Think Long, Then Trust Fully(よく考えてから、心から信じる)の挿絵

Think Long, Then Trust Fully

よく考えてから、心から信じる

  • 📖 841 words
  • ⏱ 約8分
  • 🔊 4:26
  • YL 2.5–3.4
  • 英検2級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ「この人は友だちだけど、大事な話はしないでね」――そんな手紙を受け取ったセネカは、本当の友情とは何かを語りはじめます。

セネカ『ルキリウスへの手紙(倫理書簡集)』第3書簡「真の友情と偽りの友情について」(紀元65年ごろ)をもとに

キーワード(8語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • looselyいいかげんに、ゆるい意味で
  • judge見きわめる、判断する
  • loyal誠実な、裏切らない
  • suspicious疑い深い
  • permission許可
  • innocent悪気のない、無邪気な
  • restless落ち着きのない
  • lazinessなまけること
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One day, the Roman thinker Seneca received a letter from his younger friend Lucilius. The letter was delivered by a man whom Lucilius called "a friend." But in the very next sentence, Lucilius warned Seneca not to discuss everything with this man, because even Lucilius himself did not do that.

ある日、ローマの思想家セネカのもとに、年下の友人ルキリウスから手紙が届きました。手紙を運んできたのは、ルキリウスが「友人」と呼ぶ男でした。ところがルキリウスは、そのすぐあとの文で、この男には何でも話さないように、と注意していました。ルキリウス自身も、そうはしていないから、というのです。

Seneca noticed the problem right away. In the same letter, Lucilius had said that the man was his friend and also, in a way, that he was not his friend. So Seneca wrote back with a lesson about what true friendship means.

セネカは、すぐにおかしな点に気づきました。同じ手紙の中で、ルキリウスはその男を友人だと言いながら、ある意味では友人ではない、とも言っていたのです。そこでセネカは返事を書き、本当の友情とは何かを教えました。

Of course, Seneca says, we often use the word "friend" loosely. People call anyone they meet in a friendly way a friend, just as we may call a stranger "my dear sir" when we cannot remember his name. That is fine as a polite habit. But if you call someone a friend whom you do not trust as much as you trust yourself, you are making a great mistake, and you do not understand what friendship really is.

もちろん、私たちは「友人」ということばを、ゆるい意味でよく使う、とセネカは言います。親しく言葉を交わしただけの相手でも、だれでも友人と呼ぶ。名前を思い出せない見知らぬ人に「だんなさま」と呼びかけるようなものだ。礼儀としては、それでかまわない。しかし、自分自身と同じほどには信じていない人を友人と呼ぶなら、それは大きなまちがいだ。友情というものが、本当はわかっていないのだ。

Then Seneca gives the main rule of his letter. Before friendship is formed, you must judge. After friendship is formed, you must trust.

そしてセネカは、この手紙のいちばん大切なルールを示します。友情が結ばれる前には、見きわめなければならない。友情が結ばれたあとには、信じなければならない。

Many people do the opposite. They first make someone their friend, and only afterward begin to judge that person. Seneca says that we should think for a long time about whether to accept a person as a friend. But once we have decided, we should welcome that person with all our heart, and speak to them as freely as we speak to ourselves.

多くの人は、その逆をしています。まずだれかを友人にしてしまい、そのあとで、その人を見きわめ始めるのです。ある人を友人として受け入れるかどうかは、長い時間をかけて考えるべきだ、とセネカは言います。けれども、いったん決めたなら、その人を心の底から迎え入れ、自分自身に語るのと同じように、何でも語り合うべきなのです。

Seneca was not the first person to give this advice. He reminds Lucilius that the Greek thinker Theophrastus had given the same rule long before: judge a person first, and then make that person your friend, not the other way around. People who break this rule, Seneca says, put last things first and get their duties mixed up.

この助言をしたのは、セネカが初めてではありません。ギリシャの思想家テオプラストスが、ずっと前に同じルールを示していたことを、セネカはルキリウスに思い出させます。まず人を見きわめよ。それから友人にせよ。その逆ではない。このルールを破る人は、あとですべきことを先にしてしまい、なすべきことの順番を取りちがえているのだ、とセネカは言います。

Seneca adds a surprising idea: treat a friend as loyal, and you will make him loyal. People who are always afraid of being cheated sometimes teach others to cheat them. By being suspicious all the time, they almost give their friends permission to do wrong. Trust, in other words, helps to create the very loyalty that it hopes for.

セネカは、意外な考えも付け加えます。友を誠実な人として扱いなさい。そうすれば、その人は誠実になる。だまされるのをいつも恐れている人は、かえって、自分をだますことを人に教えてしまうことがある。いつも疑ってばかりいると、悪いことをしてもいいと、友人に許しを与えているようなものなのだ。つまり、信頼は、自分が望んでいる誠実さそのものを生み出す助けになるのです。

But Seneca does not tell us to trust everyone. He describes two opposite kinds of mistakes. Some people tell anyone they meet the things that should be told only to close friends. They pour out all their troubles to any listener who happens to be nearby. Other people are afraid to trust even their closest friends. If it were possible, they would not even trust themselves, and they bury all their secrets deep in their hearts.

けれども、セネカはだれでも信じなさいと言っているのではありません。セネカは、正反対の二つのまちがいについて語っています。親しい友人にだけ話すべきことを、出会っただれにでも話してしまう人がいる。たまたまそばにいた相手に、悩みを洗いざらいぶちまけてしまうのです。その反対に、いちばん親しい友人さえ信じるのをこわがる人もいる。できることなら自分自身さえ信じたくない、という人たちで、秘密をすべて心の奥深くにうめてしまうのです。

We should avoid both, Seneca says. It is a fault to trust everyone, and it is also a fault to trust no one. The first fault is more innocent, he admits, and the second is safer. But both are mistakes.

その両方を避けるべきだ、とセネカは言います。だれでも信じるのはまちがいであり、だれも信じないのもまちがいだ。前のほうがまだ悪気がなく、あとのほうがまだ安全ではある、とセネカは認めます。それでも、どちらもまちがいなのです。

Then Seneca moves to a related point about balance. Some people are always busy and restless. Others never move at all. Being busy all the time is not the same as working hard, Seneca says; often it is just the restlessness of a troubled mind. And true rest is not the same as laziness.

それからセネカは、つり合いについての話に移ります。いつも忙しく、そわそわと落ち着かない人がいる。一方で、まったく動こうとしない人もいる。いつも忙しくしているのは、懸命に働くことと同じではない、とセネカは言います。それは多くの場合、悩みをかかえた心が落ち着かないだけなのです。そして、本当の休息は、なまけることとはちがいます。

A good life needs both action and rest. The person who rests should also act, and the person who acts should also rest. Ask nature, Seneca says. She will tell you that she has made both the day and the night.

よい生活には、活動と休息の両方が必要です。休む人は、ときに動くべきであり、動く人は、ときに休むべきなのです。自然にたずねてみなさい、とセネカは言います。自然は、昼も夜も作ったのだと教えてくれるでしょう。

Seneca's advice is very useful for students today. At a new school or in a new club, it is easy to call everyone a friend after one conversation. Social media makes this even easier, and we may have hundreds of "friends" online. But a large number of contacts is not the same as a few true friends. Seneca would not tell us to stop being friendly to people. But he would remind us that a true friend is someone we choose carefully, after watching how they act over time.

セネカの助言は、今の生徒たちにもとても役に立ちます。新しい学校や新しい部活では、一度話しただけで、だれのことでも、つい友だちと呼んでしまいがちです。SNSのおかげで、それはもっと簡単になり、ネット上に何百人もの「友だち」がいることもあります。けれども、つながりがたくさんあることと、本当の友人が何人かいることは、同じではありません。セネカは、人に親しく接するのをやめなさいとは言わないでしょう。それでも、本当の友人とは、時間をかけてその人のふるまいを見てから、慎重に選ぶものだ、と思い出させてくれるはずです。

Think about how you choose a close friend. Do they keep their promises? Do they speak kindly about people who are not there? Do they tell you the truth even when it is hard to hear? These questions take time to answer. That is why Seneca says to think for a long time.

親しい友人をどう選ぶか考えてみましょう。その人は約束を守るでしょうか。その場にいない人のことを、やさしく話すでしょうか。聞くのがつらいようなことでも、本当のことを言ってくれるでしょうか。こうした問いに答えるには時間がかかります。だからセネカは、長い時間をかけて考えなさいと言うのです。

And once you have chosen, Seneca's second rule applies. Do not keep testing your friend, or keep a secret list of their mistakes in your mind. Be open with them. Share your worries and your thoughts. Real friendship is a place where you can be yourself, almost as if you were alone.

そして、いったん選んだら、セネカの二つ目のルールの出番です。友人をためしてばかりいたり、相手のまちがいを心の中でこっそり数えあげたりしてはいけません。心を開きましょう。自分の心配や考えを打ち明けましょう。本当の友情とは、まるで一人でいるときのように、ありのままの自分でいられる場所なのです。

Try this today. Think of one person whom you consider a true friend. What did you see in them, over time, that made you trust them? Then do one thing that shows your trust. Tell them honestly about something you are worried about, or thank them for something they did. Trust, as Seneca says, helps to build the friendship that it believes in.

今日、やってみましょう。本当の友だちだと思える人を、一人思いうかべてください。時間をかけて、その人のどんなところを見て、信頼するようになったのでしょうか。それから、その信頼を形にすることを一つしてみましょう。心配していることを正直に話してみる。あるいは、してくれたことにお礼を言う。セネカが言うように、相手を信じることが、信じたとおりの友情を育てる助けになるのです。

📖 全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

ある日、ローマの思想家セネカのもとに、年下の友人ルキリウスから手紙が届きました。手紙を運んできたのは、ルキリウスが「友人」と呼ぶ男でした。ところがルキリウスは、そのすぐあとの文で、この男には何でも話さないように、と注意していました。ルキリウス自身も、そうはしていないから、というのです。

セネカは、すぐにおかしな点に気づきました。同じ手紙の中で、ルキリウスはその男を友人だと言いながら、ある意味では友人ではない、とも言っていたのです。そこでセネカは返事を書き、本当の友情とは何かを教えました。

もちろん、私たちは「友人」ということばを、ゆるい意味でよく使う、とセネカは言います。親しく言葉を交わしただけの相手でも、だれでも友人と呼ぶ。名前を思い出せない見知らぬ人に「だんなさま」と呼びかけるようなものだ。礼儀としては、それでかまわない。しかし、自分自身と同じほどには信じていない人を友人と呼ぶなら、それは大きなまちがいだ。友情というものが、本当はわかっていないのだ。

そしてセネカは、この手紙のいちばん大切なルールを示します。友情が結ばれる前には、見きわめなければならない。友情が結ばれたあとには、信じなければならない。

多くの人は、その逆をしています。まずだれかを友人にしてしまい、そのあとで、その人を見きわめ始めるのです。ある人を友人として受け入れるかどうかは、長い時間をかけて考えるべきだ、とセネカは言います。けれども、いったん決めたなら、その人を心の底から迎え入れ、自分自身に語るのと同じように、何でも語り合うべきなのです。

この助言をしたのは、セネカが初めてではありません。ギリシャの思想家テオプラストスが、ずっと前に同じルールを示していたことを、セネカはルキリウスに思い出させます。まず人を見きわめよ。それから友人にせよ。その逆ではない。このルールを破る人は、あとですべきことを先にしてしまい、なすべきことの順番を取りちがえているのだ、とセネカは言います。

セネカは、意外な考えも付け加えます。友を誠実な人として扱いなさい。そうすれば、その人は誠実になる。だまされるのをいつも恐れている人は、かえって、自分をだますことを人に教えてしまうことがある。いつも疑ってばかりいると、悪いことをしてもいいと、友人に許しを与えているようなものなのだ。つまり、信頼は、自分が望んでいる誠実さそのものを生み出す助けになるのです。

けれども、セネカはだれでも信じなさいと言っているのではありません。セネカは、正反対の二つのまちがいについて語っています。親しい友人にだけ話すべきことを、出会っただれにでも話してしまう人がいる。たまたまそばにいた相手に、悩みを洗いざらいぶちまけてしまうのです。その反対に、いちばん親しい友人さえ信じるのをこわがる人もいる。できることなら自分自身さえ信じたくない、という人たちで、秘密をすべて心の奥深くにうめてしまうのです。

その両方を避けるべきだ、とセネカは言います。だれでも信じるのはまちがいであり、だれも信じないのもまちがいだ。前のほうがまだ悪気がなく、あとのほうがまだ安全ではある、とセネカは認めます。それでも、どちらもまちがいなのです。

それからセネカは、つり合いについての話に移ります。いつも忙しく、そわそわと落ち着かない人がいる。一方で、まったく動こうとしない人もいる。いつも忙しくしているのは、懸命に働くことと同じではない、とセネカは言います。それは多くの場合、悩みをかかえた心が落ち着かないだけなのです。そして、本当の休息は、なまけることとはちがいます。

よい生活には、活動と休息の両方が必要です。休む人は、ときに動くべきであり、動く人は、ときに休むべきなのです。自然にたずねてみなさい、とセネカは言います。自然は、昼も夜も作ったのだと教えてくれるでしょう。

セネカの助言は、今の生徒たちにもとても役に立ちます。新しい学校や新しい部活では、一度話しただけで、だれのことでも、つい友だちと呼んでしまいがちです。SNSのおかげで、それはもっと簡単になり、ネット上に何百人もの「友だち」がいることもあります。けれども、つながりがたくさんあることと、本当の友人が何人かいることは、同じではありません。セネカは、人に親しく接するのをやめなさいとは言わないでしょう。それでも、本当の友人とは、時間をかけてその人のふるまいを見てから、慎重に選ぶものだ、と思い出させてくれるはずです。

親しい友人をどう選ぶか考えてみましょう。その人は約束を守るでしょうか。その場にいない人のことを、やさしく話すでしょうか。聞くのがつらいようなことでも、本当のことを言ってくれるでしょうか。こうした問いに答えるには時間がかかります。だからセネカは、長い時間をかけて考えなさいと言うのです。

そして、いったん選んだら、セネカの二つ目のルールの出番です。友人をためしてばかりいたり、相手のまちがいを心の中でこっそり数えあげたりしてはいけません。心を開きましょう。自分の心配や考えを打ち明けましょう。本当の友情とは、まるで一人でいるときのように、ありのままの自分でいられる場所なのです。

今日、やってみましょう。本当の友だちだと思える人を、一人思いうかべてください。時間をかけて、その人のどんなところを見て、信頼するようになったのでしょうか。それから、その信頼を形にすることを一つしてみましょう。心配していることを正直に話してみる。あるいは、してくれたことにお礼を言う。セネカが言うように、相手を信じることが、信じたとおりの友情を育てる助けになるのです。

日本語訳:多読ベスト

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このお話の教訓 Moral

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Judge carefully before friendship; trust fully after it.

友だちになる前はよく見きわめ、友だちになったら心から信じよう。

理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. What was strange about Lucilius's letter?

Q2. According to Seneca, when should we judge a person?

Q3. What does Seneca say about trusting everyone and trusting no one?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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