The Three Brothers(三人兄弟)の挿絵

The Three Brothers

三人兄弟

  • 📖 659 words
  • ⏱ 約6分
  • YL 5.0+
  • 英検1級・ネイティブ目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ父親が持っているのは、住んでいる家ひとつだけ。父親は三人の息子に、それぞれ仕事を身につけてきて、いちばんみごとな腕前を見せた者に家をやると約束します。

グリム兄弟『子どもと家庭のメルヒェン集(グリム童話)』マーガレット・ハント英訳(1884年)原文。底本: Project Gutenberg eBook #5314

キーワード(13語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • forefathers先祖
  • trade職業・仕事
  • masterpieceいちばんの腕前を示す作品
  • blacksmith鍛冶屋
  • barber床屋
  • fencing-master剣術の先生
  • lathered石けんの泡を立てた
  • whiskers(動物の)ひげ
  • nobleman貴族
  • coach馬車
  • flourished振りまわした
  • torrentsどしゃぶり
  • grave墓

🔊 音声は準備中です。もうしばらくお待ちください。

There was once a man who had three sons, and nothing else in the world but the house in which he lived. Now each of the sons wished to have the house after his father's death; but the father loved them all alike, and did not know what to do; he did not wish to sell the house, because it had belonged to his forefathers, else he might have divided the money amongst them. At last a plan came into his head, and he said to his sons, "Go into the world, and try each of you to learn a trade, and, when you all come back, he who makes the best masterpiece shall have the house."

むかし、三人の息子をもつ男がいました。男が持っているものといえば、住んでいる家のほかには何一つありませんでした。息子たちはみな、父親が死んだらその家を自分のものにしたいと思っていました。けれども父親は三人を同じようにかわいがっていたので、どうしたらいいのか分かりません。家を売ってしまえば、そのお金を三人に分けることもできたでしょう。けれども、先祖から受け継いだ家なので、売る気にはなれませんでした。とうとう父親は一つの考えを思いついて、息子たちに言いました。「世の中に出て、それぞれ何か仕事を覚えてきなさい。みんなが帰ってきたら、一番見事な腕前を見せた者に、この家をやろう」

The sons were well content with this, and the eldest determined to be a blacksmith, the second a barber, and the third a fencing-master. They fixed a time when they should all come home again, and then each went his way.

息子たちはこれにすっかり満足しました。一番上の息子は鍛冶屋に、二番目は床屋に、三番目は剣術の先生になろうと決めました。三人は、みんなで家に帰ってくる日を決めてから、それぞれの道へ旅立っていきました。

It chanced that they all found skilful masters, who taught them their trades well. The blacksmith had to shoe the King's horses, and he thought to himself, "The house is mine, without doubt." The barber only shaved great people, and he too already looked upon the house as his own. The fencing-master got many a blow, but he only bit his lip, and let nothing vex him; "for," said he to himself, "If you are afraid of a blow, you'll never win the house."

運よく、三人ともすぐれた親方にめぐりあい、しっかりと仕事を教えてもらいました。鍛冶屋は王さまの馬に蹄鉄を打つ役目をまかされ、「家は間違いなくおれのものだ」と心の中で思いました。床屋は身分の高い人たちのひげしか剃らなかったので、やはりもう家を自分のものだと思いこんでいました。剣術の先生は何度も打たれましたが、唇をかみしめるだけで、何があってもくじけませんでした。「打たれるのを怖がっていたら、家は決して手に入らないぞ」と、自分に言いきかせていたのです。

When the appointed time had gone by, the three brothers came back home to their father; but they did not know how to find the best opportunity for showing their skill, so they sat down and consulted together. As they were sitting thus, all at once a hare came running across the field. "Ah, ha, just in time!" said the barber. So he took his basin and soap, and lathered away until the hare came up; then he soaped and shaved off the hare's whiskers whilst he was running at the top of his speed, and did not even cut his skin or injure a hair on his body. "Well done!" said the old man. "Your brothers will have to exert themselves wonderfully, or the house will be yours."

約束の日がくると、三人の兄弟は父親のもとに帰ってきました。けれども、どうすれば自分の腕前を一番うまく見せられるのか分からなかったので、三人で腰をおろして相談しました。そうして座っていると、突然、一匹の野ウサギが畑を走ってきました。「やあ、ちょうどいいところに来たぞ!」と、床屋は言いました。床屋は洗面器と石けんを手に取り、野ウサギが近づいてくるまで泡を立てていました。そして、野ウサギが全速力で走っているあいだに石けんを塗り、ひげを剃り落としてしまいました。それも、皮膚に傷一つつけず、毛一本痛めなかったのです。「お見事!」と、父親は言いました。「兄弟たちがよほどがんばらないと、家はおまえのものだな」

Soon after, up came a nobleman in his coach, dashing along at full speed. "Now you shall see what I can do, father," said the blacksmith; so away he ran after the coach, took all four shoes off the feet of one of the horses whilst he was galloping, and put him on four new shoes without stopping him. "You are a fine fellow, and as clever as your brother," said his father; "I do not know to which I ought to give the house."

まもなく、一人の貴族が馬車に乗って、全速力で走ってきました。「さあ、お父さん、ぼくの腕前を見てください」と鍛冶屋は言って、馬車のあとを追いかけていきました。そして、一頭の馬が駆けているあいだに、その四本の足から蹄鉄を全部はずし、馬を止めることなく、新しい蹄鉄を四つ打ちつけてしまいました。「おまえもたいしたやつだ。弟に負けないくらいの腕前だよ」と、父親は言いました。「どちらに家をやったらいいのか、分からなくなったな」

Then the third son said, "Father, let me have my turn, if you please;" and, as it was beginning to rain, he drew his sword, and flourished it backwards and forwards above his head so fast that not a drop fell upon him. It rained still harder and harder, till at last it came down in torrents; but he only flourished his sword faster and faster, and remained as dry as if he were sitting in a house. When his father saw this he was amazed, and said, "This is the master-piece, the house is yours!"

すると三番目の息子が言いました。「お父さん、どうかぼくにもやらせてください」ちょうど雨が降りはじめたところでした。息子は剣を抜いて、頭の上で前へ後ろへと振りまわしました。あまりの速さに、雨は一滴も体にかかりませんでした。雨はますます強くなり、とうとうどしゃぶりになりました。けれども息子はますます速く剣を振りまわし、まるで家の中に座っているかのように、少しもぬれませんでした。これを見た父親はびっくりして言いました。「これこそ一番の腕前だ。家はおまえのものだ!」

His brothers were satisfied with this, as was agreed beforehand; and, as they loved one another very much, they all three stayed together in the house, followed their trades, and, as they had learnt them so well and were so clever, they earned a great deal of money. Thus they lived together happily until they grew old; and at last, when one of them fell sick and died, the two others grieved so sorely about it that they also fell ill, and soon after died. And because they had been so clever, and had loved one another so much, they were all laid in the same grave.

二人の兄は、前もって約束していたとおり、これに納得しました。三人はとても仲がよかったので、そろってその家に住み、それぞれの仕事を続けました。三人とも仕事をしっかり身につけていて腕もよかったので、たくさんのお金をかせぎました。こうして三人は、年をとるまで一緒に幸せに暮らしました。やがて一人が病気になって死ぬと、ほかの二人もひどく悲しんで病気になり、まもなく死んでしまいました。三人はとても腕がよく、お互いをとても愛していたので、みんな同じお墓に葬られました。

📖 全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

むかし、三人の息子をもつ男がいました。男が持っているものといえば、住んでいる家のほかには何一つありませんでした。息子たちはみな、父親が死んだらその家を自分のものにしたいと思っていました。けれども父親は三人を同じようにかわいがっていたので、どうしたらいいのか分かりません。家を売ってしまえば、そのお金を三人に分けることもできたでしょう。けれども、先祖から受け継いだ家なので、売る気にはなれませんでした。とうとう父親は一つの考えを思いついて、息子たちに言いました。「世の中に出て、それぞれ何か仕事を覚えてきなさい。みんなが帰ってきたら、一番見事な腕前を見せた者に、この家をやろう」

息子たちはこれにすっかり満足しました。一番上の息子は鍛冶屋に、二番目は床屋に、三番目は剣術の先生になろうと決めました。三人は、みんなで家に帰ってくる日を決めてから、それぞれの道へ旅立っていきました。

運よく、三人ともすぐれた親方にめぐりあい、しっかりと仕事を教えてもらいました。鍛冶屋は王さまの馬に蹄鉄を打つ役目をまかされ、「家は間違いなくおれのものだ」と心の中で思いました。床屋は身分の高い人たちのひげしか剃らなかったので、やはりもう家を自分のものだと思いこんでいました。剣術の先生は何度も打たれましたが、唇をかみしめるだけで、何があってもくじけませんでした。「打たれるのを怖がっていたら、家は決して手に入らないぞ」と、自分に言いきかせていたのです。

約束の日がくると、三人の兄弟は父親のもとに帰ってきました。けれども、どうすれば自分の腕前を一番うまく見せられるのか分からなかったので、三人で腰をおろして相談しました。そうして座っていると、突然、一匹の野ウサギが畑を走ってきました。「やあ、ちょうどいいところに来たぞ!」と、床屋は言いました。床屋は洗面器と石けんを手に取り、野ウサギが近づいてくるまで泡を立てていました。そして、野ウサギが全速力で走っているあいだに石けんを塗り、ひげを剃り落としてしまいました。それも、皮膚に傷一つつけず、毛一本痛めなかったのです。「お見事!」と、父親は言いました。「兄弟たちがよほどがんばらないと、家はおまえのものだな」

まもなく、一人の貴族が馬車に乗って、全速力で走ってきました。「さあ、お父さん、ぼくの腕前を見てください」と鍛冶屋は言って、馬車のあとを追いかけていきました。そして、一頭の馬が駆けているあいだに、その四本の足から蹄鉄を全部はずし、馬を止めることなく、新しい蹄鉄を四つ打ちつけてしまいました。「おまえもたいしたやつだ。弟に負けないくらいの腕前だよ」と、父親は言いました。「どちらに家をやったらいいのか、分からなくなったな」

すると三番目の息子が言いました。「お父さん、どうかぼくにもやらせてください」ちょうど雨が降りはじめたところでした。息子は剣を抜いて、頭の上で前へ後ろへと振りまわしました。あまりの速さに、雨は一滴も体にかかりませんでした。雨はますます強くなり、とうとうどしゃぶりになりました。けれども息子はますます速く剣を振りまわし、まるで家の中に座っているかのように、少しもぬれませんでした。これを見た父親はびっくりして言いました。「これこそ一番の腕前だ。家はおまえのものだ!」

二人の兄は、前もって約束していたとおり、これに納得しました。三人はとても仲がよかったので、そろってその家に住み、それぞれの仕事を続けました。三人とも仕事をしっかり身につけていて腕もよかったので、たくさんのお金をかせぎました。こうして三人は、年をとるまで一緒に幸せに暮らしました。やがて一人が病気になって死ぬと、ほかの二人もひどく悲しんで病気になり、まもなく死んでしまいました。三人はとても腕がよく、お互いをとても愛していたので、みんな同じお墓に葬られました。

日本語訳:多読ベスト

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理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. Why did the father not want to sell the house?

Q2. What did the barber shave while it was running at full speed?

Q3. How did the fencing-master stay dry in the rain?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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