Everything Has a Name(すべてのものには名前がある)の挿絵

Everything Has a Name

すべてのものには名前がある

  • 📖 605 words
  • ⏱ 約8分
  • YL 1.0–1.4
  • 英検3級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ目も見えず、耳も聞こえない少女ヘレン。家庭教師のサリバン先生が手のひらに文字をつづっても、それが「ことば」だとはわかりません。ある日、井戸小屋で起きたこととは……。

ヘレン・ケラー(1880〜1968年)の生涯の事実と、アン・サリバンが1887年に書いた手紙をもとにした多読ベストのオリジナル読み物

キーワード(8語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • sight視力
  • hearing聴力
  • spell(文字を)つづる
  • doll人形
  • well-house井戸小屋
  • pumpingポンプでくみ上げている
  • temper気性、かんしゃく
  • rushed勢いよく流れ出た

🔊 音声は準備中です。もうしばらくお待ちください。

When Helen Keller was a baby, she became very sick. She got better, but the illness took away her sight and her hearing. She could not see, and she could not hear. So she could not learn to speak, either. For years, she lived in a dark and silent world.

ヘレン・ケラーは赤ちゃんのころ、重い病気にかかりました。病気は治りましたが、そのために目も耳も働かなくなってしまいました。見ることも、聞くこともできません。そのため、話すことも覚えられませんでした。何年ものあいだ、ヘレンは暗く、音のない世界で暮らしました。

Helen grew into a strong and clever girl, but she was often angry. She wanted to tell people things, but she had no words. She kicked and screamed, and her family did not know what to do.

ヘレンは体が強く、かしこい女の子に育ちましたが、よくかんしゃくを起こしました。人に何かを伝えたいのに、ことばを持っていなかったのです。ヘレンはけったり叫んだりしてあばれ、家族はどうしていいかわかりませんでした。

Then, on the third of March, 1887, a young teacher came to the Keller home in Alabama. Her name was Anne Sullivan. Helen was almost seven years old. Many years later, Helen called it the most important day of her life.

そして1887年3月3日、一人の若い先生が、アラバマ州のケラー家にやって来ました。名前はアン・サリバン。ヘレンはもうすぐ7歳でした。何年もあとになって、ヘレンはこの日を「人生でいちばん大切な日」と呼んでいます。

The next morning, Anne gave Helen a doll. Then she took Helen's hand and made shapes with her fingers in it: d-o-l-l. Each shape was one letter. People call this finger spelling. Helen liked this new game, and soon she could copy the shapes. But for her, they were only a game. They were not words yet.

次の朝、アンはヘレンに人形をあげました。それからヘレンの手をとり、その手のひらに、指で形をつくってみせました。d-o-l-l(人形)。一つの形が一つの文字を表します。これを「指文字」といいます。ヘレンはこの新しい遊びが気に入り、すぐにその形をまねできるようになりました。でも、ヘレンにとってそれはただの遊びで、まだ「ことば」ではなかったのです。

Anne did not stop. All day long, she spelled into Helen's hand. She spelled the names of people, things and actions. "A mother talks to her baby all day," Anne thought. "The baby does not understand at first, but later it does. Helen can learn in the same way."

アンはやめませんでした。一日じゅう、ヘレンの手に文字をつづり続けました。人の名前、ものの名前、動作の名前をつづりました。「お母さんは、一日じゅう赤ちゃんに話しかける」とアンは考えました。「赤ちゃんは、はじめはわからないけれど、やがてわかるようになる。ヘレンも同じように学べるはずだ」

It was not easy. Helen learned to spell many words, but she often mixed them up. She was very confused about "mug" and "water." To her, they seemed like one thing.

それは簡単ではありませんでした。ヘレンはたくさんの単語をつづれるようになりましたが、よくごちゃまぜにしました。とくに「mug(マグカップ)」と「water(水)」の区別がつかず、とても混乱していました。ヘレンには、その二つが同じ一つのもののように思えたのです。

Helen also had a strong temper. When things went wrong, she often got angry and fought. Anne was kind, but she did not give up. Slowly, Helen began to trust her new teacher.

ヘレンはまた、とても気性のはげしい子でした。うまくいかないことがあると、よく怒ってあばれました。アンはやさしい人でしたが、決してあきらめませんでした。少しずつ、ヘレンは新しい先生を信頼するようになっていきました。

Then came the fifth of April, 1887. That morning, Helen was washing her hands. She wanted to know the name for water. Anne had an idea.

そして、1887年4月5日がやって来ました。その朝、ヘレンは手を洗っていました。ヘレンは、水の名前を知りたがりました。アンはあることを思いつきました。

Anne took Helen out to the water pump. She put a mug in Helen's hand and held it under the pump. Then Anne pumped. Cold water rushed out, filled the mug, and ran over Helen's hand. At the same time, Anne spelled w-a-t-e-r into Helen's other hand.

アンはヘレンを、外の水くみポンプのところへ連れていきました。ヘレンの手にマグカップを持たせ、ポンプの下に差し出させました。それからアンがポンプを動かしました。冷たい水が勢いよく出てきて、マグカップをいっぱいにし、ヘレンの手の上を流れました。それと同時に、アンはヘレンのもう片方の手に w-a-t-e-r とつづりました。

Helen dropped the mug. She stood very still, and a new light came into her face. Now she understood! This cold thing had a name, and its name was "water." She spelled the word again and again.

ヘレンはマグカップを落としました。じっと立ちつくし、その顔がぱっと輝きました。今、ヘレンは分かったのです! この冷たいものには名前があって、その名前は「water」なのだ、と。ヘレンは何度も何度もその単語をつづりました。

Then she got down and touched the ground. She wanted to know its name. She pointed to the pump and asked for its name, too. Suddenly she turned to Anne. What was her name? Anne spelled t-e-a-c-h-e-r.

それからヘレンはかがんで地面にさわり、その名前を知りたがりました。ポンプを指さして、その名前もたずねました。そして突然アンのほうを向きました。この人の名前は何だろう? アンは t-e-a-c-h-e-r(先生)とつづりました。

From that day, Helen called Anne "Teacher." She used this name for the rest of her life. The two women stayed together for almost fifty years.

その日から、ヘレンはアンを「先生」と呼ぶようになりました。そして一生、その呼び名を使い続けました。二人は五十年近くも、一緒に過ごしたのです。

In just a few hours that day, Helen learned thirty new words. Now she knew that every thing in the world had a name, and she wanted to learn them all. A whole new world was opening for her.

その日、ほんの数時間のうちに、ヘレンは三十の新しい単語を覚えました。世界のものにはすべて名前があるのだと、今ではわかっていました。そして、そのすべてを知りたいと思いました。まったく新しい世界が、ヘレンの前に開かれようとしていたのです。

Helen Keller went on to learn to read, to write, and even to speak. She became a famous writer and gave talks all over the world. And it all began with one word at a water pump.

ヘレン・ケラーはその後、読むこと、書くこと、そして話すことまで身につけました。有名な作家になり、世界中で講演をしました。そして、そのすべては、水くみポンプでの一つのことばから始まったのです。

Try this today. Choose one thing you use every day, like a cup, a pen or a window. Learn its name in English, and say the word out loud each time you touch it. Words are not just sounds or letters on a page. Each one is a key to the world, just as "water" was for Helen.

今日、やってみましょう。カップ、ペン、窓など、毎日使っているものを一つ選びます。その英語の名前を覚えて、さわるたびに声に出して言ってみましょう。ことばは、ただの音やページの上の文字ではありません。ヘレンにとっての「water」のように、一つひとつのことばが、世界を開くかぎなのです。

📖 全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

ヘレン・ケラーは赤ちゃんのころ、重い病気にかかりました。病気は治りましたが、そのために目も耳も働かなくなってしまいました。見ることも、聞くこともできません。そのため、話すことも覚えられませんでした。何年ものあいだ、ヘレンは暗く、音のない世界で暮らしました。

ヘレンは体が強く、かしこい女の子に育ちましたが、よくかんしゃくを起こしました。人に何かを伝えたいのに、ことばを持っていなかったのです。ヘレンはけったり叫んだりしてあばれ、家族はどうしていいかわかりませんでした。

そして1887年3月3日、一人の若い先生が、アラバマ州のケラー家にやって来ました。名前はアン・サリバン。ヘレンはもうすぐ7歳でした。何年もあとになって、ヘレンはこの日を「人生でいちばん大切な日」と呼んでいます。

次の朝、アンはヘレンに人形をあげました。それからヘレンの手をとり、その手のひらに、指で形をつくってみせました。d-o-l-l(人形)。一つの形が一つの文字を表します。これを「指文字」といいます。ヘレンはこの新しい遊びが気に入り、すぐにその形をまねできるようになりました。でも、ヘレンにとってそれはただの遊びで、まだ「ことば」ではなかったのです。

アンはやめませんでした。一日じゅう、ヘレンの手に文字をつづり続けました。人の名前、ものの名前、動作の名前をつづりました。「お母さんは、一日じゅう赤ちゃんに話しかける」とアンは考えました。「赤ちゃんは、はじめはわからないけれど、やがてわかるようになる。ヘレンも同じように学べるはずだ」

それは簡単ではありませんでした。ヘレンはたくさんの単語をつづれるようになりましたが、よくごちゃまぜにしました。とくに「mug(マグカップ)」と「water(水)」の区別がつかず、とても混乱していました。ヘレンには、その二つが同じ一つのもののように思えたのです。

ヘレンはまた、とても気性のはげしい子でした。うまくいかないことがあると、よく怒ってあばれました。アンはやさしい人でしたが、決してあきらめませんでした。少しずつ、ヘレンは新しい先生を信頼するようになっていきました。

そして、1887年4月5日がやって来ました。その朝、ヘレンは手を洗っていました。ヘレンは、水の名前を知りたがりました。アンはあることを思いつきました。

アンはヘレンを、外の水くみポンプのところへ連れていきました。ヘレンの手にマグカップを持たせ、ポンプの下に差し出させました。それからアンがポンプを動かしました。冷たい水が勢いよく出てきて、マグカップをいっぱいにし、ヘレンの手の上を流れました。それと同時に、アンはヘレンのもう片方の手に w-a-t-e-r とつづりました。

ヘレンはマグカップを落としました。じっと立ちつくし、その顔がぱっと輝きました。今、ヘレンは分かったのです! この冷たいものには名前があって、その名前は「water」なのだ、と。ヘレンは何度も何度もその単語をつづりました。

それからヘレンはかがんで地面にさわり、その名前を知りたがりました。ポンプを指さして、その名前もたずねました。そして突然アンのほうを向きました。この人の名前は何だろう? アンは t-e-a-c-h-e-r(先生)とつづりました。

その日から、ヘレンはアンを「先生」と呼ぶようになりました。そして一生、その呼び名を使い続けました。二人は五十年近くも、一緒に過ごしたのです。

その日、ほんの数時間のうちに、ヘレンは三十の新しい単語を覚えました。世界のものにはすべて名前があるのだと、今ではわかっていました。そして、そのすべてを知りたいと思いました。まったく新しい世界が、ヘレンの前に開かれようとしていたのです。

ヘレン・ケラーはその後、読むこと、書くこと、そして話すことまで身につけました。有名な作家になり、世界中で講演をしました。そして、そのすべては、水くみポンプでの一つのことばから始まったのです。

今日、やってみましょう。カップ、ペン、窓など、毎日使っているものを一つ選びます。その英語の名前を覚えて、さわるたびに声に出して言ってみましょう。ことばは、ただの音やページの上の文字ではありません。ヘレンにとっての「water」のように、一つひとつのことばが、世界を開くかぎなのです。

日本語訳:多読ベスト

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このお話の教訓 Moral

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One word, truly understood, can open up the whole world.

本当にわかった一つのことばが、世界全体を開いてくれる。

理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. What did Anne spell into Helen's hand on the first morning?

Q2. What two words did Helen mix up?

Q3. Whose name did Helen ask for at the pump?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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