The Blue Cross(青い十字架)の挿絵
Level 3 Pre-Intermediate名作文学

The Blue Cross

青い十字架

  • 📖 655 words
  • ⏱ 約6分
  • 🔊 4:09
  • YL 1.5–2.4
  • 英検準2級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじパリ警察の名探偵ヴァランタンは、大泥棒フランボウを追ってロンドンへ。手がかりのない彼が追いかけたのは、塩の入った砂糖つぼ、壁にかかったスープ、割られた窓……。小さな神父ブラウンが初めて登場する名作です。

G・K・チェスタトン「青い十字架」(1910年、『ブラウン神父の童心』所収)をもとに再話

キーワード(9語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • detective探偵、刑事
  • criminal犯罪者
  • priest神父
  • parcels小包
  • umbrella傘
  • clue手がかり
  • Heath荒れ野(ヒース)
  • reason理性
  • theology神学
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One bright morning, a boat arrived in England from France. Among the passengers was Valentin, the head of the Paris police and the most famous detective in Europe. He was hunting the most famous criminal in Europe: Flambeau. Flambeau was a giant, very strong and very clever. He had stolen in many countries, but nobody had ever caught him.

ある晴れた朝、フランスからの船がイギリスに着いた。乗客の中に、パリ警察の長で、ヨーロッパでいちばん有名な探偵、ヴァランタンがいた。ヴァランタンが追っているのは、ヨーロッパでいちばん有名な犯罪者フランボウだった。フランボウは巨人のような大男で、怪力のうえに、大変頭が切れた。多くの国で盗みをはたらいてきたが、まだ誰にもつかまったことがなかった。

On the train to London, Valentin noticed a small, round-faced priest from Essex. The priest carried several brown paper parcels and a big old umbrella. He kept telling everyone that one of his parcels held something made of silver with blue stones, so he must be careful. Valentin smiled at the foolish little man and forgot him. He was looking for a very tall man.

ロンドンへ向かう汽車の中で、ヴァランタンは、エセックスから来た小柄で丸顔の神父に目をとめた。神父は茶色い紙の包みをいくつもかかえ、大きな古い傘を持っていた。そして、この包みのひとつには青い石のついた銀の品が入っているから気をつけなくては、と誰かれかまわず話していた。ヴァランタンは、なんと間のぬけた小男だろうと苦笑し、すぐに忘れてしまった。さがしているのは、とても背の高い男だったのだ。

In London, Valentin had no clue at all. So he decided to do something strange. "When you have no clue," he thought, "follow anything unusual." He walked into a small restaurant and ordered coffee. When he put sugar in it, it tasted of salt! Someone had changed the salt and the sugar. "Two priests had soup here this morning," said the confused waiter. "One of them threw his soup at the wall!"

ロンドンに着いても、ヴァランタンには何の手がかりもなかった。そこで、風変わりな手を使うことにした。「手がかりがないときは、何でもいいから、ふつうでないものを追えばいい」と考えたのだ。小さなレストランに入って、コーヒーをたのんだ。砂糖を入れると、なんと塩の味がした! 誰かが塩と砂糖を入れかえていたのだ。「今朝、神父さんが二人、ここでスープを飲んでいきましてね」と、ウェイターはとまどいながら言った。「そのひとりが、スープを壁にぶちまけたんですよ!」

Valentin hurried out. Further along the street he found a fruit shop. The sign for oranges was on the nuts, and the sign for nuts was on the oranges. "Two priests," said the angry shopkeeper. "The little one knocked over my apples, too." Then a policeman told Valentin, "Two priests got on the yellow bus to Hampstead."

ヴァランタンは急いで店を出た。通りを進むと、果物屋があった。ナッツの上にオレンジの値札が、オレンジの上にナッツの値札がのっている。「神父が二人だよ」と店主はぷりぷりして言った。「小さいほうは、うちのリンゴまでひっくり返していったんだ」それから、ひとりの警官がヴァランタンに教えてくれた。「神父さんが二人、ハムステッド行きの黄色いバスに乗りましたよ」

Valentin took two English policemen with him and jumped on the bus. They rode for hours. Then Valentin saw a restaurant with a broken window, and they got off. The waiter there told them a strange story. "Two priests ate here. The little one paid much too much. When I told him, he said, 'That's to pay for the window,' and he broke it with his umbrella!"

ヴァランタンはイギリスの警官を二人連れて、バスにとび乗った。バスは何時間も走りつづけた。やがて、窓ガラスの割れたレストランが目にとまり、一行はバスをおりた。店のウェイターは、奇妙な話をした。「神父さんが二人、ここで食事をしたんです。小さいほうが、お代をずいぶん多く払いましてね。それを言うと、『それは窓の代金です』と言って、傘で窓をたたき割ったんですよ!」

The chase went on. In a sweet shop, a woman said, "A little priest left a parcel here, so I posted it to an address he gave me, somewhere in Westminster." At last, in the evening, the detectives reached Hampstead Heath, a wide, wild hill above London. There, in the twilight, they saw two figures in black: a very tall priest and a very small one.

追跡はつづいた。菓子屋では、店の女がこう言った。「小さな神父さんが包みを置いていったので、教わった住所に郵便で送りました。ウェストミンスターのどこかでしたよ」そしてとうとう夕方、探偵たちはハムステッド・ヒースにたどり着いた。ロンドンを見おろす、広々とした荒れ野の丘だ。夕やみの中に、黒い服の人影が二つ見えた。とても背の高い神父と、とても小さな神父だった。

The policemen hid behind a tree near a bench, where the two priests sat and talked. To Valentin's surprise, they were talking quietly about the stars, God and reason. The tall priest said, "Perhaps on other stars, reason is different." The small priest answered firmly, "No. Reason is the same everywhere, even on the farthest star."

警官たちは、ベンチの近くの木の陰に身をひそめた。ベンチには二人の神父がすわって、話をしていた。おどろいたことに、二人は星や、神や、理性について静かに語り合っていた。背の高い神父が言った。「ほかの星では、理性もちがうのかもしれませんね」小さな神父はきっぱりと答えた。「いいえ。理性はどこでも同じです。いちばん遠い星の上でもね」

Then the tall priest's voice changed. "Give me that blue cross," he said roughly. "I am Flambeau, and nobody can help you here." The small priest, whose name was Father Brown, did not move. "I know who you are," he said calmly. "I knew it from the start."

そのとき、背の高い神父の声がかわった。「その青い十字架をよこせ」と、すごみのある声で言った。「おれはフランボウだ。ここでは誰も助けに来ないぞ」小さな神父は、名をブラウン神父といったが、身動きひとつしなかった。「あなたが誰かは、知っていますよ」と落ち着いて言った。「はじめから、わかっていました」

Flambeau laughed. "Look in your parcel, little man. I changed it for a parcel of paper on the way." "No," said Father Brown sadly. "I changed it back. The real cross is safe. I left it at the sweet shop, and they have posted it to a friend of mine in Westminster."

フランボウは笑った。「自分の包みの中を見てみな、おちびさん。来る途中で、紙の包みとすりかえておいたのさ」「いいえ」とブラウン神父は悲しそうに言った。「わたしが、またすりかえて元にもどしておきました。本物の十字架は無事です。菓子屋に置いてきましたから、今ごろはウェストミンスターにいるわたしの友人のところへ、郵便で送られているはずです」

Flambeau stared at him. "But how did you know I was not a real priest?" "You attacked reason," said Father Brown. "That is bad theology. A real priest would never do that. And I left strange marks all along the way, the salt, the soup and the window, so that the police could follow us."

フランボウは、ブラウン神父をまじまじと見た。「だが、おれが本物の神父じゃないと、どうしてわかった?」「あなたは理性を攻撃しました」とブラウン神父は言った。「それはまちがった神学です。本物の神父なら、決してそんなことはしません。それに、わたしは道々、妙なしるしを残してきたのです。塩、スープ、窓。警察がわたしたちのあとを追えるようにね」

"Then the police are...?" began Flambeau. "Here," said Father Brown. Valentin stepped out of the shadows with his men, and Flambeau was caught at last. Valentin bowed low to the little priest. "Let us both bow to our master," he said to Flambeau. And for a moment they stood there, while Father Brown looked around for his umbrella.

「じゃあ、警察は……?」とフランボウが言いかけた。「ここにいます」とブラウン神父は言った。ヴァランタンが部下を連れて暗がりから歩み出て、フランボウはついにつかまった。ヴァランタンは小さな神父に深々と頭を下げた。「二人そろって、われらが師に頭を下げようではないか」とフランボウに言った。二人はしばらくそこに立っていた。そのあいだブラウン神父は、自分の傘はどこへいったかと、あたりをきょろきょろ見まわしていた。

📖 全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

ある晴れた朝、フランスからの船がイギリスに着いた。乗客の中に、パリ警察の長で、ヨーロッパでいちばん有名な探偵、ヴァランタンがいた。ヴァランタンが追っているのは、ヨーロッパでいちばん有名な犯罪者フランボウだった。フランボウは巨人のような大男で、怪力のうえに、大変頭が切れた。多くの国で盗みをはたらいてきたが、まだ誰にもつかまったことがなかった。

ロンドンへ向かう汽車の中で、ヴァランタンは、エセックスから来た小柄で丸顔の神父に目をとめた。神父は茶色い紙の包みをいくつもかかえ、大きな古い傘を持っていた。そして、この包みのひとつには青い石のついた銀の品が入っているから気をつけなくては、と誰かれかまわず話していた。ヴァランタンは、なんと間のぬけた小男だろうと苦笑し、すぐに忘れてしまった。さがしているのは、とても背の高い男だったのだ。

ロンドンに着いても、ヴァランタンには何の手がかりもなかった。そこで、風変わりな手を使うことにした。「手がかりがないときは、何でもいいから、ふつうでないものを追えばいい」と考えたのだ。小さなレストランに入って、コーヒーをたのんだ。砂糖を入れると、なんと塩の味がした! 誰かが塩と砂糖を入れかえていたのだ。「今朝、神父さんが二人、ここでスープを飲んでいきましてね」と、ウェイターはとまどいながら言った。「そのひとりが、スープを壁にぶちまけたんですよ!」

ヴァランタンは急いで店を出た。通りを進むと、果物屋があった。ナッツの上にオレンジの値札が、オレンジの上にナッツの値札がのっている。「神父が二人だよ」と店主はぷりぷりして言った。「小さいほうは、うちのリンゴまでひっくり返していったんだ」それから、ひとりの警官がヴァランタンに教えてくれた。「神父さんが二人、ハムステッド行きの黄色いバスに乗りましたよ」

ヴァランタンはイギリスの警官を二人連れて、バスにとび乗った。バスは何時間も走りつづけた。やがて、窓ガラスの割れたレストランが目にとまり、一行はバスをおりた。店のウェイターは、奇妙な話をした。「神父さんが二人、ここで食事をしたんです。小さいほうが、お代をずいぶん多く払いましてね。それを言うと、『それは窓の代金です』と言って、傘で窓をたたき割ったんですよ!」

追跡はつづいた。菓子屋では、店の女がこう言った。「小さな神父さんが包みを置いていったので、教わった住所に郵便で送りました。ウェストミンスターのどこかでしたよ」そしてとうとう夕方、探偵たちはハムステッド・ヒースにたどり着いた。ロンドンを見おろす、広々とした荒れ野の丘だ。夕やみの中に、黒い服の人影が二つ見えた。とても背の高い神父と、とても小さな神父だった。

警官たちは、ベンチの近くの木の陰に身をひそめた。ベンチには二人の神父がすわって、話をしていた。おどろいたことに、二人は星や、神や、理性について静かに語り合っていた。背の高い神父が言った。「ほかの星では、理性もちがうのかもしれませんね」小さな神父はきっぱりと答えた。「いいえ。理性はどこでも同じです。いちばん遠い星の上でもね」

そのとき、背の高い神父の声がかわった。「その青い十字架をよこせ」と、すごみのある声で言った。「おれはフランボウだ。ここでは誰も助けに来ないぞ」小さな神父は、名をブラウン神父といったが、身動きひとつしなかった。「あなたが誰かは、知っていますよ」と落ち着いて言った。「はじめから、わかっていました」

フランボウは笑った。「自分の包みの中を見てみな、おちびさん。来る途中で、紙の包みとすりかえておいたのさ」「いいえ」とブラウン神父は悲しそうに言った。「わたしが、またすりかえて元にもどしておきました。本物の十字架は無事です。菓子屋に置いてきましたから、今ごろはウェストミンスターにいるわたしの友人のところへ、郵便で送られているはずです」

フランボウは、ブラウン神父をまじまじと見た。「だが、おれが本物の神父じゃないと、どうしてわかった?」「あなたは理性を攻撃しました」とブラウン神父は言った。「それはまちがった神学です。本物の神父なら、決してそんなことはしません。それに、わたしは道々、妙なしるしを残してきたのです。塩、スープ、窓。警察がわたしたちのあとを追えるようにね」

「じゃあ、警察は……?」とフランボウが言いかけた。「ここにいます」とブラウン神父は言った。ヴァランタンが部下を連れて暗がりから歩み出て、フランボウはついにつかまった。ヴァランタンは小さな神父に深々と頭を下げた。「二人そろって、われらが師に頭を下げようではないか」とフランボウに言った。二人はしばらくそこに立っていた。そのあいだブラウン神父は、自分の傘はどこへいったかと、あたりをきょろきょろ見まわしていた。

日本語訳:多読ベスト

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理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. Why did Valentin follow unusual things?

Q2. Where is the real blue cross going at the end?

Q3. How did Father Brown know that Flambeau was not a real priest?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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