The Gift of Failure(J・K・ローリングのハーバード大学スピーチの物語)の挿絵
Level 3 Pre-Intermediate英語の名スピーチ

The Gift of Failure

J・K・ローリングのハーバード大学スピーチの物語

  • 📖 514 words
  • ⏱ 約5分
  • YL 1.5–2.4
  • 英検準2級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ世界的ベストセラー作家が、名門大学の卒業生に選んだテーマは「失敗」と「想像力」でした。どん底を知る彼女が伝えたかったこととは。

J・K・ローリングのハーバード大学卒業式スピーチ(2008年)をもとにした多読ベストのオリジナル読み物(演説の原文は引用していません。短い一句のみ引用)

キーワード(9語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • graduates卒業生
  • fringe benefitsおまけの恩恵、付加的な利点
  • imagination想像力
  • practical実用的な
  • standards基準
  • pretendingふりをすること
  • will意志
  • empathy共感
  • responsibility責任

🔊 音声は準備中です。もうしばらくお待ちください。

On June 5, 2008, thousands of graduates of Harvard University, one of the most famous universities in the world, gathered for their graduation ceremony. The speaker that day was J.K. Rowling, the author of the Harry Potter books. By then, her books had sold hundreds of millions of copies around the world.

2008年6月5日、世界で最も有名な大学の一つ、ハーバード大学で卒業式が開かれ、何千人もの卒業生が集まりました。その日の講演者は、「ハリー・ポッター」シリーズの作者、J・K・ローリング。その本は、すでに世界中で何億部も売れていました。

Many people expected a speech about success. Instead, Rowling chose two surprising topics: the good side of failure, and the importance of imagination. She called the first one "the fringe benefits of failure," meaning the unexpected extra gifts that failure can bring.

多くの人は、成功の話を期待していました。ところがローリングが選んだのは、意外な二つのテーマでした。失敗のよい面と、想像力の大切さです。一つ目を、ローリングは「失敗の思わぬ恩恵」と呼びました。失敗が思いがけずもたらしてくれる、おまけの贈り物のことです。

She began by talking about her own life. As a young woman, she loved writing stories more than anything. But her parents had grown up poor, and they worried that writing would never pay the bills. They hoped she would study something practical. She went to university to study languages, partly to please them.

ローリングはまず、自分の人生について話しました。若いころは、何よりも物語を書くことが好きでした。けれども両親は貧しい家で育った人たちで、物を書いても生活費はかせげないと心配していました。何か実用的なことを学んでほしい、と願っていたのです。ローリングが大学で語学を学んだのは、両親を喜ばせたいという気持ちもあったからでした。

About seven years after she finished university, her life seemed to have fallen apart. Her short marriage had ended. She was a single mother with a baby, and she had no job. She was very poor. By ordinary standards, she said, she was the biggest failure she knew.

大学を出て7年ほどたったころ、ローリングの人生はすっかり崩れてしまったように見えました。短い結婚生活は終わり、赤ちゃんを抱えたシングルマザーで、仕事もありませんでした。ひどく貧しい暮らしでした。世間のものさしで測れば、自分は知っているかぎりで最大の失敗者だった、とローリングは言いました。

But failure, she explained, took away everything that was not important. She stopped pretending to be someone she was not. She put all her energy into the one thing that really mattered to her, which was writing. Hitting the lowest point of her life gave her a solid place on which to build again.

けれども失敗のおかげで、大切でないものがすべてはぎ取られた、とローリングは説明しました。自分ではないだれかのふりをするのをやめ、自分にとって本当に大切なただ一つのこと、つまり書くことに全力を注いだのです。人生のどん底に落ちたことで、そこから人生を建て直すための、かたい土台が手に入りました。

She also said that failure taught her things about herself that she could not have learned any other way. She found out that she had a strong will. She also learned who her true friends were.

また、失敗はほかのどんな方法でも学べなかった自分自身のことを教えてくれた、とも言いました。自分には強い意志があるとわかりました。本当の友だちがだれなのかも知りました。

Her second topic was imagination. She did not only mean the power to invent stories about wizards and magic. She meant the power to understand people whose lives are very different from our own.

二つ目のテーマは想像力でした。ローリングが言う想像力とは、魔法使いや魔法の物語を作り出す力だけではありません。自分とはまるで違う人生を送る人を理解する力のことでした。

In her early twenties, she had worked at the London office of Amnesty International, an organization that helps people who are put in prison or hurt because of their beliefs. She read letters written by people in countries ruled by cruel governments. She saw photos of people who had disappeared. She learned about people who had lost everything because they had spoken out.

20代のはじめ、ローリングはアムネスティ・インターナショナルのロンドン事務所で働いていました。信念のために投獄されたり、傷つけられたりした人々を助ける団体です。そこでローリングは、残酷な政府が支配する国の人々からの手紙を読みました。行方不明になった人々の写真を見ました。声を上げたためにすべてを失った人々のことを知りました。

That job taught her that imagination can lead to empathy, the ability to feel what others feel. People who choose not to imagine the pain of others, she warned, can allow terrible things to happen. She told the graduates that people with power and education, like them, have a special responsibility to use their imagination for others.

その仕事から学んだのは、想像力は共感につながる、ということでした。共感とは、他人が感じていることを感じとる力です。他人の痛みを想像しようとしない人は、恐ろしいことが起きるのを許してしまう、とローリングは警告しました。そして卒業生たちに語りかけました。あなたたちのように力を持ち、高い教育を受けた者には、他人のために想像力を使う特別な責任があるのです、と。

At the end, she shared a thought from an ancient Roman writer: a life is like a story, and what matters is not how long it is, but how good it is.

最後にローリングは、古代ローマの作家の言葉を紹介しました。人生は物語に似ている。大切なのは長さではなく、中身がどれだけよいかだ。

Many listeners found her honesty encouraging. Few people expect a world-famous writer to talk so openly about being a failure. Her speech reminds us that failure is not the end of the story. Sometimes, it is where the best part begins.

多くの聞き手が、その正直さに勇気づけられました。世界的に有名な作家が、自分は失敗者だったとこれほど率直に語るとは、ほとんどだれも思っていなかったのです。このスピーチは、失敗は物語の終わりではないことを、思い出させてくれます。ときには、そこからいちばんよいところが始まるのです。

📖 全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

2008年6月5日、世界で最も有名な大学の一つ、ハーバード大学で卒業式が開かれ、何千人もの卒業生が集まりました。その日の講演者は、「ハリー・ポッター」シリーズの作者、J・K・ローリング。その本は、すでに世界中で何億部も売れていました。

多くの人は、成功の話を期待していました。ところがローリングが選んだのは、意外な二つのテーマでした。失敗のよい面と、想像力の大切さです。一つ目を、ローリングは「失敗の思わぬ恩恵」と呼びました。失敗が思いがけずもたらしてくれる、おまけの贈り物のことです。

ローリングはまず、自分の人生について話しました。若いころは、何よりも物語を書くことが好きでした。けれども両親は貧しい家で育った人たちで、物を書いても生活費はかせげないと心配していました。何か実用的なことを学んでほしい、と願っていたのです。ローリングが大学で語学を学んだのは、両親を喜ばせたいという気持ちもあったからでした。

大学を出て7年ほどたったころ、ローリングの人生はすっかり崩れてしまったように見えました。短い結婚生活は終わり、赤ちゃんを抱えたシングルマザーで、仕事もありませんでした。ひどく貧しい暮らしでした。世間のものさしで測れば、自分は知っているかぎりで最大の失敗者だった、とローリングは言いました。

けれども失敗のおかげで、大切でないものがすべてはぎ取られた、とローリングは説明しました。自分ではないだれかのふりをするのをやめ、自分にとって本当に大切なただ一つのこと、つまり書くことに全力を注いだのです。人生のどん底に落ちたことで、そこから人生を建て直すための、かたい土台が手に入りました。

また、失敗はほかのどんな方法でも学べなかった自分自身のことを教えてくれた、とも言いました。自分には強い意志があるとわかりました。本当の友だちがだれなのかも知りました。

二つ目のテーマは想像力でした。ローリングが言う想像力とは、魔法使いや魔法の物語を作り出す力だけではありません。自分とはまるで違う人生を送る人を理解する力のことでした。

20代のはじめ、ローリングはアムネスティ・インターナショナルのロンドン事務所で働いていました。信念のために投獄されたり、傷つけられたりした人々を助ける団体です。そこでローリングは、残酷な政府が支配する国の人々からの手紙を読みました。行方不明になった人々の写真を見ました。声を上げたためにすべてを失った人々のことを知りました。

その仕事から学んだのは、想像力は共感につながる、ということでした。共感とは、他人が感じていることを感じとる力です。他人の痛みを想像しようとしない人は、恐ろしいことが起きるのを許してしまう、とローリングは警告しました。そして卒業生たちに語りかけました。あなたたちのように力を持ち、高い教育を受けた者には、他人のために想像力を使う特別な責任があるのです、と。

最後にローリングは、古代ローマの作家の言葉を紹介しました。人生は物語に似ている。大切なのは長さではなく、中身がどれだけよいかだ。

多くの聞き手が、その正直さに勇気づけられました。世界的に有名な作家が、自分は失敗者だったとこれほど率直に語るとは、ほとんどだれも思っていなかったのです。このスピーチは、失敗は物語の終わりではないことを、思い出させてくれます。ときには、そこからいちばんよいところが始まるのです。

日本語訳:多読ベスト

押すと、この端末の読書記録(100万語メーター)に語数が加わります。

このお話の教訓 Moral

タップして見る

Failure can clear the way to what truly matters, and imagination can help us care for others.

失敗は本当に大切なものへの道を開き、想像力は他人を思いやる助けになる。

理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. What two topics did Rowling talk about?

Q2. Where did Rowling work in her early twenties?

Q3. According to Rowling, what can imagination lead to?

🎥 本物を見る・聞く 実際のスピーチ

🎥 映像・Harvard UniversityJ.K. Rowling Harvard Commencement Speech | Harvard University Commencement 2008ハーバード大学公式。2008年の卒業式でのJ・K・ローリングのスピーチ全体(約24分)

外部サイト(YouTube など)が新しいタブで開きます。読み終わってから見るのがおすすめ。

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

次に読む

Level 3 の読み物をもっと見る →