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手りゅう弾の grenade は果物の「ザクロ」。漢字の「手榴弾」の「榴」もザクロ

手りゅう弾の grenade は果物の「ザクロ」。漢字の「手榴弾」の「榴」もザクロ

読む前に予想してみよう!

手りゅう弾の英語 grenade は、果物のザクロを表すフランス語から来ている

研究カード(どんな研究?)
対象
英・仏・西の辞書と日本の辞典
規模
grenade と関連語6語
研究の種類
辞書の語源欄の比較
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

grenade(手りゅう弾)の語源はフランス語の「ザクロ」。形が似ていたから。フランス語では今も果物も爆弾も grenade。漢字「手榴弾」の「榴」もザクロ。

ひとことで言うと手りゅう弾の英語 grenade は、もとは果物の「ザクロ」の名前なんだって!

もくじ
  1. grenade の語源は? フランス語の「ザクロ」
  2. 昔の手りゅう弾は「ザクロくらいの大きさの玉」
  3. grenadier は「手りゅう弾を投げる兵士」で、「ザクロの木」
  4. シロップ、宝石、漢字にも隠れていたザクロ
  5. どんでん返し:「粒がぎっしり」だから、ではない?
  6. まとめ

「手りゅう弾」は英語で hand grenade(ハンド・グルネイド)。ゲームや映画で「グレネード」と聞いたことがある人も多いはずです。

この grenade の正体は、果物の「ザクロ」 です。

しかも、日本語のほうも負けていません。漢字で「手榴弾」と書くときの「榴」は、ザクロを表す字です。英語も日本語も、あの物騒な武器の名前の中に、甘ずっぱい果物がまぎれこんでいます。

01grenade の語源は? フランス語の「ザクロ」

アメリカの大辞典『アメリカン・ヘリテージ英語辞典(AHD)』で grenade を引くと、語源の欄にこう書かれています。

  • フランス語から。もとは古フランス語の (pome) grenate=「ザクロ」
  • ザクロと呼ばれた理由は from its shape(形から)

フランス語の大きな国語辞典『ラルース』も、武器の grenade について par analogie de forme(形が似ているので) と説明しています。丸い実の上に、とがった「がく」がちょこんと乗ったザクロ。昔の丸い手りゅう弾と、たしかにシルエットが似ています。

つまりフランスやスペインでは、八百屋のザクロと兵士の手りゅう弾が、いまも同じ単語です。

02昔の手りゅう弾は「ザクロくらいの大きさの玉」

スペイン王立アカデミーの辞書は、granada の意味のひとつとして、昔の手りゅう弾をこう説明しています。

厚紙・ガラス・青銅・鉄でできた玉で、本物のザクロとほぼ同じ大きさ。中には火薬が詰まっていて、導火線に火をつけて敵に投げた。それを持ち歩いていたのが granaderos(擲弾兵)

大きさまでザクロと比べているわけです。

ラルースには、武器の grenade のもうひとつの意味として「火のついた grenade をかたどった飾りで、多くの軍服の記章に使われるもの」も載っています。

03grenadier は「手りゅう弾を投げる兵士」で、「ザクロの木」

grenade から生まれた語が grenadier(グレナディア) です。AHD には、こんな意味が載っています。

  • 手りゅう弾を持った兵士(日本語では「擲弾兵(てきだんへい)」)
  • イギリス王室の近衛歩兵連隊 Grenadier Guards(グレナディア・ガーズ) の隊員
  • 深海魚の一種(尾が長く、尾びれがない魚。rat-tail とも呼ぶ)

ところがフランス語の grenadier には、もうひとつ大事な意味があります。ラルースによると、高さ3〜4メートルの小さな木で、その実が grenade(ザクロ)。つまり「ザクロの木」です。

英語では「兵士」、フランス語では「兵士」と「ザクロの木」。同じつづりの単語が、軍隊と果樹園の両方にいます。

フランス語の grenadier は「擲弾兵」と「ザクロの木」の両方の意味を持つ(ラルース)
フランス語の grenadier は「擲弾兵」と「ザクロの木」の両方の意味を持つ(ラルース)

04シロップ、宝石、漢字にも隠れていたザクロ

ザクロの仲間の単語は、武器のほかにもあります。

  • grenadine(グレナデン):飲み物に使う赤いシロップ。AHD の定義は「ザクロから作る、とろりとした甘いシロップ」。フランス語の grenade(ザクロ)に、小さいものを表す語尾がついた形です(Dictionary.com)
  • garnet(ガーネット):赤い宝石。AHD によると、古フランス語の grenat「ザクロのような赤」から来た語で、さかのぼるとラテン語の「ザクロ」に行き着くとみられます
  • ザクロ石:日本語でもガーネットは「柘榴石(ざくろいし)」。ブリタニカ国際大百科事典は、色や形がザクロの実に似ていることから、ザクロのラテン名にちなんで名づけられたと説明しています

そして日本語の「手榴弾」。漢字辞典『字通』によると、「榴」の訓読みは「ざくろ」。石榴(ざくろ)の「榴」です。精選版 日本国語大辞典によると、「手榴弾」は1922年の辞典や1928年の『歩兵操典』に例があります。

英語の grenade と日本語の「手榴弾」。どちらの名前にも、ザクロが入っているのです。

05どんでん返し:「粒がぎっしり」だから、ではない?

「中に火薬がつぶつぶ詰まっているから、種がぎっしりのザクロにたとえたのでは?」と考えたくなります。でも、今回調べた辞書が理由として書いているのは「形」でした(AHD・ラルース)。「種がたくさんある」という意味が入っているのは、果物の名前 pomegranate(grenate=種がたくさんある)のほうです。

ほかにも、確かめきれなかったことがあります。

  • グレナデンの今:AHD は「ザクロのシロップ」と定義しますが、ラルースの今の定義は「さまざまな果物、とくに赤い果物とバニラのシロップで作る飲み物」。ここにはザクロという言葉が出てきません
  • 都市グラナダ:スペイン南部の都市 Granada は、スペイン語の「ザクロ」granada と同じつづりです。ただ、都市の名前がザクロから来たのかどうかは、今回調べた辞書では確かめられませんでした
  • フランス語に来た道:AHD は「古フランス語の pome grenate から」、Dictionary.com は「スペイン語の granada(ザクロ)からフランス語へ」と、途中の道すじの書き方が少しちがいます。「ザクロから来た」という点は、どちらも同じです

06まとめ

手りゅう弾の grenade は、もとはフランス語の「ザクロ」。形が似ていたことから付いた名前で、フランス語とスペイン語では今も果物と武器が同じ単語です。

兵士の grenadier、赤いシロップの grenadine、宝石の garnet、そして漢字の「手榴弾」。次にザクロを割って赤い粒を見たら、この果物の名前が武器の名前にまで入りこんでいることを思い出してみてください。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe name of a small bomb comes from a fruit. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

The name of a small bomb comes from a fruit. English borrowed the word "grenade" from French, where it means pomegranate, and the American Heritage Dictionary says the weapon was named for its shape. A Spanish dictionary describes early grenades as balls of glass, bronze or iron, about the size of a real pomegranate and filled with gunpowder.

In French and Spanish, one word still covers both the fruit and the weapon. The fruit hides in other words too. Grenadine is a sweet red syrup made from pomegranates, and the name of the red stone garnet probably goes back to the same fruit. Even the Japanese word for a hand grenade contains a kanji that means pomegranate.

117 words ・ CEFR B1

和訳を見る

小さな爆弾の名前は、ある果物から来ている。英語は grenade という単語をフランス語から借りた。フランス語でこの語は「ザクロ」を意味し、アメリカン・ヘリテージ英語辞典によれば、この武器は形にちなんで名づけられた。

あるスペイン語の辞書は、初期の手りゅう弾を、ガラスや青銅や鉄でできた、本物のザクロくらいの大きさの、火薬を詰めた玉だと説明している。フランス語とスペイン語では、今も1つの単語が果物と武器の両方を表す。この果物はほかの単語にも隠れている。グレナデンはザクロから作る甘くて赤いシロップで、赤い石ガーネットの名前もおそらく同じ果物にさかのぼる。日本語で手りゅう弾を表す言葉にさえ、ザクロを意味する漢字が入っている。

4択リーディングクイズ

Q1. According to the passage, what were early grenades like?

Q2. Which word is NOT connected to the pomegranate in the passage?

Q3. What does the writer suggest with the last sentence?

重要単語

  • grenadeB2
    名詞手りゅう弾The soldier pulled the pin and threw the grenade. 発音は「グルネイド」で、後ろの nade を強く読む。hand grenade とも言う。
  • pomegranateB2
    名詞ザクロShe cut the pomegranate in half and scooped out the seeds. pome(りんご)+ granate(種がたくさんある)。「種だらけのりんご」と覚える。
  • grenadierC1
    名詞擲弾兵(手りゅう弾を投げる兵士)The grenadiers marched in front of the palace. grenade + -ier(〜する人)。イギリスの Grenadier Guards(近衛歩兵連隊)の名前にも残る。
  • grenadineC1
    名詞グレナデン(ザクロのシロップ)Add a little grenadine to make the drink red. フランス語の grenade(ザクロ)に「小さいもの」を表す語尾。飲み物を赤くするのに使う。
  • garnetC1
    名詞ガーネット、ザクロ石Her ring has a deep red garnet in it. 「ザクロのような赤」から。日本語でも「柘榴石(ざくろいし)」と呼ぶ。
  • grainB1
    名詞穀物の粒、粒There was not a single grain of rice left in the bowl. ラテン語 granum(粒)から。pomegranate の granate と同じ根っこ。a grain of salt「少しの塩」。
  • shapeA2
    名詞形The cake was in the shape of a heart. in the shape of ~「~の形をした」。grenade が名づけられた理由はこの shape。
手りゅう弾の英語 grenade の正体は、果物の「ザクロ」。形が似ていたからで、フランス語では今も果物も爆弾も grenade。しかも漢字で書く「手榴弾」の「榴」も、ザクロを表す字。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. American Heritage Dictionary of the English Language, 5th ed.「grenade」「pomegranate」「grenadier」「grenadine」「garnet」「grain」ahdictionary.com
  2. Dictionary.com「grenade」「grenadine」(Origin)dictionary.com
  3. Larousse, Dictionnaire de français「grenade」(果物・武器)「grenadier」「grenadine」larousse.fr
  4. Real Academia Española, Diccionario de la lengua española「granada」dle.rae.es
  5. コトバンク:普及版 字通「榴」・精選版 日本国語大辞典「手榴弾」・ブリタニカ国際大百科事典「柘榴石」kotobank.jp

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