The Thief and the Innkeeper(泥棒と宿屋の主人)の挿絵
Level 3 Pre-Intermediateイソップ物語

The Thief and the Innkeeper

泥棒と宿屋の主人

  • 📖 571 words
  • ⏱ 約5分
  • 🔊 3:02
  • YL 1.5–2.4
  • 英検準2級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじお金を持たずに宿屋に泊まった泥棒。宿屋の主人の新しいコートに目をつけ、大きなあくびをしながら、おかしな話を始めます……。

イソップ寓話(タウンゼンド英訳 1867年)をもとに再話

キーワード(9語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • thief泥棒
  • inn宿屋
  • innkeeper宿屋の主人
  • valuable高価な
  • yawnあくび(をする)
  • howl遠ぼえ(をする)
  • punishment罰
  • fury激しい怒り
  • sleevesそで
音声に合わせて文が光ります0:00 / 3:02

Google Cloud TTS(Chirp 3 HD・アメリカ英語・Leda)

There was once a clever thief who had no money at all. One day he arrived at an inn in a small town and asked for a room. "I will stay for a week," he told the innkeeper, a fat, cheerful man with a red face. He did not say how he was going to pay. In fact, he planned to steal something valuable and then run away.

昔、お金をまったく持っていない、ずる賢い泥棒がいました。ある日、泥棒は小さな町の宿屋にやって来て、部屋を頼みました。「一週間泊まるよ」と、泥棒は宿屋の主人に言いました。主人は、赤ら顔をした太った陽気な男でした。泥棒は、宿代をどうやって払うつもりかは言いませんでした。じつは、何か値打ちのあるものを盗んで逃げるつもりだったのです。

But the thief had no luck. Day after day he looked around the inn, but everything was locked or watched carefully. Soon a week had passed, and the innkeeper began to ask about money. The thief knew that he had to do something quickly.

けれども、泥棒はついていませんでした。来る日も来る日も宿屋の中を見て回りましたが、何もかも鍵がかかっているか、しっかり見張られていました。まもなく一週間がたち、主人が宿代のことを尋ねてくるようになりました。すぐに何か手を打たなくてはなりません。

One evening he saw the innkeeper sitting on a bench outside the front door. He was wearing a beautiful new coat. It was made of thick blue cloth and had shining silver buttons. The innkeeper was clearly very proud of it.

ある晩、泥棒は主人が玄関の外のベンチに座っているのを見かけました。主人はすてきな新しい上着を着ていました。厚い青い布でできていて、ぴかぴか光る銀のボタンがついています。主人がそれをとても自慢にしているのは、ひと目でわかりました。

"That is the coat I want," the thief thought. He sat down on the bench beside the innkeeper and began to chat in a friendly way. They talked about the weather, the price of bread and the news from the city. After a while, they ran out of things to say.

「あれこそ、おれのほしい上着だ」と、泥棒は思いました。そして主人の隣に腰を下ろし、親しげにおしゃべりを始めました。ふたりは天気のことや、パンの値段のことや、都のうわさ話をしました。しばらくすると、話すことがなくなってしまいました。

Suddenly the thief opened his mouth and gave a huge yawn. At the same time, he let out a long, terrible howl, just like a wolf.

突然、泥棒は口を大きく開けて、ものすごいあくびをしました。それと同時に、まるでオオカミのような、長くて恐ろしい遠ぼえをしたのです。

The innkeeper nearly fell off the bench. "Goodness! Why are you howling like that?" he asked.

主人はもう少しでベンチから転げ落ちそうになりました。「なんてこった! どうしてそんな遠ぼえなんかするんだね?」と、主人は尋ねました。

"I will tell you," said the thief in a low, serious voice. "But first, please hold my clothes for me. If you do not, I will tear them to pieces. You see, sir, I have a strange illness. I do not know when it started. Perhaps it is a punishment for something bad that I did long ago. But this I know for certain. When I yawn three times, I turn into a wolf, and then I attack people."

「お話ししましょう」と、泥棒は低い真剣な声で言いました。「でもその前に、どうかわたしの服を押さえていてください。そうしてくださらないと、わたしは服をびりびりに引き裂いてしまいますから。じつはですね、ご主人、わたしは奇妙な病気にかかっているんです。いつ始まったのかはわかりません。もしかすると、昔わたしがした悪いことへの罰なのかもしれません。でも、これだけは確かなんです。三回あくびをすると、わたしはオオカミに変わって、人に襲いかかってしまうんです」

As he said this, he yawned a second time and howled again, even louder than before.

そう言いながら、泥棒は二回目のあくびをして、さっきよりもっと大きな声でまた遠ぼえをしました。

The innkeeper's red face turned white. He believed every word, and he jumped up from the bench to run away. But the thief caught hold of his new coat.

主人の赤い顔が真っ青になりました。主人はひと言残らず信じてしまい、逃げ出そうとベンチから飛び上がりました。けれども、泥棒は主人の新しい上着をつかみました。

"Please, sir, wait!" the thief cried. "Hold my clothes, or I will tear them apart in my fury when I become a wolf!"

「お願いです、ご主人、待ってください!」と、泥棒は叫びました。「わたしの服を押さえていてください。さもないと、オオカミになったとき、怒り狂って服を引き裂いてしまいます!」

Then, staring wildly at the innkeeper, he yawned for the third time and gave the most terrible howl of all.

それから泥棒は、ぎらぎらした目で主人をにらみつけながら、三回目のあくびをして、いちばん恐ろしい遠ぼえをしました。

The innkeeper was so frightened that he did not stop to think. He pulled his arms out of the sleeves of his new coat and left it in the thief's hands. Then he ran into the inn as fast as his short legs could carry him. He locked the door behind him and hid under a table.

主人はあまりに怖くて、考える暇もありませんでした。新しい上着の袖から腕を引き抜くと、上着を泥棒の手に残したまま、短い脚を懸命に動かして宿屋の中へ駆けこみました。そして中に入るとすぐに戸に鍵をかけ、テーブルの下に隠れました。

The thief laughed quietly. He put on the fine blue coat, which fitted him rather well, and walked off down the road into the night. He never came back to the inn, and of course he never paid for his room.

泥棒はくすくすと笑いました。上等な青い上着を着てみると、なかなかよく体に合います。泥棒はそのまま夜の道を歩いて去っていきました。二度と宿屋には戻りませんでしたし、もちろん宿代も払いませんでした。

The next morning, the innkeeper opened the door carefully and looked out. There was no wolf, no thief and no coat. There was only an empty bench in the sunshine. Slowly he began to understand what had happened. "A man who turns into a wolf," he said to himself, shaking his head. "How could I have believed such a story?"

次の朝、主人は用心しながら戸を開けて、外をのぞきました。オオカミもいなければ、泥棒もいません。上着もありません。日の光の中に、空っぽのベンチがあるだけでした。主人は、何が起こったのか少しずつわかってきました。「オオカミに変わる男だなんて」と、主人は首を振りながらひとりごとを言いました。「どうしてわしは、あんな話を信じてしまったんだろう?」

📖 全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

昔、お金をまったく持っていない、ずる賢い泥棒がいました。ある日、泥棒は小さな町の宿屋にやって来て、部屋を頼みました。「一週間泊まるよ」と、泥棒は宿屋の主人に言いました。主人は、赤ら顔をした太った陽気な男でした。泥棒は、宿代をどうやって払うつもりかは言いませんでした。じつは、何か値打ちのあるものを盗んで逃げるつもりだったのです。

けれども、泥棒はついていませんでした。来る日も来る日も宿屋の中を見て回りましたが、何もかも鍵がかかっているか、しっかり見張られていました。まもなく一週間がたち、主人が宿代のことを尋ねてくるようになりました。すぐに何か手を打たなくてはなりません。

ある晩、泥棒は主人が玄関の外のベンチに座っているのを見かけました。主人はすてきな新しい上着を着ていました。厚い青い布でできていて、ぴかぴか光る銀のボタンがついています。主人がそれをとても自慢にしているのは、ひと目でわかりました。

「あれこそ、おれのほしい上着だ」と、泥棒は思いました。そして主人の隣に腰を下ろし、親しげにおしゃべりを始めました。ふたりは天気のことや、パンの値段のことや、都のうわさ話をしました。しばらくすると、話すことがなくなってしまいました。

突然、泥棒は口を大きく開けて、ものすごいあくびをしました。それと同時に、まるでオオカミのような、長くて恐ろしい遠ぼえをしたのです。

主人はもう少しでベンチから転げ落ちそうになりました。「なんてこった! どうしてそんな遠ぼえなんかするんだね?」と、主人は尋ねました。

「お話ししましょう」と、泥棒は低い真剣な声で言いました。「でもその前に、どうかわたしの服を押さえていてください。そうしてくださらないと、わたしは服をびりびりに引き裂いてしまいますから。じつはですね、ご主人、わたしは奇妙な病気にかかっているんです。いつ始まったのかはわかりません。もしかすると、昔わたしがした悪いことへの罰なのかもしれません。でも、これだけは確かなんです。三回あくびをすると、わたしはオオカミに変わって、人に襲いかかってしまうんです」

そう言いながら、泥棒は二回目のあくびをして、さっきよりもっと大きな声でまた遠ぼえをしました。

主人の赤い顔が真っ青になりました。主人はひと言残らず信じてしまい、逃げ出そうとベンチから飛び上がりました。けれども、泥棒は主人の新しい上着をつかみました。

「お願いです、ご主人、待ってください!」と、泥棒は叫びました。「わたしの服を押さえていてください。さもないと、オオカミになったとき、怒り狂って服を引き裂いてしまいます!」

それから泥棒は、ぎらぎらした目で主人をにらみつけながら、三回目のあくびをして、いちばん恐ろしい遠ぼえをしました。

主人はあまりに怖くて、考える暇もありませんでした。新しい上着の袖から腕を引き抜くと、上着を泥棒の手に残したまま、短い脚を懸命に動かして宿屋の中へ駆けこみました。そして中に入るとすぐに戸に鍵をかけ、テーブルの下に隠れました。

泥棒はくすくすと笑いました。上等な青い上着を着てみると、なかなかよく体に合います。泥棒はそのまま夜の道を歩いて去っていきました。二度と宿屋には戻りませんでしたし、もちろん宿代も払いませんでした。

次の朝、主人は用心しながら戸を開けて、外をのぞきました。オオカミもいなければ、泥棒もいません。上着もありません。日の光の中に、空っぽのベンチがあるだけでした。主人は、何が起こったのか少しずつわかってきました。「オオカミに変わる男だなんて」と、主人は首を振りながらひとりごとを言いました。「どうしてわしは、あんな話を信じてしまったんだろう?」

日本語訳:多読ベスト

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このお話の教訓 Moral

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Do not believe every story that you hear.

聞いた話を何でも信じてはいけない。

理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. Why did the thief stay at the inn?

Q2. What did the thief say would happen after three yawns?

Q3. What did the innkeeper leave in the thief's hands?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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