The Old Woman and the Doctor(目の見えない老婆と医者)の挿絵
Level 3 Pre-Intermediateイソップ物語

The Old Woman and the Doctor

目の見えない老婆と医者

  • 📖 600 words
  • ⏱ 約5分
  • 🔊 3:31
  • YL 1.5–2.4
  • 英検準2級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ目が見えなくなったおばあさんは、「治してくれたらお金を払う」という約束で医者をよびます。ところがこの医者、正直な人ではなくて……。

イソップ寓話(タウンゼンド英訳 1867年)をもとに再話

キーワード(10語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • cured治された
  • agreement約束、取り決め
  • official正式な
  • patientがまん強い
  • candlesticksろうそく立て
  • sight視力
  • court裁判所
  • trial裁判
  • judge裁判官
  • blind目が見えない
音声に合わせて文が光ります0:00 / 3:31

Google Cloud TTS(Chirp 3 HD・アメリカ英語・Kore)

An old woman lived alone in a large house full of beautiful things. She had silver cups, fine plates, colorful carpets and an old wooden clock that had belonged to her grandmother. She loved all of them. But as she grew older, her eyes became weaker and weaker, until one day she could not see anything at all.

あるおばあさんが、美しい品々でいっぱいの大きな家にひとりで住んでいました。銀のカップ、上等なお皿、色あざやかなじゅうたん、それに、祖母のものだった古い木の時計がありました。おばあさんはそのどれもが大好きでした。ところが年を取るにつれて、目がだんだん弱くなっていき、ある日とうとう何も見えなくなってしまいました。

She decided to call a doctor. "If you can make me see again," she told him, "I will pay you a large amount of money. But if my eyes are not cured, I will pay you nothing." To make the agreement official, she asked two neighbors to listen to it. The doctor agreed at once.

おばあさんは医者を呼ぶことにしました。「もし目が見えるようにしてくださったら」と、おばあさんは医者に言いました。「お金をたくさんお払いします。でも目が治らなかったら、一銭もお払いしません」この取り決めを正式なものにするため、おばあさんは近所の人ふたりに立ち会ってもらいました。医者はすぐに承知しました。

The doctor came to her house every day. He put a special cream on her eyes and told her to keep them closed. "This medicine takes time," he said. "Be patient."

医者は毎日おばあさんの家にやって来ました。そしておばあさんの目に特別な軟膏を塗って、目を閉じたままにしておくように言いました。「この薬は時間がかかるのです」と、医者は言いました。「辛抱してください」

But the doctor was not an honest man. Every time he visited, he looked around the house, and when he left, he took something with him. On the first day, he took a silver cup. On the second day, he took a pair of candlesticks. Then he took the carpets, the plates, the paintings and even the old wooden clock. Since the old woman could not see, she did not notice anything.

けれども、その医者は正直な男ではありませんでした。来るたびに家の中を見回し、帰るときに何かを持ち出していったのです。一日目には銀のカップを持っていきました。二日目には燭台をひと組持っていきました。それから、じゅうたんも、お皿も、絵も、そしてあの古い木の時計まで持っていきました。おばあさんは目が見えなかったので、何ひとつ気づきませんでした。

Weeks passed, and the house became emptier and emptier. At last, when the doctor had taken everything of value, he decided to cure her eyes properly. In a few days her sight came back.

何週間かが過ぎ、家の中はどんどんがらんとしていきました。とうとう値打ちのあるものを全部持ち出してしまうと、医者はおばあさんの目をちゃんと治すことにしました。数日のうちに、おばあさんの目は見えるようになりました。

"You can see again," he said with a smile. "Now, please pay me the money that you promised."

「目が見えるようになりましたね」と、医者はにっこりして言いました。「では、約束したお金を払ってください」

The old woman opened her eyes and looked around her house. The shelves were empty. The walls were bare. The floor had no carpets. Even her grandmother's clock was gone. She understood at once what had happened.

おばあさんは目を開けて、家の中を見回しました。棚は空っぽです。壁にも何もかかっていません。床にはじゅうたんがありません。祖母の時計までなくなっていました。おばあさんは、何があったのかすぐにわかりました。

"I will not pay you anything," she said firmly.

「あなたには何もお払いしません」と、おばあさんはきっぱりと言いました。

The doctor was angry. He asked again and again, but she always gave the same answer. So in the end, he took her to court.

医者は怒りました。何度も何度も払うように言いましたが、おばあさんはいつも同じ答えを繰り返しました。そこで、とうとう医者はおばあさんを裁判に訴えました。

On the day of the trial, the judge listened to the doctor first. "This woman promised to pay me if I cured her eyes," he said. "I did cure them, and now she refuses to pay. Her neighbors heard the promise. Ask them."

裁判の日、裁判官はまず医者の言い分を聞きました。「この女は、目を治したらお金を払うと約束したのです」と、医者は言いました。「わたしはたしかに目を治しました。それなのに、今になって払うのを拒んでいるのです。近所の人たちが約束を聞いています。聞いてみてください」

Then the judge turned to the old woman. "Is this true?" he asked.

それから裁判官はおばあさんのほうを向きました。「これは本当ですか?」と、裁判官は尋ねました。

The old woman stood up slowly. "What this man says is partly true," she said. "I did promise to pay him if he gave me back my sight. If I stayed blind, I would pay him nothing. Now he says that I have been cured. But I say that I am still blind."

おばあさんはゆっくりと立ち上がりました。「この人の言うことは、半分は本当です」と、おばあさんは言いました。「わたしはたしかに、目が見えるようにしてくれたらお金を払うと約束しました。目が見えないままだったら、一銭も払わないと。今この人は、わたしの目が治ったと言っています。でもわたしに言わせれば、目はまだ見えないままなのです」

The courtroom became noisy. The judge raised his hand for silence. "Please explain," he said.

法廷がざわざわと騒がしくなりました。裁判官は手を上げて静かにさせました。「説明してください」と、裁判官は言いました。

"Before I lost my sight," said the old woman, "I could see many beautiful things in my house. I could see silver cups, fine carpets and my grandmother's clock. Now this man says that my eyes are cured. But when I look around my house, I cannot see a single one of those things. So how can I be cured?"

「目が見えなくなる前は」と、おばあさんは言いました。「わたしには家の中のたくさんの美しいものが見えました。銀のカップも、上等なじゅうたんも、祖母の時計も見えました。今この人は、わたしの目が治ったと言っています。でも家の中を見回しても、そういうものはひとつも見えないのです。それなのに、どうして治ったと言えるでしょう?」

Everyone in the courtroom turned to look at the doctor. His face went red, then white. The judge understood everything. He told the doctor that he would receive no money, and he ordered him to return every single thing that he had stolen.

法廷にいた全員が、振り返って医者を見ました。医者の顔は赤くなり、それから青くなりました。裁判官はすべてを理解しました。そして医者に、お金は一銭も受け取れないと言い渡し、盗んだものはひとつ残らず返すように命じました。

That evening, the old woman sat in her house again, surrounded by her treasures. She listened to the tick of her grandmother's clock and smiled. Her eyes were cured, and so was her house.

その晩、おばあさんはまた自分の家で、宝物に囲まれて座っていました。祖母の時計のチクタクという音に耳を傾けて、ほほえみました。おばあさんの目は治りました。そして、おばあさんの家も元どおりになったのです。

📖 全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

あるおばあさんが、美しい品々でいっぱいの大きな家にひとりで住んでいました。銀のカップ、上等なお皿、色あざやかなじゅうたん、それに、祖母のものだった古い木の時計がありました。おばあさんはそのどれもが大好きでした。ところが年を取るにつれて、目がだんだん弱くなっていき、ある日とうとう何も見えなくなってしまいました。

おばあさんは医者を呼ぶことにしました。「もし目が見えるようにしてくださったら」と、おばあさんは医者に言いました。「お金をたくさんお払いします。でも目が治らなかったら、一銭もお払いしません」この取り決めを正式なものにするため、おばあさんは近所の人ふたりに立ち会ってもらいました。医者はすぐに承知しました。

医者は毎日おばあさんの家にやって来ました。そしておばあさんの目に特別な軟膏を塗って、目を閉じたままにしておくように言いました。「この薬は時間がかかるのです」と、医者は言いました。「辛抱してください」

けれども、その医者は正直な男ではありませんでした。来るたびに家の中を見回し、帰るときに何かを持ち出していったのです。一日目には銀のカップを持っていきました。二日目には燭台をひと組持っていきました。それから、じゅうたんも、お皿も、絵も、そしてあの古い木の時計まで持っていきました。おばあさんは目が見えなかったので、何ひとつ気づきませんでした。

何週間かが過ぎ、家の中はどんどんがらんとしていきました。とうとう値打ちのあるものを全部持ち出してしまうと、医者はおばあさんの目をちゃんと治すことにしました。数日のうちに、おばあさんの目は見えるようになりました。

「目が見えるようになりましたね」と、医者はにっこりして言いました。「では、約束したお金を払ってください」

おばあさんは目を開けて、家の中を見回しました。棚は空っぽです。壁にも何もかかっていません。床にはじゅうたんがありません。祖母の時計までなくなっていました。おばあさんは、何があったのかすぐにわかりました。

「あなたには何もお払いしません」と、おばあさんはきっぱりと言いました。

医者は怒りました。何度も何度も払うように言いましたが、おばあさんはいつも同じ答えを繰り返しました。そこで、とうとう医者はおばあさんを裁判に訴えました。

裁判の日、裁判官はまず医者の言い分を聞きました。「この女は、目を治したらお金を払うと約束したのです」と、医者は言いました。「わたしはたしかに目を治しました。それなのに、今になって払うのを拒んでいるのです。近所の人たちが約束を聞いています。聞いてみてください」

それから裁判官はおばあさんのほうを向きました。「これは本当ですか?」と、裁判官は尋ねました。

おばあさんはゆっくりと立ち上がりました。「この人の言うことは、半分は本当です」と、おばあさんは言いました。「わたしはたしかに、目が見えるようにしてくれたらお金を払うと約束しました。目が見えないままだったら、一銭も払わないと。今この人は、わたしの目が治ったと言っています。でもわたしに言わせれば、目はまだ見えないままなのです」

法廷がざわざわと騒がしくなりました。裁判官は手を上げて静かにさせました。「説明してください」と、裁判官は言いました。

「目が見えなくなる前は」と、おばあさんは言いました。「わたしには家の中のたくさんの美しいものが見えました。銀のカップも、上等なじゅうたんも、祖母の時計も見えました。今この人は、わたしの目が治ったと言っています。でも家の中を見回しても、そういうものはひとつも見えないのです。それなのに、どうして治ったと言えるでしょう?」

法廷にいた全員が、振り返って医者を見ました。医者の顔は赤くなり、それから青くなりました。裁判官はすべてを理解しました。そして医者に、お金は一銭も受け取れないと言い渡し、盗んだものはひとつ残らず返すように命じました。

その晩、おばあさんはまた自分の家で、宝物に囲まれて座っていました。祖母の時計のチクタクという音に耳を傾けて、ほほえみました。おばあさんの目は治りました。そして、おばあさんの家も元どおりになったのです。

日本語訳:多読ベスト

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このお話の教訓 Moral

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A cheat is often caught by his own trick.

ずるい人は、自分のずるさでつかまることが多い。

理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. What did the doctor do every time he visited?

Q2. Why did the doctor take the old woman to court?

Q3. Why did the old woman say she was still blind?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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