりはとても幸せだった。ジョーはマジスターという大先生について絵を学んだ。デリアはローゼンストックという名高い先生について、ピアノを学んだ。

けれども、大先生のレッスン代は高く、やがてふたりのお金は底をつきはじめた。

ある晩、デリアが興奮して帰ってきた。「ねえ、ジョー」とデリアは言った。「生徒ができたの! ピンクニー将軍のお嬢さんで、クレメンティーナっていうの。七十一丁目のすてきなお屋敷に住んでいるのよ。週に三回教えて、一回五ドルいただけるの。すばらしいでしょう?」

ジョーはいい顔をしなかった。「ぼくが絵の具をいじって遊んでいるのに、きみを働かせるなんていやだよ」とジョーは言った。「ぼくが新聞を売るか、道ばたで石割りでもするよ」

だがデリアは、ジョーの腕にすがった。「だめよ、ジョー。あなたは、マジスター先生のところで勉強をつづけなくちゃ。音楽を教えるのだって、音楽にはちがいないわ。それに、週に十五ドルあれば、楽に暮らせるもの」

そこでジョーは絵をかきつづけ、デリアは教えに出かけた。デリアは疲れて、それでも笑顔で帰ってきた。そして、クレメンティーナの話をジョーに聞かせた。いつも白い服を着た、かわいらしくて、か弱い娘だという。将軍のことも話した。親切な老紳士だという。

ある土曜日の晩、デリアは得意げに十五ドルをテーブルに置いた。するとジョーが満面の笑みで、そのとなりに十八ドルを置いた。

「絵が売れたんだ」とジョーは言った。「ピオリアから来た人が、店のショーウインドーで見て、買ってくれたんだよ。しかも、もう一枚ほしいって。冬の駅の絵をね。芸術は、まだ死んじゃいなかったんだ!」

「あなたが絵をつづけてくれて、本当によかった」とデリアはうれしそうに言った。「十五ドルと十八ドル! 三十三ドルよ! こんな大金、持ったことないわ」

それから数週間、ふたりはいい暮らしをした。デリアはクレメンティーナにピアノを教え、ジョーはピオリアの男に、さらに何枚も絵を売った。

そんなある晩、デリアが右手に大きな白い包帯を巻いて帰ってきた。

「その手はどうしたんだい?」とジョーはたずねた。

デリアは笑ったが、それは本当の笑いではなかった。「ああ、なんでもないの」とデリアは言った。「レッスンのあとで、クレメンティーナがチーズトーストを作りたいって言いだしてね。あの子、本当にか弱いのよ! 熱いチーズを、わたしの手にこぼしちゃったの。とても痛かったわ。でも、将軍がとても親切でね。下へかけおりて、油と綿を持ってきてくださったの」

ジョーはデリアの手をそっととり、じっと見た。包帯の下に、綿と油が見えた。「デリア」とジョーは静かに言った。「いつから、洗濯工場で働いているんだい?」

デリアの顔はまっ赤になり、目に涙があふれた。「怒らないで、ジョー」とデリアは言った。「生徒なんて見つからなかったの。でも、あなたにマジスター先生のところの勉強をやめてほしくなかった。だから、二十四丁目の大きな洗濯工場で、シャツにアイロンをかける仕事についたの。今日、ほかの女の子が、うっかり熱いアイロンをわたしの手に当ててしまったのよ。クレメンティーナもピンクニー将軍も、本当はいないの。わたしの作り話なの。でも、どうしてわかったの?」

「その綿と油は、ぼくのところから届けたものだからさ」とジョーは言った。「今日の午後、上から助けを呼ぶ声がしたんだ。上の階のアイロン室で、女の子が手にやけどをしたってね。それで、ぼくが綿と油を上へ届けた。じつはね、ぼくも同じ洗濯工場で働いているんだ。地下の機関室で、ボイラーの火をたく仕事さ。もう二週間になる」

「じゃあ、ピオリアの人は……」

「その人も、本当はいないんだ。ピンクニー将軍と同じさ」とジョーはほほえんだ。「ぼくたちは、ふたりとも作り話をしていたんだね」

ふたりは、声をあげて笑いだした。それからジョーが言った。「芸術を愛していれば、どんな仕事も……」

けれどもデリアは、ジョーのくちびるに指を当てて、その先を止めた。「ちがうわ」とデリアはやさしく言った。「ただ『愛していれば』よ」

日本語訳:多読ベスト

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理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. What did Delia say her job was?

Q2. How did Joe know Delia's story about her hand was not true?

Q3. Where did Joe really get his money?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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