The Three Sons of Fortune(三人の運のいい息子)の挿絵

The Three Sons of Fortune

三人の運のいい息子

  • 📖 982 words
  • ⏱ 約9分
  • YL 5.0+
  • 英検1級・ネイティブ目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ年老いた父親が三人の息子に残したのは、おんどりと大鎌とネコだけでした。「これがまだ知られていない国を探せば、運が開ける」という父の言葉を胸に、兄弟は一人ずつ旅に出ます。

グリム兄弟『子どもと家庭のメルヒェン集(グリム童話)』マーガレット・ハント英訳(1884年)原文。底本: Project Gutenberg eBook #5314

キーワード(13語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • scythe大鎌
  • steeples教会の塔
  • spurs拍車
  • unanimously口をそろえて
  • labourers働く人・農夫
  • cannon大砲
  • mowed刈りとった
  • plague災難
  • gnawedかじった
  • muleラバ
  • herald使者
  • councillors大臣・顧問
  • besiegers取りかこんで攻める人たち

🔊 音声は準備中です。もうしばらくお待ちください。

A father once called his three sons before him, and he gave to the first a cock, to the second a scythe, and to the third a cat. "I am already aged," said he, "my death is nigh, and I have wished to take thought for you before my end; money I have not, and what I now give you seems of little worth, but all depends on your making a sensible use of it. Only seek out a country where such things are still unknown, and your fortune is made."

ある父親が、三人の息子を呼びよせました。そして、一番上の息子にはおんどりを、二番目の息子には大鎌を、三番目の息子にはネコを一匹与えました。「わしはもう年をとった」と父親は言いました。「死ぬ日も近い。だから、その前におまえたちのことを考えておいてやりたかったのだ。わしには金がない。今おまえたちにやるものも、たいした値打ちはなさそうに見えるだろう。けれども大事なのは、それを賢く使うことだ。こういうものがまだ知られていない国を探しさえすれば、おまえたちの運は開けるのだよ」

After the father's death the eldest went away with his cock, but wherever he came the cock was already known; in the towns he saw him from a long distance, sitting upon the steeples and turning round with the wind, and in the villages he heard more than one crowing; no one would show any wonder at the creature, so that it did not look as if he would make his fortune by it.

父親が死ぬと、一番上の息子はおんどりを連れて出かけました。けれども、どこへ行っても、おんどりはもう知られていました。町では、教会の塔のてっぺんにおんどりの形をした風見がのっていて、風に合わせてくるくる回っているのが、遠くからでも見えました。村では、あちこちでおんどりの鳴く声が聞こえました。おんどりを見て珍しがる人などだれもいなかったので、これで運が開けそうには思えませんでした。

At last, however, it happened that he came to an island where the people knew nothing about cocks, and did not even understand how to divide their time. They certainly knew when it was morning or evening, but at night, if they did not sleep through it, not one of them knew how to find out the time.

ところがとうとう、ある島にたどり着きました。そこの人たちはおんどりのことを何も知らず、時間の区切り方さえわかっていませんでした。朝なのか夕方なのかは、もちろんわかりました。けれども夜になると、眠ってすごさないかぎり、今が何時なのかを知る方法は、だれ一人知らなかったのです。

"Look!" said he, "what a proud creature! it has a ruby-red crown upon its head, and wears spurs like a knight; it calls you three times during the night, at fixed hours, and when it calls for the last time, the sun soon rises. But if it crows by broad daylight, then take notice, for there will certainly be a change of weather."

「ごらんなさい」と、息子は言いました。「なんと堂々とした生き物でしょう!頭にはルビーのように赤い冠をのせ、騎士のように拍車をつけています。夜の間に、決まった時刻に三度、みなさんを呼んでくれます。そして最後に鳴くと、まもなくお日さまがのぼるのです。けれども、もし真っ昼間に鳴いたら、気をつけなさい。きっと天気が変わりますから」

The people were well pleased; for a whole night they did not sleep, and listened with great delight as the cock at two, four, and six o'clock, loudly and clearly proclaimed the time. They asked if the creature were for sale, and how much he wanted for it? "About as much gold as an ass can carry," answered he. "A ridiculously small price for such a precious creature!" they cried unanimously, and willingly gave him what he had asked.

島の人たちは大喜びでした。ひと晩じゅう眠らずに、おんどりが二時、四時、六時に、大きな声ではっきりと時を告げるのを、うっとりと聞いていました。そして、この生き物は売り物なのか、いくらほしいのかと尋ねました。「ロバが運べるくらいの金をいただければ」と息子は答えました。「こんなに貴重な生き物なのに、ばかばかしいほど安い値段だ!」島の人たちは口をそろえて叫び、言われたとおりのものを喜んで払いました。

When he came home with his wealth his brothers were astonished, and the second said, "Well, I will go forth and see whether I cannot get rid of my scythe as profitably." But it did not look as if he would, for labourers met him everywhere, and they had scythes upon their shoulders as well as he.

一番上の息子が財産を持って家に帰ってくると、弟たちはびっくりしました。そして二番目の息子が言いました。「よし、ぼくも出かけていって、この大鎌を同じくらいもうかるように手ばなせないか、やってみよう」けれども、うまくいきそうにはありませんでした。どこへ行っても、自分と同じように大鎌を肩にかついだ農夫たちに出会ったからです。

At last, however, he chanced upon an island where the people knew nothing of scythes. When the corn was ripe there, they took cannon out to the fields and shot it down. Now this was rather an uncertain affair; many shot right over it, others hit the ears instead of the stems, and shot them away, whereby much was lost, and besides all this, it made a terrible noise. So the man set to work and mowed it down so quietly and quickly that the people opened their mouths with astonishment. They agreed to give him what he wanted for the scythe, and he received a horse laden with as much gold as it could carry.

ところがとうとう、大鎌のことを何も知らない人たちの住む島に、たまたまたどり着きました。その島では、麦が実ると、大砲を畑に持ちだして、麦を撃ち倒していました。ところがこれは、なんとも当てにならないやり方でした。多くの人は麦の上を撃ちこしてしまいましたし、茎ではなく穂に当てて、穂を吹きとばしてしまう人もいました。そのせいで、ずいぶんたくさんの麦がむだになりました。おまけに、ものすごい音がしました。そこで息子は仕事にかかり、麦を静かに、すばやく刈りとっていきました。島の人たちはあっけにとられて、ぽかんと口を開けました。そして大鎌と引きかえに、ほしいだけのものをあげようと約束しました。こうして息子は、運べるだけの金を積んだ馬を一頭もらいました。

And now the third brother wanted to take his cat to the right man. He fared just like the others; so long as he stayed on the mainland there was nothing to be done. Every place had cats, and there were so many of them that new-born kittens were generally drowned in the ponds.

さて、三番目の息子も、自分のネコをふさわしい相手のところへ持っていこうと思いました。けれども、兄たちとまったく同じことになりました。陸地にいる間は、どうにもなりませんでした。どこにでもネコがいましたし、それもあまりにたくさんいたので、生まれたばかりの子ネコはたいてい池に沈められていたのです。

At last he sailed over to an island, and it luckily happened that no cats had ever yet been seen there, and that the mice had got the upper hand so much that they danced upon the tables and benches whether the master were at home or not. The people complained bitterly of the plague; the King himself in his palace did not know how to secure himself against them; mice squeaked in every corner, and gnawed whatever they could lay hold of with their teeth. But now the cat began her chase, and soon cleared a couple of rooms, and the people begged the King to buy the wonderful beast for the country. The King willingly gave what was asked, which was a mule laden with gold, and the third brother came home with the greatest treasure of all.

とうとう息子は船に乗って、ある島へ渡りました。運のいいことに、その島ではまだ一度もネコが見られたことがありませんでした。ネズミがすっかりのさばっていて、主人が家にいようといまいと、テーブルやベンチの上で踊りまわっていました。島の人たちは、このひどい災難をさんざん嘆いていました。宮殿にいる王さまでさえ、どうやってネズミから身を守ればいいのかわかりませんでした。どの部屋のすみでもネズミがチューチュー鳴いて、歯の届くものはなんでもかじっていたのです。ところが、ネコが狩りを始めると、たちまち二つの部屋からネズミがいなくなりました。そこで島の人たちは、このすばらしい生き物を国のために買ってくださいと、王さまにお願いしました。王さまは言われた値段を喜んで払いました。それは、金を積んだラバ一頭でした。こうして三番目の息子は、だれよりもすごい宝を持って家に帰ってきました。

The cat made herself merry with the mice in the royal palace, and killed so many that they could not be counted. At last she grew warm with the work and thirsty, so she stood still, lifted up her head and cried, "Mew. Mew!" When they heard this strange cry, the King and all his people were frightened, and in their terror ran all at once out of the palace. Then the King took counsel what was best to be done; at last it was determined to send a herald to the cat, and demand that she should leave the palace, or if not, she was to expect that force would be used against her. The councillors said, "Rather will we let ourselves be plagued with the mice, for to that misfortune we are accustomed, than give up our lives to such a monster as this." A noble youth, therefore, was sent to ask the cat "whether she would peaceably quit the castle?" But the cat, whose thirst had become still greater, merely answered, "Mew! Mew!" The youth understood her to say, "Most certainly not! most certainly not!" and took this answer to the King. "Then," said the councillors, "she shall yield to force." Cannon were brought out, and the palace was soon in flames. When the fire reached the room where the cat was sitting, she sprang safely out of the window; but the besiegers did not leave off until the whole palace was shot down to the ground.

ネコは王さまの宮殿で、ネズミを相手に大はしゃぎで、数えきれないほどたくさんのネズミをやっつけました。そのうちに、さんざん働いたので体がほてって、のどがかわいてきました。そこでネコは立ちどまり、頭を上げて鳴きました。「ニャー、ニャー!」この聞いたこともない鳴き声を聞くと、王さまも家来たちもみんなこわくなって、あわてていっせいに宮殿から逃げだしました。それから王さまは、どうするのが一番よいか、相談しました。そしてとうとう、ネコのところへ使者を送ることに決まりました。宮殿から出ていくように求め、出ていかないなら力ずくで追いだすぞ、と言いわたすのです。大臣たちは言いました。「ネズミに苦しめられるほうがまだましです。その災難なら慣れていますからね。こんな怪物に命をさしだすよりは、ずっといい」そこで、身分の高い若者が一人、ネコのところへ送られて、「おとなしく城から出ていってくれないか」と尋ねました。けれども、ネコはますますのどがかわいていたので、ただ「ニャー!ニャー!」と答えただけでした。若者はそれを「絶対にいやだ!絶対にいやだ!」という意味だと思い、その返事を王さまに伝えました。「それなら」と大臣たちは言いました。「力ずくで追いはらうまでだ」大砲が持ちだされ、宮殿はたちまち炎に包まれました。火がネコのいる部屋まで来ると、ネコは窓からぴょんと飛びだして、無事に逃げました。けれども、宮殿を取りかこんだ人たちは、宮殿がすっかり撃ちくずされて平らになるまで、撃つのをやめませんでした。

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ある父親が、三人の息子を呼びよせました。そして、一番上の息子にはおんどりを、二番目の息子には大鎌を、三番目の息子にはネコを一匹与えました。「わしはもう年をとった」と父親は言いました。「死ぬ日も近い。だから、その前におまえたちのことを考えておいてやりたかったのだ。わしには金がない。今おまえたちにやるものも、たいした値打ちはなさそうに見えるだろう。けれども大事なのは、それを賢く使うことだ。こういうものがまだ知られていない国を探しさえすれば、おまえたちの運は開けるのだよ」

父親が死ぬと、一番上の息子はおんどりを連れて出かけました。けれども、どこへ行っても、おんどりはもう知られていました。町では、教会の塔のてっぺんにおんどりの形をした風見がのっていて、風に合わせてくるくる回っているのが、遠くからでも見えました。村では、あちこちでおんどりの鳴く声が聞こえました。おんどりを見て珍しがる人などだれもいなかったので、これで運が開けそうには思えませんでした。

ところがとうとう、ある島にたどり着きました。そこの人たちはおんどりのことを何も知らず、時間の区切り方さえわかっていませんでした。朝なのか夕方なのかは、もちろんわかりました。けれども夜になると、眠ってすごさないかぎり、今が何時なのかを知る方法は、だれ一人知らなかったのです。

「ごらんなさい」と、息子は言いました。「なんと堂々とした生き物でしょう!頭にはルビーのように赤い冠をのせ、騎士のように拍車をつけています。夜の間に、決まった時刻に三度、みなさんを呼んでくれます。そして最後に鳴くと、まもなくお日さまがのぼるのです。けれども、もし真っ昼間に鳴いたら、気をつけなさい。きっと天気が変わりますから」

島の人たちは大喜びでした。ひと晩じゅう眠らずに、おんどりが二時、四時、六時に、大きな声ではっきりと時を告げるのを、うっとりと聞いていました。そして、この生き物は売り物なのか、いくらほしいのかと尋ねました。「ロバが運べるくらいの金をいただければ」と息子は答えました。「こんなに貴重な生き物なのに、ばかばかしいほど安い値段だ!」島の人たちは口をそろえて叫び、言われたとおりのものを喜んで払いました。

一番上の息子が財産を持って家に帰ってくると、弟たちはびっくりしました。そして二番目の息子が言いました。「よし、ぼくも出かけていって、この大鎌を同じくらいもうかるように手ばなせないか、やってみよう」けれども、うまくいきそうにはありませんでした。どこへ行っても、自分と同じように大鎌を肩にかついだ農夫たちに出会ったからです。

ところがとうとう、大鎌のことを何も知らない人たちの住む島に、たまたまたどり着きました。その島では、麦が実ると、大砲を畑に持ちだして、麦を撃ち倒していました。ところがこれは、なんとも当てにならないやり方でした。多くの人は麦の上を撃ちこしてしまいましたし、茎ではなく穂に当てて、穂を吹きとばしてしまう人もいました。そのせいで、ずいぶんたくさんの麦がむだになりました。おまけに、ものすごい音がしました。そこで息子は仕事にかかり、麦を静かに、すばやく刈りとっていきました。島の人たちはあっけにとられて、ぽかんと口を開けました。そして大鎌と引きかえに、ほしいだけのものをあげようと約束しました。こうして息子は、運べるだけの金を積んだ馬を一頭もらいました。

さて、三番目の息子も、自分のネコをふさわしい相手のところへ持っていこうと思いました。けれども、兄たちとまったく同じことになりました。陸地にいる間は、どうにもなりませんでした。どこにでもネコがいましたし、それもあまりにたくさんいたので、生まれたばかりの子ネコはたいてい池に沈められていたのです。

とうとう息子は船に乗って、ある島へ渡りました。運のいいことに、その島ではまだ一度もネコが見られたことがありませんでした。ネズミがすっかりのさばっていて、主人が家にいようといまいと、テーブルやベンチの上で踊りまわっていました。島の人たちは、このひどい災難をさんざん嘆いていました。宮殿にいる王さまでさえ、どうやってネズミから身を守ればいいのかわかりませんでした。どの部屋のすみでもネズミがチューチュー鳴いて、歯の届くものはなんでもかじっていたのです。ところが、ネコが狩りを始めると、たちまち二つの部屋からネズミがいなくなりました。そこで島の人たちは、このすばらしい生き物を国のために買ってくださいと、王さまにお願いしました。王さまは言われた値段を喜んで払いました。それは、金を積んだラバ一頭でした。こうして三番目の息子は、だれよりもすごい宝を持って家に帰ってきました。

ネコは王さまの宮殿で、ネズミを相手に大はしゃぎで、数えきれないほどたくさんのネズミをやっつけました。そのうちに、さんざん働いたので体がほてって、のどがかわいてきました。そこでネコは立ちどまり、頭を上げて鳴きました。「ニャー、ニャー!」この聞いたこともない鳴き声を聞くと、王さまも家来たちもみんなこわくなって、あわてていっせいに宮殿から逃げだしました。それから王さまは、どうするのが一番よいか、相談しました。そしてとうとう、ネコのところへ使者を送ることに決まりました。宮殿から出ていくように求め、出ていかないなら力ずくで追いだすぞ、と言いわたすのです。大臣たちは言いました。「ネズミに苦しめられるほうがまだましです。その災難なら慣れていますからね。こんな怪物に命をさしだすよりは、ずっといい」そこで、身分の高い若者が一人、ネコのところへ送られて、「おとなしく城から出ていってくれないか」と尋ねました。けれども、ネコはますますのどがかわいていたので、ただ「ニャー!ニャー!」と答えただけでした。若者はそれを「絶対にいやだ!絶対にいやだ!」という意味だと思い、その返事を王さまに伝えました。「それなら」と大臣たちは言いました。「力ずくで追いはらうまでだ」大砲が持ちだされ、宮殿はたちまち炎に包まれました。火がネコのいる部屋まで来ると、ネコは窓からぴょんと飛びだして、無事に逃げました。けれども、宮殿を取りかこんだ人たちは、宮殿がすっかり撃ちくずされて平らになるまで、撃つのをやめませんでした。

日本語訳:多読ベスト

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理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. Why did the people of the first island want the cock?

Q2. How did the people of the second island cut their corn before?

Q3. What did the young man think the cat's "Mew! Mew!" meant?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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