「フリスビー」の名前はパイ屋さんから。発明者は「ひどい名前だと思った」と語っていた

読む前に予想してみよう!
「フリスビー」は、発明した人が自分の名前をつけた商品名である
発明者はフレッド・モリソン。玩具会社ワムオーが、パイ屋 Frisbie Pie Company にちなんで名前をつけ、つづりを Frisbee に変えた。
- 対象
- 発明の歴史記事・州の歴史サイト・競技団体の年表・米国特許
- 規模
- 1871〜1994年の記録
- 研究の種類
- 語源調査(文献)
- 確かさ
- ★★★☆☆
Frisbee の名前は、コネチカット州のパイ屋 Frisbie Pie Company から。名づけたのは玩具会社で、発明者は「ひどい名前だと思った」と語っていた。
ひとことで言うとフリスビーの名前は、パイ屋さんのお店の名前からとったんだって!
もくじ
公園や海辺で投げて遊ぶ、プラスチックの円盤「フリスビー」。英語では Frisbee と書きます。
この名前、発明した人の名前ではありません。もとは、アメリカ東部コネチカット州にあったパイ屋さんの名前です。
しかも、名前をつけたのは発明者ではなく、売り出した玩具会社。発明者フレッド・モリソンは、この名前を初めて聞いたとき「ひどい名前だ」と思ったと、のちに語っています。
01フリスビーの語源は、1871年創業のパイ屋さん
コネチカット州の歴史を紹介するサイト ConnecticutHistory.org(2021年)によると、ウィリアム・フリズビー(William Frisbie)が、コネチカット州ブリッジポートで Frisbie Pie Company(フリズビー・パイ社) を開いたのは1871年です。
そして、こんな話が伝わっています。近くの大学の学生たちが、食べ終わったパイの金属の皿を投げ合って遊び、投げるときに「フリズビー!」と叫んでいた――。
どこの大学の学生だったのかは、今回の資料でははっきりしません。ただ、大学生がパイの皿を投げて遊ぶ光景は、実際にありました。アメリカの雑誌『TIME』の2015年の記事には、1950年にオハイオ州のケニオン大学で、学生たちがパイの皿や円盤を投げて遊ぶ写真(雑誌『LIFE』の写真家が撮影)が載っています。

02始まりは、ポップコーン缶のふたとケーキ型
一方、プラスチックの円盤を発明したのは、ロサンゼルスのフレッド・モリソン(Walter Frederick Morrison)です。
03名前は「ケーキ型」から「冥王星の皿」まで、何度も変わった
フリスビーという名前に落ち着くまでに、モリソンの円盤は何度も名前を変えています。いくつかは、その時代に話題だったものから名前を借りていました。
- Flyin' Cake Pan(空飛ぶケーキ型):南カリフォルニアの浜辺や公園で売った最初の商品。見たままの名前
- Whirlo-Way:1941年にアメリカ競馬の三冠をとった名馬 Whirlaway(ワーラウェイ) にちなむ
- Flyin Saucer(空飛ぶ円盤):1947年、出資者のウォーレン・フランシオーニと組んで作ったプラスチック製。当時ふくらんでいたUFOブームに乗った名前
- Pluto Platter(冥王星の皿):まん中を盛り上げてUFOの屋根のような形にし、ふちに惑星の名前を入れた改良版
- Frisbee:ワムオーがつけた最後の名前
『Smithsonian』によると、ワムオーは売り出してまもなく、ニューイングランド(アメリカ北東部)の学生たちがフリズビー・パイ社の空き皿を投げて遊んでいて、モリソンの円盤も「フリズビー」と呼んでいることを知りました。会社はこのあだ名を気に入り、名前の権利の問題を避けるために、つづりを Frisbie から Frisbee に変えたのです。
『TIME』によると、名前が変わったのは売り出した翌年の1958年。モリソンが意匠特許(形のデザインの特許)を出願したのは1957年7月、認められたのは1958年9月で、特許の名前はただの「Flying toy(飛ぶおもちゃ)」でした。
04発明者は「ひどい名前だ」と思った
ところが、モリソン本人はこの名前を気に入りませんでした。『TIME』によると、50年後にカリフォルニアの新聞の取材にこう振り返っています。
「I thought the name was a horror.(ひどい名前だと思ったよ)」
それでも、フリスビーは売れに売れました。ConnecticutHistory.org によると、ワムオーが1994年に販売の権利を手放すまでに、2億枚をこえるフリスビーが売れたといいます。『TIME』によると、売れた数に応じた支払い(ロイヤルティ)でモリソンは大金持ちになり、そのあとは「何があってもこの名前は変えない」と言うようになりました。
一方、名前のもとになったパイ屋さんは、ちょうどこのころ店を閉じました。ConnecticutHistory.org は1957年に86年の歴史を終えたとし、世界フライングディスク連盟(WFDF)の年表は1958年としています。
05おまけ:フリスビーから生まれた遊びと言葉
フリスビーの人気は、新しいスポーツや言葉も生みました。
- ultimate(アルティメット):『Smithsonian』と WFDF の年表によると、1967年ごろ、ニュージャージー州メープルウッドの高校生たちが考えた競技。当時の名前は Ultimate Frisbee(アルティメット・フリスビー)
- disc golf(ディスクゴルフ):ワムオーの技術者エド・ヘドリックが考えた遊び。WFDF の年表によると、1969年に開かれた最初期の大会では、仮のゴールにフラフープを使った
- disc dog:犬が円盤をキャッチする競技。『Smithsonian』によると、よく Frisbee Dog とも呼ばれる
ヘドリックは、いまのフリスビーの表面にあるでこぼこの輪を加えた人です。1967年に認められた彼の特許の名前は、「Frisbee」ではなく「Flying saucer(空飛ぶ円盤)」でした。WFDF の年表によると、ヘドリックはこの特許の権利を、わずか10ドルでワムオーにゆずっています。
WFDF の年表には、1975年に日本フリスビーディスク協会ができたことも記されています。
06どんでん返し:パイの皿の話は「確かな記録」ではない
ここまで「パイ屋さんの名前から」と書いてきました。ワムオーがパイ屋の名前にちなんで Frisbee と名づけたことは、どの資料でも一致しています。
でも、「学生がパイの皿を投げながら『フリズビー!』と叫んでいた」という部分は、ConnecticutHistory.org 自身が「面白いが証明されていない話(unproven)」と書いています。どの大学で、いつから始まったのかも、はっきりしません。
日付にも食い違いがあります。ConnecticutHistory.org は、ワムオーが1957年1月に作り始めた円盤をまず「Flying Disk」と名づけ、その後で Frisbee に改めたと書いています。『TIME』は「1957年に Pluto Platter として発売、翌年に改名」。WFDF の年表は、1958年にワムオーが「Toy Flying Saucer」を作ったとしています。商品名がめまぐるしく変わったので、記録する側も混乱しているのです。
07まとめ
フリスビーは、ケーキ型から始まり、名馬、UFOブーム、冥王星と名前を変え、最後にパイ屋さんの名前に落ち着きました。発明者が「ひどい」と言った名前が、いまでは世界中で通じる言葉です。
次にフリスビーを投げるときは、コネチカット州の古いパイ屋さんと、浜辺でケーキ型を投げていた17歳の少年のことを思い出してみてください。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerBefore it was called the Frisbee, Fred Morrison's flying disc had several other names.
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
In 1937, Fred Morrison was 17. He and the girl he later married threw a popcorn can lid back and forth. Later they threw cake pans. One day on a beach, a stranger offered them 25 cents for a pan.
Morrison saw a business idea. He made a plastic flying disc, and a toy company sold it in 1957. The company named it "Frisbee" after a pie company. Morrison did not like the name at first.
76 words ・ CEFR A2
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1937年、フレッド・モリソンは17歳でした。彼と、のちに結婚する女の子は、ポップコーンの缶のふたを投げ合いました。のちに、ケーキ型を投げるようになりました。ある日浜辺で、知らない人が、ケーキ型1つに25セント払うと言いました。
モリソンは、これは商売になると思いました。彼はプラスチックの空飛ぶ円盤を作り、1957年にある玩具会社がそれを売り出しました。会社は、あるパイ会社にちなんで「フリスビー」と名づけました。モリソンは、最初はその名前が気に入りませんでした。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
フリスビーの始まりと名前の由来の話なので B。
Q2. How much did the stranger offer for a cake pan?
a stranger offered them 25 cents for a pan とあるので C。
Q3. In the passage, what does "stranger" mean?
stranger は「知らない人」。浜辺で2人を見ていた見知らぬ人のことなので A。
Before it was called the Frisbee, Fred Morrison's flying disc had several other names. He first sold "Flyin' Cake Pans" on beaches in Southern California. Later came the "Whirlo-Way," named after a famous racehorse, and the "Flyin Saucer," a plastic disc made in 1947, when people were excited about UFOs.
Then he raised the center of the disc and called it the "Pluto Platter." The toy company Wham-O began selling it in January 1957. Soon the company heard that students in the northeastern United States threw empty pie tins from the Frisbie Pie Company and called the discs "Frisbies." Wham-O liked the nickname and changed the spelling to "Frisbee" to avoid legal trouble. Morrison later said he had first thought the name was terrible.
124 words ・ CEFR B1
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フリスビーと呼ばれる前、フレッド・モリソンの空飛ぶ円盤にはほかにもいくつかの名前があった。彼は最初、南カリフォルニアの浜辺で「空飛ぶケーキ型」を売った。その後、有名な競走馬にちなんで名づけた「ワーロウェイ」と、人々がUFOに夢中になっていた1947年に作られたプラスチックの円盤「空飛ぶ円盤」が続いた。
それから彼は円盤のまん中を盛り上げ、「冥王星の皿」と呼んだ。玩具会社ワムオーは1957年1月にそれを売り出した。まもなく会社は、アメリカ北東部の学生たちがフリズビー・パイ社の空のパイ皿を投げて遊び、その円盤を「フリズビー」と呼んでいると耳にした。ワムオーはそのあだ名を気に入り、法的なトラブルを避けるためにつづりを「Frisbee」に変えた。モリソンはのちに、最初はひどい名前だと思ったと語った。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
ケーキ型からフリスビーまで、円盤の名前が変わっていった話なので A。
Q2. Which name came from a racehorse?
the "Whirlo-Way," named after a famous racehorse とあるので C。
Q3. What does the passage suggest about the names Morrison chose?
有名な競走馬や、人々が夢中になっていた UFO など、その時代に話題だったものから名前を借りているので B。
The Frisbie Pie Company opened in Bridgeport, Connecticut, in 1871 and closed in the late 1950s, at about the time its name found a second life. The usual story says that college students tossed the company's empty pie tins and shouted "Frisbie!" as they threw them. It is a good story, but a Connecticut history website calls it unproven, and nobody seems sure which school started the game.
What is clear is that Wham-O borrowed the name, changed one letter, and turned it into a trademark. Sales really took off after the company hired a designer named Ed Headrick, who added raised ridges to the top of the disc. His 1967 patent was titled not "Frisbee" but "Flying saucer," and according to the World Flying Disc Federation, he handed the rights to Wham-O for ten dollars.
The disc also gave rise to new games. High school students in New Jersey invented a team sport they called Ultimate Frisbee, and Headrick came up with disc golf, where players throw discs at targets. At one early tournament, the targets were Hula Hoops.
180 words ・ CEFR B2
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フリズビー・パイ社は1871年にコネチカット州ブリッジポートで開業し、1950年代の終わりごろに閉店した。ちょうどその名前が第二の人生を得たころだった。よく知られた話では、大学生たちがこの会社の空のパイ皿を投げ、投げるときに「フリズビー!」と叫んでいたという。
よくできた話だが、コネチカット州の歴史サイトはこれを証明されていない話だとしており、どの学校がこの遊びを始めたのかも、はっきりしないようだ。確かなのは、ワムオーがその名前を借り、1文字を変えて商標にしたことである。売り上げが本当に伸びたのは、会社がエド・ヘドリックという設計者を雇い、彼が円盤の上面に盛り上がった輪を加えてからだった。
彼の1967年の特許の名前は「Frisbee」ではなく「Flying saucer(空飛ぶ円盤)」で、世界フライングディスク連盟によると、彼はその権利を10ドルでワムオーにゆずった。この円盤は新しい遊びも生んだ。ニュージャージー州の高校生たちは、自分たちがアルティメット・フリスビーと呼ぶチームスポーツを考え出し、ヘドリックは、選手が的に向かって円盤を投げるディスクゴルフを考えた。初期のある大会では、的はフラフープだった。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
名前の由来の話と、その後の改良・新しい遊びについて述べているので C。
Q2. What was the title of Headrick's 1967 patent?
His 1967 patent was titled not "Frisbee" but "Flying saucer" とあるので B。
Q3. How does the writer treat the story about students shouting "Frisbie!"?
It is a good story, but a Connecticut history website calls it unproven とあるので D。
重要単語
- pie tinB2名詞パイを焼く金属の皿The students threw an empty pie tin across the lawn.
tin は「すず、ブリキ」。アメリカ英語では pie pan とも言う。 - flying discB1名詞フライングディスク(フリスビーの一般的な呼び名)"Frisbee" is a brand name, so the general term is "flying disc."
商標の Frisbee を使わない一般的な言い方。World Flying Disc Federation(世界フライングディスク連盟)のように、競技団体の名前にも入っている。 - brand nameB1名詞商品名、銘柄Frisbee started as a brand name.
登録されて守られている商品名は trademark(商標)。 - royaltyC1名詞特許使用料、印税(売れた数に応じた支払い)Morrison earned royalties on every disc sold.
この意味ではふつう複数形 royalties。「王族」の royalty と同じつづり。 - spellingA2名詞つづりWham-O changed the spelling from "Frisbie" to "Frisbee."
動詞は spell。How do you spell it?(どうつづるの?)は会話でよく使う。 - strangerA2名詞知らない人A stranger on the beach offered them a quarter.
strange と同じ語源で、もとはラテン語の「外の、よその」(AHD)。I'm a stranger here. で「この辺は不案内です」。 - patentB2名詞特許Headrick's patent was called "Flying saucer."
take out a patent「特許をとる」。発音は米国では「パテント」。
公式・一次情報をチェック
- Frisbee(Cambridge Dictionary・trademark の表示)dictionary.cambridge.org
- Morrison の意匠特許 Flying toy(米国特許 D183,626)patents.google.com
- Headrick の特許 Flying saucer(米国特許 3,359,678)patents.google.com
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「フリスビー」の名前は、アメリカ東部のパイ屋 Frisbie Pie Company から。名づけたのは玩具会社で、発明者モリソン本人は「ひどい名前だ」と嫌っていた。それまでの名前は「空飛ぶケーキ型」「冥王星の皿」など。
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出典・参考文献(5件)タップで表示
- Kiniry (2025) An American Toy Company Produced the World's First Frisbees, Smithsonian Magazinesmithsonianmag.com
- Latson (2015) How Frisbees Got Off the Ground, TIMEtime.com
- Connecticut Humanities (2021) A Pie Tin's Soaring Sales, ConnecticutHistory.orgconnecticuthistory.org
- World Flying Disc Federation (2011) Timeline of early history of Flying Disc Play (1871-1995)wfdf.sport
- American Heritage Dictionary「Frisbee」ahdictionary.com
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。
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