The Donkey and His Shadow(ロバの影)の挿絵
Level 3 Pre-Intermediateイソップ物語

The Donkey and His Shadow

ロバの影

  • 📖 542 words
  • ⏱ 約5分
  • 🔊 2:56
  • YL 1.5–2.4
  • 英検準2級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ暑い夏の日、旅人はロバを借りて遠くの町へ向かいました。休むときにロバの影に入ろうとすると、ロバの持ち主が「影は貸していない」と言いだして……。

イソップ寓話(タウンゼンド英訳 1867年)をもとに再話

キーワード(10語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • plain平原
  • rented out貸し出した
  • hired(お金を払って)借りた
  • faint気を失う
  • reliefほっとすること
  • frowned顔をしかめた
  • ridiculousばかげた
  • fistsこぶし
  • determined決心した
  • trot小走りする
音声に合わせて文が光ります0:00 / 2:56

Google Cloud TTS(Chirp 3 HD・アメリカ英語・Charon)

One summer, a traveler needed to get to a town on the other side of a wide, dry plain. It was a long way, and he did not want to walk. So he went to a man who rented out donkeys and hired one for the journey. The owner of the donkey came along too, walking beside it to look after it.

ある夏、ひとりの旅人が、広くて乾いた平原の向こうにある町へ行かなければならなくなりました。長い道のりなので、歩いていくのはいやです。そこで、ロバを貸す商売をしている男のところへ行き、一頭借りることにしました。ロバの持ち主も、世話をするためにロバのそばを歩いてついてきました。

They set off early in the morning. At first the air was fresh and cool. But as the hours passed, the sun rose higher and higher, and the day grew hotter than any day that summer. There were no trees on the plain, no houses and not even a large rock. There was nowhere to hide from the burning sun.

ふたりは朝早く出発しました。はじめのうちは空気がさわやかで涼しかったのです。けれども時間がたつにつれて太陽はどんどん高くのぼり、その夏いちばんの暑さになりました。平原には木も家もなく、大きな岩さえありません。照りつける太陽から身を隠す場所は、どこにもありませんでした。

By noon, the traveler could not stand the heat any longer. "Stop!" he said. "I must rest for a while, or I will faint." He climbed down from the donkey. Then he looked around for some shade, and he saw that the only shade on the whole plain was the dark shadow of the donkey itself. So he sat down in it, closed his eyes and let out a long sigh of relief.

昼になるころには、旅人はもう暑さにたえられなくなりました。「止まってくれ!」と、旅人は言いました。「少し休まないと、気を失ってしまう」そしてロバから下りて、日陰を探して辺りを見回しました。けれども、平原じゅうでたったひとつの日陰は、ロバ自身の黒い影だけでした。そこで旅人はその影の中に腰を下ろし、目を閉じて、ほっと長いため息をつきました。

But the owner of the donkey was just as hot as he was. He looked at the cool shadow, and he frowned. "Excuse me," he said, "but that is my place."

ところが、ロバの持ち主も同じくらい暑かったのです。持ち主は涼しい影を見て、顔をしかめました。「失礼ですが」と、持ち主は言いました。「そこはわたしの場所ですよ」

The traveler opened his eyes. "Your place? What do you mean?"

旅人は目を開けました。「あなたの場所? どういうことです?」

"I mean that this is my donkey," said the owner. "And so it is my donkey's shadow. You rented the donkey, but you did not rent his shadow. Please move."

「これはわたしのロバだということです」と、持ち主は言いました。「だから、これはわたしのロバの影なんです。あなたが借りたのはロバで、ロバの影は貸していません。どいてください」

The traveler sat up angrily. "That is ridiculous!" he said. "I paid good money for this donkey for the whole day. When I rented the donkey, I rented everything that comes with him. That includes his shadow. I am not moving."

旅人は腹を立てて体を起こしました。「ばかばかしい!」と、旅人は言いました。「わたしはこのロバを一日借りるのに、ちゃんとお金を払ったんだ。ロバを借りたなら、ロバについてくるものは全部借りたことになる。影だってそうだ。わたしはどきませんよ」

"You rented him to carry you," said the owner, "not to give you shade! Get out of my shadow!"

「ロバを貸したのは、あなたを運ぶためです」と、持ち主は言いました。「日陰まで貸すためじゃない! わたしの影から出ていけ!」

"It is my shadow while I am paying for it!" shouted the traveler.

「金を払っているあいだは、わたしの影だ!」と、旅人はどなりました。

The shadow was only big enough for one person, and neither man would give up. They argued louder and louder. They waved their arms and pointed their fingers. Soon they stopped using words and started using their fists. They pushed each other, fell over, rolled in the dust and got up again. Each of them was sure that he was right, and each was determined to win.

影はひとり分の大きさしかなく、どちらも譲ろうとしません。言い争う声はどんどん大きくなりました。ふたりは腕を振りまわし、たがいに指をつきつけました。やがて言葉ではなく、こぶしでやり合うようになりました。押し合い、ひっくり返り、土ぼこりの中を転げまわっては、また起き上がります。どちらも自分が正しいと信じこみ、絶対に勝つつもりでした。

Meanwhile, the donkey stood quietly and watched them. He was hot and tired, and the two men were making a terrible noise. Nobody was holding his rope. So, after a while, he simply turned around and began to trot away across the plain. Then he began to run. Soon he was only a small gray spot in the distance.

そのあいだ、ロバはおとなしく立って、ふたりをながめていました。暑くて疲れているのに、ふたりはひどい騒ぎを起こしています。しかも、だれも綱を持っていません。しばらくすると、ロバはくるりと向きを変えて、平原の向こうへ小走りで進みだしました。それから、本気で走りだしました。まもなく、ロバは遠くの小さな灰色の点になってしまいました。

At last the two men stopped fighting. They were covered in dust, their clothes were torn, and they were both completely out of breath. They looked around for the shadow that they had been fighting over.

ようやく、ふたりはけんかをやめました。ふたりとも土ぼこりまみれで、服は破れ、すっかり息が切れています。ふたりは、取り合っていた影をさがしてあたりを見まわしました。

But there was no shadow. There was no donkey either. There was only the empty plain, the burning sun, and the long, long road ahead.

けれども、影はありませんでした。ロバもいません。あるのはただ、何もない平原と、照りつける太陽と、行く手に続く長い長い道だけでした。

The two men looked at each other. Then, without a word, they started to walk.

ふたりは顔を見合わせました。それから、ひとことも言わずに歩きはじめました。

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ある夏、ひとりの旅人が、広くて乾いた平原の向こうにある町へ行かなければならなくなりました。長い道のりなので、歩いていくのはいやです。そこで、ロバを貸す商売をしている男のところへ行き、一頭借りることにしました。ロバの持ち主も、世話をするためにロバのそばを歩いてついてきました。

ふたりは朝早く出発しました。はじめのうちは空気がさわやかで涼しかったのです。けれども時間がたつにつれて太陽はどんどん高くのぼり、その夏いちばんの暑さになりました。平原には木も家もなく、大きな岩さえありません。照りつける太陽から身を隠す場所は、どこにもありませんでした。

昼になるころには、旅人はもう暑さにたえられなくなりました。「止まってくれ!」と、旅人は言いました。「少し休まないと、気を失ってしまう」そしてロバから下りて、日陰を探して辺りを見回しました。けれども、平原じゅうでたったひとつの日陰は、ロバ自身の黒い影だけでした。そこで旅人はその影の中に腰を下ろし、目を閉じて、ほっと長いため息をつきました。

ところが、ロバの持ち主も同じくらい暑かったのです。持ち主は涼しい影を見て、顔をしかめました。「失礼ですが」と、持ち主は言いました。「そこはわたしの場所ですよ」

旅人は目を開けました。「あなたの場所? どういうことです?」

「これはわたしのロバだということです」と、持ち主は言いました。「だから、これはわたしのロバの影なんです。あなたが借りたのはロバで、ロバの影は貸していません。どいてください」

旅人は腹を立てて体を起こしました。「ばかばかしい!」と、旅人は言いました。「わたしはこのロバを一日借りるのに、ちゃんとお金を払ったんだ。ロバを借りたなら、ロバについてくるものは全部借りたことになる。影だってそうだ。わたしはどきませんよ」

「ロバを貸したのは、あなたを運ぶためです」と、持ち主は言いました。「日陰まで貸すためじゃない! わたしの影から出ていけ!」

「金を払っているあいだは、わたしの影だ!」と、旅人はどなりました。

影はひとり分の大きさしかなく、どちらも譲ろうとしません。言い争う声はどんどん大きくなりました。ふたりは腕を振りまわし、たがいに指をつきつけました。やがて言葉ではなく、こぶしでやり合うようになりました。押し合い、ひっくり返り、土ぼこりの中を転げまわっては、また起き上がります。どちらも自分が正しいと信じこみ、絶対に勝つつもりでした。

そのあいだ、ロバはおとなしく立って、ふたりをながめていました。暑くて疲れているのに、ふたりはひどい騒ぎを起こしています。しかも、だれも綱を持っていません。しばらくすると、ロバはくるりと向きを変えて、平原の向こうへ小走りで進みだしました。それから、本気で走りだしました。まもなく、ロバは遠くの小さな灰色の点になってしまいました。

ようやく、ふたりはけんかをやめました。ふたりとも土ぼこりまみれで、服は破れ、すっかり息が切れています。ふたりは、取り合っていた影をさがしてあたりを見まわしました。

けれども、影はありませんでした。ロバもいません。あるのはただ、何もない平原と、照りつける太陽と、行く手に続く長い長い道だけでした。

ふたりは顔を見合わせました。それから、ひとことも言わずに歩きはじめました。

日本語訳:多読ベスト

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このお話の教訓 Moral

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If we argue about small things, we may lose the things that really matter.

つまらないことで言い争っていると、本当に大切なものを失ってしまう。

理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. Why did the traveler sit in the donkey's shadow?

Q2. What did the owner say?

Q3. What did the donkey do while the men were fighting?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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