今日の見出しから
まだ確かめられていないことを、ニュースは言い切りません。そのとき見出しに付くのが、今日の「慎重語」です。同じ逮捕のニュースでも、媒体によって選ぶ語が違っていました。
「疑い」を表す語が出てきた見出し
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Former German spy chief arrested over alleged espionage and treason
ABC News (Australia)
alleged espionage で「スパイ行為をしたとされる疑い」。罪の名前の前に alleged を置く形です。
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Former German spy chief arrested on suspicion of treason and espionage
Al Jazeera
同じ出来事を on suspicion of で。「〜の疑いで(逮捕)」は、この形がいちばんの定番です。
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What we know about Russia’s suspected plague case
Al Jazeera
病気にも suspected。「ペストと疑われる例」で、検査で確定する前の段階を表します。
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Rubio calls on Russia to disclose more about potential plague case
The Washington Post
こちらは potential。「ペストの可能性がある例」と、疑いをさらに控えめに伝えています。
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Russia plays down reported plague lab death and says, trust us
CBS News
reported は「報じられている」。ほかの報道や発表でそう伝えられている、という距離の置き方です。
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Alleged Chinese agent makes federal court appearance
CBS News
人を表す名詞の前の Alleged。「〜だとされる人物」で、裁判で決まるまで言い切らない書き方です。
なぜこの語なのか
alleged は動詞 allege(まだ証明しないまま主張する)の過去分詞です。the alleged thief は「泥棒だと言われている人」。つまり「誰かがそう主張しているが、まだ証明されていない」という意味で、名詞の allegation(申し立て・疑惑)も同じ仲間です。
suspected は suspect(疑う)から来ていて、「〜だと疑われている」。こちらは警察や当局、医師などが「そうではないか」と見ている段階を表します。犯罪だけでなく、suspected plague case のように病気や事故の原因にも気軽に使えるのが alleged との違いです。
ここを押さえる
ニュースでは、裁判で有罪が決まるまでは罪を言い切らないのが原則です。だから見出しには alleged や suspected が何度も出てきます。これらの語を見たら「まだ確定していない」と、頭の中で一度ブレーキをかけて読みましょう。
使い分け
| 言い方 | 語感 | よく出る場面 |
|---|---|---|
| alleged | 誰かがそう主張している。まだ証明されていない | alleged fraud、the alleged attacker、裁判や告発 |
| suspected | 当局などがそうではないかと疑っている | suspected plague case、suspected arson、捜査や検査の途中 |
| on suspicion of | 〜の疑いで(逮捕・拘束される) | arrested on suspicion of murder、逮捕の見出しの定番 |
| potential | そうなる・そうである可能性がある | potential case、potential threat、疑いよりさらに控えめ |
| reported | そう報じられている。出どころはほかの報道や発表 | reported death、reported talks、ほかの報道を受けて |
見出しはこう読む
- 1形容詞は名詞の直前に
alleged espionage、suspected plague caseのように、慎重語は疑われている中身の直前に置かれます。どこまでが「疑い」なのかは、その後ろの名詞を見れば分かります。 - 2arrested は受け身
spy chief arrested on suspicion of ~は、is が省かれた受け身です。「元トップが〜の疑いで逮捕された」と読みます。 - 3over は「〜をめぐって」
arrested over alleged espionageの over は「上に」ではなく「〜をめぐって・〜のことで」。見出しで理由や原因を短く示す前置詞です。 - 4大文字の Alleged は文頭なだけ
Alleged Chinese agent ~のように見出しの先頭に来ると大文字になりますが、意味は同じ「〜だとされる」です。
使ってみる
「疑い」を表す例文
Police arrested a man on suspicion of theft.
警察は窃盗の疑いで男を逮捕した。
逮捕の見出しの定番、on suspicion of です。
The alleged victim told her story to the court.
被害を受けたとされる女性は、法廷で自分の話をした。
alleged は加害者だけでなく、被害者にも使います。
Doctors are testing a suspected case of measles.
医師たちは、はしかの疑いがある例を検査している。
病気の suspected case は「疑い例」。確定すると confirmed case になります。
The company denied the allegations.
その会社は疑惑を否定した。
alleged の名詞 allegation は、deny と組むのが定番です。
Officials are looking into a potential problem with the software.
当局者は、そのソフトに問題がある可能性を調べている。
potential は「疑い」よりもっと手前の「可能性」です。
I suspect my brother ate the last piece of cake.
最後のケーキを食べたのは弟じゃないかと思う。
動詞の suspect は「(たぶん〜だと)疑う」。日常会話でも使えます。
今日の関連語
まだ確定していないことを伝える語10語
- 法律中級 alleged ~とされる、疑いのある 例文・豆知識を読む ›
- 法律中級 allegation 疑惑、申し立て、主張 例文・豆知識を読む ›
- 法律初級 suspect 容疑者、疑う 例文・豆知識を読む ›
- 法律初級 accused of ~の罪に問われている、~したとして非難されている 例文・豆知識を読む ›
- 社会中級 reportedly 伝えられるところによると、報道によれば 例文・豆知識を読む ›
- 社会中級 unconfirmed reports 未確認情報、確認されていない報道 例文・豆知識を読む ›
- 法律中級 deny the allegations 容疑を否認する、疑惑を否定する 例文・豆知識を読む ›
- 法律上級 presumption of innocence 推定無罪、無罪推定の原則 例文・豆知識を読む ›
- 法律中級 treason 反逆罪、国家反逆 例文・豆知識を読む ›
- 医療上級 pneumonic plague 肺ペスト 例文・豆知識を読む ›
今日の1問
Q1In the headline 'Man held on suspicion of fraud', what does 'on suspicion of fraud' tell us?
見出し 'Man held on suspicion of fraud' の on suspicion of fraud から分かることはどれですか。
on suspicion of は「〜の疑いで」。有罪が決まったわけではありません。held は「(身柄を)拘束された」で、見出しでは arrested の代わりによく使われる短い語です。
今日の一言
alleged は「そう言われている」、suspected は「そう疑われている」、potential は「その可能性がある」。見出しのこの小さな1語が、どこまでが確かな話なのかを教えてくれます。同じ出来事の見出しを並べて、言い切りの強さを比べてみましょう。