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英語のマジか!?ホント

小鳥カナリアの名前は島から。その島の名前は、ラテン語で“犬の島”

小鳥カナリアの名前は島から。その島の名前は、ラテン語で“犬の島”

読む前に予想してみよう!

カナリア諸島は、カナリアという鳥がたくさんいたので、その名がついた

研究カード(どんな研究?)
対象
英語辞書の語源欄・古代ローマの博物誌(英訳)・博物館の収蔵品解説
規模
1世紀の記録と、16世紀以降の英語の用例
研究の種類
語源調査(辞書と古典の照合)
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

鳥のカナリアは、カナリア諸島から来た鳥なのでその名がついた。島の名前はラテン語で「犬の島」。2000年ほど前の博物誌に「とても大きな犬がたくさんいる島」と書かれている。

ひとことで言うとカナリアの名前は島から。その島の名前の意味は「犬」なんだ!

もくじ
  1. canary を分解すると「犬」が出てくる
  2. 2000年前の本に「とても大きな犬がたくさんいる島」
  3. canary は「ワイン」「密告者」「囚人」にもなった
  4. 「炭鉱のカナリア」と、カナリアを生き返らせるかご
  5. 動物の名前がついた島は、ほかにもある
  6. どんでん返し:その「犬」が何だったのかは、分からない
  7. まとめ

黄色い小鳥のカナリア。英語では canary(カネアリ)。

大西洋には「カナリア諸島」という島々があります。だから「カナリアがたくさんいる島だから、カナリア諸島」と思いがちです。

じつは順番が逆です。島の名前が先にあって、鳥はそこから名前をもらいました。そして、その島の名前の意味は、ラテン語で 「犬の島」。小鳥の名前をさかのぼると、犬にたどり着くのです。

01canary を分解すると「犬」が出てくる

ラテン語の canis(犬)は、星座の名前でもおなじみです。おおいぬ座はラテン語で Canis Major。鳥の学名 Serinus canaria も、さかのぼれば「犬」にたどり着きます。

022000年前の本に「とても大きな犬がたくさんいる島」

では、なぜ「犬の島」なのでしょう。手がかりは、1世紀のローマの博物学者プリニウス(大プリニウス)の『博物誌』です。タフツ大学の古典ライブラリーにある英訳(1855年)で確かめると、第6巻37章に、北アフリカのマウレタニアの王ユバ(プリニウスによれば、2つのマウレタニアを治めた最初の王で、学者としても有名)が調べたという「幸福の島々(いまのカナリア諸島)」の報告があります。

  • カナリア島:「とても大きな犬が、ものすごくたくさんいる」。そのうち2頭がユバ王のもとへ連れてこられた。建物の跡も少し見られる
  • ニングアリア島:いつも雪があることから名づけられた。英訳の注では、雪をいただく山のあるいまのテネリフェ島
  • カプラリア島:巨大なトカゲがうじゃうじゃいる

英訳の注には、カナリア島の名前は「犬の住人から、そう呼ばれた」と書かれています。

カプラリアの capr- は、ラテン語で「ヤギ」。英語の Capricorn(やぎ座)の capr- と同じです(AHD)。つまり「ヤギの島」なのに、書いてあるのはトカゲの話。プリニウスはさらに、島々が「海から打ち上げられる怪物の死体が腐って、とても迷惑している」とも書いています。2000年前の旅行ガイドとしては、なかなか刺激的です。

プリニウスの『博物誌』によると、カナリア島の大きな犬のうち2頭が、マウレタニアのユバ王のもとへ連れてこられた
プリニウスの『博物誌』によると、カナリア島の大きな犬のうち2頭が、マウレタニアのユバ王のもとへ連れてこられた

03canary は「ワイン」「密告者」「囚人」にもなった

英語の canary には、鳥のほかにもいろいろな意味があります。

  • 甘い白ワイン:カナリア諸島の甘いワイン(AHD)。シェイクスピアの『十二夜』では、サー・トービーが仲間のサー・アンドルーに「thou lack'st a cup of canary(カナリアが1杯足りないな)」と言います。この canary は鳥ではなくお酒です
  • 密告者(俗語):AHD・Dictionary.com とも slang として載せています
  • 女性歌手(俗語):特にダンスバンドの歌手(Dictionary.com)
  • 囚人:Dictionary.com に収録の Collins 英語辞典では「(歴史)囚人」という意味も
  • canary yellow:明るい澄んだ黄色

ここで1つ、鳥の色の話です。Dictionary.com の説明では、野生のカナリアは緑っぽく、背中に茶色のすじがあり、おなか側が黄色です。全身が明るい黄色やうすい黄色になるのは、ふつう飼われている品種のほう。「カナリア色」と聞いて思いうかべる全身まっ黄色の姿は、人が飼って品種をつくるなかで広まった姿なのです。

04「炭鉱のカナリア」と、カナリアを生き返らせるかご

英語の canary in the coal mine(炭鉱のカナリア) は、危険を早めに知らせてくれる人や物のこと(Dictionary.com)。These fish are the canaries in the coal mine.(この魚たちは異変を知らせる炭鉱のカナリアだ)のように使います。

これは本当にあった話です。イギリスの科学博物館グループの収蔵品解説によると、炭鉱では1800年代の終わりから、においのしない一酸化炭素を見つけるためにカナリアが使われました。きっかけは1896年のタイラーズタウン炭鉱の爆発。原因を調べたジョン・ホールデンが、小さくて敏感な動物を「見張り役」にすることを提案しました。カナリアは、人間が危なくなる前に、はっきり具合が悪くなるからです。

同じ博物館には、カナリアを生き返らせるための酸素ボンベつきのかごが残っています。カナリアに中毒の様子が出たら、扉を閉めて酸素を流し、鳥を回復させる。その間に、鉱夫たちは避難したそうです。博物館の学芸員はブログで、1980年代半ばに電子のガス検知器が入ったとき、カナリアとの別れを嫌がった鉱夫もいたという話を紹介しています。

05動物の名前がついた島は、ほかにもある

動物の名前がついた島は、カナリア諸島だけではありません。

  • ガラパゴス諸島(Galápagos Islands):ダーウィンが1835年に訪れた太平洋の島々。AHD によると、名前は島にすむゾウガメから

犬の島、ヤギの島、カメの島。島にいる(とされた)動物が、そのまま島の名札になることがあったのです。

06どんでん返し:その「犬」が何だったのかは、分からない

ただし、カナリア島の「大きな犬」が本当はどんな動物だったのかは、プリニウスの文章からは分かりません。プリニウス自身が現地を見たわけではなく、ユバ王の調べた内容を伝えているだけです。

プリニウスが伝える名前の説明には、首をかしげたくなるものもあります。第5巻1章では、ローマの将軍がアトラス山脈を越えた先で聞いた話として、そのあたりの森にすむ人々が Canarii(カナリイ) と呼ばれるのは、「犬と食べ物を分け合い、獣の内臓を犬と分けて食べるから」だと書いています。名前に「犬」が入っていると、つい犬の話で説明したくなるのは、2000年前も同じだったようです。

確かなのは、ことばのつながりのほうです。英語の canary も、スペイン語の Canarias も、ラテン語の canis(犬)にさかのぼる。この点は、AHD と Dictionary.com のどちらも同じように書いています。

07まとめ

黄色い小鳥 canary は「カナリア諸島の鳥」。そしてカナリア諸島は、ラテン語で「犬の島」。2000年前の博物誌には、とても大きな犬がたくさんいて、2頭が王さまのもとへ連れていかれた、と書かれています。

次にカナリアのさえずりを聞いたら、その名前の奥で、大きな犬が2頭、しっぽをふっているところを想像してみてください。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMost people guess that the Canary Islands were named after the bird. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Most people guess that the Canary Islands were named after the bird. It is the other way around. The bird was named after the islands, and the islands got their name from the Latin word "canis," which means "dog."

In the first century, the Roman writer Pliny the Elder described the islands in his Natural History. He wrote that one of them had huge numbers of very large dogs, and that two were sent to King Juba. The word "canary" later picked up other meanings in English. It could mean a sweet wine from the islands, and in slang it can mean a person who gives information to the police.

110 words ・ CEFR B1

和訳を見る

たいていの人は、カナリア諸島は鳥にちなんで名づけられたと思っている。実際は逆だ。鳥のほうが島にちなんで名づけられ、島は「犬」を意味するラテン語「canis」から名前をもらった。

1世紀に、ローマの作家の大プリニウスは『博物誌』の中でこの島々について書いた。彼によると、島の1つにはとても大きな犬がものすごくたくさんいて、2頭がユバ王のもとへ送られたという。「canary」という語は、のちに英語でほかの意味も持つようになった。島でとれる甘いワインを指すこともあり、俗語では警察に情報を流す人を意味することもある。

4択リーディングクイズ

Q1. According to the passage, which came first?

Q2. What did Pliny write about one of the islands?

Q3. What does the writer suggest by saying "It is the other way around"?

重要単語

  • canaryB1
    名詞カナリア;明るい黄色;(俗語で)密告者The canary sang in its cage all morning. スペイン語 canario(カナリア諸島の)から。canary yellow は色の名前。
  • informerC1
    名詞密告者、情報提供者The police got the tip from an informer. inform(知らせる)+-er。俗語では canary とも言う。
  • detectB2
    動詞見つける、検知するThis machine can detect gas leaks. 名詞は detector(検知器)、detective(探偵)も同じ仲間。
  • early warningB2
    名詞早めの警告、前ぶれFalling sales were an early warning. a canary in the coal mine はこの意味の比喩。early warning system「早期警戒システム」。
  • tortoiseB2
    名詞(陸の)カメThe giant tortoise moved very slowly. 海のカメは turtle。発音は「トータス」。
  • breedB2
    動詞(動物を)かけ合わせて育てる、品種改良するPeople bred canaries for their bright color. 過去形・過去分詞は bred。名詞では「品種」(a dog breed=犬種)。
  • archipelagoC1
    名詞群島、諸島The Canary Islands are an archipelago in the Atlantic. 発音は「アーキペラゴ」。ch を「キ」と読む。
鳥のカナリア(canary)は「カナリア諸島の鳥」という意味。じゃあ島の名前は? ラテン語で「犬の島」。1世紀のローマの博物誌に「とても大きな犬がたくさんいる島」とある。鳥の名前をたどったら、犬に行き着く。

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出典・参考文献(6件)タップで表示
  1. The American Heritage Dictionary of the English Language, 5th ed.「canary」「Galápagos Islands」「Capricorn」・付録 Indo-European Roots(kwon-)ahdictionary.com
  2. Dictionary.com「canary」(Origin・Collins English Dictionary)dictionary.com
  3. Pliny the Elder, The Natural History(Bostock & Riley 英訳, 1855)Book 6 Chap. 37・Book 5 Chap. 1, Perseus Digital Libraryperseus.tufts.edu
  4. Science Museum Group, Cage for reviving canary(Y2002.19.254.1)collection.sciencemuseumgroup.org.uk
  5. Pollard (2018) Canary resuscitator, Science and Industry Museum blog(学芸員ブログ)blog.scienceandindustrymuseum.org.uk
  6. Shakespeare, Twelfth Night(Project Gutenberg #1526)gutenberg.org

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