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英語のマジか!?ホント

W は V が2つなのに、なぜ「ダブル・ユー」? 昔は U と V が同じ文字だった

W は V が2つなのに、なぜ「ダブル・ユー」? 昔は U と V が同じ文字だった

読む前に予想してみよう!

1611年の英語の聖書の表紙では、revised(改訂された)が「reuised」とつづられている

研究カード(どんな研究?)
対象
英語のアルファベットの歴史
規模
1611年の聖書の表紙・1755年の辞書・英語学の事典
研究の種類
原本の画像と参考書の照らし合わせ
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

W の形は V が2つなのに、名前は「ダブル・ユー」。昔の英語では U と V が同じ文字だったから。1611年の聖書は revised を reuised と刷り、1755年の辞書は J を「語源のほかは役に立たない文字」と書いた。

ひとことで言うと昔の英語では、U と V は同じ文字。だから W は「U が2つ」なんだって!

もくじ
  1. W が「ダブル・ユー」なのは、U と V が同じ文字だったから
  2. 1611年の聖書は「reuised」「Maiesties」
  3. 1755年の辞書:「アルファベットはふつう24文字」
  4. おまけ:いまの英語に残る「同じ文字だったころ」のなごり
  5. どんでん返し:J は「最後に生まれた文字」とは言い切れない
  6. まとめ

アルファベットの23番目、W。

形はどう見ても V が2つ。なのに英語での名前は「ダブル・ユー(double U)」。なぜ「ダブル・ヴィー」ではないのでしょう。

答えは、昔の英語では U と V が同じ文字だったから。1611年に出た英語の聖書の表紙には、revised(改訂された)が reuised と刷られています。

01W が「ダブル・ユー」なのは、U と V が同じ文字だったから

オックスフォード大学出版局の『Concise Oxford Companion to the English Language』(英語学の事典)によると、U・V・W に F と Y を加えた5つの文字は、どれも古代フェニキアの1つの文字にさかのぼります。

ローマ人のラテン語では、V は母音の文字で、「ウ」の音を表していました。

困ったのは、英語の祖先にあたる古英語には w の音(「ワ」の最初の音)があったのに、ラテン語のアルファベットにはそれにぴったりの文字がなかったこと。そこで、

  • 7世紀:書き手たちは uu(u を2つ)と書いた
  • 8世紀から:古いゲルマン文字(ルーン文字)から借りた ƿ(ウィン) という文字をよく使った
  • 1066年のノルマン征服のあと:ヨーロッパ大陸で使われていた uu をくっつけた w が入ってきて、1300年までに ƿ に取って代わった

つまり W は「u が2つ」から生まれた文字。名前の double U は、その記憶をそのまま残しています。フランス語では同じ文字を「double v(ドゥブル・ヴェ)」と呼びます。

初期の印刷業者には、活字の中に w がなく、v を2つ並べた vv で代わりにした人もいました。

021611年の聖書は「reuised」「Maiesties」

では、U と V はいつ分かれたのでしょう。

同じ事典によると、英語の印刷物で u を母音、v を子音にきちんと分けるようになったのは17世紀。それまでは音ではなく位置で使い分けていました。

  • 語の頭には v の形:vnder(=under)
  • 語の中には u の形:liue(=live)

1611年、イングランド王ジェームズ1世の命令で出た英訳聖書(欽定訳聖書、King James Bible)の表紙を、アメリカのニューベリー図書館が所蔵する本の画像で見てみました。

J も同じ事情です。事典によると、j は13世紀ごろ、i の別の書き方(字形の一つ)として生まれました。ローマ数字の最後の i を j にして、iij(3)、viij(8) と書いたのがその例です。大文字の J は1600年ごろに登場しますが、その後200年ほどは I と区別されないことが多かったといいます。

031755年の辞書:「アルファベットはふつう24文字」

1755年、サミュエル・ジョンソンが出した有名な英語辞書。その冒頭の文法の章に、こう書かれています(要約)。

英語の文字はふつう24とされる。昔は i と j、u と v を同じ字で書いたから。しかしいまは形も違うので、26文字と言ってよい。

さらに J についての説明は、「語源を示すほかは役に立たない文字」。jester(道化師)や juice の j は、やわらかい g(gem の g)と同じ音だから、というのです。

ところが、本文の並べ方は「24文字」のままでした。イギリスのウェルカム図書館が所蔵する本の画像を見ると、ある頁の柱(上の見出し)は「IDO|JEA」。IDOL(偶像)や IDYL(牧歌)の後に、JEALOUS(嫉妬深い)が続いています。I と J を同じ文字とみなして、続けて並べているのです。

第2巻では U と V も同じです。VAWARD(先陣)のあとに UBIQUITY(どこにでもあること)、UDDER(牛の乳房)と UDDERED の次は、もう VEAL(子牛の肉)でした。

1755年の英語辞書は「26文字と言ってよい」と書きながら、本文では I と J、U と V をまとめて並べていた
1755年の英語辞書は「26文字と言ってよい」と書きながら、本文では I と J、U と V をまとめて並べていた

事典によると、19世紀の初めに出たアルファベットの表にも、i と j を別の文字にしていないものがありました。u と v についても、19世紀になるまで、2つをまとめて並べたり、v を u の前に置いたりする辞書があったといいます。

04おまけ:いまの英語に残る「同じ文字だったころ」のなごり

flour(小麦粉)と flower(花)は、もとは同じ単語です。アメリカの辞書 AHD によると、flour のもとになった中英語の語は「花、いちばんよいもの、小麦粉」をまとめて意味していました。小麦のいちばんよいところ=粉の「花」でした。u と w がつづりの中で入れかわるのも、同じ文字の仲間だったなごりだと、事典は説明しています。

suede(スエード) も同じ仲間の例として事典に挙がっています。AHD によると、フランス語の gants de Suède「スウェーデンの手袋」から。Suède と Swede(スウェーデン人)の u と w が対応しています。

v はほとんど2つ重ねない。事典によると、W が VV から生まれたため、英語では v を重ねることがなく、revving(エンジンをふかす)のような新しい語がまれな例外です。

v で終わる英単語もほとんどない。have、give、love の最後の e は、いまは読みません。事典によると、これらのつづりは e がまだ発音されていたころに決まりました。いまの e は、v が語の最後に来ないようにするための、読まない文字として残っているのです(lav、rev、luv のような俗語・略語は例外)。

ロンドンの石の看板。事典によると、BBC の建物として知られたロンドンの「ブッシュ・ハウス」の入り口の上には、BVSH HOVSE と刻まれています。U の代わりに V を彫るのは、石に刻む文字に残った古いならわしです。

05どんでん返し:J は「最後に生まれた文字」とは言い切れない

よく「J はアルファベットにいちばん最後に加わった文字」と言われます。でも、ここまで見てきたとおり、j の形そのものは13世紀ごろからありました。新しかったのは、文字の形ではなく、「i とは別の文字として数える」という考え方のほうです。

しかも、いつ分かれたかは一つの年では決まりません。事典によると、小文字では1630年ごろまでに i と j の区別がかなり一貫してきましたが、シェイクスピアの作品の初版ではまだ区別されていませんでした。大文字の J はさらに遅れました。I/J や U/V をまとめて並べる辞書は、19世紀になるまで残っていました。U と V も同じように、少しずつ分かれていきました。

「最後に加わった文字」というより、200年以上かけて、ゆっくり独立した文字と言うほうが正確です。

06まとめ

W が「ダブル・ユー」なのは、U と V が同じ文字だった時代の名前が、そのまま残ったからでした。

1611年の聖書は reuised と刷り、1755年の辞書は J を「語源のほかは役に立たない」と書きながら、JEALOUS を IDYL の後に並べていました。いまの26文字は、最初から26だったわけではありません。flour と flower、love の最後の e のように、その名残はいまも身近な英単語の中にあります。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe Roman alphabet had no good letter for the "w" sound of Old English. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

The Roman alphabet had no good letter for the "w" sound of Old English. So in the 7th century, English writers simply wrote two u's. For a while they also borrowed a letter called wynn from the old runic alphabet. After the Norman Conquest in 1066, the joined form "w" came over from Europe, and by 1300 it had taken wynn's place. That is why the name is "double U."

French speakers see it differently and call it "double V." Until the 17th century, u and v were treated as two shapes of one letter. You chose the shape by its place in the word, so "under" was printed "vnder" and "live" was printed "liue."

115 words ・ CEFR B1

和訳を見る

ローマ字のアルファベットには、古英語の「w」の音にぴったりの文字がなかった。そこで7世紀、英語の書き手たちはただ u を2つ書いた。しばらくのあいだ、古いルーン文字から「ウィン」という文字を借りて使ってもいた。1066年のノルマン征服のあと、くっついた形の「w」がヨーロッパから入ってきて、1300年までにウィンに取って代わった。だから名前は「ダブル・ユー」なのだ。

フランス語を話す人たちは見方が違い、「ダブル・ヴェ」と呼ぶ。17世紀まで、u と v は一つの文字の2つの形として扱われていた。形は語の中の位置で選んだので、「under」は「vnder」、「live」は「liue」と印刷された。

4択リーディングクイズ

Q1. Why did English writers start writing two u's?

Q2. By what year had "w" replaced wynn?

Q3. What can we infer about the spelling "vnder"?

重要単語

  • alphabetA2
    名詞アルファベット、字母The English alphabet has 26 letters. ギリシャ文字の最初の2つ alpha+beta から。in alphabetical order「アルファベット順に」。
  • letterA1
    名詞文字;手紙W is the 23rd letter of the alphabet. capital letter「大文字」、small letter / lowercase letter「小文字」。
  • vowelB1
    名詞母音A, E, I, O and U are vowel letters. 反対は consonant(子音)。ラテン語の V はもともと母音の文字だった。
  • consonantB2
    名詞子音In "jam," the first sound is a consonant. con-(いっしょに)+sonant(鳴る)。母音といっしょに鳴る音、が語源。
  • spellingB1
    名詞つづりEnglish spelling was much less fixed in 1611. spelling bee「つづり当て大会」。動詞は spell(spelled / spelt)。
  • printerB1
    名詞印刷業者、印刷工;プリンターEarly printers did not always have a W in their type. 昔は「人」を指した。type は「活字」の意味でも使う。
  • reckonB2
    動詞数える、みなす;(口語で)思うOur letters were commonly reckoned twenty-four. ジョンソンの文法章の言い方。口語では I reckon ...「…だと思う」。
W の形は V が2つなのに、名前は「ダブル・ユー」。昔の英語では U と V が同じ文字だったから。1611年の聖書の表紙は revised を「reuised」と刷り、1755年のジョンソンの辞書は J を「語源のほかは役に立たない文字」と書いた。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. McArthur, T. (ed.) (1998) Concise Oxford Companion to the English Language, Oxford University Press「W」「V」(Encyclopedia.com 掲載)encyclopedia.com
  2. McArthur, T. (ed.) (1998) Concise Oxford Companion to the English Language, Oxford University Press「J」「U」(Encyclopedia.com 掲載)encyclopedia.com
  3. Johnson, S. (1755) A Dictionary of the English Language, Vol. 1(Grammar of the English Tongue/本文 IDO–JEA の頁、第2巻 UDDER の頁), Londonarchive.org
  4. The Holy Bible, Conteyning the Old Testament, and the New (1611), London: Robert Barker(表紙、Newberry Library 所蔵)archive.org
  5. American Heritage Dictionary「flour」「suede」ahdictionary.com

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