Chang'e Flies to the Moon(月へのぼった嫦娥)の挿絵
Level 3 Pre-Intermediate世界の民話

Chang'e Flies to the Moon

月へのぼった嫦娥

  • 📖 820 words
  • ⏱ 約7分
  • YL 1.5–2.4
  • 英検準2級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ10個の太陽が空にのぼり、大地が焼けてしまいそうになったとき、弓の名人后羿(こうげい)が立ち上がりました。英雄となった彼とその妻・嫦娥(じょうが)の前に、ふしぎな薬があらわれます。中秋節のはじまりとされる物語です。

中国の伝説

キーワード(8語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • archer弓の名人
  • elixirふしぎな薬(不老不死の薬)
  • immortal不死の
  • palace宮殿
  • mooncakes月餅(げっぺい)
  • festival祭り
  • bow弓
  • swallow飲みこむ

🔊 音声は準備中です。もうしばらくお待ちください。

A very long time ago in China, there were ten suns. They were the sons of the god of the east, and they lived in a huge tree beyond the sea. Every day, one sun took a turn to cross the sky, and the other nine rested. In this way, the Earth was warm, but not too hot.

ずっとずっとむかし、中国には十の太陽がありました。太陽はみな東の神の息子で、海のかなたにある巨大な木に住んでいました。毎日、太陽が一つずつ順番に空を渡り、ほかの九つは休んでいました。ですから地上は暖かく、それでいて暑すぎることはありませんでした。

But one day, the ten suns grew bored. "Let's all go up into the sky together," they said. "It will be fun!" So all ten of them rose into the sky at the same time.

ところがある日、十の太陽たちは退屈してしまいました。「みんなで一緒に空へのぼろうよ」と、太陽たちは言いました。「きっと楽しいぞ!」 そこで十の太陽はみんな、いっせいに空へのぼっていきました。

On Earth, it was a disaster. The heat was terrible. Rivers dried up, plants died, and the ground cracked. People hid in caves, and many of them died from hunger and thirst. The suns only laughed and played.

地上では大変なことになりました。暑さはすさまじいものでした。川は干上がり、草木はかれ、地面はひび割れました。人々は洞穴にかくれましたが、その多くが飢えとのどのかわきで死んでいきました。太陽たちはただ笑って遊んでいるだけでした。

At that time, there lived a great archer named Hou Yi. He was the best archer in the world, and he was strong and brave. The emperor asked him to save the people. Hou Yi climbed to the top of a high mountain. He took his red bow and his white arrows. He shouted at the suns, "Go back! Only one of you may stay in the sky!" But the suns did not listen.

そのころ、后羿(ホウイー)という偉大な弓の名人がいました。世界一の弓の名手で、力が強く勇敢でした。皇帝は后羿に、人々を救ってくれとたのみました。后羿は高い山の頂上に登りました。赤い弓と白い矢を手に取りました。そして太陽たちに向かってさけびました。「帰れ! 空に残っていいのは、おまえたちのうち一つだけだ!」 けれども太陽たちは耳を貸しませんでした。

So Hou Yi pulled his bow and shot. One sun fell from the sky and turned into a three-legged black crow. He shot again, and another fell. One by one, he shot down nine of the suns. When he was about to shoot the last one, the people cried, "Stop! We need one sun for light and warmth!" So Hou Yi put down his bow. Only one sun was left, and it has crossed the sky alone ever since.

そこで后羿は弓を引きしぼって射ました。太陽が一つ空から落ち、三本足の黒いカラスに変わりました。もう一度射ると、また一つ落ちました。一つ、また一つと、后羿は九つの太陽を射落としました。最後の一つを射ようとしたとき、人々がさけびました。「やめてください! 光と暖かさのために、太陽は一つ必要なのです!」 そこで后羿は弓を下ろしました。太陽は一つだけ残りました。それ以来、その太陽がひとりで空を渡っているのです。

The people were saved, and Hou Yi became a great hero. He had a beautiful and kind wife named Chang'e, and they loved each other very much. Many people came to Hou Yi to learn how to shoot.

人々は救われ、后羿は偉大な英雄になりました。后羿には嫦娥(チャンオー)という美しくやさしい妻がいて、二人はとても愛し合っていました。大勢の人が、弓の射方を習いに后羿のもとへやって来ました。

One day, Hou Yi went to the Kunlun Mountains to visit the Queen Mother of the West, a powerful goddess. She was grateful to him for saving the world, so she gave him a special gift. It was a small bottle of elixir. "If you drink this," she said, "you will become immortal and rise up to heaven to live with the gods."

ある日、后羿は崑崙山へ、西王母をたずねていきました。西王母は力のある女神です。世界を救ってくれた后羿に感謝していたので、西王母は特別な贈り物をあたえました。仙薬の入った小さなびんです。「これを飲めば」と、西王母は言いました。「決して死なない体になり、天にのぼって神々と一緒に暮らせるでしょう」

But Hou Yi did not want to live forever without his wife. "There is only enough for one person," he thought. "I will not drink it." He went home and gave the bottle to Chang'e, and she hid it in a box in their bedroom.

けれども后羿は、妻をおいて自分だけ永遠に生きたいとは思いませんでした。「一人分しかない」と、后羿は考えました。「わたしは飲むまい」 家に帰ると、后羿はそのびんを嫦娥にわたしました。嫦娥はそれを寝室の箱の中にかくしました。

Among Hou Yi's students was a bad man named Peng Meng. He had seen the gift, and he wanted it for himself. One day, Hou Yi went out hunting with his other students. Peng Meng stayed at home, saying that he was sick. When Hou Yi had gone, Peng Meng took his sword and went into the house. "Give me the elixir!" he shouted at Chang'e.

后羿の弟子の中に、逢蒙(ポンモン)という悪い男がいました。逢蒙はその贈り物を見ていて、自分のものにしたいと思っていました。ある日、后羿はほかの弟子たちと狩りに出かけました。逢蒙は病気だと言って家に残りました。后羿が出かけてしまうと、逢蒙は剣を手に家の中へ入っていきました。「仙薬をよこせ!」と、逢蒙は嫦娥に向かってさけびました。

Chang'e knew that she could not fight him. But she could not let a bad man become immortal. So she took the bottle from its box, and before Peng Meng could stop her, she drank all of the elixir.

嫦娥には、自分では逢蒙と戦えないことが分かっていました。けれども、悪い男を不老不死にさせるわけにはいきません。そこで嫦娥は箱からびんを取り出し、逢蒙に止められる前に、仙薬をすっかり飲みほしてしまいました。

At once, her body became light, as light as a feather. Her feet left the floor. She floated out of the window and up into the sky. Higher and higher she went, past the clouds and into the night. She did not want to go far from her husband, so she chose to stop on the moon, the place in heaven that was nearest to the Earth.

たちまち、嫦娥の体は軽く、羽根のように軽くなりました。足が床からはなれました。嫦娥はふわりと窓から出て、空へとのぼっていきました。雲をこえ、夜空の中へ、高く高くのぼっていきました。夫から遠くはなれたくなかったので、嫦娥は月にとどまることにしました。月は、天の中でいちばん地上に近い場所だったのです。

When Hou Yi came home, he heard what had happened from the servants. Peng Meng had already run away. Hou Yi ran outside and looked up at the sky, calling his wife's name. The moon was very big and bright that night, and on it, he thought he could see the shape of Chang'e looking down at him.

后羿が家に帰ると、召し使いたちが何が起こったのかを話しました。逢蒙はもう逃げ去っていました。后羿は外へかけ出し、妻の名をよびながら空を見上げました。その夜、月はとても大きく明るく輝いていました。その月の上に、自分を見下ろしている嫦娥の姿が見えるような気がしました。

Hou Yi was very sad. He took a table into the garden, under the moon. On it he put Chang'e's favorite foods and fruits, and he lit candles and incense. He hoped that she could see them and know that he still loved her.

后羿はたいそう悲しみました。后羿は、月の光のさす庭に机を運び出しました。その上に嫦娥の好きだった料理や果物を並べ、ろうそくをともし、香をたきました。嫦娥がそれを見て、自分が今も嫦娥を愛していることを分かってくれるように、と願ったのです。

When the people heard the story, they did the same thing. They put out food and cakes under the full moon and prayed for Chang'e. They also prayed for good luck and for their families to be together.

この話を聞いた人々も、同じことをしました。満月の下に食べ物やお菓子をそなえ、嫦娥のために祈りました。また、幸運を祈り、家族が一緒にいられるようにと祈りました。

That is how the Mid-Autumn Festival began. Even today, on the fifteenth day of the eighth lunar month, when the moon is at its fullest and brightest, families in China and around the world get together. They eat round mooncakes and look up at the moon. Some people say that if you look carefully, you can still see Chang'e in her cold palace on the moon, with a white jade rabbit by her side to keep her company.

こうして中秋節が始まりました。今でも、旧暦の八月十五日、月がいちばん丸く明るくなる夜には、中国や世界じゅうの家族が集まります。人々は丸い月餅を食べ、月を見上げます。よく見れば、月の冷たい宮殿にいる嫦娥の姿が今も見える、と言う人もいます。そのそばには、話し相手の白い玉兎がいるそうです。

📖 全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

ずっとずっとむかし、中国には十の太陽がありました。太陽はみな東の神の息子で、海のかなたにある巨大な木に住んでいました。毎日、太陽が一つずつ順番に空を渡り、ほかの九つは休んでいました。ですから地上は暖かく、それでいて暑すぎることはありませんでした。

ところがある日、十の太陽たちは退屈してしまいました。「みんなで一緒に空へのぼろうよ」と、太陽たちは言いました。「きっと楽しいぞ!」 そこで十の太陽はみんな、いっせいに空へのぼっていきました。

地上では大変なことになりました。暑さはすさまじいものでした。川は干上がり、草木はかれ、地面はひび割れました。人々は洞穴にかくれましたが、その多くが飢えとのどのかわきで死んでいきました。太陽たちはただ笑って遊んでいるだけでした。

そのころ、后羿(ホウイー)という偉大な弓の名人がいました。世界一の弓の名手で、力が強く勇敢でした。皇帝は后羿に、人々を救ってくれとたのみました。后羿は高い山の頂上に登りました。赤い弓と白い矢を手に取りました。そして太陽たちに向かってさけびました。「帰れ! 空に残っていいのは、おまえたちのうち一つだけだ!」 けれども太陽たちは耳を貸しませんでした。

そこで后羿は弓を引きしぼって射ました。太陽が一つ空から落ち、三本足の黒いカラスに変わりました。もう一度射ると、また一つ落ちました。一つ、また一つと、后羿は九つの太陽を射落としました。最後の一つを射ようとしたとき、人々がさけびました。「やめてください! 光と暖かさのために、太陽は一つ必要なのです!」 そこで后羿は弓を下ろしました。太陽は一つだけ残りました。それ以来、その太陽がひとりで空を渡っているのです。

人々は救われ、后羿は偉大な英雄になりました。后羿には嫦娥(チャンオー)という美しくやさしい妻がいて、二人はとても愛し合っていました。大勢の人が、弓の射方を習いに后羿のもとへやって来ました。

ある日、后羿は崑崙山へ、西王母をたずねていきました。西王母は力のある女神です。世界を救ってくれた后羿に感謝していたので、西王母は特別な贈り物をあたえました。仙薬の入った小さなびんです。「これを飲めば」と、西王母は言いました。「決して死なない体になり、天にのぼって神々と一緒に暮らせるでしょう」

けれども后羿は、妻をおいて自分だけ永遠に生きたいとは思いませんでした。「一人分しかない」と、后羿は考えました。「わたしは飲むまい」 家に帰ると、后羿はそのびんを嫦娥にわたしました。嫦娥はそれを寝室の箱の中にかくしました。

后羿の弟子の中に、逢蒙(ポンモン)という悪い男がいました。逢蒙はその贈り物を見ていて、自分のものにしたいと思っていました。ある日、后羿はほかの弟子たちと狩りに出かけました。逢蒙は病気だと言って家に残りました。后羿が出かけてしまうと、逢蒙は剣を手に家の中へ入っていきました。「仙薬をよこせ!」と、逢蒙は嫦娥に向かってさけびました。

嫦娥には、自分では逢蒙と戦えないことが分かっていました。けれども、悪い男を不老不死にさせるわけにはいきません。そこで嫦娥は箱からびんを取り出し、逢蒙に止められる前に、仙薬をすっかり飲みほしてしまいました。

たちまち、嫦娥の体は軽く、羽根のように軽くなりました。足が床からはなれました。嫦娥はふわりと窓から出て、空へとのぼっていきました。雲をこえ、夜空の中へ、高く高くのぼっていきました。夫から遠くはなれたくなかったので、嫦娥は月にとどまることにしました。月は、天の中でいちばん地上に近い場所だったのです。

后羿が家に帰ると、召し使いたちが何が起こったのかを話しました。逢蒙はもう逃げ去っていました。后羿は外へかけ出し、妻の名をよびながら空を見上げました。その夜、月はとても大きく明るく輝いていました。その月の上に、自分を見下ろしている嫦娥の姿が見えるような気がしました。

后羿はたいそう悲しみました。后羿は、月の光のさす庭に机を運び出しました。その上に嫦娥の好きだった料理や果物を並べ、ろうそくをともし、香をたきました。嫦娥がそれを見て、自分が今も嫦娥を愛していることを分かってくれるように、と願ったのです。

この話を聞いた人々も、同じことをしました。満月の下に食べ物やお菓子をそなえ、嫦娥のために祈りました。また、幸運を祈り、家族が一緒にいられるようにと祈りました。

こうして中秋節が始まりました。今でも、旧暦の八月十五日、月がいちばん丸く明るくなる夜には、中国や世界じゅうの家族が集まります。人々は丸い月餅を食べ、月を見上げます。よく見れば、月の冷たい宮殿にいる嫦娥の姿が今も見える、と言う人もいます。そのそばには、話し相手の白い玉兎がいるそうです。

日本語訳:多読ベスト

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理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. What was the problem at the beginning of the story?

Q2. Why did Chang'e drink the elixir?

Q3. What did Hou Yi do when he looked at the moon?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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