The Book That Burned(燃えてしまった原稿)の挿絵

The Book That Burned

燃えてしまった原稿

  • 📖 485 words
  • ⏱ 約4分
  • YL 1.5–2.4
  • 英検準2級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ何か月もかけて書き上げた歴史書の原稿。コピーもメモもない、たった一つの原稿が、ある日思いもよらない形で消えてしまいます。作家カーライルはどうしたのでしょうか。

サミュエル・スマイルズ『自助論』(Self-Help, 1859年)第4章「勤勉と忍耐」をもとに

キーワード(9語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • revolution革命
  • volumes(本の)巻
  • literary文学の
  • printers印刷所の人たち
  • servant召使い
  • waste paper紙くず
  • published出版された
  • will意志
  • crash(コンピューターが)止まる、壊れる

🔊 音声は準備中です。もうしばらくお待ちください。

Thomas Carlyle was a Scottish writer who lived in London in the 1800s. In 1834, he began to write a long history book about the French Revolution. It was hard work. He read many old books and wrote for months, and at last he finished the first of three volumes.

トマス・カーライルは、一八〇〇年代にロンドンで暮らしたスコットランド人の作家です。一八三四年、カーライルはフランス革命についての長い歴史の本を書きはじめました。大変な仕事でした。古い本をたくさん読み、何か月も書き続けて、ようやく全三巻のうちの第一巻を書きあげました。

In those days, there were no computers or copy machines. Writers wrote everything by hand on paper, and Carlyle had only one copy of his work. He did not even have his notes.

当時は、コンピューターもコピー機もありません。作家は何もかも、紙に手で書いていました。カーライルの原稿も、この世に一部しかありませんでした。下書きのメモさえ残っていなかったのです。

Carlyle had a friend who was also a writer. Smiles calls him only a literary neighbor, but we know today that he was the famous thinker John Stuart Mill. Mill was very interested in the French Revolution, so Carlyle lent him the whole first volume to read.

カーライルには、同じく物を書く友人がいました。スマイルズはその人を「文筆家の隣人」とだけ書いていますが、今では、有名な思想家ジョン・スチュアート・ミルだったことが分かっています。ミルはフランス革命にとても関心があったので、カーライルは第一巻をそっくり貸して、読んでもらうことにしました。

Weeks went by. The printers were waiting for the book, so Carlyle asked for it back. Then terrible news came. Someone left the book on the floor of a sitting room and forgot about it. A servant girl found it and thought it was just a pile of waste paper. She used it to start the fires in the kitchen and the sitting room. Months of work were gone in a few minutes.

何週間かたちました。印刷所が原稿を待っていたので、カーライルは返してほしいと頼みました。すると、恐ろしい知らせが届きました。誰かが原稿を居間の床に置いたまま、忘れてしまったというのです。それを見つけたお手伝いの娘は、ただの紙くずの山だと思いこみました。そして、台所と居間の火をおこすのに使ってしまったのです。何か月もかけた仕事が、ほんの数分で消えてしまいました。

We can only imagine how Carlyle felt. All those days of reading and thinking, all those pages, all the beautiful sentences he found, were now only smoke. And he had no copy and no notes.

カーライルがどんな気持ちだったか、私たちには想像するしかありません。本を読み、考えぬいたあの日々も、書きためたページも、やっと見つけた美しい言い回しも、すべてが煙になってしまったのです。しかも、写しもメモもありませんでした。

What could he do? Some people might give up. Others might stay angry for years. But Carlyle saw that there was only one answer: he had to write the book again. So he sat down and started from the beginning.

どうすればいいのでしょう。あきらめてしまう人もいるでしょう。何年も腹を立て続ける人もいるでしょう。けれどもカーライルには、答えは一つしかないと分かっていました。もう一度書くしかないのです。そこでカーライルは机に向かい、最初から書きはじめました。

It was terribly hard. He had to remember facts, ideas and even sentences from the lost book. Many of them were already gone from his memory. Writing the book the first time was a pleasure. Writing it the second time was pain. But he did not stop.

それは、ひどくつらい仕事でした。失われた原稿に書いた事実や考え、さらには文章まで、思い出さなければならないのです。その多くは、もう記憶から消えていました。一度目に書いたときは楽しかったのに、二度目に書くのは苦しみでしかありませんでした。それでも、カーライルはやめませんでした。

At last, in 1837, The French Revolution was published. It made Carlyle famous, and many people still think it is one of the great history books in English. Samuel Smiles told this story in Self-Help. He said that there have been very few examples of a strong will that were greater than this.

そしてついに一八三七年、『フランス革命史』が出版されました。この本でカーライルは有名になり、今でも多くの人が、英語で書かれたすぐれた歴史書の一つに数えています。サミュエル・スマイルズは、この話を『自助論』で紹介し、これほど強い意志を示した例はめったにない、と述べています。

Carlyle's story teaches us an important lesson. We cannot control every accident in life. Rats eat drawings, servants burn books, and computers crash. But we can control what we do next. Carlyle could not bring back the burned pages, but he could pick up his pen again.

カーライルの話は、大切なことを教えてくれます。人生で起こる思いがけない出来事を、すべて防ぐことはできません。ネズミは絵をかじるし、お手伝いさんは原稿を燃やすし、コンピューターは壊れます。でも、そのあと何をするかは、自分で決められるのです。カーライルは、燃えたページを取り戻すことはできませんでした。けれども、もう一度ペンを取ることはできたのです。

Try this today. If you lose some work, such as a report or a drawing, or if something you made breaks, don't spend too long feeling sorry. Take a short break, then start again. You may find, like Carlyle, that the second version is stronger than the first. And if you do something important on a computer, save a copy!

今日、試してみましょう。レポートや絵のような作品をなくしたり、自分で作ったものが壊れたりしても、いつまでも落ち込まないでください。少し休んだら、またやり直しましょう。カーライルと同じように、二度目に作ったもののほうが、一度目よりしっかりしたものになるかもしれません。それから、コンピューターで大事な作業をするときは、ちゃんとコピーを保存しておきましょう!

📖 全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

トマス・カーライルは、一八〇〇年代にロンドンで暮らしたスコットランド人の作家です。一八三四年、カーライルはフランス革命についての長い歴史の本を書きはじめました。大変な仕事でした。古い本をたくさん読み、何か月も書き続けて、ようやく全三巻のうちの第一巻を書きあげました。

当時は、コンピューターもコピー機もありません。作家は何もかも、紙に手で書いていました。カーライルの原稿も、この世に一部しかありませんでした。下書きのメモさえ残っていなかったのです。

カーライルには、同じく物を書く友人がいました。スマイルズはその人を「文筆家の隣人」とだけ書いていますが、今では、有名な思想家ジョン・スチュアート・ミルだったことが分かっています。ミルはフランス革命にとても関心があったので、カーライルは第一巻をそっくり貸して、読んでもらうことにしました。

何週間かたちました。印刷所が原稿を待っていたので、カーライルは返してほしいと頼みました。すると、恐ろしい知らせが届きました。誰かが原稿を居間の床に置いたまま、忘れてしまったというのです。それを見つけたお手伝いの娘は、ただの紙くずの山だと思いこみました。そして、台所と居間の火をおこすのに使ってしまったのです。何か月もかけた仕事が、ほんの数分で消えてしまいました。

カーライルがどんな気持ちだったか、私たちには想像するしかありません。本を読み、考えぬいたあの日々も、書きためたページも、やっと見つけた美しい言い回しも、すべてが煙になってしまったのです。しかも、写しもメモもありませんでした。

どうすればいいのでしょう。あきらめてしまう人もいるでしょう。何年も腹を立て続ける人もいるでしょう。けれどもカーライルには、答えは一つしかないと分かっていました。もう一度書くしかないのです。そこでカーライルは机に向かい、最初から書きはじめました。

それは、ひどくつらい仕事でした。失われた原稿に書いた事実や考え、さらには文章まで、思い出さなければならないのです。その多くは、もう記憶から消えていました。一度目に書いたときは楽しかったのに、二度目に書くのは苦しみでしかありませんでした。それでも、カーライルはやめませんでした。

そしてついに一八三七年、『フランス革命史』が出版されました。この本でカーライルは有名になり、今でも多くの人が、英語で書かれたすぐれた歴史書の一つに数えています。サミュエル・スマイルズは、この話を『自助論』で紹介し、これほど強い意志を示した例はめったにない、と述べています。

カーライルの話は、大切なことを教えてくれます。人生で起こる思いがけない出来事を、すべて防ぐことはできません。ネズミは絵をかじるし、お手伝いさんは原稿を燃やすし、コンピューターは壊れます。でも、そのあと何をするかは、自分で決められるのです。カーライルは、燃えたページを取り戻すことはできませんでした。けれども、もう一度ペンを取ることはできたのです。

今日、試してみましょう。レポートや絵のような作品をなくしたり、自分で作ったものが壊れたりしても、いつまでも落ち込まないでください。少し休んだら、またやり直しましょう。カーライルと同じように、二度目に作ったもののほうが、一度目よりしっかりしたものになるかもしれません。それから、コンピューターで大事な作業をするときは、ちゃんとコピーを保存しておきましょう!

日本語訳:多読ベスト

押すと、この端末の読書記録(100万語メーター)に語数が加わります。

このお話の教訓 Moral

タップして見る

We cannot control accidents, but we can control what we do next.

事故は防げなくても、次の一歩は自分で選べる。

理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. Why was Carlyle's book burned?

Q2. Who did Carlyle lend his book to?

Q3. How did Carlyle feel when he wrote the book the second time?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

次に読む

Level 3 の読み物をもっと見る →