WHY NOW
いま話題になっている理由
トランプ大統領がウォール・ストリート・ジャーナル紙などを訴えた名誉毀損の裁判で、マイアミの連邦地裁の判事が現地時間10月31日、訴えを退けた。英字ニュースの見出しには dismissed with prejudice という言い方が並んだ。この prejudice は「偏見」ではなく、「同じ訴えをもう一度起こすことは認めない」という法律の言い方。アメリカの裁判のニュースで必ず出てくるので押さえておきたい。
出し直しを認めない
dismiss a lawsuit は「訴えを退ける」。そこに with prejudice がつくと、原告は同じ請求で裁判を起こし直せない、という意味になる。逆の without prejudice は「今回は退けるが、書き直して出し直すことはできる」。日本の報道では「再提訴できない形で棄却」のように訳されることが多い。
今回は2回目の判断
同じ判事は2026年4月にこの訴えを一度退けたが、そのときは without prejudice で、訴状を書き直して出し直す機会が与えられていた。トランプ大統領側は修正した訴状を出し、今回それが with prejudice で退けられた。見出しに with prejudice とわざわざ書かれたのは、この違いがニュースの中心だからだ。
toss と throw out
今回の見出しでは、同じことを dismiss のほか、toss(放り出す)や throw out(投げ捨てる)でも表している。toss と throw out は見出しでよく使われるくだけた言い方で、意味は dismiss と同じ「訴えを退ける」。loses legal battle(裁判で負ける)のように、結果の側から書いた見出しもある。
法律の prejudice は「不利益」
prejudice はふつう「偏見」だが、法律英語では「(権利への)不利益・損害」という意味で使う。with prejudice は「原告の権利に不利益を残して」、つまり請求の権利を失わせる形で、という感覚。契約や交渉の文書に出る without prejudice to ...(…の権利を損なうことなく)も同じ使い方だ。