The Only Thing That Is Really Ours(本当に自分のものは、時間だけ)の挿絵

The Only Thing That Is Really Ours

本当に自分のものは、時間だけ

  • 📖 626 words
  • ⏱ 約6分
  • 🔊 3:04
  • YL 1.5–2.4
  • 英検準2級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ二千年前のローマの哲学者セネカが、若い友人に書いた手紙。その最初の一通のテーマは「時間」でした。セネカは、私たちが毎日どのように時間を失っていると言うのでしょうか。

セネカ『ルキリウスへの手紙(倫理書簡集)』第1書簡「時間を大切にすることについて」(紀元65年ごろ)をもとに

キーワード(8語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • official役人
  • shameful恥ずべき
  • carelessness不注意
  • putting things off物事を先のばしにすること
  • slipperyすべりやすい、つかみにくい
  • grateful感謝している
  • account記録、帳簿
  • barrelたる
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About two thousand years ago, a Roman thinker named Seneca wrote a long series of letters to a younger friend, Lucilius. Lucilius was a busy government official. Seneca was older and near the end of his life. In the letters, he shared what he had learned about how to live well. More than one hundred and twenty of these letters have survived, and people still read them today.

今から二千年ほど前、ローマの思想家セネカが、年下の友人ルキリウスに、長い手紙を何通も書き送りました。ルキリウスは忙しい役人でした。セネカは年上で、人生の終わりが近づいていました。手紙の中でセネカは、よく生きるにはどうすればいいか、自分が学んできたことを伝えました。この手紙は百二十通以上が残っていて、今も読まれています。

What did Seneca choose as the subject of his very first letter? Not money, not fame, not love. He chose time.

セネカは最初の手紙で、何をテーマに選んだのでしょうか。お金でも、名声でも、恋でもありません。選んだのは、時間でした。

Keep doing what you have started, he tells Lucilius. Set yourself free. Collect and save your time. Until now, much of it has been taken from you, stolen from you, or has simply slipped out of your hands.

今始めていることを続けなさい、とセネカはルキリウスに語りかけます。自分を自分の手に取りもどしなさい。時間を集め、大切にたくわえなさい。これまで、あなたの時間の多くは、奪い取られたり、こっそり盗まれたり、ただ手からこぼれ落ちたりしてきたのだから。

Some moments, Seneca says, are pulled away from us by force. Others are taken quietly, and others just drift out of reach. But the most shameful kind of loss is the one that comes from our own carelessness.

セネカは言います。時間の中には、力ずくでもぎとられるものがある。気づかぬうちに持ち去られるものもあれば、いつのまにか流れ去ってしまうものもある。しかし、いちばん恥ずべきなのは、自分の不注意で失うことだ、と。

Then he makes a sharp point. If you look closely, he says, you will find that a large part of life passes while we are doing wrong things, a great part while we are doing nothing, and the whole of life while we are doing things that do not matter. Think about your own day. How much of it went into things that you do not even remember?

それから、セネカは鋭い指摘をします。よく見てみれば、人生の大部分は悪いことをしているうちに過ぎていく。かなりの部分は、何もしていないうちに過ぎていく。そして人生のすべてが、どうでもいいことをしているうちに過ぎていくのだ、と。自分の一日を思い返してみてください。覚えてもいないことに、どれだけの時間を使ったでしょうか。

Seneca also changes the way we think about death. We usually think of death as something far in the future. But he says that we are dying every day. Every year that has passed is already gone; it belongs to death. So the question is not only how much time is left. The question is how we are using the time we have now.

セネカは、死についての考え方も変えてくれます。私たちはふつう、死をずっと先のことだと思っています。けれどもセネカは、私たちは毎日死んでいるのだと言います。過ぎ去った年月は、もうすでに失われ、死の手に渡っているのです。だから大事なのは、残り時間がどれだけあるかということだけではありません。今ある時間をどう使っているか、なのです。

His advice is simple: hold every hour in your hand. Take hold of today's work, and you will depend less on tomorrow. While we keep putting things off, life runs past us.

セネカの助言は単純です。一時間一時間を、しっかりとその手につかみなさい。今日の仕事をしっかりつかめば、明日に頼らずにすむ。先のばしをしているうちに、人生は走り去ってしまう。

Next comes the most famous idea in the letter. Nothing is truly ours, Seneca says, except time. Nature gave us only this one thing to own, and yet it is so slippery that anyone who wants it can take it from us.

次に、この手紙でいちばん有名な考えが出てきます。時間のほかに、本当に私たちのものと言えるものは何一つない、とセネカは言います。自然が私たちに持たせてくれたのは、時間ただ一つ。それなのに、時間はとてもすべりやすく、欲しがる人がいれば、だれにでも奪われてしまうのです。

He points out something strange about people. If someone gives us a cheap little thing that can easily be replaced, we feel that we owe them something. But when we receive someone's time, we do not feel that we owe them anything at all. Yet time is the one gift that even a grateful person can never pay back.

セネカは、人間の奇妙なところを指摘します。だれかから、安くてすぐに取りかえのきくささいな物をもらうと、私たちは借りができたと感じます。ところが、だれかの時間をもらっても、借りがあるとはまったく感じません。けれども時間こそ、どんなに恩を感じている人でも、決して返すことのできないただ一つの贈り物なのです。

Seneca is honest about himself, too. He does not claim that he wastes no time. But he says that he at least knows what he is wasting, and why, and how. He keeps an account of his time, just as a careful person keeps an account of money.

セネカは、自分のことも正直に語ります。自分はまったく時間をむだにしていない、などとは言いません。それでも、少なくとも自分は、何をむだにしているのか、なぜ、どのようにむだにしているのかはわかっている、と言うのです。注意深い人がお金の出入りを帳簿につけるように、セネカは時間の帳簿をつけていたのです。

He ends the letter with an old saying about wine. When the wine barrel is almost empty, it is too late to start saving, because what is left at the bottom is small and of poor quality. In the same way, do not wait until you are old to start using your time well. Begin now.

セネカは、ワインについての古いことわざで手紙をしめくくります。たるの中のワインが残り少なくなってから節約を始めても、もう遅い。底に残っているのはわずかで、しかも質の悪いものだからです。同じように、年をとるまで待ってから時間を大切にし始めるのでは遅すぎる。今すぐ始めなさい、と。

Seneca wrote this letter long before clocks were common, and nearly two thousand years before smartphones. But his words feel very modern. Many of our minutes are not stolen by force. They slip away quietly, one short video and one message at a time.

セネカがこの手紙を書いたのは、時計がまだ身近ではなかったころです。スマートフォンが登場する、二千年近くも前のことです。それでも、そのことばはとても現代的に感じられます。私たちの時間の多くは、力ずくで盗まれるわけではありません。短い動画を一本見て、メッセージを一通読むたびに、静かにこぼれ落ちていくのです。

Try this today. Keep a simple time account for one day, as Seneca did. In the evening, write down three things: one hour you used well, one hour that slipped away, and the reason it slipped away. Tomorrow, choose one small hour and hold it in your hand.

今日、やってみましょう。セネカのように、一日だけ簡単な「時間の帳簿」をつけてみるのです。夜に三つのことを書き出します。うまく使えた一時間、こぼれ落ちてしまった一時間、そしてこぼれ落ちた理由です。明日は、一日のうちの一時間を選んで、それをしっかり手につかんでみましょう。

📖 全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

今から二千年ほど前、ローマの思想家セネカが、年下の友人ルキリウスに、長い手紙を何通も書き送りました。ルキリウスは忙しい役人でした。セネカは年上で、人生の終わりが近づいていました。手紙の中でセネカは、よく生きるにはどうすればいいか、自分が学んできたことを伝えました。この手紙は百二十通以上が残っていて、今も読まれています。

セネカは最初の手紙で、何をテーマに選んだのでしょうか。お金でも、名声でも、恋でもありません。選んだのは、時間でした。

今始めていることを続けなさい、とセネカはルキリウスに語りかけます。自分を自分の手に取りもどしなさい。時間を集め、大切にたくわえなさい。これまで、あなたの時間の多くは、奪い取られたり、こっそり盗まれたり、ただ手からこぼれ落ちたりしてきたのだから。

セネカは言います。時間の中には、力ずくでもぎとられるものがある。気づかぬうちに持ち去られるものもあれば、いつのまにか流れ去ってしまうものもある。しかし、いちばん恥ずべきなのは、自分の不注意で失うことだ、と。

それから、セネカは鋭い指摘をします。よく見てみれば、人生の大部分は悪いことをしているうちに過ぎていく。かなりの部分は、何もしていないうちに過ぎていく。そして人生のすべてが、どうでもいいことをしているうちに過ぎていくのだ、と。自分の一日を思い返してみてください。覚えてもいないことに、どれだけの時間を使ったでしょうか。

セネカは、死についての考え方も変えてくれます。私たちはふつう、死をずっと先のことだと思っています。けれどもセネカは、私たちは毎日死んでいるのだと言います。過ぎ去った年月は、もうすでに失われ、死の手に渡っているのです。だから大事なのは、残り時間がどれだけあるかということだけではありません。今ある時間をどう使っているか、なのです。

セネカの助言は単純です。一時間一時間を、しっかりとその手につかみなさい。今日の仕事をしっかりつかめば、明日に頼らずにすむ。先のばしをしているうちに、人生は走り去ってしまう。

次に、この手紙でいちばん有名な考えが出てきます。時間のほかに、本当に私たちのものと言えるものは何一つない、とセネカは言います。自然が私たちに持たせてくれたのは、時間ただ一つ。それなのに、時間はとてもすべりやすく、欲しがる人がいれば、だれにでも奪われてしまうのです。

セネカは、人間の奇妙なところを指摘します。だれかから、安くてすぐに取りかえのきくささいな物をもらうと、私たちは借りができたと感じます。ところが、だれかの時間をもらっても、借りがあるとはまったく感じません。けれども時間こそ、どんなに恩を感じている人でも、決して返すことのできないただ一つの贈り物なのです。

セネカは、自分のことも正直に語ります。自分はまったく時間をむだにしていない、などとは言いません。それでも、少なくとも自分は、何をむだにしているのか、なぜ、どのようにむだにしているのかはわかっている、と言うのです。注意深い人がお金の出入りを帳簿につけるように、セネカは時間の帳簿をつけていたのです。

セネカは、ワインについての古いことわざで手紙をしめくくります。たるの中のワインが残り少なくなってから節約を始めても、もう遅い。底に残っているのはわずかで、しかも質の悪いものだからです。同じように、年をとるまで待ってから時間を大切にし始めるのでは遅すぎる。今すぐ始めなさい、と。

セネカがこの手紙を書いたのは、時計がまだ身近ではなかったころです。スマートフォンが登場する、二千年近くも前のことです。それでも、そのことばはとても現代的に感じられます。私たちの時間の多くは、力ずくで盗まれるわけではありません。短い動画を一本見て、メッセージを一通読むたびに、静かにこぼれ落ちていくのです。

今日、やってみましょう。セネカのように、一日だけ簡単な「時間の帳簿」をつけてみるのです。夜に三つのことを書き出します。うまく使えた一時間、こぼれ落ちてしまった一時間、そしてこぼれ落ちた理由です。明日は、一日のうちの一時間を選んで、それをしっかり手につかんでみましょう。

日本語訳:多読ベスト

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このお話の教訓 Moral

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Time is the only thing that is truly ours, so do not let it slip away.

本当に自分のものと言えるのは時間だけ。だから、それをこぼれ落ちさせてはいけない。

理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. What was the subject of Seneca's first letter?

Q2. According to Seneca, what is the most shameful kind of loss of time?

Q3. What does the saying about the wine barrel teach?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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