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英語のマジか!?ホント

ワッフルとゴーフルは同じ言葉。ウィリアムとギヨームも、w が g に変わっただけ

ワッフルとゴーフルは同じ言葉。ウィリアムとギヨームも、w が g に変わっただけ

読む前に予想してみよう!

英語の guarantee(保証)と warranty(保証書)は、もとは同じ言葉だ

研究カード(どんな研究?)
対象
中世フランス語から英語に入った語
規模
英語辞書2種+仏英辞典+国語辞典・百科事典
研究の種類
辞書の語源記述の照合
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

ゲルマン系(英語やドイツ語の仲間)の言葉の w は、昔のフランス語では北部以外で g(gu)に変わった。英語は両方の形を借りたので、guarantee と warranty、regard と reward が並んでいる。ワッフルとゴーフルも同じ仕組み。

ひとことで言うとw が g に変わっただけ。guard と ward は、もとは同じ言葉だった!

もくじ
  1. guard と ward の語源は? きっかけは「フランク人のことば」
  2. 芸能人の「ギャラ」と家電の「保証書」は同じ言葉
  3. regard と reward、ward と guard
  4. 洋服だんすは「服を守るもの」
  5. ワッフル、ウエハース、ゴーフルは三つ子
  6. William と Guillaume も同じ名前
  7. どんでん返し:似ていても兄弟とはかぎらない
  8. まとめ

ふわっと厚い「ワッフル」と、缶に入った薄くてパリッとした「ゴーフル」。

見た目も食感もちがうこの2つ、名前はもともと同じ言葉です。英語の waffle と、フランス語の gaufre。頭の w が g に変わっただけなのです。

英語には、こういう「w と g の兄弟」があちこちにいます。guard(守る)と ward(病棟、見張り)、guarantee(保証)と warranty(保証書)、regard(見なす)と reward(ほうび)。そして人の名前の William(ウィリアム)と、フランス語の Guillaume(ギヨーム) も、この仲間です。

01guard と ward の語源は? きっかけは「フランク人のことば」

話は1000年以上前のフランスにさかのぼります。

アメリカン・ヘリテージ英語辞典(AHD)の war(戦争)の語源解説によると、きっかけはゲルマン系(英語やドイツ語の仲間)の言語の一つ、フランク語です。記録がほとんど残っていない言語ですが、昔のフランス語に単語をいくつも伝えました(AHD はその数を「約200語」としています)。

そのうちの一つとされるのが、ゲルマン系の語 werra(もとは「混乱」という意味)。これがフランス語に入ると、地域によって形が分かれました。どちらの形も、意味は「戦争」です。

  • フランス北部の方言(Old North French):werre(w のまま)
  • それ以外のフランス語の地域:guerre(w が gu に)

英語が1100年代に借りたのは、北部の werre のほう。これがいまの war です。いっぽう guerre のほうはスペイン語の guerra とも同じ仲間で、そこから「小さな戦争」を意味する guerrilla(ゲリラ) が生まれました(オックスフォード学習辞典〔OALD〕によると、英語に入ったのは19世紀の初め)。

つまり war とゲリラは、w 版と g 版の兄弟です。

02芸能人の「ギャラ」と家電の「保証書」は同じ言葉

日本語にも、この兄弟の片方が入っています。

デジタル大辞泉によると、出演料の「ギャラ」は「ギャランティー」の略。そのギャランティーは英語の guarantee(保証)です。

いっぽう、家電を買うとついてくる「保証書」は英語で warranty。My phone is still under warranty.(スマホはまだ保証期間中だ)のように使います。OALD によると、warranty はアングロ・ノルマン語の warantie から来た語で、garantie(保証)の別の形です。AHD も guaranty(保証)と warrant・warranty を、同じゲルマン系の語から来た仲間として並べています。

テレビの出演料と、冷蔵庫の保証書。「保証」を表す同じ言葉が、g 版と w 版に分かれて日本まで来たわけです。

03regard と reward、ward と guard

同じ仕組みで、意味がずいぶん離れてしまった兄弟もいます。

regard と rewardOALD によると、regard は古いフランス語の regarder(見守る、見る)から来た語で、re-(「後ろへ」、または意味を強める)+ garder(守る)でできています。reward はそのアングロ・ノルマン語の形で、英語でも初めは「注意、気にかけること」という意味でした。いまの reward は「ほうび」。a reward for finding the lost dog(迷い犬を見つけたお礼)のように使います。

ward と guardOALD によると、guard はフランス語の garde(見張り)・garder(守る)から。いっぽう ward は、もともと英語にあった weard(見張り。古英語=1000年ほど前の英語の形)で、そこに北部フランス語の warde・warder(守る)が重なって強まったとされます。英語の古い w 版と、フランス語から来た g 版が並んでいるのです。

warden と guardianユースホステルの管理人や(主にアメリカで)刑務所の所長を表す warden と、守護者・保護者の guardian も、OALD の語源欄では「同じ語の別の形」です。

guard と ward、guardian と warden。どれも「守る、見張る」という同じ言葉から(OALD)。wardrobe(衣装だんす)も「服を守る」の意味
guard と ward、guardian と warden。どれも「守る、見張る」という同じ言葉から(OALD)。wardrobe(衣装だんす)も「服を守る」の意味

04洋服だんすは「服を守るもの」

wardrobe(ワードローブ) も w 版です。

OALD によると、wardrobe は北部フランス語の warderobe から来た語で、ふつうのフランス語の garderobe の別の形。garder(守る、しまっておく)+ robe(服)で、「服をしまっておくところ」です。英語に入ったころは「私室」という意味でした。

ファッション雑誌の「ワードローブ(手持ちの服)」も、もとをたどれば「守る」の w 版なのです。

05ワッフル、ウエハース、ゴーフルは三つ子

最初のお菓子に戻りましょう。

AHD の付録(英語・フランス語・オランダ語などの大昔の共通の祖先の言葉を、もとの形ごとにまとめたもの)によると、

  • gaufre(ゴーフル):昔のフランス語で「ハチの巣、ワッフル」
  • wafer(ウエハース):北部フランス語の waufre から
  • waffle(ワッフル):中世オランダ語の wāfel から

この3つは、どれも「web(織ったもの)、ハチの巣」を表すゲルマン系の語から来ています。小学館の『日本大百科全書』も、ゴーフルを「ワッフルのフランス名」で「ハチの巣という意味がある」と説明しています。格子もようを、ハチの巣に見立てた名前なのです。

ここでは waffle だけ、フランス語を通らずにオランダ語から英語に入りました。だから w のまま。ウエハースは北部フランス語経由で w のまま、ゴーフルはふつうのフランス語経由で g。同じお菓子の名前が、通った道によって w と g に分かれたわけです。

AHD はこの3語を、weave(織る)や web(クモの巣)と同じ仲間に入れています。もとをたどると、大昔の祖先の言葉で「織る」を表す webh- という形に行き着く、という説明です。ワッフルの格子もようは、織り目にも見えますね。

06William と Guillaume も同じ名前

最後に、人の名前です。

ラルース仏英辞典で Guillaume(ギヨーム)を引くと、Guillaume le Conquérant は William the Conqueror(征服王ウィリアム)、Guillaume Tell は William Tell(ウィリアム・テル) と訳されています。英語のウィリアムは、フランス語ではギヨーム。ここでも w と gu が入れかわっています。

Dictionary.com(ランダムハウス英語辞典)によると、William は「意志(will)」と「かぶと(helmet)」を表すゲルマン系の語からできた名前。ドイツ語では Wilhelm(ヴィルヘルム)です。

おまけをもう一つ。フランス語やロシア語で引用符として使う « » という記号は、guillemet(ギユメ) と呼ばれます。AHD によると、これは Guillaume(ギヨーム=ウィリアム)に「小さい」を表す形をつけた語、いわば「小さなウィリアム」。この記号を考えたとされる人の名前から来ているそうです(AHD は「とされる」という書き方です)。

07どんでん返し:似ていても兄弟とはかぎらない

「w と g の組なら、全部兄弟」と言いたくなりますが、そうとはかぎりません。

たとえば wile(たくらみ)と guile(ずるさ)。意味もつづりもそっくりです。でも AHD は、wile を「北部フランス語から。古ノルド語の vēl(たくらみ)か、低地ドイツ語から」、guile を「昔のフランス語から、ゲルマン系の語源」と、別々の説明にしています。OALD は guile を「おそらく古ノルド語から」としていて、辞書の間でも説明がそろっていません。兄弟かもしれないし、他人のそら似かもしれないのです。

ward も、「フランス語から借りた w 版」とは言い切れません。OALD の説明では、もともと英語にあった weard に、フランス語の warde が重なったものです。英語の中の「w と g の兄弟」は、ぜんぶが同じ道をたどったわけではありません。

08まとめ

guard と ward、guarantee と warranty、regard と reward。英語には「同じ言葉の g 版と w 版」がいくつも並んでいます。もとは同じゲルマン系の言葉が、フランス語の北と、それ以外とで別の形になり、英語がその両方を借りたからです。

次にワッフルとゴーフルを並べて食べるときは、「これ、同じ名前のお菓子なんだよ」と話してみてください。ウィリアム・テルがフランス語ではギヨーム・テルになる理由も、同じ一言で説明できます。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerYour phone comes with a warranty, and a TV star gets paid a fee that Japanese calls "gyara," short for… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Your phone comes with a warranty, and a TV star gets paid a fee that Japanese calls "gyara," short for "guarantee." The two English words are really one word in two forms. More than a thousand years ago, some words from the Germanic language of the Franks passed into Old French. In the north of France, these words kept their "w" sound.

In most other places, the "w" turned into "g" or "gu." English borrowed from both areas, so it ended up with pairs such as "warden" and "guardian," "reward" and "regard," and "war" and the Spanish-based "guerrilla." The same change explains names. The French form of William is Guillaume, and the famous hero William Tell is Guillaume Tell in French.

121 words ・ CEFR B1

和訳を見る

スマホには保証(warranty)がついてくるし、テレビのスターは、日本語で「guarantee」を略して「ギャラ」と呼ぶ報酬を受け取る。この2つの英単語は、本当は1つの言葉の2つの形だ。1000年以上前、フランク人が話していたゲルマン系の言語から、いくつかの言葉が昔のフランス語に入った。フランスの北部では、これらの言葉は「w」の音を保った。

ほかのほとんどの地域では、「w」が「g」や「gu」に変わった。英語は両方の地域から言葉を借りたので、「warden」と「guardian」、「reward」と「regard」、「war」とスペイン語から来た「guerrilla」のような組を持つことになった。名前も同じ変化で説明できる。William のフランス語の形は Guillaume で、有名な英雄ウィリアム・テルはフランス語ではギヨーム・テルだ。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the main idea of the passage?

Q2. In most parts of France, what happened to the "w" sound?

Q3. Which word would you expect to come from the northern French form?

重要単語

  • guaranteeB1
    名詞・動詞保証(する)The shop gives a money-back guarantee. 日本語の「ギャラ(出演料)」は guarantee の略。guarantee that ...「…を保証する」。
  • warrantyB2
    名詞(製品の)保証、保証書My phone is still under warranty. under warranty「保証期間中で」。guarantee と同じ語の w 版。
  • guardB1
    名詞・動詞見張り、警備員;守るTwo guards stood at the gate. be on your guard「用心している」。ward(見張り、病棟)と同じ語源の仲間。
  • rewardB1
    名詞・動詞ほうび、報酬;報いるShe got a reward for finding the lost dog. regard の w 版。英語でも初めは「注意、気にかけること」の意味だった。
  • regardB2
    名詞・動詞考慮、敬意;(〜と)見なすHe is regarded as the best player on the team. regard A as B「A を B と見なす」は入試頻出。in regard to「〜に関して」(in regards to は避ける)。
  • wardrobeB1
    名詞洋服だんす;手持ちの服I need to clean out my wardrobe. フランス語 garderobe の w 版。garder(しまっておく)+ robe(服)。
  • waferB2
    名詞ウエハース;薄い円板This ice cream comes with a thin wafer. デジタル大辞泉は、ウエハースのもとの英語を複数形の wafers としている。フランス語 gaufre(ゴーフル)と同じ語の w 版。
guard と ward、guarantee と warranty、regard と reward。じつは全部「同じ言葉の w 版と g 版」。昔のフランス語では、北のほうだけ w が残り、ほかでは gu に変わった。英語には両方が入った。ウエハースとゴーフル、ウィリアムとギヨームも同じ仕組み。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. The American Heritage Dictionary of the English Language, 5th ed.「war」(Word History)ahdictionary.com
  2. Oxford Advanced Learner's Dictionary「warranty」(Word Origin)oxfordlearnersdictionaries.com
  3. Oxford Advanced Learner's Dictionary「wardrobe」(Word Origin)oxfordlearnersdictionaries.com
  4. The American Heritage Dictionary「Indo-European Roots Appendix」(webh-・wer-・wers-)ahdictionary.com
  5. Larousse Dictionnaire français-anglais「Guillaume」larousse.fr

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