Nothing to Fear(フランクリン・ルーズベルト「恐れるべきものは恐れそのもの」の物語)の挿絵
Level 3 Pre-Intermediate英語の名スピーチ

Nothing to Fear

フランクリン・ルーズベルト「恐れるべきものは恐れそのもの」の物語

  • 📖 473 words
  • ⏱ 約4分
  • YL 1.5–2.4
  • 英検準2級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ4人に1人が仕事を失い、銀行がつぎつぎと閉まっていった大恐慌のアメリカ。新しい大統領は、不安でいっぱいの国民に何を語ったのでしょうか。

フランクリン・D・ルーズベルト大統領の第1期就任演説(1933年)をもとにした多読ベストのオリジナル読み物(演説の一節を引用。米国大統領の公式演説で著作権はありません)

キーワード(9語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • stock market株式市場
  • crashed暴落した
  • depression不況、恐慌
  • shacks小屋、掘っ立て小屋
  • savings貯金
  • polioポリオ(小児まひ)
  • braces補装具
  • Capitol(アメリカの)連邦議会議事堂
  • fireside chats炉辺談話(ラジオでの語りかけ)

🔊 音声は準備中です。もうしばらくお待ちください。

In October 1929, prices on the stock market in New York suddenly crashed. It was the start of the Great Depression, the worst economic crisis of the twentieth century. By 1933, about one out of every four American workers had no job. Farmers lost their land. Many families lost their homes and lived in small shacks made of boxes and metal.

1929年10月、ニューヨークの株式市場で株価が突然暴落しました。20世紀最悪の経済危機、大恐慌の始まりです。1933年には、アメリカの労働者のおよそ4人に1人が職を失っていました。農民は土地を失いました。多くの家族が家を失い、箱やトタンで作った小さな小屋で暮らしました。

Banks were also in trouble. People were afraid that their banks would close and their savings would disappear, so they rushed to take out their money. But this made even more banks close. By early 1933, many states had closed their banks completely.

銀行も危機に陥っていました。人々は、銀行がつぶれて貯金が消えてしまうのを恐れ、われ先にとお金を引き出しに走りました。ところが、そのせいでさらに多くの銀行がつぶれてしまいます。1933年のはじめには、銀行を完全に閉めてしまった州もたくさんありました。

On March 4, 1933, Franklin Delano Roosevelt became the new president. He was fifty-one years old. About twelve years before, he had become sick with polio, and he could no longer walk without help. He wore heavy metal braces on his legs. He knew from his own life what it meant to fight against fear and difficulty.

1933年3月4日、フランクリン・デラノ・ルーズベルトが新しい大統領に就任しました。51歳でした。その12年ほど前にポリオにかかり、人の助けなしには歩けなくなっていました。両足には、重い金属の補装具をつけていました。恐れや困難と戦うとはどういうことか、身をもって知っていたのです。

It was a cold, grey day in Washington. A large crowd stood in front of the Capitol building. Millions more listened on the radio at home. Everyone wanted to know one thing: could the new president save the country?

その日のワシントンは、寒く、どんよりと曇っていました。議事堂の前には大勢の人が立っていました。さらに何百万人もの人が、家でラジオに耳を傾けていました。だれもが知りたいことは一つでした。この新しい大統領は、国を救えるのか。

Roosevelt began by promising to tell the truth. This was a time, he said, to speak honestly and boldly. Then he spoke the line that made the speech famous: "the only thing we have to fear is fear itself." He explained that fear without reason can freeze people and stop them from moving forward.

ルーズベルトはまず、真実を語ると約束しました。今こそ、正直に、大胆に語るべき時だ、と。そして、この演説を有名にした一文を口にします。「我々が恐れなければならない唯一のものは、恐れそのものである」。わけのない恐れは人をすくませ、前に進めなくしてしまう、とルーズベルトは説明しました。

He also promised quick action. "This Nation asks for action, and action now," he said. He even said that, if necessary, he would ask Congress for powers as great as those he would have if the country were attacked by a foreign enemy.

ルーズベルトは、すばやく行動することも約束しました。「この国は行動を求めている。それも、今すぐの行動を」。さらに、必要とあらば、外国の敵に攻めこまれたときと同じほど大きな権限を議会に求める、とまで言いました。

And he did act. Two days later, he closed all the banks in the country for several days, so that experts could check which ones were safe. On March 12, he spoke to the nation on the radio in a calm, friendly voice. He explained in simple words how banks worked and why it was safer to keep money in the reopened banks than under the bed. This was the first of his famous "fireside chats." When the banks opened again, many people brought their money back.

そして、言葉どおりに行動しました。2日後、国じゅうの銀行を数日間閉めさせ、どの銀行が安全かを専門家に調べさせたのです。3月12日には、ラジオで国民に語りかけました。落ち着いた、親しみのこもった声でした。銀行はどういう仕組みで動いているのか。お金はベッドの下にしまっておくより、再開した銀行に預けるほうが安全なのはなぜか。それを、わかりやすい言葉で説明したのです。これが、有名な「炉辺談話」の第1回でした。銀行が再開すると、多くの人がお金を預けに戻ってきました。

In his first hundred days, Roosevelt and Congress passed many new laws to create jobs and to help farmers and families. Together, these programs were called the New Deal. Not all of them worked, and people still argue about them today. The Depression did not truly end until World War Two. But many Americans began to feel hope again.

就任から100日のうちに、ルーズベルトと議会は、仕事を生み出し、農民や家族を助けるための新しい法律をいくつも成立させました。こうした政策をまとめて、ニューディールと呼びます。すべてがうまくいったわけではなく、その評価は今も分かれています。大恐慌が本当に終わったのは、第二次世界大戦になってからでした。それでも、多くのアメリカ人が再び希望を持ち始めたのです。

Roosevelt was elected president four times, more than anyone else in American history. His first speech is still remembered because it faced fear directly, and then turned words into action.

ルーズベルトは4回も大統領に選ばれました。アメリカの歴史上、最多です。最初の演説が今も記憶されているのは、恐れに正面から向き合い、その言葉を行動に移したからです。

📖 全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

1929年10月、ニューヨークの株式市場で株価が突然暴落しました。20世紀最悪の経済危機、大恐慌の始まりです。1933年には、アメリカの労働者のおよそ4人に1人が職を失っていました。農民は土地を失いました。多くの家族が家を失い、箱やトタンで作った小さな小屋で暮らしました。

銀行も危機に陥っていました。人々は、銀行がつぶれて貯金が消えてしまうのを恐れ、われ先にとお金を引き出しに走りました。ところが、そのせいでさらに多くの銀行がつぶれてしまいます。1933年のはじめには、銀行を完全に閉めてしまった州もたくさんありました。

1933年3月4日、フランクリン・デラノ・ルーズベルトが新しい大統領に就任しました。51歳でした。その12年ほど前にポリオにかかり、人の助けなしには歩けなくなっていました。両足には、重い金属の補装具をつけていました。恐れや困難と戦うとはどういうことか、身をもって知っていたのです。

その日のワシントンは、寒く、どんよりと曇っていました。議事堂の前には大勢の人が立っていました。さらに何百万人もの人が、家でラジオに耳を傾けていました。だれもが知りたいことは一つでした。この新しい大統領は、国を救えるのか。

ルーズベルトはまず、真実を語ると約束しました。今こそ、正直に、大胆に語るべき時だ、と。そして、この演説を有名にした一文を口にします。「我々が恐れなければならない唯一のものは、恐れそのものである」。わけのない恐れは人をすくませ、前に進めなくしてしまう、とルーズベルトは説明しました。

ルーズベルトは、すばやく行動することも約束しました。「この国は行動を求めている。それも、今すぐの行動を」。さらに、必要とあらば、外国の敵に攻めこまれたときと同じほど大きな権限を議会に求める、とまで言いました。

そして、言葉どおりに行動しました。2日後、国じゅうの銀行を数日間閉めさせ、どの銀行が安全かを専門家に調べさせたのです。3月12日には、ラジオで国民に語りかけました。落ち着いた、親しみのこもった声でした。銀行はどういう仕組みで動いているのか。お金はベッドの下にしまっておくより、再開した銀行に預けるほうが安全なのはなぜか。それを、わかりやすい言葉で説明したのです。これが、有名な「炉辺談話」の第1回でした。銀行が再開すると、多くの人がお金を預けに戻ってきました。

就任から100日のうちに、ルーズベルトと議会は、仕事を生み出し、農民や家族を助けるための新しい法律をいくつも成立させました。こうした政策をまとめて、ニューディールと呼びます。すべてがうまくいったわけではなく、その評価は今も分かれています。大恐慌が本当に終わったのは、第二次世界大戦になってからでした。それでも、多くのアメリカ人が再び希望を持ち始めたのです。

ルーズベルトは4回も大統領に選ばれました。アメリカの歴史上、最多です。最初の演説が今も記憶されているのは、恐れに正面から向き合い、その言葉を行動に移したからです。

日本語訳:多読ベスト

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このお話の教訓 Moral

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Fear can be the biggest problem of all; facing it calmly is the first step toward solving everything else.

恐れこそがいちばん大きな問題になることがある。落ち着いて向き合うことが、ほかのすべてを解決する第一歩だ。

理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. What was the Great Depression?

Q2. What did Roosevelt do two days after his speech?

Q3. What were the "fireside chats"?

🎥 本物を見る・聞く 実際のスピーチ

🎥 映像・FDRLibraryFDR Inaugural, 1933 -1フランクリン・ルーズベルト大統領図書館の記録映像。1933年の就任演説の抜粋で「恐れるべきものは恐れそのもの」の部分を含む(約7分)🎥 映像・C-SPAN's American History TVFranklin Roosevelt's First Inaugural Address (1933)C-SPAN(米国の議会・公共放送)の歴史番組による就任演説の映像(抜粋、約7分)

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この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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