英語の nausea(吐き気)は「船酔い」から。noise(騒音)も同じ語から来たとされる

読む前に予想してみよう!
英語の noise(騒音)は、nausea(吐き気)と同じラテン語から来たとされる
オックスフォードの学習辞典や Dictionary.com は、noise を、昔のフランス語を通ってラテン語の nausea(船酔い)から来たとしている。
- 対象
- 英語の辞書の語源欄と NASA の報告
- 規模
- 12世紀〜現代の用例・シャトルに初めて乗った乗員132人
- 研究の種類
- 歴史言語学(辞書の語源記述)+航空宇宙医学の記録
- 確かさ
- ★★★★☆
nausea(吐き気)はギリシャ語の「船酔い」から。naus は「船」。noise(騒音)もこの語から来たとされ、astronaut(宇宙飛行士)も「船」から生まれた語。
ひとことで言うと「吐き気」も「ノイズ」も、もとをたどると「船」だった!
もくじ
英語で「吐き気」は nausea(ノーズィア)。病院や薬の説明書でよく見る単語です。
この語のもとはギリシャ語の naus(ナウス)=「船」。nausea は、もともと「船酔い」のことでした。
そして、もう一つ。毎日のように聞く「ノイズ」、英語の noise(騒音) も、辞書によるとこの nausea から来ています。吐き気と騒音が、同じ「船」から出てきた言葉なのです。
01nausea は、もとは「船酔い」
American Heritage Dictionary(アメリカの大きな英語辞典)の語源欄をたどると、こうなります。
- ギリシャ語 naus(船)
- → nautēs(船乗り)
- → nautiā / nausiē(船酔い)
- → ラテン語 nausea → 英語 nausea(吐き気)
英語に入ったのは15〜16世紀ごろ(辞書によって時期の書き方が少しちがいます)。今は船に乗っていなくても、気分が悪くて吐きそうなとき全般に使います。
つづりの最後が sea(海)なのは偶然です。でも「船酔い=海」で覚えると、つづりを間違えにくくなります。
02騒音の noise も「船酔い」から
オックスフォードの学習辞典と Dictionary.com は、noise の語源を次のように書いています。
Dictionary.com の年で比べると、英語の記録に出てくるのは、「船酔い」から生まれた noise のほうが、もとの nausea より300年以上も早いのです。
どうやって「船酔い」が「騒音」になったのか。American Heritage Dictionary は、ラテン語の話しことばで「不快」を表した nausea を経たのかもしれない、と書いています(は、記録には残っていないが、あったと考えられる形)。

03astronaut は「星の船乗り」
naus(船)と nautēs(船乗り)の仲間は、ほかにもたくさんあります。American Heritage Dictionary には「インド・ヨーロッパ語の語根」の一覧があります。英語・ラテン語・ギリシャ語などの共通の先祖にあった、単語のもとになる部分の一覧です。そこで、同じ語根 nāu-(船)の下に並ぶ単語を見てみましょう。
- astronaut(宇宙飛行士):astro-(星)+nautēs(船乗り)=「星の船乗り」。Dictionary.com によると記録は1925〜1930年から。人類が初めて宇宙に行った1961年(NASA)より、30年以上も前に生まれた言葉
- cosmonaut(ロシアの宇宙飛行士):ロシア語 kosmonavt から。kosmos(宇宙)+船乗り
- aeronaut(気球の操縦士):aero-(空気)+船乗り
- nautical(船の、航海の):nautical mile(海里)など
- nautilus(オウムガイ):ギリシャ語で「船乗り」。Dictionary.com によると、もとは「タコブネ」の名前で、膜のある腕を帆にして進むと考えられていた
ラテン語では「船」は navis(ナーウィス)。こちらも同じ語根です。
- navy(海軍):日本語の「ネイビー」(紺色)は navy blue のこと。American Heritage Dictionary によると、イギリス海軍の制服の色から
- navigate(航行する、道案内する):navis(船)+agere(動かす)。もとは「船で旅する」。カーナビの「ナビ」はここから
- nave(教会の中央の広い部分):形が船に似ているから
- nacelle(飛行機のエンジンを包むカバー):フランス語で「小舟」
04「星の船乗り」も、やっぱり酔う
宇宙の船乗りは「船酔い」しないのでしょうか。
nausea の語源どおり、宇宙の「船乗り」の多くも乗り物酔いに悩まされていたのです。
05どんでん返し:nauseous の「正しい意味」がひっくり返った
「気持ち悪い(吐きそう)」と英語で言うとき、I feel nauseous. と言う人がたくさんいます。
ところが昔からの使い方の決まりでは、nauseous は「吐き気をもよおさせる(ような)」の意味で、「吐き気がする」は nauseated を使うべきだ、とされてきました。
American Heritage Dictionary は、英語の専門家たちに意見を聞く「語法パネル」の結果を載せています。Roller coasters make me nauseous.(ジェットコースターに乗ると気持ち悪くなる)を「おかしい」とした人は、1965年は88%、1988年は72%、1999年は39%、2013年は23%。いまや「吐き気がする」の意味の nauseous は、nauseated よりずっとよく使われている、と同辞典は書いています。かつての「誤用」が、今はふつうの英語になったのです。
noise の語源についても、辞書の書き方は一つではありません。オックスフォードの学習辞典と Dictionary.com は「ラテン語の nausea から」と書きますが、American Heritage Dictionary は「おそらく」をつけています。「船酔い」から「騒音」へ、どの順に意味が移ったのかは、どの辞書もはっきり書いていません。
06まとめ
nausea(吐き気)は「船酔い」、noise(騒音)もその親戚、astronaut は「星の船乗り」。カーナビの「ナビ」も、紺色の「ネイビー」も、たどればみんな「船」に行き着きます。
次に乗り物で気分が悪くなったら、I feel nauseous. と言ってみてください。その nauseous の中に、2,000年以上前のギリシャの「船」が入っています。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe word "nausea" is common on medicine labels, but it started out at sea.
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
If you feel sick on a boat, you are seasick. The English word "nausea" means a sick feeling in your stomach. It comes from an old Greek word for seasickness, and that word comes from "naus," which means "ship."
The word "noise" probably comes from the same place. Many other English words have this "ship" root too. An "astronaut" is a "star sailor," and "navy" comes from a Latin word for "ship."
72 words ・ CEFR A2
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船の上で気分が悪くなったら、それは船酔いです。英語の「nausea」は、おなかの気持ち悪さ(吐き気)を意味します。この語は船酔いを表す古いギリシャ語から来ていて、その語は「船」を意味する「naus」から来ています。
「noise(騒音)」という単語も、たぶん同じところから来ています。ほかの多くの英単語にも、この「船」の語根があります。「astronaut(宇宙飛行士)」は「星の船乗り」で、「navy(海軍)」は「船」を意味するラテン語から来ています。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
nausea・noise・astronaut・navy が「船」の語根から来ている話なので B。
Q2. What does the Greek word "naus" mean?
"naus," which means "ship." とあるので C。
Q3. In the passage, what does "seasick" mean?
If you feel sick on a boat, you are seasick. とあるので、船のゆれで気分が悪くなること。A。
The word "nausea" is common on medicine labels, but it started out at sea. Its source is a Greek word for seasickness, built on "naus," meaning "ship." English has used "nausea" since the 1400s or 1500s, but a related word got there first.
According to Dictionary.com, "noise" has been in English since around 1200. It came through Old French from Latin "nausea," and in early English it could also mean "quarreling."
The same Greek root appears in "astronaut," which means "star sailor." That word was first recorded in the late 1920s, more than 30 years before the first person went into space. And today's star sailors still get sick. In a NASA report, 96 of 132 first-time shuttle crew members had symptoms of space sickness.
125 words ・ CEFR B1
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「nausea(吐き気)」という単語は薬のラベルによく出てくるが、始まりは海の上だった。もとは船酔いを表すギリシャ語で、「船」を意味する「naus」をもとにしている。英語は1400年代か1500年代から「nausea」を使っているが、親戚の単語のほうが先に入っていた。
Dictionary.com によると、「noise(騒音)」は1200年ごろから英語にある。古フランス語を通ってラテン語の「nausea」から来たもので、初期の英語では「口げんか」の意味にもなった。
同じギリシャ語の語根は「astronaut(宇宙飛行士)」にも見られ、意味は「星の船乗り」だ。この語の最初の記録は1920年代の終わりで、人が初めて宇宙に行く30年以上前だった。そして今の「星の船乗り」も、やはり気分が悪くなる。NASA の報告では、初めてスペースシャトルに乗った乗員132人のうち96人に宇宙酔いの症状が出た。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main idea of the passage?
nausea・noise・astronaut が「船」に関係するギリシャ語から来た話なので B。
Q2. Which word entered English first, according to the passage?
a related word got there first ... "noise" has been in English since around 1200 とあるので C。
Q3. Why does the writer mention the NASA report?
today's star sailors still get sick の具体例として、132人中96人に宇宙酔いが出た報告を挙げているので B。
The word "nausea" appears on countless medicine labels, but it began at sea. It goes back to a Greek word for seasickness, which came from "nautēs," meaning "sailor." That word, in turn, came from "naus," meaning "ship."
The Latin form passed into English in the 1400s or 1500s, depending on which dictionary you check. By then English already had "noise," which Dictionary.com dates to around 1200 and traces through Old French to Latin "nausea." The Oxford Learner's Dictionaries add that early "noise" could also mean "quarreling."
None of these dictionaries explains how seasickness turned into loud sound, and the American Heritage Dictionary puts a "perhaps" in front of the link. The family is large. "Astronaut," first recorded in the late 1920s, means "star sailor," while "navy," "navigate" and the "nave" of a church all come from Latin "navis," or "ship."
Even "nauseous" has changed. Traditional usage said it meant "causing nausea." In 1965, 88 percent of a dictionary's usage panel rejected the sentence "Roller coasters make me nauseous." By 2013, only 23 percent did.
174 words ・ CEFR B2
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「nausea(吐き気)」という単語は無数の薬のラベルに出てくるが、始まりは海の上だった。もとは船酔いを表すギリシャ語で、それは「船乗り」を意味する「nautēs」から来ていた。その「nautēs」は、「船」を意味する「naus」から来ている。
ラテン語の形が英語に入ったのは、どの辞書を見るかによって1400年代とも1500年代ともされる。そのころ英語にはすでに「noise(騒音)」があった。Dictionary.com はこの語を1200年ごろからとし、古フランス語を通ってラテン語の「nausea」にさかのぼるとしている。
オックスフォードの学習辞典は、初期の「noise」は「口げんか」の意味にもなったと付け加えている。船酔いがどうやって大きな音に変わったのかは、これらの辞書のどれも説明しておらず、アメリカン・ヘリテージ英語辞典はこのつながりに「おそらく」をつけている。仲間の単語は多い。1920年代の終わりに初めて記録された「astronaut」は「星の船乗り」を意味し、「navy(海軍)」「navigate(航行する)」、教会の「nave(身廊)」はどれもラテン語の「navis(船)」から来ている。
「nauseous」でさえ変わってきた。伝統的な語法では、この語は「吐き気をもよおさせる」という意味だとされていた。1965年には、ある辞書の語法パネルの88%が「Roller coasters make me nauseous.(ジェットコースターに乗ると気持ち悪くなる)」という文を認めなかった。2013年には、そうした人は23%だけだった。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
nausea・noise・astronaut・navy・nauseous など、「船」に関係する語の歴史を説明しているので B。
Q2. How does the American Heritage Dictionary treat the link between "noise" and "nausea"?
the American Heritage Dictionary puts a "perhaps" in front of the link とあるので C。
Q3. What do the usage panel results suggest?
「認めない」が1965年の88%から2013年の23%に減ったので、「気持ち悪い」の意味の nauseous を受け入れる人が増えたと分かる。A。
重要単語
- nauseaB2名詞吐き気The medicine can cause nausea.
発音は「ノーズィア」。ギリシャ語の「船酔い」から。cause nausea「吐き気を引き起こす」は薬の説明でよく見る。 - seasickB1形容詞船酔いしたI always get seasick on small boats.
get seasick「船に酔う」。carsick(車酔い)、airsick(飛行機酔い)も同じ形。 - nauseousC1形容詞吐き気がする;吐き気をもよおさせるThe smell made me feel nauseous.
伝統的には「吐き気をもよおさせる」の意味。今は「吐き気がする」の意味がふつう。試験では nauseated / nauseating と分けると安全。 - noiseA2名詞(不快な)音、騒音Please don't make so much noise.
make (a) noise「音を立てる」。語源はラテン語の nausea(船酔い)とされる。形容詞は noisy。 - navigateB2動詞進路を決めて進む、道案内をするYou drive, and I'll navigate.
navis(船)+agere(動かす)。カーナビの「ナビ」は navigation の略。 - astronautB1名詞宇宙飛行士She dreamed of becoming an astronaut.
astro-(星)+naut(船乗り)=「星の船乗り」。ロシアの宇宙飛行士は cosmonaut。 - navalB2形容詞海軍のThe city has an old naval base.
名詞 navy(海軍)の形容詞。発音が同じ navel(へそ)と混同しないこと。
公式・一次情報をチェック
- Indo-European Roots Appendix(The American Heritage Dictionary)ahdictionary.com
- Remembering Yuri Gagarin 50 Years Later(NASA)nasa.gov
- astronaut(Dictionary.com)dictionary.com
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英語の nausea(吐き気)の語源はギリシャ語の「船酔い」。naus=船です。騒音の noise も nausea から来たと辞書にある。宇宙飛行士 astronaut は「星の船乗り」、カーナビの「ナビ」も船の仲間。
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出典・参考文献(5件)タップで表示
- The American Heritage Dictionary「nausea」ahdictionary.com
- The American Heritage Dictionary「nauseous」(Usage Note)ahdictionary.com
- Oxford Learner's Dictionaries「noise」(Word Origin)oxfordlearnersdictionaries.com
- Dictionary.com「noise」(Origin)dictionary.com
- Bagian & Beck (1993) Promethazine and its use as a treatment for space motion sickness, NASA Technical Reports Serverntrs.nasa.gov
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。
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