本館「マジカ!?サイエンス」科学の雑学とニュースを論文でウラ取り読みに行く →
英語のマジか!?ホント

なぜ11は oneteen じゃない? eleven のもとは「10と1つ余り」

なぜ11は oneteen じゃない? eleven のもとは「10と1つ余り」

読む前に予想してみよう!

英語の twelve と、「12個」を表す dozen は、同じ成り立ちの言葉だ

研究カード(どんな研究?)
対象
英語・古英語・古ノルド語の辞書
規模
辞書4種(AHD・Oxford Learner's・Bosworth-Toller・Cleasby-Vigfusson)
研究の種類
語源調査(辞書)
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

eleven は「10数えて1つ余り」、twelve は「2つ余り」がもと。thousand は「ふくらんだ100」とする説がある。北欧の「100」は120のことも。

ひとことで言うとeleven は「10と1つ余り」という意味だったんだって!

もくじ
  1. eleven は「1つ余り」、twelve は「2つ余り」
  2. eleven の親戚は「日食」と「ローン」
  3. thousand は「ふくらんだ100」? 親戚は thumb(親指)
  4. バイキングの「100」は120だった
  5. 英語の数の名残:dozen と score
  6. どんでん返し:「1つ余り」は推定の話
  7. まとめ

英語の数は、13から19までは thirteen、fourteen……と「-teen(10)」がつきます。では、11と12は? oneteen、twoteen ではなく、eleven と twelve。ここだけ形がまったく違います。

アメリカの辞書でこの2語の語源を引くと、答えが出てきます。eleven は「(10数えて)1つ余り」、twelve は「(10数えて)2つ余り」。

しかも、1,000を表す thousand には、もとは「ふくらんだ100」だったという説があります。そしてバイキング時代の北欧の言葉では、「100」が120を指すことも多かったのです。

01eleven は「1つ余り」、twelve は「2つ余り」

アメリカン・ヘリテージ英語辞典(AHD)には、英語の単語のずっと昔の祖先をまとめた付録があります。そこによると、

  • eleven:古英語 endleofan から。さらにさかのぼるとゲルマン語 *ain-lif-「(10を超えて)1つ余り」
  • twelve:古英語 twelf から。ゲルマン語 *twa-lif-「(10から)2つ余り」

(「*」は、文書には残っていないけれど、学者が推定した形という印です。ゲルマン語は、英語やドイツ語、オランダ語の共通の祖先にあたる言葉)

ain は one(1)、twa は two(2)の祖先。後ろの -lif- が「余り、残り」という意味です。オックスフォードの学習辞典も、twelve の後半は「おそらく『余り』の意味を表す」と説明しています。

10まで数えて、そこから「1つ余り」「2つ余り」。そんな言い方が、英語の11と12に残っていることになります。

オックスフォードの学習辞典によると、ドイツ語の zwölf(12)、オランダ語の twaalf(12)も twelve の仲間です。

02eleven の親戚は「日食」と「ローン」

AHD の付録で、この「余り」の -lif- をさらにたどると、もっと古い祖先の言葉 leikʷ-「残す、離れる」に行き着きます。ここから来た英語には、意外な顔ぶれが並びます。

eleven と eclipse(日食)とローンが、同じ「残す」の一族。数字とは関係なさそうな語ばかりです。

eleven は「(10数えて)1つ余り」、twelve は「2つ余り」がもとだと AHD は説明する
eleven は「(10数えて)1つ余り」、twelve は「2つ余り」がもとだと AHD は説明する

03thousand は「ふくらんだ100」? 親戚は thumb(親指)

1,000の thousand については、AHD の付録にこんな説明があります。

AHD によると、古英語 thūsend は、ゲルマン語 *thūs-hundi-「ふくらんだ100」から。前半の thūs- は、もっと古い祖先の言葉 teuə-「ふくらむ」の仲間です。

同じ「ふくらむ」から来た英語には、thumb(親指)があります。AHD によると、もとは「太い指」。ほかに thigh(太もも=「ふくらんだ部分」)、tumor(腫瘍)、さらに butter(バター)も、ギリシャ語の「チーズ」を通じてこの一族に入っています。

thousand と thumb は、「ふくらんだ」もの同士。100がふくらんで1,000になった、という AHD の見立てです。

ちなみに hundred は、古英語の hund(100)に、ゲルマン語で「数」を意味する -rada- がついたもの、と AHD は説明します。古英語では hund だけで100でした。

04バイキングの「100」は120だった

1874年にオックスフォードのクラレンドン・プレスから出た、古アイスランド語(バイキング時代の北欧の言葉を伝える言語)の大辞典、クリーズビーとヴィグフソンの『アイスランド語-英語辞典』は、hundrað(100)の項にこう書いています。

「1年は304日」と書いてあって、実は364日。数字の読み方を知らないと、昔の文書は読めないわけです。

古英語にも、この「120までがひとまとまり」の名残があります。チェコのカレル大学が公開している古英語辞典(ボスワース&トラー『アングロ・サクソン語辞典』)によると、古英語の70から120までの数には、頭に hund- がつきました。

  • hund-seofontig(70)、hund-eahtatig(80)、hund-nigontig(90)
  • hund-teontig(100)、hund-endlefontig(110)、hund-twelftig(120)

同じ辞書は、文法学者マーチの「hund- は意味が薄れたあとも、120 の大きな100(great hundred)の後半を示す印として残った」という説明を紹介しています。旧約聖書の古英語訳では、モーセが死んだときの年齢が hundtwelftig(120歳)と書かれています。

05英語の数の名残:dozen と score

12と20にも、英語には別の言い方があります。

  • dozen(ダース):AHD によると、古フランス語 dozaine から。もとはラテン語 duodecim、つまり duo(2)+ decem(10)。twelve は「2つ余り」、dozen は「2と10」。同じ12でも、ゲルマン語とラテン語で組み立て方が違います
  • score:AHD によると「20個ひと組」の意味があり、もとは古ノルド語 skor「刻み目、割り符、20の勘定」。木の棒に刻み目をつけて数を記録した道具から来ています。スポーツの「スコア(得点)」も同じ単語です

06どんでん返し:「1つ余り」は推定の話

eleven・twelve の「余り」は AHD が説明し、オックスフォードの学習辞典も twelve について書いています。ただ、もとになるゲルマン語の *ain-lif- は文書に残っていない推定の形です。オックスフォードの学習辞典も「おそらく」と書いています。

thousand の「ふくらんだ100」も、AHD の付録の分析です。オックスフォードの学習辞典は「ゲルマン語起源」と書くだけで、「ふくらんだ」までは書いていません。

バイキングの120も同じです。辞典は「120しか知らなかったらしい」と書き、同じ時代に100と120が並んで使われ、どちらの意味かは文脈で分かった、としています。昔の文書の「100」を見ても、すぐに120とは決められないのです。

07まとめ

eleven は「1つ余り」、twelve は「2つ余り」。thousand は「ふくらんだ100」だったのかもしれません。そしてバイキング時代の北欧では、暮らしの中の「100」はたいてい120でした。

ふだん何も考えずに使っている数の言葉にも、10を数えて「余り」を足し、棒に刻み目をつけて記録していた昔の人の数え方が残っています。次に eleven と書くときは、「10と、1つ余り」と思い出してみてください。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe English numbers from 13 to 19 all end in "-teen," which means ten. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

The English numbers from 13 to 19 all end in "-teen," which means ten. So why do we say "eleven" and "twelve"? The American Heritage Dictionary explains that these words come from old Germanic forms meaning "one left over" and "two left over" after counting ten.

The same ancient root, meaning "to leave," is also behind "eclipse" and "loan." "Thousand" has a strange history too. It seems to have meant a "swollen hundred," and it shares a root with "thumb," which once meant the thick finger.

In the Viking age, a "hundred" in Scandinavia often meant 120. The old way of counting lasted. An Icelandic history book says a year has "three hundred and four days," and it means 364.

120 words ・ CEFR B1

和訳を見る

13から19までの英語の数は、どれも10を意味する「-teen」で終わる。では、なぜ「eleven」「twelve」と言うのだろう。アメリカン・ヘリテージ英語辞典によると、これらの語は、10を数えたあとの「1つ余り」「2つ余り」を意味する古いゲルマン語の形から来ている。

「残す」という意味の同じ大昔の語根は、「eclipse(日食・月食)」や「loan(貸付)」の背後にもある。「thousand」にも奇妙な歴史がある。「ふくらんだ100」という意味だったらしく、もとは「太い指」を意味した「thumb(親指)」と語根が同じだ。

バイキングの時代、スカンディナビアの「100」はしばしば120を意味した。この古い数え方は長く続いた。アイスランドのある歴史書は、1年は「300と4日」だと書いているが、それは364日のことだ。

4択リーディングクイズ

Q1. What do "eleven" and "twelve" come from, according to the dictionary?

Q2. Which word shares a root with "thousand"?

Q3. In the history book, why does "three hundred and four days" mean 364?

重要単語

  • elevenA1
    数詞11There are eleven players on a soccer team. 語源は「(10数えて)1つ余り」とされる。つづりは e-le-ven。序数は eleventh。
  • dozenA2
    名詞12個、ダースI bought a dozen eggs at the supermarket. 数字のあとでは s をつけない(two dozen eggs)。dozens of で「何十もの」。ラテン語 duodecim(2+10)から。
  • scoreB1
    名詞得点;(古い言い方で)20The final score was 3 to 1. もとは古ノルド語 skor「刻み目、割り符」。scores of で「たくさんの」。
  • leftoverB1
    名詞残り物We had the leftovers for lunch the next day. ふつう複数形 leftovers で「食べ残し、残り物の料理」。eleven の -lif-「余り」と意味が近い。
  • tallyC1
    名詞記録、勘定;割り符She kept a tally of how many books she read. keep a tally of で「〜を数えて記録する」。昔は木の棒に刻み目をつけて数を記録した。
  • thousandA1
    数詞1,000Thousands of people came to the concert. 数字のあとでは s をつけない(three thousand)。thousands of で「何千もの」。AHD は「ふくらんだ100」がもとと説明。
  • contextB2
    名詞文脈、前後の状況You need the context to know which hundred the writer meant. in this context で「この文脈では」。昔の北欧の「100」も、100か120かは文脈で判断した。
eleven はなぜ oneteen じゃない? 米国の辞書では、もとはゲルマン語の「10数えて1つ余り」。twelve は「2つ余り」。thousand は「ふくらんだ100」という説も。昔の北欧の「100」は120のことも。

押すと「マジかリスト」に保存されます

出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. American Heritage Dictionary, Appendix I: Indo-European Roots「oi-no-」「dwo-」「leikw-」「dekm̥」「teuə-」ahdictionary.com
  2. Oxford Learner's Dictionaries「twelve」「hundred」「thousand」(Word Origin)oxfordlearnersdictionaries.com
  3. American Heritage Dictionary, 5th ed.「score」「dozen」「eclipse」ahdictionary.com
  4. Bosworth & Toller, An Anglo-Saxon Dictionary Online(Charles University, 2014)「hund-」「hund-twelftig」bosworthtoller.com
  5. Cleasby & Vigfusson (1874) An Icelandic-English Dictionary, Clarendon Press「hundrað」「tólf-ræðr」archive.org

本館

マジカ!?サイエンスで読む、ことばの研究

論文でウラ取りした科学の「マジか!?」。言語・脳・学習の研究も

マジカ!?サイエンスのトップへ →