本館「マジカ!?サイエンス」科学の雑学とニュースを論文でウラ取り読みに行く →
英語のマジか!?ホント

「quite good」はイギリスだと「まあまあ」にもなる。アメリカなら「かなりいい」

「quite good」はイギリスだと「まあまあ」にもなる。アメリカなら「かなりいい」

読む前に予想してみよう!

イギリス英語の quite good は、アメリカ英語の quite good より、ほめ方が控えめになることが多い

研究カード(どんな研究?)
対象
イギリスとアメリカの英語話者
規模
実験1は49人(英23人・米26人)、ほか39人・40人
研究の種類
オンライン実験+計算モデル
確かさ
★★☆☆☆
3秒でわかる

quite good は、イギリス英語では「まあまあいい(もっとよくなる)」の意味にもなり、アメリカ英語ではふつう「かなりいい」。2025年に学会の論文集に載った英米49人の実験でも、イギリス人は quite を弱めに受け取った。ただし差が出たのは boring のようなマイナスの言葉のときで、good は調べていない。

ひとことで言うとイギリス人の「quite good」は「まあまあ」のことがある。アメリカ人なら「かなりいい」なんだって!

もくじ
  1. quite の意味は、イギリスとアメリカでちがう
  2. 同じ quite が「完全に」にもなる
  3. 決め手は「どこを強く言うか」
  4. 2025年の実験:イギリス人は quite を弱く、very を強く受け取った
  5. 辞書で「not bad」を引くと「quite good」
  6. どんでん返し:「イギリス人は遠回しだから」ではなかった?
  7. まとめ

イギリスに留学中、先生が作文を返しながらひとこと。

「Your essay is quite good.」

「やった、かなりいいってことだ!」と喜んだあなた。ちょっと待ってください。オックスフォード大学出版局の学習辞典によると、イギリス英語でのこの一言は「まあまあいい。もっとよくなる」という意味にもなります。ケンブリッジ大学出版局の文法解説も、quite が good のような語につくと、ふつうは「そこそこ(とてもではない)」の意味になると書いています。

ところが同じ文をアメリカの先生が言えば、意味は「かなりいい」に近くなります。同じ quite good でも、イギリスとアメリカでほめ方の強さが変わるのです。

01quite の意味は、イギリスとアメリカでちがう

オックスフォードの学習辞典は、quite の意味をイギリス英語と北米英語に分けて書いています。

  • イギリス英語:quite=「ある程度、まあまあ」(fairly や pretty と同じくらい)。quite good(まあまあいい)、I quite like opera.(オペラはわりと好き)
  • 北米英語:quite はふつう「とても(very)」に近い意味。「まあまあ」と言いたいときは、quite ではなく pretty を使う

ケンブリッジの文法解説(English Grammar Today)は、イギリス英語の例として、He had been quite good at drawing. に「まあまあ上手だが、飛びぬけてはいない」、It's quite a good book. に「わりといい本だが、すばらしいほどではない」と説明をつけています。

オックスフォードの辞典には、強さの順番も書いてあります。fairly(まあまあ)より quite が少し強く、quite より rather が少し強い。この説明での quite は、「とても」より下の、真ん中あたりの言葉です。

02同じ quite が「完全に」にもなる

話はここで終わりません。イギリス英語でも、quite がいつも「まあまあ」とは限らないのです。

両方の辞典によると、quite のあとに来る形容詞しだいで、意味がガラッと変わります。

  • 「程度に幅がある形容詞」(good・tired・difficult など)につくと → まあまあ、そこそこ
  • I feel quite tired today.(今日はちょっと疲れてる)
  • 「それ以上がない形容詞」(right・perfect・amazing・exhausted など)につくと → 完全に、まったく
  • I feel quite exhausted.(もうへとへと)
  • She was quite right.(彼女はまったく正しかった)

つまり、quite tired はちょっと疲れているのに、quite exhausted は完全にくたくた。同じ quite が、弱める方向にも強める方向にも働きます。

03決め手は「どこを強く言うか」

では、肝心の quite good はどうなのか。オックスフォードの辞典には、こんな説明があります。

メールやメッセージでは強勢が見えないので、前後の文から考えるしかありません。

同じ「quite good」でも、イギリスとアメリカで受け取り方がちがう
同じ「quite good」でも、イギリスとアメリカで受け取り方がちがう

042025年の実験:イギリス人は quite を弱く、very を強く受け取った

辞書の説明は、実際の人の受け取り方とも合っているのでしょうか。アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)とスタンフォード大学の研究者たちが、2025年に発表した論文で確かめています。

この論文は学術誌ではなく、認知科学の国際学会(Cognitive Science Society)の2025年の大会の論文集に載ったものです。専門家の審査(査読)は通っていますが、7ページほどの短い論文です。同じ内容は、論文を公開できるサイト arXiv と、MIT の修士論文にも出ています。

研究者たちは、この差がどこから来るのかを、コンピューターのモデルで調べました。英米でちがう点を1つだけにしぼって試すと、結果にいちばんよく合ったのは「quite という語がどのくらいの強さを指すか」が英米でちがう、という説明でした。仮定が少ないほど高く評価する比べ方では、この説明が全体でもいちばんでした。ただ、結果への合い方だけで見ると、いちばんだったのは、quite の意味の差に加えて「わざわざ強めの言葉を足すこと」の受け取り方なども英米でちがう、とした説明でした。

05辞書で「not bad」を引くと「quite good」

quite のまわりには、同じように「言葉どおりに受け取ると外れる」表現がいくつもあります。

  • not bad:オックスフォードの辞典の定義は「quite good(まあまあいい)、思ったよりいい」。「悪くない」という控えめな言い方を、quite good というもう1つの控えめな言い方で説明しています
  • quite a few:few は「少し」なのに、quite a few は「かなりたくさん」。There were quite a few of us at the meeting.(会議にはけっこうな人数がいた)(ケンブリッジ)
  • not quite:「完全には〜でない」。オックスフォードの辞典には、イギリス英語の The theatre was not quite full. に「=ほぼ満席だった」と説明がある
  • Quite.:イギリス英語では、この一語で「まったくだ、おっしゃるとおり」という同意の返事になる
  • I quite like 〜 / I quite agree:ケンブリッジの文法解説では、I quite like tennis. は「テニスはまあ好き」、I quite agree. は「完全に同意」。同じ quite でも、ここまでちがう

ちなみにアメリカの辞書 AHD によると、quite のもとは中世の英語で「(しばりがなく)自由な」という意味の言葉。さかのぼるとラテン語の quietus(解放された)で、quiet(静かな)と親戚です。AHD の1番目の意味は、いまも「完全に」です。

06どんでん返し:「イギリス人は遠回しだから」ではなかった?

よく聞く説明は、「イギリス人は控えめで礼儀を重んじるから、ほめ言葉も弱めに言う」というものです。

ところが、先ほどの実験の研究者たちは、これだけでは説明しきれないと考えています。礼儀正しさのはたらきを考えにくい「ナレーターの説明文」にしても、quite の差は残りました。実験3(40人)で、それぞれの言い方がどのくらい丁寧に感じられるかを直接たずねて、その英米の差を分析に入れても、受け取り方の英米の差を説明する力ははっきりとは増えませんでした。研究者たちの結論は、quite そのものの意味の差に、「わざわざ強めの言葉を足すこと」をどう受け取るかの文化の差が重なっている、というものです。

ただし、この実験には限界もあります。

  • 学術誌の論文ではなく、学会の論文集に載った短い論文である(審査はある)
  • 参加者は各実験で40人前後と少ない
  • イギリスの人が quite を弱めに受け取る差がはっきり出たのは、boring・difficult のようなマイナスの形容詞のときだけだった。impressive・helpful のようなプラスの形容詞では、はっきりした差は出なかった
  • 7つの形容詞に、肝心の good は入っていない

「quite good=イギリスではまあまあ」は辞書の説明としては確かですが、実験で確かめられたのは、その一部です。

07まとめ

「quite good」は、イギリスでは「まあまあ(もっとよくなる)」、アメリカでは「かなりいい」。しかもイギリスでも、quite を強く言えば「とてもいい」に変わり、quite exhausted なら「完全にくたくた」です。

英米の差は、礼儀の差だけではなく、quite という言葉そのものの差でもあるようです。イギリスの人に「quite good」と言われたら、言葉だけでなく、言い方と表情もよく見てみてください。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerEven in British English, "quite" has two quite different jobs. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Even in British English, "quite" has two quite different jobs. With words that come in degrees, like "good," "tired" or "difficult," it means "fairly."

So "I feel quite tired" means you are a bit tired. With words that already describe an extreme, like "right," "perfect" or "exhausted," it means "completely." "I feel quite exhausted" means you are worn out.

The Oxford learner's dictionary adds that "Your essay is quite good" can go either way in Britain. It may mean "fairly good" or "very good," and the speaker's stress and tone tell you which. There are more traps. "Quite a few" means "a lot," and in Britain a one-word reply, "Quite," means "I agree."

113 words ・ CEFR B1

和訳を見る

イギリス英語の中でさえ、「quite」には2つのかなりちがう役目がある。「good」「tired」「difficult」のように程度に幅がある語といっしょだと、「まあまあ」という意味になる。

だから「I feel quite tired」は少し疲れているという意味だ。「right」「perfect」「exhausted」のように、すでに極限を表す語といっしょだと、「完全に」という意味になる。「I feel quite exhausted」は、へとへとだという意味だ。

オックスフォードの学習辞典はさらに、イギリスでは「Your essay is quite good」がどちらの意味にもなりうると書いている。「まあまあいい」の意味にも「とてもいい」の意味にもなり、話し手の強勢と口調でどちらか分かる。ほかにも落とし穴がある。「quite a few」は「たくさん」という意味で、イギリスでは一語の返事「Quite.」が「同感だ」という意味になる。

4択リーディングクイズ

Q1. What does "quite" mean in "I feel quite exhausted"?

Q2. According to the passage, how can you tell what "Your essay is quite good" means in Britain?

Q3. What can we infer from the passage?

重要単語

  • quiteA2
    副詞(英)まあまあ、かなり;完全に;(米)とてもThe test was quite difficult, but I passed. 後ろの語が程度に幅のある語(good, tired)なら「まあまあ」、極限の語(right, perfect)なら「完全に」。quite a / an の語順にも注意。
  • fairlyB1
    副詞まあまあ、そこそこThe movie was fairly good, but not great. fairly < quite < rather の順に少しずつ強くなる(オックスフォード)。
  • prettyB1
    副詞かなり、けっこうThe food here is pretty good for the price. 形容詞の「かわいい」とは別の使い方。アメリカ英語で「まあまあ」と言うときは quite より pretty。
  • intensifierC1
    名詞強めの言葉(very など)"Very" is the most common intensifier in English. intensify(強める)+-er。反対に弱める slightly などは downtoner と呼ぶ。
  • stressB1
    名詞(発音の)強勢Where you put the stress can change the meaning. 「ストレス(精神的な負担)」と同じつづり。put the stress on ~ で「~を強く言う」。
  • interpretB2
    動詞解釈する、受け取るPeople interpret the same word in different ways. interpret A as B で「A を B と解釈する」。名詞は interpretation。
  • quite a fewB1
    熟語かなりたくさん(の)Quite a few students were late this morning. a few(少し)なのに、quite がつくと「たくさん」。quite a lot / quite a bit も「かなり多く」。
イギリスの先生の「Your essay is quite good.」は、オックスフォードの学習辞典によると「まあまあ。もっとよくなる」の意味にもなる。アメリカ英語の quite は very に近い。2025年に学会の論文集に載った49人の実験でも、イギリス人は quite を弱めに受け取った。

押すと「マジかリスト」に保存されます

出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Machino, Hofer, Siegel, Tenenbaum & Hawkins (2025) Minding the Politeness Gap in Cross-cultural Communication. Proceedings of the Annual Meeting of the Cognitive Science Society, 47, 5684–5690escholarship.org
  2. Oxford Learner's Dictionaries「quite」(Which Word?: quite / fairly / rather / pretty)oxfordlearnersdictionaries.com
  3. Cambridge Dictionary, English Grammar Today「Quite」dictionary.cambridge.org
  4. American Heritage Dictionary「quite」ahdictionary.com
  5. Oxford Learner's Dictionaries「bad」(idiom: not bad)oxfordlearnersdictionaries.com

本館

マジカ!?サイエンスで読む、ことばの研究

論文でウラ取りした科学の「マジか!?」。言語・脳・学習の研究も

マジカ!?サイエンスのトップへ →