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英語のマジか!?ホント

スカートの語源は、バイキングの言葉で「シャツ」。shirt と skirt はもとは同じ単語

スカートの語源は、バイキングの言葉で「シャツ」。shirt と skirt はもとは同じ単語

読む前に予想してみよう!

英語の skirt(スカート)は、もとは北欧の言葉で「シャツ」という意味だった

研究カード(どんな研究?)
対象
英語の辞書の語源欄・借用語データベース・英語史の研究書
規模
古英語〜現代英語の語彙
研究の種類
歴史言語学(語源・借用語の調査)
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

英語の skirt は、バイキングの言葉(古ノルド語)で「シャツ」を意味した skyrta から。英語生まれの shirt とはもとは同じ語で、short(短い)も仲間。3語とも「切る」という意味の古い言葉にさかのぼる。

ひとことで言うとスカートの語源は、バイキングの言葉で「シャツ」だった!

もくじ
  1. skirt の語源は、バイキングの「シャツ」
  2. 英語は「シュ」、北欧は「スク」
  3. 「短い」の short も兄弟。根っこは「切る」
  4. おまけ:英語には“英語版と北欧版”の兄弟がほかにも
  5. どんでん返し:昔の shirt は「スカート」だった?
  6. まとめ

制服の「スカート」に「シャツ」。毎日のように着ている、上と下の服です。

この2つ、英語では shirt と skirt。1文字ちがいでよく似ていますよね。

じつはこれ、もとは同じ単語です。しかも skirt は、バイキングの言葉で「シャツ」という意味でした。日本語の「スカート」の語源をさかのぼると、北欧の「シャツ」にたどり着くのです。

01skirt の語源は、バイキングの「シャツ」

アメリカの辞書 American Heritage Dictionary(AHD)の語源欄を見てみましょう。

  • shirt:古英語(1000年ほど前の英語)の scyrte(短い衣服)から
  • skirt:古ノルド語(バイキングが話した北欧の言葉)の skyrta(シャツ)から

つまり、英語にはもともと「短い衣服」を指す shirt(古英語では scyrte)がありました。そこへバイキングが、同じ語の北欧版 skyrta(シャツ)を持ちこみます。英語の中に、もとは同じ語が2つ並んだわけです。2つは消し合わずに役割を分け、英語の shirt は上の服、北欧から来た skirt は腰から下の服の名前になりました。

02英語は「シュ」、北欧は「スク」

では、なぜ形がちがうのでしょうか。カギは sk の音です。

英語学者 A・A・プリンスが書いた英語史の研究書『A History of English Phonemes』(ライデン大学出版局、1974年)によると、英語・ドイツ語・北欧の言葉の共通の祖先(ゲルマン語)の sk は、古英語の時代に別の音へ変わりはじめ、のちに「シュ」になりました。今の英語でもこうなっています。

  • 古英語の sceap → sheep(羊)
  • 古英語の scield → shield(盾)
  • 古英語の disc → dish(皿)

ところが、古英語の終わりごろに北欧から借りた単語は、sk の音のままです。研究書が挙げる例は skin(皮ふ)と skill(技術)。

つまり、古英語から続く単語は頭が sh- に、古英語の終わりごろ以降に北欧から入った単語は sk- のまま、という傾向があります。shirt と skirt は、この2つの読み方の差がそのまま残った兄弟なのです。

03「短い」の short も兄弟。根っこは「切る」

AHD の巻末には、英語の単語を大昔の祖先の言葉(印欧祖語)の「根っこ」ごとにまとめた付録があります。そこで shirt と skirt は、sker-(切る)という根っこの仲間に入っています。

  • short(短い):古英語の scort から。もとの意味は「切られた」
  • shirt:古英語の scyrte から(「切った布」)
  • skirt:古ノルド語の skyrta(シャツ)から

この3語は、さらに一つ前の同じゲルマン語の形にさかのぼる、とされています。「切った短い布」がシャツにもスカートにもなり、「切られた」がそのまま short(短い)になったわけです。

同じ「切る」の根っこには、ほかにも身近な単語が並んでいます。shear(羊の毛を刈る)、share(分け合う)、sharp(鋭い)、shard(かけら)。どれも「切る・分ける」とつながる意味です。

shirt・skirt・short は、どれも「切る」という意味の古い根っこから生まれた兄弟とされる(AHD)
shirt・skirt・short は、どれも「切る」という意味の古い根っこから生まれた兄弟とされる(AHD)

04おまけ:英語には“英語版と北欧版”の兄弟がほかにも

shirt と skirt のように、同じ語の英語版と北欧版が両方残った例は、ほかにもあります。AHD の語源欄で確かめました。

  • rear と raise:どちらも「育てる・上げる」。rear は古英語の rǣran から、raise は古ノルド語の reisa から。AHD によると、昔は「作物や家畜は raise、子どもは rear」という使い分けのルールがありました。でも実際には1700年代から raise children と言われていて、少なくともアメリカ英語では今これがふつうの言い方です
  • ditch と dike:ditch(溝)は古英語の dīc から。dike について AHD は、語源として古英語の dīc と古ノルド語の dīki(溝)の両方を挙げています。今の dike のおもな意味は「堤防」。同じ語から、地面を掘った溝と、土を盛り上げた土手の両方の名前ができました
  • church と kirk:スコットランドの言葉(スコッツ語)では、教会を kirk と言います。これは古ノルド語の kirkja から。ところが kirkja のもとは、古英語の cirice(=church)でした。英語の単語が北欧に渡り、形を変えて戻ってきたのです

もう一つ。「切る」の根っこの仲間には、北欧から来た score もあります。もとは古ノルド語の skor で、意味は「刻み目」「数を刻んで記録する棒」、そして「20」。古英語の scoru は「20」の意味でしか記録が残っていません。リンカーンのゲティスバーグ演説は Four score and seven years ago(20×4+7=87年前)で始まります。

05どんでん返し:昔の shirt は「スカート」だった?

ここまで「英語の shirt は上の服、北欧の skirt は下の服」と書いてきました。でも、話はそう単純ではありません。

AHD の付録では、古英語の scyrte に「skirt」という訳をつけています。一方で、shirt の項目では「short garment(短い衣服)」としか書いていません。古英語の scyrte が、上の服だったのか、腰から下をおおう服だったのかは、辞書の説明だけでははっきりしないのです。古ノルド語の skyrta も、北欧では「シャツ」でした。それなのに英語に入ったあと、なぜ skirt が「腰から下の服」の担当になったのか。今回調べた辞書やデータベースには、その理由は書かれていませんでした。

もう一つ。古英語を読むときは、sc をふつう「シュ」と読みます。ところが、プリンスの研究書は、それが中英語より前に「シュ」だったという確かな証拠はないと書いています。古英語の終わりごろに北欧から入った skin や skill が sk のままだったので、当時の英語の sc はもう「スク」ではなかったはずです。かといって「シュ」だった確証もなく、オランダ語の schip(船)のような「スフ」に近い音だったかもしれない、という見方です。

06まとめ

日本語の「スカート」は英語の skirt から来ました。その skirt は、バイキングの言葉で「シャツ」。英語生まれの shirt とはもとは同じ単語で、「短い」の short も同じ「切る」の根っこから生まれた兄弟です。

sh- は英語流、sk- は北欧流。この目安を知っていると、shirt と skirt、そして skin や skill を見る目が少し変わります。1000年前、海を渡ってきたバイキングの言葉が、今もあなたのクローゼットの中に残っているのです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe English words "shirt" and "skirt" look alike for a good reason. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

The English words "shirt" and "skirt" look alike for a good reason. They started out as the same word. "Shirt" comes from Old English, the language spoken in England about a thousand years ago.

"Skirt" was borrowed from Old Norse, the language of the Vikings, who raided England and later settled in the north and east. In Old Norse, "skyrta" meant "shirt." The two words sound different because of an early change in English.

Old English turned the "sk" sound into something close to "sh," as in "sheep" and "dish." Words that came from the Vikings later kept their "sk," like "skin" and "skill." The word "short" belongs to the same family. All three go back to an old root meaning "to cut."

123 words ・ CEFR B1

和訳を見る

英語の「shirt」と「skirt」が似ているのには、ちゃんとした理由がある。もとは同じ単語だったのだ。「shirt」は古英語、つまり約1000年前にイングランドで話されていた言葉から来ている。

「skirt」は、イングランドを襲い、のちにその北部と東部に住みついたバイキングの言葉、古ノルド語から借りた語だ。古ノルド語では「skyrta」は「シャツ」を意味した。2つの語の音が違うのは、英語で早い時期に起きた変化のせいだ。

古英語は「sk」の音を「sheep」や「dish」のように「sh」に近い音に変えた。後になってバイキングから来た単語は、「skin」や「skill」のように「sk」を残した。「short」という単語も同じ仲間だ。3つとも「切る」という意味の古い語根にさかのぼる。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the main idea of the passage?

Q2. According to the passage, which word kept its "sk" sound because it came from the Vikings?

Q3. What can be inferred about the word "skirt"?

重要単語

  • skirtA2
    名詞・動詞スカート;(動詞で)〜のふちを通る、〜を避けて通るThe path skirts the lake. 動詞では skirt the issue「問題をはぐらかす」もよく使う。名詞にも「へり、ふち」の意味がある。
  • borrowA2
    動詞借りる;(言葉を)借り入れるEnglish has borrowed many words from other languages. 言語学では、よその言語から入った語を loanword(借用語)と呼ぶ。borrow A from B「B から A を借りる」。
  • nativeB1
    形容詞その土地生まれの、もとからある"Shirt" is a native English word. native speaker「母語話者」、native plant「在来の植物」など。
  • garmentB2
    名詞衣服(1枚の服)A skirt is a garment that hangs from the waist. clothes より改まった語で、1着ずつ数えられる。the garment industry「衣料産業」。
  • settleB1
    動詞住みつく、定住する;解決するMany Vikings settled in the north of England. settle in / settle down「落ち着く」。settlement は「入植地、解決」。
  • raiseA2
    動詞上げる;育てるMy grandparents raised five children. 古ノルド語の reisa から。英語生まれの兄弟は rear(育てる)。raise は他動詞、rise(上がる)は自動詞。
  • scoreB1
    名詞得点;(古い言い方で)20"Four score" means eighty. 古ノルド語の skor(刻み目、20)から。scores of 〜「何十もの〜」は今もよく使う。
日本語の「スカート」は英語の skirt から。その skirt をさかのぼると、バイキングの言葉で「シャツ」を意味した skyrta。英語生まれの shirt とはもとは同じ単語で、「短い」の short も兄弟。sh は英語流、sk は北欧流の読み方だった。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. American Heritage Dictionary「skirt」「shirt」「short」ahdictionary.com
  2. American Heritage Dictionary, Appendix I: Indo-European Roots「sker-1」ahdictionary.com
  3. Grant (2009) English vocabulary「skirt」, World Loanword Database(マックス・プランク進化人類学研究所)wold.clld.org
  4. Schmidt (2009) Japanese vocabulary「sukāto」, World Loanword Databasewold.clld.org
  5. Prins, A. A. (1974) A History of English Phonemes, 2nd ed., Leiden University Press, pp. 203–04(該当箇所の原文引用を hellog #5626 で確認)user.keio.ac.jp

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