🔍

エビデンス早見表

英語の指導法について、たくさんの研究をまとめた「メタ分析」の結果を一覧に。効果量の数字は、すべて元論文の要旨・本文で確かめた値です。

効果量(d や g)の目安:第二言語の研究では、グループ間の比較でおよそ 0.4 で小、0.7 で中、1.0 で大 と読むのがよいとされます(分野によって基準はちがいます)。論文の読み方をくわしく →
テーマわかったこと効果量・主な数値研究数人数強さ出典
多読
多読は読解力を伸ばす?
34研究のメタ分析。多読をした群はしない群より読解力が伸び、効果は中程度(前後比較では d = 0.71)。d = 0.46343,942★★★Nakanishi (2015)
解説 →
多読
多読はどんな条件で効きやすい?
49研究・71サンプル。効果は小〜中。外国語環境(EFL)、大人、授業カリキュラムに組みこんだ多読で効果が大きい。―495,919★★★Jeon & Day (2016)
解説 →
明示的文法指導
文法ははっきり説明して教えたほうがいい?
49研究。焦点を絞った指導は大きな効果があり、明示的な指導は暗示的な指導より効果的。フォーカス・オン・フォームとフォームズの効果は同程度で、効果は持続した。―49―★★★Norris & Ortega (2000)
解説 →
明示的文法指導
やさしい文法も難しい文法も、明示的指導が効く?
41研究。単純な項目でも複雑な項目でも、明示的指導のほうが暗示的指導より効果量が大きかった。自由な発話での使用にもプラス。―41―★★★Spada & Tomita (2010)
解説 →
形式重視の指導
35年分の文法指導研究をまとめると?
54研究・5,051人。指導全体として大きな効果。明示と暗示の差は小さく、測り方・開始時の習熟度・研究環境・指導の強さで効果が変わる。g = 1.06545,051★★★Kang et al. (2019)
解説 →
インプット強化
太字や下線で文法を目立たせると身につく?
16研究(20サンプル)。強調ありの文章を読んだ群は、強調なしの群をわずかに上回るだけ。内容理解にはむしろ小さなマイナス(d = −0.26)。d = 0.2216―★Lee & Huang (2008)
解説 →
口頭の誤り訂正
授業中の口頭の訂正は効く?
教室研究15本・827人。訂正には有意で持続する効果。リキャスト(言い直し)よりプロンプト(自分で直させる)の効果が大きく、年少の学習者ほど効果が大きかった。―15827★★★Lyster & Saito (2010)
解説 →
誤り訂正
誤り訂正の効果は長続きする?
33研究。全体で中程度の効果があり、時間がたっても維持された。暗示的な訂正の効果のほうが長く保たれ、外国語環境(EFL)で効果が大きかった。―33―★★★Li (2010)
解説 →
誤り訂正の実態
先生は実際どんな訂正をしている?
教室観察研究を集計すると、訂正の57%がリキャスト、30%がプロンプト。訂正の対象は文法の誤りが最も多い(43%)。リキャスト 57%――★★Brown (2016)
解説 →
筆記の誤り訂正(添削)
英作文の添削は正確さを高める?
21研究。添削で文法的な正確さは高まるが、習熟度・学習環境・書く課題のジャンルによって効果が変わる。―21―★★Kang & Han (2015)
解説 →
筆記の誤り訂正(添削)
添削はむしろ役に立たない?
添削否定派の代表的なメタ分析。最良の推定は「小さなマイナス」で、効果があってもごく小さいと主張。後のメタ分析(Kang & Han 2015、Brown ら 2023)とは結論が分かれる。―――★Truscott (2007)
解説 →
筆記の誤り訂正(添削)
添削の効果は長続きする?
対照群のある52研究をベイズ法で統合。中程度の効果が長期まで続く。直接・間接・メタ言語的など添削の種類による差は小さい。―52―★★★Brown et al. (2023)
解説 →
ピア・フィードバック
生徒どうしのコメントで英作文は良くなる?
26研究。全体として中程度以上のプラス。先生のフィードバックや自己推敲との差は見られなかった(比較した研究は少ない)。言語面より内容面に効きやすい。d = 0.7326―★★Vuogan & Li (2023)
解説 →
インタラクション
チャットでのやり取りでも対面と同じように学べる?
14研究。対面でもオンライン(文字チャット等)でも、やり取りは第二言語の発達にプラス。両者のあいだに有意な差はなかった。―14―★★Ziegler (2016)
解説 →
TBLT
タスク中心の授業をプログラムとして行うと効く?
52研究。TBLT のプログラムは多様な学習成果に強いプラスの効果。関係者(学習者・教師)の受け止めもおおむね好意的。d = 0.9352―★★Bryfonski & McKay (2019)
解説 →
語彙の意図的学習
単語カードや単語リストで覚えた語はどれくらい残る?
22研究・100効果量。意味が言える語は直後で平均60.1%、遅延テストで39.4%。綴りが書ける語は直後58.5%→遅延25.1%。活動によって差が大きい。60.1%(直後・意味の再生)22―★★★Webb et al. (2020)
解説 →
語彙の偶発的学習
読む・聞くだけで単語はどれくらい覚えられる?
24研究・2,771人。全体の効果は大きいが、覚えられる語の割合は直後9〜18%、遅延6〜17%。読む・聞く・読みながら聞くは同程度で、映像視聴は少なめ。9〜18%(直後)242,771★★★Webb et al. (2023)
解説 →
語彙の偶発的学習
何回出会えば単語は覚えられる?
26研究・1,918人。出会う回数と習得には中程度の相関。年齢・既有の語彙量・間隔・視覚的な支えなどで強さが変わる。r = .34261,918★★★Uchihara et al. (2019)
解説 →
先生の語彙説明
単語の意味は英語で説明?日本語で説明?
14研究・36サンプル・3,304人。先生の口頭説明は語彙の習得を助け、母語での説明のほうが第二言語での説明より効果的(直後・遅延とも)。―143,304★★Lee & Lee (2022)
解説 →
間隔学習
間をあけて復習すると覚えやすい?
48実験・3,411人。間隔をあけた練習は中〜大の効果。遅延テストでは間隔が長いほうが有利。等間隔と「だんだん広げる間隔」は同等。―483,411★★★Kim & Webb (2022)
解説 →
想起練習(テスト効果)
小テストで思い出す練習は効く?
教育全般のメタ分析。練習テストは読み直しなど他の学習法より学習に有利。効果はテストの形式や参加者などで変わる(第二言語に限った研究ではない)。―――★★★Adesope et al. (2017)
解説 →
読解力の土台
英語の読解力と一番関係が強いのは?
読解力との相関は、文法知識 r = .85、語彙知識 r = .79、文字・単語の読み取り(デコーディング)r = .56。メタ認知は r = .32 と弱め。r = .85(文法知識)――★★★Jeon & Yamashita (2014)
解説 →
発音指導
発音は教えて伸びる?
86本。全体として大きな効果(集団内 d = 0.89)。指導が長い、フィードバックがある、統制された測定のときに効果が大きい。d = 0.80(群間)86―★★★Lee et al. (2015)
解説 →
学習方略の指導
学習方略(勉強のしかた)は教えて効く?
61研究・95サンプル。小〜中の効果。方略の種類と数、第二言語か外国語か、指導期間で効果が変わる。d = 0.4961―★★Plonsky (2011)
解説 →
リスニング方略
リスニングのコツ(方略)は教えて効く?
45研究・51サンプル。中程度の効果。学習環境・指導の種類・測り方で効果が変わる。d = 0.6945―★★Dalman & Plonsky (2022)
解説 →
字幕つき動画
英語字幕つきの動画はリスニングと語彙に効く?
18研究。英語字幕はリスニング理解(15研究)にも語彙学習(10研究)にも大きな効果。習熟度による差は見られなかった。―18―★★Montero Perez et al. (2013)
解説 →
字幕つき動画
字幕つきで見ると単語は覚えやすい?
49研究・89効果量。字幕ありで見た群は字幕なしの群より語彙の伸びが大きく、効果は中程度。学校段階・動画の対象者などで変わる。g = 0.5649―★★Kurokawa et al. (2024)
解説 →
CALL
コンピュータを使う語学学習は効く?
37研究・52効果量(1970〜2006年)。技術を使う指導は使わない指導と同等以上で、効果は小さいがプラス。厳密なデザインの研究では CALL 群が上回った。―37―★★Grgurović et al. (2013)
解説 →
MALL(モバイル学習)
スマホでの単語学習は効く?
33研究。モバイル端末での単語学習には大きなプラスの効果。SMS型がアプリ型より有利だったが、条件がそろっておらず暫定的な結果。―33―★★Lin & Lin (2019)
解説 →
チャットボット・生成AI
チャットボットと話す練習は効く?
28研究・70効果量。チャットボットを使った群は使わない群より成績が伸びた。学校段階・習熟度・画面の設計・やり取りの能力で効果が変わる。g = 0.4828―★★Wang et al. (2024)
解説 →
コーパス活用(データ駆動型学習)
コーパス(用例検索)を使う学習は効く?
64研究・88サンプル。群間比較で大きな効果(前後比較では d = 1.50)。小さい効果は小規模な研究に多い。遅延テストの研究はまだ少ない。d = 0.9564―★★Boulton & Cobb (2017)
解説 →
協同学習
グループで協力する学習は効く?
1995年以降の実際の教室での研究65本。協同学習は学力と態度にプラス。教科・年齢・文化で効果が変わる。外国語に限った研究ではない。―65―★★Kyndt et al. (2013)
解説 →
PBL(問題解決型学習)
PBL は英語の授業で効く?
36研究・41データ。全体の効果量は g = 1.067 で大きいと報告。技能によって効果が変わり、出版バイアスは見られなかったとしている。g = 1.06736―★★Orhan (2024)
解説 →
反転授業
反転授業は語学で効く?
56本・61サンプル・4,220人。従来型より大きな効果だが、ばらつきが大きく、出版バイアスを補正すると g = 0.58 に縮む。SSCI 誌以外の研究ほど効果が大きい。g = 0.99564,220★★Vitta & Al-Hoorie (2023)
解説 →
CLIL
CLIL(英語で教科を学ぶ)で英語力は伸びる?
中等教育の38研究・44サンプル・7,434人。短期で d = 0.73、長期で d = 1.01。ただし両群の等質性を確かめた研究や、話す・書く力では効果が小さい。d = 0.73(短期)387,434★★Lee et al. (2023)
解説 →
CLIL
CLIL で教科内容の学びは減らない?
中等教育の21研究・29サンプル・約3万7千人。教科内容の学びは通常授業とほぼ同じで、有意な差はなかった(推定値 0.09、p = .40。効果量の種類は要旨に書かれていない)。―2136,905★★Kaiypova et al. (2025)
解説 →
ゲーミフィケーション
ポイントやバッジなどのゲーム要素は学習に効く?
教育全般のメタ分析。学力など認知面 g = .49、動機づけ g = .36、行動 g = .25。認知面の効果は厳密な研究でも安定。語学に限った研究ではない。g = 0.49(認知面)191,686★★Sailer & Homner (2020)
解説 →
外国語不安
不安が強いと成績は下がる?
97報告・105サンプル・19,933人(23か国)。不安と成績には中程度の負の相関。成績の測り方・学校段階・不安の種類で強さが変わる。r = −.369719,933★★★Teimouri et al. (2019)
解説 →
WTC(話そうとする気持ち)
話そうとする気持ちと関係が深いのは?
WTC は、自分のコミュニケーション能力への自信・不安・動機づけのいずれとも中程度の相関。最も強いのは自信。―――★★Elahi Shirvan et al. (2019)
解説 →
動機づけ
「理想の英語を話す自分」をもつと伸びる?
32報告・39サンプル・32,078人。理想の L2 自己は「頑張るつもり」とは r = .61 と強く関係するが、実際の成績との関係は r = .20 にとどまる。r = .20(成績)3232,078★★Al-Hoorie (2018)
解説 →
言語適性
言語適性は文法の習得にどれくらい関係する?
33報告・3,106人。適性と文法習得は中程度の相関。高校生や、明示的な指導を受けるときに関係が強い。r = .31333,106★★Li (2015)
解説 →
ワーキングメモリ
ワーキングメモリは英語力に関係する?
79サンプル・3,707人。ワーキングメモリは第二言語の理解・産出の両方と正の関係。記憶の保持より、注意を切り替える実行機能の要素で関係が強い。ρ = .255793,707★★★Linck et al. (2014)
解説 →
開始年齢
早く始めたほうが文法は身につく?
群比較26サンプルでは d = 0.46、相関研究20サンプルでは Zr = −0.40。開始年齢と文法力の関連は小〜中で、第二言語環境か外国語環境か、テストの条件(時間制限・音声か文字か)で変わる。d = 0.4626―★Qureshi (2016)
解説 →
ルーブリック
ルーブリックを使うと成績は上がる?
出版バイアスの補正後、学業成績に中程度のプラス。自己調整学習(g = 0.23)と自己効力感(g = 0.18)への効果は小さい。教育全般のメタ分析。g = 0.4521―★★Panadero et al. (2023)
解説 →
学習スタイル
「視覚型・聴覚型」に合わせて教えると伸びる?
好みのスタイルがあることは確かだが、スタイルに合わせると伸びることを示す適切な実験の証拠はほとんどない、と結論した総説。―――★★Pashler et al. (2008)
解説 →

※ %は割合、r・ρは相関を表し、d・gとは直接比較できません。効果量は研究デザイン(対照群との比較か、事前・事後の比較か)や測り方で大きく変わります。数字だけで指導法の優劣を決めず、各ページの解説もあわせてご覧ください。