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英語のマジか!?ホント

ゴリラという名前は、約2500年前の航海記に出てくる「毛深い女たち」の呼び名

ゴリラという名前は、約2500年前の航海記に出てくる「毛深い女たち」の呼び名

読む前に予想してみよう!

「ゴリラ」という名前は、アフリカの人々がこの動物を呼んでいた名前をそのまま英語にしたものだ

研究カード(どんな研究?)
対象
英語・マレー語の辞書と、古代の航海記・1699年と1847年の学術書
規模
紀元前5世紀〜20世紀の文献
研究の種類
語源調査(辞書・文献)
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

orangutan はマレー語の「森の人」。マレー語の辞書では、今も第1の意味は「森に住む人」。gorilla は紀元前5世紀のカルタゴの航海記で、通訳が「毛深い女たち」を呼んだ名前を、1847年に学者が動物に付けたもの。

ひとことで言うとゴリラという名前は、2500年くらい前の船旅の記録から取られていた!

もくじ
  1. orangutan はマレー語の「人」+「森」
  2. 1699年の「オランウータン」は、チンパンジーだった
  3. gorilla は、紀元前5世紀の航海記から
  4. 1847年、学者がこの名前を動物に付けた
  5. おまけ:ボノボ、モンキー、バブーン、チンパンジー
  6. どんでん返し:ハンノが見たのは、ゴリラではなかったかもしれない
  7. まとめ

動物園の人気者、オランウータン。英語では orangutan です。この名前、マレー語で「森の人」という意味です。

ここまでは知っている人も多いかもしれません。では、マレーシアの国語の辞書で orang hutan を引くと、1番目にどんな意味が出てくるか。答えは「森に住む人」。人間のことです。動物のオランウータンは2番目でした。

そしてゴリラ。gorilla という名前は、約2500年前の航海記に出てくる「毛深い女たち」の呼び名です。それを1847年、アメリカの学者がアフリカの大きな類人猿に付けました。

01orangutan はマレー語の「人」+「森」

アメリカの辞書 American Heritage Dictionary(AHD)によると、orangutan はマレー語の orang hutan から来ています。

  • orang:人
  • hutan:森、ジャングル

Dictionary.com によれば、英語で記録に現れるのは1690〜1700年ごろで、オランダ語の orang outang を通って入りました。

ただし、マレー語では今も2語に分けて orang hutan と書きます。マレーシアの国語機関(Dewan Bahasa dan Pustaka)の『Kamus Dewan(第4版)』では、意味が3つ並んでいます。

スミソニアン国立動物園によると、オランウータンは木の上で暮らす哺乳類の中で、いちばん大きい動物です。すんでいるのは、インドネシアのスマトラ島と、マレーシア・インドネシアにまたがるボルネオ島だけです。森の高いところで暮らす大きな生き物を「森の人」と呼んだのは、ぴったりの名前に思えます。

021699年の「オランウータン」は、チンパンジーだった

ところが、英語の orang-outang は、最初からオランウータンを指していたわけではありません。

1699年、イギリスの医師で解剖学者のエドワード・タイソン(Edward Tyson)が、解剖の記録を本にしました。題名は『Orang-Outang, sive Homo Sylvestris(オランウータン、すなわち森の人)』。ところがタイソン本人が本の中で、この動物はアフリカのアンゴラから運ばれてきたと書いています。

オランウータンは東南アジアの島にしかいません。アメリカの科学専門の図書館、リンダ・ホール図書館の解説によると、1698年にアンゴラからロンドンに着いたこの動物は若いチンパンジーで、イギリスで見られた最初の類人猿でした。「オラン」は、人に似た大型のサルをまとめて呼ぶ名前としても使われました。1847年の学術論文(後で出てくるサベージたちのもの)でも、チンパンジーを含む4種をまとめて Orangs と呼んでいます。

1699年、タイソンが「オランウータン」として本にした動物は、アンゴラから来た若いチンパンジーだった
1699年、タイソンが「オランウータン」として本にした動物は、アンゴラから来た若いチンパンジーだった

03gorilla は、紀元前5世紀の航海記から

ゴリラの名前は、もっと古い記録から取られています。

AHD と Dictionary.com によると、gorilla のもとは古代ギリシャ語の Gorillai。Dictionary.com の説明では、紀元前5世紀にカルタゴのハンノ(Hanno)が、アフリカの海岸ぞいを船で旅した記録に出てくる言葉です。AHD は「毛深い女たちの部族」と説明しています。

この航海記はギリシャ語で残っています。1912年に出たショフ(W. H. Schoff)の英訳で、その場面を読んでみましょう(要約)。

  • 湾の奥の島の湖に、もう一つ島があり、「野蛮な人々」がいた
  • 女のほうがさらに多かった。体は毛深く、通訳たちは彼らを ゴリライ(Gorillai) と呼んだ
  • 男たちは険しい所によじ登り、石で身を守って逃げた。つかまえられたのは女3人だけで、かみついたりひっかいたりして抵抗した
  • 一行は3人を殺して皮をはぎ、カルタゴに持ち帰った

041847年、学者がこの名前を動物に付けた

それから2300年あまりたった1847年。アフリカ西部のガボンで、アメリカの宣教師で医師のトマス・サベージ(Thomas S. Savage)が、滞在先の宣教師から、大きな類人猿の頭の骨を見せられます。サベージはハーバード大学の解剖学者ジェフリーズ・ワイマン(Jeffries Wyman)と共に、これを新しい種として発表しました。

その論文(『Boston Journal of Natural History』1847年12月号)には、種の名前 gorilla は、ハンノがアフリカの海岸で見た「野生の人」を表すのに使った言葉から取ったと書かれています。サベージはハンノの見たものを「おそらく類人猿の一種」と考えていました。

その後、gorilla は学名の前半にあるグループの名前(属の名前)にも使われるようになりました。アメリカ政府の生物分類データベース ITIS では、ニシローランドゴリラの学名は Gorilla gorilla gorilla(ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ)。命名者の欄には「Savage and Wyman, 1847」とあります。

05おまけ:ボノボ、モンキー、バブーン、チンパンジー

ほかのサルの名前も、AHD の語源欄を見るとかなり変わっています。

  • bonobo(ボノボ):コンゴ川沿いの町 Bolobo のつづり間違いから、という説。最初に生きたボノボをヨーロッパに送った木箱に、この町の名前が書かれていたため、と AHD は説明する(「probably(おそらく)」つき)
  • monkey(サル):中世の動物物語『きつねのライネケ(Reynard the Fox)』に出てくる子ザルの名前 Moneke から、という説。AHD も Dictionary.com も「perhaps(たぶん)」「possibly(かもしれない)」と書く
  • baboon(ヒヒ):古いフランス語の babuin から。意味は「口を開けた像、ガーゴイル(建物の雨どいの怪物の彫刻)、ヒヒ」
  • chimpanzee(チンパンジー):ポルトガル語を通って、コンゴで話されるヴィリ語(バントゥー系)の ci-mpenzi から(AHD)。Dictionary.com は「由来ははっきりしない。ヴィリ語からかもしれない」と慎重

06どんでん返し:ハンノが見たのは、ゴリラではなかったかもしれない

ハンノの航海記の「ゴリライ」が何だったのかは、分かっていません。

1847年のサベージは「おそらく類人猿の一種」と考えました。一方、1912年のショフの英訳本は、解説として民族学者キーン(A. H. Keane)の文章を引き、ハンノが見たのは類人猿ではなく毛深い小柄な人々だった、という考えを紹介しています。ハンノが見た相手は、人間だったのか、チンパンジーやゴリラだったのか。2500年前の短い記録からは決められません。

ボノボの語源も、辞書によって書き方が分かれます。AHD は「Bolobo のつづり間違い」説を「おそらく」として載せていますが、Dictionary.com の語源欄は「由来ははっきりしない。おそらくコンゴ民主共和国で話されるバントゥー系の言語から」としています。

07まとめ

オランウータンは、マレー語で「森の人」。マレー語の辞書では、今も1番目は人間の意味です。ゴリラは、約2500年前の航海記で通訳が「毛深い女たち」を呼んだ名前を、1847年の学者が借りたもの。英語の orang-outang は、最初はチンパンジーにも使われていました。

動物園でゴリラの看板を見たら、カルタゴの船乗りの記録から来た名前だと思い出してみてください。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIn the 5th century BC, a man named Hanno sailed from Carthage along the coast of Africa and wrote about his… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

In the 5th century BC, a man named Hanno sailed from Carthage along the coast of Africa and wrote about his trip. On one island his crew found hairy people, mostly women, and their interpreters called them "Gorillai." More than two thousand years later, in 1847, an American doctor named Thomas Savage was shown the skull of a huge ape in West Africa.

With the Harvard anatomist Jeffries Wyman, he described it as a new species and named it "gorilla," after Hanno's word. Today the western lowland gorilla has the scientific name Gorilla gorilla gorilla. The name "orangutan" took a different path. It comes from Malay words meaning "person of the forest."

112 words ・ CEFR B1

和訳を見る

紀元前5世紀、ハンノという人物がカルタゴからアフリカの海岸ぞいに船で旅し、その旅について書いた。ある島で一行は毛深い人々を見つけた。ほとんどが女で、通訳たちは彼らを「Gorillai」と呼んだ。

2000年以上後の1847年、トマス・サベージというアメリカの医師が、西アフリカで巨大な類人猿の頭の骨を見せられた。彼はハーバード大学の解剖学者ジェフリーズ・ワイマンと共に、それを新しい種として記載し、ハンノの言葉にちなんで「gorilla」と名づけた。今日、ニシローランドゴリラには Gorilla gorilla gorilla という学名がついている。「orangutan」という名前は別の道をたどった。それは「森の人」を意味するマレー語から来ている。

4択リーディングクイズ

Q1. Who first used the word "Gorillai," according to the passage?

Q2. What happened in 1847?

Q3. What can we infer about the name "gorilla"?

重要単語

  • apeB1
    名詞類人猿Gorillas and chimpanzees are apes, not monkeys. ゴリラ・チンパンジー・オランウータンなど尾のないサル。monkey(ふつうのサル)と区別する。go ape「ひどく興奮する、かんかんに怒る」。
  • speciesB2
    名詞(生物の)種Scientists described a new species of ape in 1847. 単数も複数も species。endangered species「絶滅危惧種」。
  • voyageB1
    名詞航海、船の長旅Hanno's voyage went down the coast of Africa. trip より長く、海や宇宙の旅に使う。make a voyage「航海する」。
  • interpreterB2
    名詞通訳The interpreter told us the name of the village. interpret(通訳する、解釈する)+-er。翻訳者は translator。
  • misspellingB2
    名詞つづりの間違いThe name may have started as a misspelling on a box. mis-(誤って)+spelling。bonobo の語源説(Bolobo のつづり間違い)で出てくる。
  • dissectC1
    動詞解剖する;細かく分析するThe doctor dissected the animal to study its body. dis-(分けて)+sect(切る)。section・insect と同じ「切る」の仲間。
  • scientific nameB2
    名詞学名The scientific name of the western lowland gorilla is Gorilla gorilla gorilla. ラテン語の形で書く世界共通の名前。属名+種小名(+亜種名)の順に並ぶ。
オランウータンはマレー語で「森の人」。マレー語の辞書では、今も1番目の意味は「森に住む人間」だ。ゴリラは紀元前5世紀の航海記に出てくる「毛深い女たち」の呼び名で、1847年に動物の名前になった。ボノボは木箱に書いた町の名前のつづり間違い、という説もある。

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出典・参考文献(7件)タップで表示
  1. The American Heritage Dictionary「orangutan」「gorilla」「bonobo」「monkey」「chimpanzee」「baboon」ahdictionary.com
  2. Dictionary.com「orangutan」「gorilla」「bonobo」(Origin)dictionary.com
  3. Dewan Bahasa dan Pustaka, Kamus Dewan Edisi Keempat「orang hutan」(Pusat Rujukan Persuratan Melayu)prpm.dbp.gov.my
  4. Hanno; Schoff, W. H. trans. (1912) The Periplus of Hanno, Philadelphia Commercial Museumarchive.org
  5. Savage, T. S. & Wyman, J. (1847) Notice of the external characters and habits of Troglodytes gorilla, Boston Journal of Natural History 5archive.org
  6. Tyson, Edward (1699) Orang-outang, sive homo sylvestris: or, The anatomy of a pygmiedoi.org
  7. Ashworth, W. B. Jr. (2016) Scientist of the Day: Edward Tyson, Linda Hall Librarylindahall.org

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