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英語のマジか!?ホント

「キュート」は昔「ずる賢い」という意味だった。cute は acute(鋭い)の a が取れた言葉

「キュート」は昔「ずる賢い」という意味だった。cute は acute(鋭い)の a が取れた言葉

読む前に予想してみよう!

cute は、もとは「抜け目ない、ずる賢い」という意味だった

研究カード(どんな研究?)
対象
英語の辞書の語源記述
規模
主要辞書4種
研究の種類
歴史言語学(文献調査)
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

cute は acute(鋭い)の頭の a が落ちた言葉。約300年前の意味は「抜け目ない、ずる賢い」。「かわいい」の意味は約100年後に生まれた。

ひとことで言うとcute は昔「頭がキレる、ずるい」という意味だった!

もくじ
  1. cute の正体は「acute の短縮形」
  2. acute は「針」から来た「鋭い」
  3. 「頭がいい」から「かわいい」へ
  4. 昔の意味は、今もちゃんと生きている
  5. 頭が落ちた英単語は、ほかにもある
  6. 同じ「鋭い」の親せきたち
  7. どんでん返し:最初の記録は1731年?それとも100年前?
  8. まとめ

子犬を見て「So cute!」。服を見て「キュート!」。

この cute、じつは acute(アキュート)の頭の a が取れた言葉です。acute は「鋭い」、そして病院で使う「急性の(acute pain=急な激しい痛み)」の acute。

しかも約300年前に生まれたときの意味は「かわいい」ではなく、「抜け目ない、ずる賢い」。子犬に使うようになったのは、20世紀に入ってからでした。

01cute の正体は「acute の短縮形」

アメリカの辞書メリアム・ウェブスターは、cute の語源を「acute の短縮形」とし、昔は 'cute と、a が落ちたしるしのアポストロフィつきで書かれることもあったと説明しています。

最初の記録は 1731年ごろ。そのときの意味は、メリアム・ウェブスターの言葉では「(しばしばずるいやり方で)頭が切れる、抜け目ない」です。アメリカの辞書『American Heritage Dictionary』(AHD)も、cute はもともと acute の「鋭く見抜く、抜け目ない」という意味の短縮形で、1731年に出た辞書に最初に記録されている、と書いています。

02acute は「針」から来た「鋭い」

もとの acute は、ラテン語の acūtus(とがらせた)から来ています。さらにさかのぼると acus(針)。AHD とオックスフォードの学習辞典が、どちらもこの流れを示しています。

オックスフォードの学習辞典によると、acute が英語に入った中英語の終わりごろ(14〜15世紀)には、病気やその症状を表す言葉でした。今の英語でも acute はこんなふうに使います。

  • acute pain(急で激しい痛み)
  • an acute angle(鋭角)
  • Dogs have an acute sense of smell.(犬は鼻がとても利く)

メリアム・ウェブスターによると、acute はシェークスピアの時代から「頭が切れる、抜け目ない」の意味も持っていました。cute が最初に受けついだのは、この「頭が鋭い」の意味です。ただ、acute 自身は「かわいい」という意味で辞書に載ったことが一度もない、とも書いています。

03「頭がいい」から「かわいい」へ

では、どうして「抜け目ない」が「かわいい」になったのでしょう。

AHD は、おそらくこうだろうと説明しています。cute は、鋭い頭や工夫の効いた作りを見せるものへのほめ言葉として使われるようになり、そこから「きれいな、人の心をひく」という意味が育った。「よくできてるね」が「かわいいね」に近づいた、という道すじです。

メリアム・ウェブスターは、同じころの cunning(カニング) にも、cute とそっくりの「2つの意味にまたがる」ところがあったと書いています。cunning は今ではふつう「ずる賢い」。ところが AHD には「かわいらしい、愛らしい(a cunning pet)」という意味も載っています。AHD によると、cunning の語源は「知る」という意味の中英語 connen です。「ずる賢い」と「かわいい」が1つの単語に同居しているのは、cute だけではないのです。

cute のもとの acute は、ラテン語の「針」までさかのぼる
cute のもとの acute は、ラテン語の「針」までさかのぼる

04昔の意味は、今もちゃんと生きている

「ずる賢い」の cute は、消えてしまったわけではありません。

  • Don't get cute with me!(なめた口をきくな/ふざけるな)

オックスフォードの学習辞典はこの例文を、「(自分が得をしようとして)小ざかしい」という意味の cute として載せています。メリアム・ウェブスターも、この文の cute は「かわいらしさ」とは何の関係もない、と書いています。

さらにメリアム・ウェブスターや AHD には「わざとらしく、狙いすぎた」という意味の cute もあります。That ending was too cute. は「かわいすぎる結末」ではなく、「あざとすぎる結末」という悪口になりえます。

05頭が落ちた英単語は、ほかにもある

語の頭の弱い母音が落ちることを、英語で aphesis(アフェシス) と言います。AHD はこの語の説明に、まさに「acute から cute」を例として挙げています。

身近な英語にも、頭が落ちた単語が隠れています。どれもオックスフォードの学習辞典や AHD の語源欄で確かめたものです。

  • sport(スポーツ)← disport(気晴らし)。もとの意味は「娯楽、なぐさみ」で、古フランス語の desporter は「気をそらす」(des-「離れて」+ porter「運ぶ」)
  • fence(柵)← defence(防御)。剣で攻めて守る fencing(フェンシング)も、この fence から
  • lone(ひとりの)← alone。その alone は all(まったく)+ one(ひとり)
  • mend(直す)← amend(改める)。だから mend fences(仲直りする)は、頭の落ちた単語が2つ並んだ言い方

06同じ「鋭い」の親せきたち

AHD の印欧祖語(英語やラテン語などの共通の祖先とされる言語)の付録によると、acute のおおもとにある ak-(単語のもとになる部分)は「鋭い」という意味で、こんな単語につながっています。

  • edge(ふち、刃)
  • eager(熱心な):もとは「すっぱい、鋭い」
  • vinegar(酢):古フランス語の vin(ワイン)+ aigre(すっぱい)=「すっぱくなったワイン」
  • acid(酸)、acupuncture(はり治療)

cute と vinegar(酢)が、同じ「鋭い」の親せき。かわいい子犬からは想像しにくい関係です。

07どんでん返し:最初の記録は1731年?それとも100年前?

ここまで「1731年ごろ」と書いてきましたが、辞書によって最初の記録の年がずれています。

  • メリアム・ウェブスター:1731年ごろ
  • AHD:1731年に出版された辞書で最初に記録
  • オックスフォードの学習辞典:18世紀の初め
  • Dictionary.com:1615〜1625年

Dictionary.com だけが、100年以上早い年を挙げています。どの資料を最初の例と見るかで違いが出ているようですが、今回確かめた辞書には、その理由は書かれていませんでした。また、「抜け目ない」から「かわいい」に変わった理由も、AHD 自身が「おそらく」と書いているとおり、はっきり分かっているわけではありません。

08まとめ

cute は、針のように「鋭い」acute から a が落ちて生まれ、最初は「抜け目ない、ずる賢い」人に使う言葉でした。「頭がいいね」「よくできてるね」を経て、100年以上かけて子犬や赤ちゃんの言葉になりました。

次に誰かに Don't get cute with me! と言われたら、それは300年前の cute。ほめ言葉ではないので気をつけましょう。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe word "cute" is a short form of "acute," an older word that goes back to a Latin word for "needle." When… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

The word "cute" is a short form of "acute," an older word that goes back to a Latin word for "needle." When "cute" first appeared in English around 1731, it meant "clever" or "shrewd," often in a sly way. About a century later, people began to use it for things that looked nice. Even after 1900, calling a child cute could mean that the child was smart.

Only in the early twentieth century did people start using it for puppies and kittens. Losing a weak sound at the start of a word has happened to other English words too. "Sport" was once "disport," and "fence" was once "defense." The old meaning of "cute" lives on in "Don't get cute with me."

121 words ・ CEFR B1

和訳を見る

「cute」という言葉は「acute」の短い形で、acute は「針」を表すラテン語にさかのぼる古い言葉だ。1731年ごろに英語に初めて現れたとき、「cute」は「頭がいい」「抜け目ない」という意味で、ずるいニュアンスのことも多かった。約1世紀後、人々は見た目のよいものにこの語を使い始めた。1900年を過ぎても、子どもを cute と呼ぶことは、その子が賢いという意味になりえた。

子犬や子猫に使い始めたのは、20世紀の初めになってからだ。語の始めの弱い音が落ちることは、ほかの英単語にも起きている。「sport」はかつて「disport」で、「fence」はかつて「defense(防御)」だった。cute の古い意味は、「Don't get cute with me.(ふざけるな)」の中に生きている。

4択リーディングクイズ

Q1. Which of these is the best title for the passage?

Q2. When did people start using "cute" for puppies and kittens?

Q3. What does the writer suggest by mentioning "sport" and "fence"?

重要単語

  • acuteB2
    形容詞鋭い;(病気・痛みが)急性の、激しいShe went to the doctor with acute pain in her stomach. ラテン語 acus(針)から。an acute angle「鋭角」。cute はこの語の頭の a が落ちた形。
  • shrewdC1
    形容詞抜け目ない、頭の切れるHe is a shrewd shopper who always finds the best price. 1731年ごろの cute の意味に近い語。a shrewd guess「鋭い推測」。
  • cunningB2
    形容詞ずる賢い;(米国の辞書では)かわいらしいThe cunning fox tricked the crow into dropping its food. カンニング(不正行為)の意味は英語にはない。試験の不正は cheating。
  • slyB2
    形容詞ずるい、こっそり悪だくみをするHe gave me a sly smile and said nothing. a sly smile「意味ありげな笑み」。ずるさをやわらかく言うときにも使う。
  • eagerB1
    形容詞しきりに〜したがる、熱心なThe kids were eager to open their presents. be eager to do の形でよく出る。語源は acute と同じ「鋭い」の語根で、昔は「すっぱい」の意味もあった。
  • fenceA2
    名詞柵、囲いWe painted the fence white last weekend. defense(防御)の頭が落ちた形。fencing(フェンシング)も同じ仲間。mend fences「仲直りする」。
  • smart aleckC1
    名詞知ったかぶりをする人、生意気なやつNobody likes a smart aleck in class. くだけた言い方。Don't get cute with me. は、こういう態度の相手に言う。
cute は acute(鋭い・急性の)の a が取れた言葉。1731年ごろの意味は「抜け目ない、ずる賢い」。子犬に使うのは20世紀から。Don't get cute with me!(ふざけるな)に昔の意味が残る。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Merriam-Webster「cute」(Etymology・First Known Use・Did you know?)merriam-webster.com
  2. American Heritage Dictionary of the English Language, 5th ed.「cute」(Word History)ahdictionary.com
  3. Oxford Learner's Dictionaries「cute」「acute」「sport」「fence」「lone」(Word Origin)oxfordlearnersdictionaries.com
  4. Dictionary.com「cute」(Origin)dictionary.com
  5. American Heritage Dictionary「Indo-European Roots: ak-」ahdictionary.com

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