ワッフルとゴーフルは同じ言葉。ウィリアムとギヨームも、w が g に変わっただけ

読む前に予想してみよう!
英語の guarantee(保証)と warranty(保証書)は、もとは同じ言葉だ
どちらもゲルマン系の同じ語から。フランス語の北部の方言では w のまま、それ以外では g(gu)になり、英語は両方を借りた。
- 対象
- 中世フランス語から英語に入った語
- 規模
- 英語辞書2種+仏英辞典+国語辞典・百科事典
- 研究の種類
- 辞書の語源記述の照合
- 確かさ
- ★★★★☆
ゲルマン系(英語やドイツ語の仲間)の言葉の w は、昔のフランス語では北部以外で g(gu)に変わった。英語は両方の形を借りたので、guarantee と warranty、regard と reward が並んでいる。ワッフルとゴーフルも同じ仕組み。
ひとことで言うとw が g に変わっただけ。guard と ward は、もとは同じ言葉だった!
もくじ
ふわっと厚い「ワッフル」と、缶に入った薄くてパリッとした「ゴーフル」。
見た目も食感もちがうこの2つ、名前はもともと同じ言葉です。英語の waffle と、フランス語の gaufre。頭の w が g に変わっただけなのです。
英語には、こういう「w と g の兄弟」があちこちにいます。guard(守る)と ward(病棟、見張り)、guarantee(保証)と warranty(保証書)、regard(見なす)と reward(ほうび)。そして人の名前の William(ウィリアム)と、フランス語の Guillaume(ギヨーム) も、この仲間です。
01guard と ward の語源は? きっかけは「フランク人のことば」
話は1000年以上前のフランスにさかのぼります。
アメリカン・ヘリテージ英語辞典(AHD)の war(戦争)の語源解説によると、きっかけはゲルマン系(英語やドイツ語の仲間)の言語の一つ、フランク語です。記録がほとんど残っていない言語ですが、昔のフランス語に単語をいくつも伝えました(AHD はその数を「約200語」としています)。
そのうちの一つとされるのが、ゲルマン系の語 werra(もとは「混乱」という意味)。これがフランス語に入ると、地域によって形が分かれました。どちらの形も、意味は「戦争」です。
- フランス北部の方言(Old North French):werre(w のまま)
- それ以外のフランス語の地域:guerre(w が gu に)
英語が1100年代に借りたのは、北部の werre のほう。これがいまの war です。いっぽう guerre のほうはスペイン語の guerra とも同じ仲間で、そこから「小さな戦争」を意味する guerrilla(ゲリラ) が生まれました(オックスフォード学習辞典〔OALD〕によると、英語に入ったのは19世紀の初め)。
つまり war とゲリラは、w 版と g 版の兄弟です。
02芸能人の「ギャラ」と家電の「保証書」は同じ言葉
日本語にも、この兄弟の片方が入っています。
デジタル大辞泉によると、出演料の「ギャラ」は「ギャランティー」の略。そのギャランティーは英語の guarantee(保証)です。
いっぽう、家電を買うとついてくる「保証書」は英語で warranty。My phone is still under warranty.(スマホはまだ保証期間中だ)のように使います。OALD によると、warranty はアングロ・ノルマン語の warantie から来た語で、garantie(保証)の別の形です。AHD も guaranty(保証)と warrant・warranty を、同じゲルマン系の語から来た仲間として並べています。
テレビの出演料と、冷蔵庫の保証書。「保証」を表す同じ言葉が、g 版と w 版に分かれて日本まで来たわけです。
03regard と reward、ward と guard
同じ仕組みで、意味がずいぶん離れてしまった兄弟もいます。
regard と rewardOALD によると、regard は古いフランス語の regarder(見守る、見る)から来た語で、re-(「後ろへ」、または意味を強める)+ garder(守る)でできています。reward はそのアングロ・ノルマン語の形で、英語でも初めは「注意、気にかけること」という意味でした。いまの reward は「ほうび」。a reward for finding the lost dog(迷い犬を見つけたお礼)のように使います。
ward と guardOALD によると、guard はフランス語の garde(見張り)・garder(守る)から。いっぽう ward は、もともと英語にあった weard(見張り。古英語=1000年ほど前の英語の形)で、そこに北部フランス語の warde・warder(守る)が重なって強まったとされます。英語の古い w 版と、フランス語から来た g 版が並んでいるのです。
warden と guardianユースホステルの管理人や(主にアメリカで)刑務所の所長を表す warden と、守護者・保護者の guardian も、OALD の語源欄では「同じ語の別の形」です。

04洋服だんすは「服を守るもの」
wardrobe(ワードローブ) も w 版です。
OALD によると、wardrobe は北部フランス語の warderobe から来た語で、ふつうのフランス語の garderobe の別の形。garder(守る、しまっておく)+ robe(服)で、「服をしまっておくところ」です。英語に入ったころは「私室」という意味でした。
ファッション雑誌の「ワードローブ(手持ちの服)」も、もとをたどれば「守る」の w 版なのです。
05ワッフル、ウエハース、ゴーフルは三つ子
最初のお菓子に戻りましょう。
AHD の付録(英語・フランス語・オランダ語などの大昔の共通の祖先の言葉を、もとの形ごとにまとめたもの)によると、
- gaufre(ゴーフル):昔のフランス語で「ハチの巣、ワッフル」
- wafer(ウエハース):北部フランス語の waufre から
- waffle(ワッフル):中世オランダ語の wāfel から
この3つは、どれも「web(織ったもの)、ハチの巣」を表すゲルマン系の語から来ています。小学館の『日本大百科全書』も、ゴーフルを「ワッフルのフランス名」で「ハチの巣という意味がある」と説明しています。格子もようを、ハチの巣に見立てた名前なのです。
ここでは waffle だけ、フランス語を通らずにオランダ語から英語に入りました。だから w のまま。ウエハースは北部フランス語経由で w のまま、ゴーフルはふつうのフランス語経由で g。同じお菓子の名前が、通った道によって w と g に分かれたわけです。
AHD はこの3語を、weave(織る)や web(クモの巣)と同じ仲間に入れています。もとをたどると、大昔の祖先の言葉で「織る」を表す webh- という形に行き着く、という説明です。ワッフルの格子もようは、織り目にも見えますね。
06William と Guillaume も同じ名前
最後に、人の名前です。
ラルース仏英辞典で Guillaume(ギヨーム)を引くと、Guillaume le Conquérant は William the Conqueror(征服王ウィリアム)、Guillaume Tell は William Tell(ウィリアム・テル) と訳されています。英語のウィリアムは、フランス語ではギヨーム。ここでも w と gu が入れかわっています。
Dictionary.com(ランダムハウス英語辞典)によると、William は「意志(will)」と「かぶと(helmet)」を表すゲルマン系の語からできた名前。ドイツ語では Wilhelm(ヴィルヘルム)です。
おまけをもう一つ。フランス語やロシア語で引用符として使う « » という記号は、guillemet(ギユメ) と呼ばれます。AHD によると、これは Guillaume(ギヨーム=ウィリアム)に「小さい」を表す形をつけた語、いわば「小さなウィリアム」。この記号を考えたとされる人の名前から来ているそうです(AHD は「とされる」という書き方です)。
07どんでん返し:似ていても兄弟とはかぎらない
「w と g の組なら、全部兄弟」と言いたくなりますが、そうとはかぎりません。
たとえば wile(たくらみ)と guile(ずるさ)。意味もつづりもそっくりです。でも AHD は、wile を「北部フランス語から。古ノルド語の vēl(たくらみ)か、低地ドイツ語から」、guile を「昔のフランス語から、ゲルマン系の語源」と、別々の説明にしています。OALD は guile を「おそらく古ノルド語から」としていて、辞書の間でも説明がそろっていません。兄弟かもしれないし、他人のそら似かもしれないのです。
ward も、「フランス語から借りた w 版」とは言い切れません。OALD の説明では、もともと英語にあった weard に、フランス語の warde が重なったものです。英語の中の「w と g の兄弟」は、ぜんぶが同じ道をたどったわけではありません。
08まとめ
guard と ward、guarantee と warranty、regard と reward。英語には「同じ言葉の g 版と w 版」がいくつも並んでいます。もとは同じゲルマン系の言葉が、フランス語の北と、それ以外とで別の形になり、英語がその両方を借りたからです。
次にワッフルとゴーフルを並べて食べるときは、「これ、同じ名前のお菓子なんだよ」と話してみてください。ウィリアム・テルがフランス語ではギヨーム・テルになる理由も、同じ一言で説明できます。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerYour phone comes with a warranty, and a TV star gets paid a fee that Japanese calls "gyara," short for…
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Look at the English words "guard" and "ward." Now look at "guarantee" and "warranty." Each pair started as one word.
Long ago, French took some words from a Germanic language. In the north of France, people kept the "w" sound. In other parts of France, the "w" became "g."
English borrowed both kinds. Names work the same way. William is Guillaume in French. Even "waffle" and the French word "gaufre" come from one word.
74 words ・ CEFR A2
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英単語の「guard」と「ward」を見てください。次に「guarantee」と「warranty」を見てください。どの組も、もとは1つの言葉でした。
昔、フランス語はゲルマン系の言語からいくつかの言葉をもらいました。フランスの北部では、人々は「w」の音を残しました。フランスのほかの地域では、「w」が「g」になりました。
英語は両方の種類を借りました。名前も同じです。William はフランス語では Guillaume です。「waffle(ワッフル)」とフランス語の「gaufre(ゴーフル)」でさえ、1つの言葉から来ています。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
guard と ward のように、もとは1つだった言葉の組の話なので B。
Q2. What happened to the "w" sound in the north of France?
In the north of France, people kept the "w" sound. とあるので C。
Q3. In the passage, what does "borrowed" mean?
English borrowed both kinds. は「英語は両方を取り入れて使った」という意味なので B。
Your phone comes with a warranty, and a TV star gets paid a fee that Japanese calls "gyara," short for "guarantee." The two English words are really one word in two forms. More than a thousand years ago, some words from the Germanic language of the Franks passed into Old French. In the north of France, these words kept their "w" sound.
In most other places, the "w" turned into "g" or "gu." English borrowed from both areas, so it ended up with pairs such as "warden" and "guardian," "reward" and "regard," and "war" and the Spanish-based "guerrilla." The same change explains names. The French form of William is Guillaume, and the famous hero William Tell is Guillaume Tell in French.
121 words ・ CEFR B1
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スマホには保証(warranty)がついてくるし、テレビのスターは、日本語で「guarantee」を略して「ギャラ」と呼ぶ報酬を受け取る。この2つの英単語は、本当は1つの言葉の2つの形だ。1000年以上前、フランク人が話していたゲルマン系の言語から、いくつかの言葉が昔のフランス語に入った。フランスの北部では、これらの言葉は「w」の音を保った。
ほかのほとんどの地域では、「w」が「g」や「gu」に変わった。英語は両方の地域から言葉を借りたので、「warden」と「guardian」、「reward」と「regard」、「war」とスペイン語から来た「guerrilla」のような組を持つことになった。名前も同じ変化で説明できる。William のフランス語の形は Guillaume で、有名な英雄ウィリアム・テルはフランス語ではギヨーム・テルだ。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main idea of the passage?
English borrowed from both areas, so it ended up with pairs ... とあるので A。
Q2. In most parts of France, what happened to the "w" sound?
In most other places, the "w" turned into "g" or "gu." とあるので B。
Q3. Which word would you expect to come from the northern French form?
北部では w の音が残ったので、w で始まる warranty が北部の形。C。
In Japan, a thick waffle and a thin, crisp gaufre from a gift box look like different snacks, but their names come from the same Germanic word, a word that meant something like "honeycomb." The difference in the first letter has a history.
The Franks, whose Germanic language left its mark on Old French, said "w" where most French speakers later said "g" or "gu." Northern dialects kept the "w." English borrowed from both sides, sometimes the same word twice. That is why it has "warranty" next to "guarantee," "warden" next to "guardian," and "reward" next to "regard."
The meanings drifted apart. "Reward" once meant paying attention, much like "regard," and "wardrobe," built from "keep" and "robe," first meant a private room. Not every look-alike pair belongs here, though. "Ward" was already an Old English word before the French form arrived to strengthen it.
And for "wile" and "guile," dictionaries give separate and uncertain histories, so the two may not be related at all. Names follow the pattern too. A French-English dictionary turns Guillaume le Conquérant into William the Conqueror, and the French quotation marks « » are called guillemets, a pet form of Guillaume.
195 words ・ CEFR B2
和訳を見る
日本では、厚いワッフルと、贈り物の箱に入った薄くてパリッとしたゴーフルは別のおやつに見えるが、名前は同じゲルマン系の言葉から来ている。その言葉の意味は、おおよそ「ハチの巣」だった。
頭の文字のちがいには歴史がある。フランク人のゲルマン系の言語は古フランス語に跡を残した。フランク人は、のちにフランス語を話す人の多くが「g」や「gu」と言うところを、「w」と言っていた。北部の方言は「w」を残した。英語は両方から言葉を借り、同じ語を2回借りることもあった。
だから「warranty」の隣に「guarantee」、「warden」の隣に「guardian」、「reward」の隣に「regard」がある。意味は離れていった。「reward」はかつて「regard」と同じように「注意を払うこと」を意味し、「しまう」と「服」からできた「wardrobe」は、初めは私室を意味した。ただし、似ている組がすべてこの仲間というわけではない。「ward」はフランス語の形が入ってきて意味を強める前から、すでに古英語の単語だった。
また「wile」と「guile」については、辞書が別々の、しかも不確かな語源を示しており、2つはまったく関係ないかもしれない。名前もこの型に従う。仏英辞典は Guillaume le Conquérant を William the Conqueror と訳し、フランス語の引用符 « » は guillemet と呼ばれるが、これは Guillaume の愛称形だ。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
waffle と gaufre から始め、warranty と guarantee などの w と g の組の理由を説明しているので B。
Q2. What does the passage say about "ward"?
"Ward" was already an Old English word before the French form arrived to strengthen it. とあるので B。
Q3. Why does the writer mention "wile" and "guile"?
dictionaries give separate and uncertain histories, so the two may not be related at all とあり、似ていても兄弟とはかぎらない例として出しているので B。
重要単語
- guaranteeB1名詞・動詞保証(する)The shop gives a money-back guarantee.
日本語の「ギャラ(出演料)」は guarantee の略。guarantee that ...「…を保証する」。 - warrantyB2名詞(製品の)保証、保証書My phone is still under warranty.
under warranty「保証期間中で」。guarantee と同じ語の w 版。 - guardB1名詞・動詞見張り、警備員;守るTwo guards stood at the gate.
be on your guard「用心している」。ward(見張り、病棟)と同じ語源の仲間。 - rewardB1名詞・動詞ほうび、報酬;報いるShe got a reward for finding the lost dog.
regard の w 版。英語でも初めは「注意、気にかけること」の意味だった。 - regardB2名詞・動詞考慮、敬意;(〜と)見なすHe is regarded as the best player on the team.
regard A as B「A を B と見なす」は入試頻出。in regard to「〜に関して」(in regards to は避ける)。 - wardrobeB1名詞洋服だんす;手持ちの服I need to clean out my wardrobe.
フランス語 garderobe の w 版。garder(しまっておく)+ robe(服)。 - waferB2名詞ウエハース;薄い円板This ice cream comes with a thin wafer.
デジタル大辞泉は、ウエハースのもとの英語を複数形の wafers としている。フランス語 gaufre(ゴーフル)と同じ語の w 版。
公式・一次情報をチェック
- ゴーフル(日本大百科全書・デジタル大辞泉ほか/コトバンク)kotobank.jp
- ギャラ(デジタル大辞泉ほか/コトバンク)kotobank.jp
- guillemet(The American Heritage Dictionary of the English Language, 5th ed.)ahdictionary.com
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guard と ward、guarantee と warranty、regard と reward。じつは全部「同じ言葉の w 版と g 版」。昔のフランス語では、北のほうだけ w が残り、ほかでは gu に変わった。英語には両方が入った。ウエハースとゴーフル、ウィリアムとギヨームも同じ仕組み。
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出典・参考文献(5件)タップで表示
- The American Heritage Dictionary of the English Language, 5th ed.「war」(Word History)ahdictionary.com
- Oxford Advanced Learner's Dictionary「warranty」(Word Origin)oxfordlearnersdictionaries.com
- Oxford Advanced Learner's Dictionary「wardrobe」(Word Origin)oxfordlearnersdictionaries.com
- The American Heritage Dictionary「Indo-European Roots Appendix」(webh-・wer-・wers-)ahdictionary.com
- Larousse Dictionnaire français-anglais「Guillaume」larousse.fr
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。
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